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2023年1月の記事一覧

授業レポート

大人もおどろく傾聴力と広がる対話「小学生てつがくカフェ」リターンズ後編

久しぶりのレポートとなりました「小学生てつがくカフェ」
前編では、主に子どもたちの助け合いが醸成されている雰囲気を中心にお伝えしました(
前編はこちら)。
後編では、「なんで水は透明なの?」について話すことになった子どもたちが、一体どのように対話を進めていったのかについてまとめました。

ぜひその場に参加している感覚でお読みください!

なんで水は透明なの?

水が透明な理由・・・

水が透明なのはなぜか?がテーマ

大人からすると、このテーマは、科学的知識によるアプローチによってすぐに答えが出てしまうのではないだろうか?と懸念してしまいがちです。

しかし、店長や店員たちは、子どもたちが決めたテーマを変更することはしません。「小学生てつがくカフェ」では、主役は子どもたち

この日は、6人の小学生が参加してくれました。店長や店員の大人は、子どもたちが決めたことを尊重して、一緒に話の輪に入って見守るだけの存在です。そうすることで、子どもたちは自ら対話をすすめ、「なんで水が透明なのか?」についてのアプローチを深めていくことができました。

まずはじめに
「透明な水はきれいに見えて、濁った水は“飲みたい”ってならないと思う。」という意見が最初に出ました。これは、見た目や水の色に関するアプローチです。確かに、泥水など濁っている水には何かが含まれていて、見ただけで「この水は飲めない」とわかります。

この意見をきっかけに、それまで「考え中」と書かれたリアクションカードを掲げていた子も含めて、何か話すことを思いついたようです。

一斉に手があがりました!

はじめは自分の考えがまとまっていなくても、誰かの話を聞いて、それに対する考えを抱いたり、新たな考えが浮かんだり・・・。他の人の話を聞くことがベースとなって、自分の意見が形成されていくことって、よくありますよね。

そして今回も、最初の「濁った水は飲みたくならない」という意見から、「病気になったら困るから、だから水はもともと透明なのだ」という意見が生まれ、透明な水の安全性という新たなアプローチに気付きました。

子どもたちはみな、考えながらゆっくりと慎重に丁寧に発言し、互いの話に耳を傾けている様子が、画面越しにも伝わってきます。

ここでも、“あなたの話を聞いている”という傾聴の姿勢が、全員から感じられました。

「海が水色だから、水も水色では?」と水の色に関して、新たな考えを言ってくれた子もいました。

この考えに対して、色々と考えながら「雨が透明だから、水も透明かな。でも、水は透明だけど、もてる。」と発言した子がいました。

店長はここで、考えをひろいあげます。
水をもてるって、どういうことかな?」と質問しました。

すると、「それは、水は“すくえる”ってことかな?」と言い換えのフォローを入れてくれた常連の子がいました。そのフォローはまさに、発言した子が伝えたかったことだった模様、ナイスフォローでした!

「水は透明だけど、空気と違って手ですくえる」という不思議についても意見が出ました。

参加者は、水に関して、雨や空気(大気)、水の循環など関連する事柄へとアプローチを広げていきます。

そして、「水は、海や雨の色と似ている」という意見が多くなってきたところで、さらに「お風呂に入浴剤を入れると、透明なまま色がついた感じになる。」という経験談も、飛び出しました。

ここで「水が透明であることは、水に余計なものが入っていなくて、病気になりにくいことを確認できる“便利さ”がある。」という意見が多いかな?と店長が確認します。

そんななか、一人の子から「そもそも水って何?」という質問が出ました。

そもそも水って?

