ママさん在宅ワーカーの活用術とは
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株式会社お金の家庭教師
株式会社お金の家庭教師
代表取締役
木村 仁哉氏
取材:2017.08.04
高い採用基準を満たした“事務のプロフェッショナル集団”である在宅ワーカーを活用し、オンライン事務代行サービス『BizMow』を運営するお金の家庭教師様。今回はその採用基準や在宅ワーカーのキャリアビジョン設計などについてお伺いしました。
在宅ワーカーを活用したビジネスモデルは自社の経験がベースに
西江 | 本日はよろしくお願いいたします。御社は2008年に創業されて、起業支援や財務・会計に関するセミナーを述べ500回以上開催されてきたと拝見したのですが、在宅ワーカーの活用を開始された時期はいつ頃になりますか? |
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木村 | 2010年ですね。もともと私一人で立ち上げた会社なのですが、だんだんと手が回らなくなってきていたので、事務スタッフを1名採用しました。その方には、出社して働いてもらおうと考えていたのですが、採用してから2~3カ月後に妊娠がわかったんです。 元々、弊社の業務が遠隔でも可能なものだったので、出社してもらわなくてもできるのでは、と考えたことがきっかけですね。コミュニケーション力に長けていて、ぜひ長く一緒に働きたいと思っていた方だったので、妊娠・出産を経ても働き続けられる在宅ワークというスタイルを選択しました。 |
西江 | それでは、御社のオンライン事務代行サービスは自社の実体験がベースになっているということですか? |
木村 | はい、まさにそうです。創業から5年程、起業支援などのセミナーやコンサルティングを行っていましたが、起業家たちが自身の強みを活かし、その人にしかできないことに十分な時間を使うためは、バックオフィス業務をしっかりと行う時間を取ることはなかなか難しく、結果バックオフィスが弱くなりがちだということは課題だと感じていました。 弊社は企業規模の割にはバックオフィスをしっかりやっていたので、そこの部分の支援ができれば喜んでいただけるのではと考え、2015年に業務形態を“在宅ワーカーを活用した事務代行サービス”にシフトしました。 |
西江 | 起業家の方々にとっての右腕的な存在ですね。実際の依頼内容は具体的にはどのようなものがありますか? |
木村 | Word、Excelなどでの資料の作成・編集、取引先への商品・サービスの発注、出張の手配など様々な事務業務・秘書業務を受けていますが、私自身の得意分野が会計ということもあり、それらの後ろに常に会計業務を見据えたうえで業務設計をしていきます。 |
在宅ワーカーの採用基準は、正確さ、スピード、美しさ
西江 | 在宅でどのような方が働かれていらっしゃいますか? |
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木村 | 20数名の方々に働いてもらっていますが、30~40代が多く、子育て中のママが全体の8割程います。 |
西江 | ママさんの仕事ぶりはいかがですか? |
木村 | とても頑張ってくれています。ママワークス®からも70名程ご応募いただいて、6名採用していますよ。 |
西江 | 貢献できてうれしいです。御社の採用基準をお聞かせいただけますか? |
木村 | 真面目でいい人ですね。具体的には、自己規律・自己管理できる人。 フィーリングも大事にしているのですが、“事務のプロフェッショナル集団”でありたいと考えていますので、その部分に関して、どれだけ長けているか、ということは見ています。業務の基準で言うと、正確さ、スピード、美しさの3つを大切にしています。 |
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西江 | 採用業務基準に“美しさ”が入っているのは印象的です。選考は、書類選考、一次面接、二次面接と、在宅ワーカーの選考では珍しく3ステップ踏んでいらっしゃいますね。 |
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木村 | そうですね、例えば書類選考では、履歴書・職務経歴書のご提出とタイピングテストの実施をしているのですが、タイピングテストでは極端に遅い方をお断りするくらいで、実際は、メールのやり取りでの言葉遣いや美しさ、ビジネスマナーに問題はないか、誤字脱字は多くないか、などを見ています。あと、職務経歴書はフリースタイルになるので、そこからWordのスキルもチェックしていますね。 一次、 二次面接はコミュニケーションの部分を重点的に見ています。 |
