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在宅ワーカーのモチベーションを保つ施策とは

株式会社ニット

株式会社ニット

株式会社ニット
代表
秋沢 崇夫氏

取材:2017.07.11

100名以上の在宅ワーカー・リモートワーカーを活用し、インターネット上でのオフィス業務代行サービスを展開している株式会社ニット様に、マネジメントやモチベーションアップのために行っている自社独自の試みや組織体制などについてお伺いしました。

放浪の旅で見つけた、新しい働き方の形

西江 いつもママワークスをご活用いただき、ありがとうございます。本日はぜひ御社の在宅ワーカー活用に関するお話を伺わせてください。よろしくお願いいたします。
御社の在宅ワーカーやリモートワーカーを活用したビジネスモデルは、秋沢様が放浪の旅をされているときの経験がきっかけになっているんですよね?
秋沢 そうですね。約10年間インターネット事業会社でインターネット広告、システム構築、ソーシャル・マーケティング事業に携わっていたのですが、いつかは自身で起業したいと考えていました。会社を退職後、どのような事業で起業しようか考えるため、アメリカへ放浪の旅に出たのですが、その間もパソコンを使って仕事をしていました。そのときに、オフィス以外でも仕事は出来ると確信したんですよね。
西江 ご自身の実体験が今の事業に繋がっていらっしゃるんですね。
秋沢 はい、オフィス以外で仕事をするほうが生産性が上がったり、効率的に仕事ができることもあるということに気が付いて、そういう働き方をもっと広げたいと考え、この事業を始めました。

オンライン講座を設け、実務では赤入れをしてフィードバック

西江 ECサイト運用、ライティング、デザイン、秘書業務など、在宅・リモートで代行されている業務内容の幅がとても広いですが、設立当初はどのような業務の代行から始められたのですか?
秋沢 クラウドソーシングは、WEBデザインやコーディング、WEBライティングといった特殊なスキルを必要とするイメージが強いと思いますが、そうなると普通のデスクワークをしている人たちは参入が難しいですよね。
しかし、やり方さえ間違えなければ会社に行かなくてもできる仕事は多くあるはずだと、海外での経験を通じて気づいたんです。そこで、多くの人が持っている「普通の事務作業のスキル」を活かした代行業務も可能ではないかと考え、企業様の事務作業全般を代行するHELP YOUというアシスタントサービスを立ち上げました。
西江 突出したスキルがなくても働き方を選択できるというのは、可能性が広がりますね。現在、特に依頼の多い案件はどのような業務ですか?
秋沢 レポート作成やパワーポイントの企画書作成、メール対応、電話対応などですね。電話で取材をして、それを原稿にする仕事などもしているのですが、最近は多くの企業様がライティングに困っているみたいですね。
西江 特にWEBライティングはニーズが高そうですね。様々な業務がある中で、教育などはどのようにされていらっしゃいますか?
秋沢 OJTを中心に、必要に応じて無料でオンライン講座を設けています。
西江 オンライン講座はどのようなものがあるのですか?
秋沢 パワーポイント、グーグルアナリティクス、リスティングやFacebook広告などの広告に関する講座など様々ですね。ちょうど、先程話に出たライティングの講座もやりたいと思っているところです。弊社のスタッフがやることもあれば、外部の講師を呼んでやることもあります。
西江 在宅で働きながら、スキルアップもできてワーカーさんにとってはうれしい環境ですね。
秋沢 皆さん、予想以上にスキルアップしたい気持ちが強いですし、パソコンを使った仕事がしたいと思っている方が多いので、それを弊社としても叶えたいですよね。
在宅ワーカーのモチベーションを保つ施策とは
西江 参加率も高いですか?
秋沢 参加は必須にしているんです。毎回課題も出すので、結構きついんですけどね(笑)
西江 必須参加なんですね!課題はどういったものを出されているんですか?
秋沢 資料作成であれば、こういうテーマでパワーポイントを使って資料を作ってください。レポートなどであれば、実際の数値を見てレポートを作ってみてくださいとかですね。
西江 そのまま実践で使えそうな内容ですね。
秋沢 それが結局仕事に繋がっていきますからね。こちらとしては、これを任せるつもりでいるんだということを伝えてモチベーションを高めてもらっています。
あとは、ライティングや資料作成などは、出してもらったものに赤入れをしてコメントを付けて返すということもずっとやっていますね。
西江 そういったフィードバックも含めた教育を在宅やリモートで働いている方たちがやってらっしゃるんですか?
秋沢 そうですね。チームを作って業務を進めているのですが、チームリーダーが納品物や途中経過を見て、もっとこうした方がいいよ、ここはこういう理由で直したほうがいいよ、とフィードバックしています。
西江 講座で学べて、実践ではフィードバックももらえるんですね。
秋沢 はい、広告やアクセス解析など体系的に学んだほうが効果的なことは、時間を取って講座を受けてもらっています。
手に職を付けてもらう意味合いでもやっていて、多くの会社が必要とするスキルを身に付けて、仕事の幅を広げていってほしいですね。
たとえ学んだことと直接関係する仕事をしていなくても、弊社はWEB系、IT系の仕事が多いので、学んだ知識と自身が行っている業務がつながり、スムーズに仕事を進められることがよくあります。そういったこともあり、基礎知識として学んでいってほしいと思っています。