その子は、事前に「そもそも◯◯って何?」というリアクションカードを持参していました。

ものごとの“そもそも”について考えることは、この「てつがくカフェ」で思考を深めていくにあたって、大事なことの一つです。

「そもそも水って何?」という質問について、早速手があがりました。

水蒸気
一言、そう答えてくれた子がいました。

店長も「確かに水蒸気って何かに付くと水滴になるもんね」と応じ、常連さんの子も「なるほど」という反応を、顔の表情とジェスチャーで表してくれました。

「水って、水素と酸素なのでは?」
元素の知識で回答してくれた子もいました。

坂岡店長がここで、一旦今までの流れを整理します。
水は透明できれいだから飲めるし、お風呂に入ることもできるんだね?」と再度、確認しました。

すると、ある子が言いました。
「今ではきれいな水が周りにたくさんあるけど、汚い水ばかりだったら、どういう暮らしになるのだろう?

これに対して、別の子から、

「アフリカのある地域では、今でも泥水をそのまま飲んでいたり、雨水を貯めてそのまま飲んでいたりするんだけど、それによって病気になって命を落としてしまう子もいる。国によって、そのまま水道の水を飲める国と飲めない国もあって、ユニセフが支援している。」

という話が出ました。

「ユニセフって知らない子いるかな?」と店長が聞くと、何人かが挙手しました。ユニセフとは、子どもの命と権利を守るために、貧困等で支援が必要な国に支援をする団体です。

この場でこの単語を初めて聞いた子どもたちは、きっとニュースなどで今後「ユニセフ」という単語を聞いた時に、今までとは違う関心を持ってくれるかもしれませんね。

この展開に、「説明ありがとうございます」と発言した子や、「なるほど!」と書かれたイラスト付きのカードを画面越しに掲げてくれた子がいました。

リアクションボードも大事なコミュニケーションツールです

なんで水が透明なの・・・?

そのテーマから、「水が汚かったらどんな暮らしになってしまうのか」という想像をしようとする子や、「今この時も、世界のどこかではリアルにその問題と向き合わざるを得ない人々がいる」ことに思いを馳せる子どもたち。

雨が降らない地域では、畑で作物も育たず、食べ物も不足してしまうという懸念を話してくれた子もいました。

店長の家の近くには“下水処理場”があるようで、「下水場という施設では、汚くなった水をきれいにしてくれているんだよ」という紹介もありました。

この話を受けて、「自動車工場でも、“汚くなったお水をきれいにしてから排水している”というのを聞いたことがある」という子もいました。

そこから、汚染された水の影響で手が震えてしまう、といった「公害」について思い出してくれた子もいて、環境に気を配ることは、人間が健康に過ごしていくことに繋がる!という話題にまで広がりました。

「“水がきれいであること、透明であること”って、人間が生きていくために、とてもありがたいことなんだ」と意見がまとまったところで、今回のカフェは終了です。

最後に、話し合いの内容をグラレコ(グラフィックレコード)にまとめたものを見せてくれた子もいて、改めて子どもたちの成長を感じるカフェになりました。

参加した子によるグラレコ

今回の子どもたちの対話は、見事であったと思います。

「なんで水は透明なの?」理由を考えていくなかで、大人の想像を見事に超越し、多彩な意見を持ち寄ってくれた対話であったと言えるのではないでしょうか。

店長(講師)よりメッセージ

「このカフェにはこんなに優しくて楽しくて素敵なメンバーがいるんだよ!」ということを自慢したくて仕方なくなり、今回記事にしてもらいました。(笑)

私たちのカフェは、時間とルールの許すかぎり、どんなことを話しても受け止め続ける場です。

「自分の言いたいことだけ話す」という参加の仕方でもまったく問題ありません。それが、自分の考えを落ち着いてまとめる力や、意見を発表する力につながってきますし、尊重される喜びの体験にもなるからです。

しかし、今回のメンバーは人の話を頷きながら聴く、自分と違う視点や意見を受け止め、リアクションを返す、他のメンバーにマイクを回すといった役割を自ら担ってくれました。