西江 | 内容もさることながら、書類の形式や対応の仕方などを重視して見ていらっしゃるんですね。 |
木村 | そうですね、例えば、Excelでまとめの表を作った際に装飾することは本質的に意味のないことのように思えるかもしれませんが、見やすさというのは相手への気遣いだと思っています。我々はお客様のバックオフィスやカスタマーサポート部門を引き受けることが多いので、そこに必要とされるのは、やはり心遣いや気遣いだと思っています。 |
西江 | 心遣い・気遣いがあるかないかで伝わり方が変わりますもんね。 |
木村 | はい、そこは譲れないですね。 |
西江 | 美しさや心遣いを徹底されていることは御社の強みですね。それらを兼ね備えた事務のプロフェッショナルにお任せした仕事は、品質も高く、お客様からの評価も高いでしょうね。 ちなみに、在宅ワークに向いているのはどんなタイプの方だと思われますか? |
木村 | 2つあると思っていて、1つ目は、孤独な環境でも、真面目に真摯に取り組んでくれる人。2つ目は、1つ目と相反するように思えるかもしれませんが、責任感が強すぎないこと。弊社の場合、お客様が起業家なので、土日・深夜問わず仕事の依頼が来たりするのですが、責任感が強すぎると、相手に合わせて仕事をしてしまいます。今までに、お子さんの運動会中に仕事をしていたスタッフもいました。でも、そういう職場を作りたいわけではないので。 |
西江 | 出勤・退社がない分、セルフマネジメント力はより重要になりますね。 |
チーム制・時給制を取り入れ、毎週月曜日は出社もOK!
西江 | 運営はチーム制で進めていらっしゃるんですよね。 |
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木村 | はい、現在3名リーダーがいて、1チーム5~10名で構成しています。 業務自体は常に2名体制で行っていて、どちらかが何かしらの理由で業務に入ることができなくなってもフォローし合えるようにしています。 |
西江 | 2人で同じ業務を共有して進めていけるのは安心ですね。マニュアルなどもあるのですか? |
木村 | 社内ウェブサイトがあります。例えば、新しく入った方はこの順番でやってください、ということなどが全部入っています。 例えば、ツールのインストールなどの基本的な話から、ここまで進んだら、感じたことや気持ちを〇〇さんに報告する、など。 |
西江 | “感じたことや気持ちを〇〇さんに報告する”というところはポイントですね。 |
木村 | 一人でやっていると、ボタン操作1つについても、すぐに聞くことができないので、これでいいのかと不安になったり、ストレスになったりしますからね。 |
西江 | でも、その気持ちをわかってくれる方がいるかどうかで、だいぶストレス度も違いますよね。 御社は時給制だと思うのですが、リーダーになると時給も上がっていくのですか? |
木村 | 2つの軸を設けていて、能力と累積勤務時間で時給が上がります。 |
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西江 | 累積勤務時間でも時給が上がるんですね。時給850円スタート(最低賃金を下回る場合は調整)ということなので、地方の方にとっては外で働くよりも時給が高いケースもありますよね。 |
木村 | そうですね、先日、奈良県に出張があったのですが、コンビニのアルバイト募集の求人広告に時給770円~と書いてあって驚きました。 主婦の方は働くとなると、スーパーのレジ打ちなどをまず想像される方が多いようですが、移動や着替えに必要な時間も勤務時間と考えて時給換算すると、都心でも同じくらいかそれ以上になると思いますよ。 ちなみに、その出張ついでに関西地域のメンバーと会ったのですが、これが初めてリアルに会う機会となりました。しかし、話すことは尽きず、あっという間に3~4時間程話してしまいました。遠隔でも、共有できる価値観というのはあるのだなと確信しました。 |
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西江 | 在宅で働いていると、どうしても業務中心のやり取りになって、気持ちなど感情を伝える機会は取りにくいので、実際に顔を合わせて話せるのはとてもいいですね。 |
木村 | はい、時間を見つけて、地方で働いてくれている他のメンバーにも会いに行きたいと思っています。 |
西江 | きっと喜ばれますね!御社の二子玉川オフィス近辺に住んでいる方は、毎週月曜日、出社OKにされているそうですが、普段在宅で行っている業務とは違うことをするのですか? |
