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在宅ワーカーの活用術とは

Mamasan & Company 株式会社

Mamasan & Company 株式会社

Mamasan & Company 株式会社
代表取締役 田中茂樹氏

取材:2017.07.04

2012年の設立当初から在宅ワーカーを前提のアウトソーシング事業を行なっている、Mamasan & Company 株式会社・代表取締役田中様に、斬新な運営方法や仕組みなど、目から鱗が落ちるようなお話をたくさんお伺いしました。

在宅ママがチームを作って、組織的に業務を遂行

西江 2012年4月の創業時から在宅ワーカーを活用されていらっしゃるそうですが、運営体制をお聞かせいただいてもよろしいですか?
田中 2つの際立った特徴があります、
一つ目は、在宅のママさんたちがチームで業務を行っていることですね。
二つ目は、業務プロセスの可視化・再構築も在宅のママさんたちがお客様から直接ヒアリングして、チームでこれを行う事ですね。
受託している業務内容は、経理、給与計算、採用関係業務、ECサイトの運営代行、その他事務処理全般など、いろいろやっているのですが、全ての業務に関して、フローチャート・マニュアルを作成します、業務プロセス可視化・再構築の具体的アウトプットがこれらです。
西江 在宅なのにチームで!しかもお客様とのやり取りまで在宅の方がされているのは珍しいですよね?
田中 そうですね。また、サービスの特徴としては、タスク(業務の最小単位)を単純作業として受託するのでなく、ファンクション(業務全体の流れ)で受託することです。
例えば、経理業務であれば、仕訳エントリーだけでなく、売上売掛管理、支払処理、資金繰り表作成を含めて網羅的に業務を担当します。
西江 お客様にとって、なくてはならない心強いサポーターですね。具体的にはどのようなチーム体制で動かれているのですか?
田中 お客様ごとにリーダーママを中心としたオペレーションチームを作ります。日々の業務については、基本的に社員は入らず、在宅ママとお客様でやり取りをして業務を完結しています。
機械的な事務処理だけでなく、例えば採用事務代行であれば、受験者と面接官の日程調整など、複数のコミュニケーションが必要な業務も連携を取りながら進めています。
在宅ワーカーの活用術とは
西江 社内の方が入らず、在宅のママさんだけで、業務を完結されているなんてすごいですね。 どのような仕組みで行っているのですか?
田中 業務プロセスの可視化・再構築をちゃんとやることが大切です。
遠隔でお客様のパソコンを見られる画面共有ツールとSkypeを使って、リーダーママが中心となって業務のヒアリングを行います。それから業務分析をして、こういうやり方で進めませんかという提案後、フローチャートやマニュアルを作成し、だれでもできるようにオペレーションしていきます。
西江 なるほど。そうすれば、何かしらの理由でお休みするママさんが出てもフォローし合えますね。在宅の方たちだけですと、緊急時の対応はどうされていますか?
田中 みんなで情報共有できる掲示板機能に情報集約することで、緊急時の対応も複数でカバーすることを心がけております。
あとは、明確なタイムスケジュールを決めていないと緊急対応が増えるので、1つ1つの業務の期日を事前に決めて、お客様にもこれを正確に守っていただくことが大切なポイントですね。全ての業務に明確なタイムスケジュールが存在することで、ママさんたちは仕事以外のスケジュールと上手に組み合わせて、ワークライフバランスを図っております。

グローバルなピラミッド型組織でマネジメント

西江 在宅ではどのような方が働かれていらっしゃいますか?
田中 日本を含めて世界11各国に220名の在宅ワーカがいます。他、沖縄BPOセンター(沖縄県うるま市)に35名のオペレーターがおります。
国籍別の割合ですが、日本人は70%・中国人7.5%・ベトナム人16.5%・インド6%という状況です。
在宅ワーカーの活用術とは
西江 グローバルですね!
在宅のメンバーがマネジメントをするということは昇進制度もあるのですか?
田中 昇進制度はありますよ。ボスママ・サブママ・その他のママの3つの階層でピラミッド構造になっていて、メンバー全員がこのピラミッドの何れかに属しております。
今、ボスママは7人いるのですが、1人のボスママに約5人のサブママがついて、1人のサブママにその他ママさん約5人がついています。
ボスママ・サブママは、月に一回Skype会議をして、組織の人事的問題、ITの問題、オペレーション全体の問題などを打ち合わせし、課題認識からその解決を、会議体を通じて具体的に行なっております。
西江 在宅でもこのようなピラミッドが機能するのは素晴らしいですね。
田中 採用のハードルそれなりに高いです。
例えば、Excel入力だけやりたいというような方は弊社には向いていないと思っています。
お客様と関わりを持つチームリーダーもいずれは必ず経験してくださいと入社の段階で伝えていますし。
 
正直、在宅で働くことって、むしろ大変な状況もたくさんあると思うんですよ。
会社に出勤していれば、仕事だけに集中できるけど、在宅は誘惑も多いし、家にいるんだからという理由で、家族から仕事をしていることになかなか理解が得られないこともある。
実際はじめてみて、お子様に手がかかり、仕事をなかなか進められなかったり、逆に仕事に入り込みすぎて、家庭とのバランスが取れなくなって辞められる方も結構いらっしゃいます。
うまくバランスを調整する能力と、プレッシャーや不合理を乗り越えられる優れたストレス耐性が重要だと思います。
大変でもそれをおもしろいと思えたり、自分の頭を使って問題解決ができたり、考えていける人が長く続いていますよ。