「○○ちゃんが言ってたんだけど……」と、他者の意見と呼応しながら、より広い視野から思考を展開させていくようになりました。

言葉に詰まったメンバーを見て、「それって○○ってこと?」と言い換え、理解を確認するなどというのは、本当によく聴こうとしていなければ決してできないサポートです。

今回、みんなは大人を上回る発想力で、斬新な問いから社会の仕組み、世界の貧困、経済格差、果ては地球環境の問題にまで突き進んでいきました。

しかし、こうした活発なディスカッションは、お互いの意見を受け止め合う傾聴力の成長と、そこから紡ぎだされる安心感に支えられてこそのものです。

「自分の意見を言う」というのは、否定される怖さと隣り合わせの作業です。だからこそ、今回のようなケアの循環を大切にしていきたい、と思うのです。 メンバーたちはいまや「お客様」を超えて、大人の至らないところを助けてくれる、場づくりに貢献してくれる力強い存在として、店長の目には映っています。

「小学生てつがくカフェ」は唯一無二のお話の場であり、みんなの場です。
初めての方も大歓迎のカフェですので、聞いているだけ、というのももちろんOK。少しでも気になったら、ぜひ一度ご参加ください。

『オンライン de キッズスクール』では、今後の講座のスケジュール、および各講座へのお申し込みを以下のページから受け付けています。
https://mamaworks.jp/kidscourse/

一人でも多くのお子さまがこの講座で楽しく学び、新たな可能性を見出せますように!

この記事を書いた人
【ママワークス在宅ライター 高原温子】
保育士兼ライター。新卒で入社した会社で、営業・広報・コールセンターと勤務するも、幼児教育に興味を持ち、労力・時間を集中させるために退職。
その後、教育に関する知識と経験を増やすため、保育士資格を取得して、パートで保育士をしています。
今は小学生男子の母です!

授業レポート

対話の場を作り上げる子どもたち「小学生てつがくカフェ」リターンズ前編

「小学生てつがくカフェ」の授業をこちらでレポートするのは、今回でなんと5回目!オンラインでのカフェトークには、毎回参加してくれる「常連さん」の子もいれば、初めて参加してくれる子もいます。
新規の参加者も大歓迎のこの講座。
今回も初参加の子を交えて、多彩なトークが展開されました。

子どもたちがどんな風に助け合って、共に一つのことを考えていったのか・・・その様子を2回に分けてお伝えします!
(過去開催の様子はこちら→
【vol.1】,【vol.2】,【vol.3】,【vol.4】

「聞く」「考える」を大切にする

「小学生てつがくカフェ」では、毎回、店長と呼ばれる坂岡さんをファシリテーターとして、子どもたちが自由に発言をして、様々なテーマについて話を展開しています。

その際、「意見を言う」ことだけではなく、「人の話を聞く」というのも大切な時間だと考えています。

“話を聞いているよ”ということを相手に伝えるために、子どもたちは、画面上で、手でGOODのポーズを作ったり、拍手をしたり、大きくうなずいたり・・・
ジェスチャーやリアクションを、よく取り入れてくれています。

さまざまなジェスチャーやリアクション
そして、Zoom機能にあるリアクションボタンを使ったり、事前に作成した「考え中」などと書かれた“リアクションカード”を掲げたりして、相手に「ちゃんと話を聞いているよ!」とアピールする工夫をしてくれています。

みんな自作のリアクションボードを使ってくれています

リアルで開催する「お話する場」とは違ったスタイルで、“あなたの話を聞いている”ことをアピールしてくれるので、新しいメンバーでも溶け込みやすい雰囲気になるのです。

人の話を聞くことで、自分の考えがまとまる、という経験は大人にもよくあることかと思います。
また、他人が自分の話を聞いてくれていると感じると、より自分の意見を言いやすくなることもあります。

このカフェでは、一人ひとりがじっくり考える時間をもち、大切にしてほしいと思っています。

たとえ、その場で一言も発言できなかったとしても、何かについてじっくりと考える機会や時間を持つことは、きっと貴重な財産になることでしょう。

1人でじっくり考えることも大切

これからの時代、不確実なことが多くて、一つではない答えの中から、自分が、自分たちが納得できる答えを探っていくことが増えていく、と言われています。

他の人の意見を参考にしたうえで、自分の意見を、より深い視点で考えていくという経験は、意識して持つべきと言えるでしょう。

講師はあくまでもファシリテーターというより、むしろ「いつメン」の一員として参加している感じで、肩書きも「店長」と「店員」。
大人・子どもという枠を気にせずにフラットに交流しあいます。

いつメンも初めましての子も、毎回違ったテーマで一から話し始めていく「小学生てつがくカフェ」。
そういう場って、意外と他では無いのではないでしょうか。

初参加の子でも大丈夫!

