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退職所得控除は2回目以降だと計算式が違う?一番控除の多い方法を選び、節税効果を高めよう
公開日: 2019.10.31
最終更新日: 2020.02.19

目次
退職所得控除を2回以上に分けて受け取るケースは2つ
退職金を受け取ると「退職所得」として申告しなければなりません。
この際に受けられる「退職所得控除」は2回目以降だと1回目と控除額や計算式に違いがあります。
退職所得控除を受け取るケースとしては、1つの会社から退職金を2回に分けて受け取る場合と、2つ以上の会社からそれぞれ1回以上退職金を受け取るケース等が考えられます。
今回は、退職所得控除を複数回にわたって受ける場合に、2回目以降はどのように計算するのか?ケーススタディーを交えて解説します。
退職所得控除の計算方法
まずは、退職所得控除の計算方法からご覧ください。
<基本的な計算方法>
退職所得控除の金額は、退職金を支給する会社にどれぐらいの年数勤めたかによって、計算方法が異なります。
勤続年数20年以上か以下になるかで計算式が異なります。
<勤続年数20年以下の場合>
40万円×勤続年数
<勤続年数20年以上の場合>
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
いずれも1年未満は切り上げとなります。
退職金の受け取りを2回に分ける場合は、2回目以降の計算式が異なりますので、その点には注意が必要です。
■例外的な計算方法
退職所得控除を2つ以上の会社から受ける場合としては、4年以内に前職の会社から退職金受け取り、なおかつ次の会社から退職金を受け取る時に、勤続期間が重複しているケース場合は、重複している期間の勤続年数について調整が必要です。この期間のことをみなし重複期間と言います。
退職控除の計算式は、
前職の退職金額 >前職の勤続期間への退職所得控除額戸なっている場合は
新しい会社の勤続期間に対する退職所得控除額-みなし重複期期間を計算した金額
となります。
前職の退職金額<前職の勤続期間における退職所得控除額となっている場合
新しい会社の勤続期間に対する退職所得控除額-みなし重複期間
■みなし重複期間の算出方法
<前職の退職金額800万円以下の場合>
退職金額 ÷ 40万円
<前職の退職金額800万円超の場合>
(退職金額-800万円) ÷ 70万円 + 20
退職金額と重複した期間の長さが関連していますので、2回目の退職金の支給を受ける際には、退職所得控除額の計算方法が異なります。
2回目の退職所得控除を受けるためのケーススタディ1
退職金を2回に分けて受け取る場合についてですが、まずは、1つの会社から2回に分けて退職金を受給する場合について解説します。
<ケース1>
・勤続年数 29年
・1回目の退職金:退職の際に、800万円を受け取る
・2回目の退職金:8年後に700万円を受け取る
<計算方法>
・退職所得控除
800万円+700万円x(29年-20年)= 1,430万円
1回目の課税額は
800万-1430万となり非課税
2回目の課税額は
((800万+700万)-1430万)÷2 =35万円
となり、35万円分が課税対象となります。
2回目の退職所得控除を受けるためのケーススタディ2
続いて2か所以上の勤務先から退職金を受け取る場合はどうなるかを見ていきましょう。
5年以上前に一度退職金を受け取り、今回は2回目の退職金を受け取るケースの場合
(1社目の勤続年数) 22年5か月勤務
(2社目の勤続年数) 7年か6か月勤務
このケースでは、1回目の退職金を一括して全額受け取り完了しています。2回目の受け取り金額については、以下のように計算してください。
A. 2社目の勤務期間をから退職金の計算をする場合
2社目の勤務期間は7年6か月<勤続年数は20年以下
計算式は、
40万円 × 8年 = 320万円
となります。
2社の通算勤務期間から退職金を計算する場合はどうでしょうか?