木村 | 一番多く時間を使っているのは、PDCAを一緒にやる、ということですね。 在宅ワークの場合、こういうやり方で大丈夫なのかな、と思ってもすぐ隣に聞くことのできる人がいるわけではないので、その方の中に解決策がない業務をいっしょにまとめていきます。 また、在宅ワークは一人でやる孤独感をどうしてもぬぐえない部分もあるので、マネジメントの側面で言うと、労をねぎらうことがとても重要だと考えています。 雑談でもいいと思うんです。お話が好きなメンバーも多いので、むしろ雑談が良かったりもしますね(笑) |
西江 | 業務をたくさん進めていくというよりは、火曜日から、より高いレベルで、そして安定した気持ちで在宅ワークができるようにするための1日、ということですね! ワーカーさんにとっては心強いですね。 |
キャリアプラン設計も共に考える
西江 | 在宅ワーカーのキャリアアッププランも明示されているんですよね? |
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木村 | 何を身につけたら評価されるのかを明確にしています。 言われたことを正確にできる→業務の効率化ができる→業務の設計ができる→チームのマネジメントができるという感じでベースを引いていて、どんどん上がっていくことができます。 |
西江 | 自分は今、どこを意識して仕事をしていくべきなのかが明確だと安心して進められますね。 |
木村 | はい、弊社のサービスの強みの一つがお客様と毎日接するということで、そのお客様は起業家の方が多いので、経営についての話をすることも多く、ありとあらゆる経営相談を受けます。 なので、最終的には、在宅での経営コンサルタントになれるといいなと思って、キャリアプランを作っています。 ただ、適材適所が一番大事だと思っているので、全員が全員、そこまでいってください、ということではなく、どうしていきたいかは、本人の希望と家庭とのバランスを聞きながら進めています。 |
西江 | 在宅でも自分の希望に合わせてキャリアアップをしていけるのはとても魅力的ですね。 |
木村 | 在宅で働くメンバーからは、経営者がどのような思考回路で物事を考えているのかなど、テーマを決めて定期的にレクチャーしてほしいというリクエストも来ているので、実現したいと思っています。 |
西江 | そのようなリクエストが来るなんて、向上心が高く、優秀な方々ですね。 |
木村 | そうですね、そのほかにも、どういう会社にしていきたいか共有してほしいなどという声ももらっています。 |
西江 | ちなみに、どのような会社にされたいかお伺いしてもよろしいですか? |
木村 | “自由“を大切にしていきたいと思っています。自由は、それ相応の責任を引き受けると手に入るものだと思います。 なので、責任も取るけど、ライフスタイルは自由に選択できる環境を大切にしたいですね。 そのために、スキルアップも必要だし、人格を高めていかないとできない。それを磨いていけるキャンパスのような場でありたいですね。 |
西江 | なるほど。自由を手に入れるためには努力も必要ですね。 |
生産性高く、継続的に働いてもらえるメリットは大きい
西江 | 最後に、これから在宅ワーク導入を検討している企業様へのメッセージをいただけますか? |
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木村 | 在宅ワーカーを活用することで生産性はすごく高まるので、ぜひ導入されることをお勧めします!とは言え、運用できるか不安はあると思うので、小さくはじめて、自社に合えば徐々に広げるといいと思います。 レクチャーに多少時間がかかったり、コミュニケーションが取りにくいという側面もありますが、弊社では在宅ワーカーの本格的な活用を開始してからの1年半で、辞めた方は20名中1名のみです。クラウドソーシングサービスも利用したことがあるのですが、発注が大変で、かなり細かい部分まで伝えないとイメージと違うものが出てきてしまうので、継続的に働いてもらうことのメリットは大きいと感じています。 |
西江 | 継続的に働いてもらえれば、生産性もどんどん向上しますよね。 |
木村 | きっと場所にとらわれずに働く働き方は、5年もすれば今以上に当たり前になるはずです。 会社に勤めていたとしても、個人事業主の集団のような時代にシフトするのでは、と思います。 弊社自身もそれを見据えて、一人一人がその才能を活かせる企業でありたいですし、そのためにも在宅ワークをフル稼働できるよう、より体制を整えていきたいと考えています。 |
西江 | 本日はとても参考になるたくさんのお話、本当にありがとうございました。 |