「小学生てつがくカフェ」では、初参加の子も大歓迎です。
実際に今回のカフェにも、初参加の子が一人だけいましたが、あっという間に場に溶け込んでいました。

今までも、一人だけ初参加、という開催回がありましたが、その時にもすぐにみんなと慣れて、意見出しに参加してくれていました。

すぐに馴染める理由は、いくつか挙げられます。

すでにご紹介した「ちゃんと話を聞いているよ」という、みんなの態度はもちろんその一つ。

他にも、毎回、最初に必ず自己紹介のゲームや質問ゲームをして、事前に場を温める工夫をしています。

自己紹介では、普通に名前を言うだけではなく、ちょっとした工夫をしてゲーム化することで、初めての子が発言をするハードルを下げるだけでなく、常連の子が初参加の子をサポートする、きっかけ作りにもなります。

今回も、常連さんが、初参加の子のゲームを助けてあげている場面が多く見られました。みんなが互いを助け合う雰囲気があると、自然とみんなコミュニケーションが積極的になっていきます。

質問コーナーでは、何人かが同時に積極的に手をあげる姿も見られました!

「てつがくカフェ」では、何も話さずに考える時間を大切にしているので、みんながシーンとなってしまうこともNGではありません。
でも、積極的に発言してくれるのも、もちろん大歓迎です!

この日は、時期的に「サンタはいるのか」なんて話題も飛び出し、子どもたちは本題に入る前に、早くも大盛り上がりでした。

こうして、みんなが気兼ねなく話し合える雰囲気を醸成してから、いざ、メインテーマを決めていきます!

今回のメインテーマは?

メインテーマは、毎回その日のメンバーで、何にするのかをみんなで話し合って決めています。

これまで、このカフェでは

「頭がいいって、どういうこと?」
「なんでみんなゲームが好きなの?」
「なんで夜は寝ないといけないの?」
「なんでペットはかわいいの?」

など、大人でも興味深い、多種多様なテーマで話し合ってきました。

今回、テーマ候補としてあがったのは、

なんでみんな好きな食べ物は違うの?」
「なんで人を好きになるの?」
「なんで虹は七色なの?」
・・・など。

なんで?がいっぱいな子どもたち

どれも興味深いテーマですが、協議の結果、「なんで水は透明なの?」について話すことになりました。

今回も

  1. 1.何を話してもいい
  2. 2.ゆっくり話してもいい
  3. 3.黙っててもいい
  4. 4.パスしてもいい
  5. 5.ジャッジしないで、キャッチする
  6. 6.辛い時は「聞かない自由」あり

このルールで進めていきます。

さて、「なんで水は透明なの?」というテーマで、一体どんな話しが飛び出したのか?
本題の詳細については、後編の記事をご覧ください!

「小学生てつがくカフェ」は初めての方も大歓迎のカフェです!
聞いているだけ、というのももちろんOKです。
少しでも気になったら、ぜひ一度ご参加ください。

『オンライン de キッズスクール』では、今後の講座のスケジュール、および各講座へのお申し込みを以下のページから受け付けています。
https://mamaworks.jp/kidscourse/

一人でも多くのお子さまがこの講座で楽しく学び、新たな可能性を見出せますように!

この記事を書いた人
【ママワークス在宅ライター 高原温子】
保育士兼ライター。新卒で入社した会社で、営業・広報・コールセンターと勤務するも、幼児教育に興味を持ち、労力・時間を集中させるために退職。
その後、教育に関する知識と経験を増やすため、保育士資格を取得して、パートで保育士をしています。
今は小学生男子の母です!

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