在宅ママのスキルは、マネジメント力がポイント

西江 なるほど。在宅で働くには、セルフマネジメントができるかどうかは大きいですね。
田中 そうですね。ご自身のマネジメント、チームのマネジメントの両方が必要ですね。
西江 ボスママになっている方々はかなりスキルの高い方だと思いますが、昇進されているのはどのような方ですか?
在宅ワーカーの活用術とは
田中 やっぱりマネジメント力の高い人ですね。マネジメント力は一番重要。業務の調整やお客様の誘導もマネジメントですから。
西江 それでは、ボスママの役割はマネジメントが中心ですか?
田中 それぞれ案件業務も携わっているのですが、ボスママの役割の半分は組織として健全であるかをパトロールして、問題があれば改善していくことですね。
ボスママは人事的な決裁権をもつ役割もしていて、組織としてネガティブにはたらく発言や動きがメンバーに見受けられた場合、改善にあたり指導もするし、改善が見込めない場合は、対象のママさんには辞めてもらわなければいけないこともあります。それを伝えるのもボスママの仕事です。
西江 結構シビアですね。
田中 シビアですよ。
弊社の目的はママさんたちの就労をサポートすることではなくて、ビジネスをする上で、弊社自身としての企業目的を考えた場合に、合理的であるから在宅ワーカーを組織した形でママさんを活用しています。
西江 利益がでないことには、そういった環境の方々の活躍の機会さえ創出できないですもんね。コスト面で言うと、弊社でも在宅ワーカーを活用することで、3分の1以下にコストを下げられています。
田中 はい、企業として、利益を追求することが当然ながらもっとも優先順位が高く、、というより、そのために企業組織としての形で存在をしているのですから、その要素となるあらゆる仕組みは、その目的に適ったものでなければならないと思います。

本質的な部分は、社内でも在宅でも変わらない

西江 仕組みなどは確立されていらっしゃると思いますが、今後の課題などはありますか?
田中 組織が大きくなる中で、大切なものは何で、捨てるべきものは何か選択する時期に来ていると思っています。
ボスママ会議というのを毎月行っていますが、そこでは会社として何を大切にしているかということを伝えています。
今価値があるものでもずっとしがみついていると意外と早く価値は劣化すると考えております。
ボスママ・サブママがそれを下に伝えていくときに、重要なことは、自分の言葉でどう伝えられるか。
なので、理解できないことがあれば、会議で納得できるまで聞いてもらって、腹に落とし込んでもらっていますね。
西江 組織の目指すべき方向性を共有して浸透させていくということは、社内で働く場合でも在宅で働く場合でも同じように重要ということですね。
田中 うん、本質は変わらないです。在宅で顔が見えない分、難しい部分もありますけどね。
西江 そうですよね。顔を合わせない分、コミュニケーションがより難しいと思いますが、利用しているツールを教えていただけますか?
田中 チャット、掲示板、Skype、グループウエアはもちろん活用していますし、携帯電話も貸与しているので、電話でコミュニケーションも取っていますよ。あとは、パンディオンというアプリケーションで、今誰が稼働していてどんな状況であるかがわかるので、ママさんたちもそれを見て、あの人も頑張ってるから私も、となるみたいです。PC上なのにお互いに性格などが手に取るようにわかると言っているママさんもいますよ。
西江 ITの活用が為せる業ですね。
セキュリティ対策についてもお聞かせいただけますか?
田中 thin clientの仕組みを全てのママさんのオペレーション環境の前提としております。自宅のPC環境などに、絶対にデータが渡らない環境です。

在宅ワーカーを活用することの合理性を組織的に考えるべき

西江 かなり濃いお話、本当にありがとうございました。最後に、これから在宅ワーク導入を検討されている企業様へのメッセージをお願いします。
田中 最近、超大手といわれる企業から、自社の在宅ワーク化の相談を受けます、福利厚生の一環で在宅ワークを取り入れたり、世の中もそういう流れになっていますが、ただ時代の流れに乗るのではなく、なぜ在宅勤務というスタイルを導入するのか、経営的にいかに合理的なのかを一度組織全体で腹に落とし込む必要があると思いますね。

業務フローを在宅向けに設計し直すことが重要

田中 在宅で行う業務としては、本当になんでもできちゃうと思うんですけど、社内で行っている業務フローをそのまま在宅に落としても絶対うまくいかない。
働く場所が変わるのだから、今までと違った業務フローを設計し直さなければいけないです。
世の中の流れに乗るだけでは絶対うまくいかないし、現場からも文句が出るので、そもそもなぜ在宅ワークを選択するのか共通認識を持つことが大事ですよね。
オフィスにいるかいないかは関係なく、同じマインドが伝わっているかなど、マネジメントの本質は同じなので、在宅化がうまく行かない場合、もしかしたら現在の業務フロー・組織自体に問題や改善点があるのかも、と考えるきっかけや気づきに繋がるかもしれません。
女性を支援しなければいけないからという理由だけではなく、もっと企業目線で、利益に繋がるところに動機づけしてやってほしいと思いますね。
西江 軌道に乗れば、双方にメリットは大きいですもんね。
田中 そのためには多少の腕が必要ですけどね(笑)
西江 そうですね、その腕を磨くために参考にさせていただける貴重なノウハウをお聞かせいただき、本当にありがとうございました! 
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