例えば、最初に勤めていた会社から退職時に系列会社への転職(天下りなど)を勧められ、勤続期間を通年計算するようなケースというのもあります。
この場合は、
2社めの退職所得控除額=
通算勤続期間の退職金ー1社目の勤続期間の退職所得控除
で求めることが可能となります。
1回目の退職所得控除分を差し引いた残額=2回目の控除額
となります。
A)通算勤続期間(1社目+2社目=30年)の場合
800万円 + 70万円 × (30年 - 20年) = 1,500万円
B)1社目の勤続期間(21年5か月)で計算した場合
800万円 + 70万円 × (21 年(※注)- 20年) = 1,740 万円
(※注:1年未満切捨)
C)2社目の退職所得控除額:
1,500万円 - 70万円 = 630万円
このように計算します。
2回目の退職所得控除を受けるためのケーススタディ3
先ほどは、1回目と2回目の退職所得控除が5年以上空いている場合についてのケーススタディでした。
今回は、4年以内に2回目の退職所得控除を受ける場合について見ていきましょう。
・1社目 27年か月勤務
→退職金は受け取り完了
・2社目 10年9カ月勤務
→これから2回目の退職所得控除を受ける予定
1社目+2社目の勤務期間を通年して計算する場合は、
2社めの退職所得控除=通算勤続期間の退職金ー1社目の勤続期間の退職所得控除
という計算式で求めることが可能です。
1回目の退職所得控除分を差し引いた残額が2回目の控除額となります。
では実際の計算式を見ていきましょう。
A)通算勤続期間(1社目+2社目=30年)となった場合
800万円 + 70万円 × (30年 - 20年) = 1,500万円
B)1社目の勤続期間(21年4か月)で計算すると
800万円 + 70万円 × (21年- 20年) = 870万円
なお、勤続年数1年未満は切り捨てとします。
C)2社目の退職所得控除額:
1,500万円 - 70万円 = 630万円
このように計算します。
通年計算をしないで、前年以前4年内に1社目から退職金を受け取ったと仮定すると、1社目と2社目の勤続期間にそれぞれ重複期間があるかどうかによって、2回目の退職所得控除額が変わってきます。
以下に重複期間がある場合とない場合に分けて計算してみましょう。
<重複期間がない場合>
勤務期間の重複期間がない場合は
2回目の退職所得控除額:40万円 × 11年 = 440万円
となります。
<重複期間がある場合>
勤続期間に重複がある場合は、
・2回目の退職金にかかる勤続期間から計算した退職所得控除額(B)
・重複している勤続期間(1年未満切捨)を勤続年数とみなして計算した退職所得控除額(A)
2回目の退職所得控除= B ー A
で求めることができます。
もし、Aの退職所得控除に不足分があることが発覚すれば、みなし重複期間によって、2回目の控除の際に計算することが可能です。
・2回目の退職所得控除額(B)
2回目の退職所得控除額: 40万円 × 11年 = 440万円
・1回目の退職所得控除額
1回目の退職所得控除額:800万円 + 70万円 × (28年-20年) = 1,360万円
・1回目と2回目の退職金と控除額をそれぞれ比較します。
控除の不足額があるかないかによって、2回目の退職所得控除から1回目の分を引くということになります。
<1社目の退職金が1,500万円の場合>
1,500万円>1,360万円
控除不足がないため、重複期間の調整は必要ありません。
重複期間:8年1か月
重複期間にかかる退職所得控除額は
40万円 × 8年= 320万円(A)
B社退職時の退職所得控除額(B)-(A)
440万円 - 320万円 = 120万円
なお、勤続年数は1年未満の場合、切り捨てとします。
<1社目の退職金が1,000万円の場合>
1,000万円<1,360万円
控除不足ありとなりましたので、重複期間の調整が必要となります。
みなし重複期間については、以下のように調整することができます。
1社目の勤務期間:
(1,000万円-800万円)÷70万円+ 20年 = 22年
1社目のみなし勤務期間:22年
みなし重複期間:2年9か月
・みなし重複期間にかかる退職所得控除額は
40万円×2年(注)=80万円・・・(A)
・2社目の退職所得控除額(B)-(A)
440万円-80万円=320万円
なお、勤続年数は1年未満の場合、切り捨てとします。
退職所得控除の勤続年数はどのように決定するの?
退職所得控除は2回目以降でも受けられる
長年勤めた会社を退職する際に支給される退職金は、確定申告の際に「退職所得」として申告することが義務付けられています。
この際に受けられる退職所得控除は、勤続年数によっても違いがあり、計算式はそれぞれの勤続年数に応じて異なります。
退職所得控除は2回目でも受けられますが、申告する人の状況や通年期間で計算するかによっても、控除額が異なります。
比較検討して、一番控除の多い方法で申告すれば節税効果も高まりますので、ぜひ、参考になさってください。