10~15名のチームを作り、チームリーダーが引っ張っていく

西江 100名以上の方が在宅やリモートで働かれているとのことですが、どのような方がいらっしゃいますか?
秋沢 全体の9割程を女性が占めていて、そのうちの6割くらいが子育て中のママです。また、最近は地方や海外在住の方も増えていますね。
西江 地方や海外も!それぞれの案件はどのように振り分けているのですか?
秋沢 現在いるメンバーをデータベース化しているので、状況に応じて適任だと思われる方へお願いしています。弊社の場合、資格を必要とする仕事は多くないので、努力次第で仕事の幅を広げやすいと思います。
西江 やる気さえあれば、自身の市場価値をどんどん上げられますね!
先程、リーダーがいらっしゃるというお話がありましたが、どういう方がリーダーになられていますか?
秋沢 周りをよく見て気を遣うことができる方、お客様のニーズをつかむことが上手な方、そして、自分の仕事に責任を持っている方ですね。
西江 いくつくらいチームがあるのですか?
秋沢 大型のプロジェクトにずっと参加していてチームに属していない方やチームに入る前にもう少しスキルアップしてから、という方もいますが、現在は10チームあって、1チームに10~15名のメンバーがいます。
その中にいろんなステージの方々がいて、自分の専属のお客様を持ってガンガン仕事を進める方もいれば、出産したばかり、ダブルワークされているなどの理由で、抑えめなペースでやりたいとか土日しか働けないという方もいます。
西江 それぞれの希望の働き方が実現できているのですね!
秋沢 そうですね、働き方の希望はもちろんですが、仕事内容も希望が反映されます。例えば、お客様の前に立って、フロント業務をするのが苦手という方は他の人からもらってきた仕事をしていったり、オペレーションのほうに回ったりなど、得意分野で仕事ができるように調整しています。
在宅ワーカーのモチベーションを保つ施策とは

人の繋がりを感じられる施策がモチベーションを上げる

西江 在宅・リモートで業務を進めていく中で苦労されていることはありますか?
秋沢 いくらでもありますよ(笑)
でも一番はマネジメントの部分ですね。近くにいないので気軽に話しかけられないですし、自分から声をあげてもらわないと状況もなかなかわかりにくいですし。
あとはモチベーションの部分。一人で仕事をしていて、相手からの反応がなかったりするとやる気がなくなっちゃったりするんですよね。なんで自分はこれをやっているんだろう、と陥ってしまうことはよくあるケースです。
西江 御社でそれらの問題を解消する仕組みを作っていたり、御社側から積極的にアプローチしていることはありますか?
秋沢 リーダー・自己によるチェックシートと個人面談による昇給昇進の評価制度があります。また、例えばスキルアップしたいと思っている人には、具体的にいつまでにどうしたいのかを聞いて、今の状況を確認しています。
仕事が楽しいかどうか、暮らしが充実しているかどうか、無理をしてないか、なども聞いていきます。
西江 カウンセリングのようですね。
秋沢 皆さん、もともと働き方についてなにかしらの課題を感じて在宅ワークを希望しています。
こどもとの時間をもっと大切にしたい、家族と毎年旅行に行きたい、将来的に海外や地元に移住したいなど、人によって様々ですが、出社しなくてもいい在宅ワークで生活の基盤をつくりたいと思われているので、自分の目指す方向にきちんと向かっているのかというところの確認はしたいですよね。
西江 とても手厚いフォローで安心ですね。
一人でもくもくと仕事をする日々が続くと、一体自分はどこに向かっているのかと、ふと思う時がありますもんね。
秋沢 一人でやっていると、特にそのようになりがちですよね。
西江 導いてくれるきっかけがあるとありがたいですね。
秋沢 モチベーション管理の部分で言えば、チームミーティングを月に1~2回していて、どんな仕事をしているとか、どんなことがあったのか、どういう仕事がしたいのかとか
リーダーやほかのメンバーと共有する時間を設けています。
仕事に関係ないことで言うと、“リモート飲み”ですね(笑)
西江 リモート飲み、新聞にも掲載されていましたよね!どんな雰囲気なんですか?
秋沢 新鮮な気持ちで、純粋に楽しいですね。普段できない話をしていて、常日頃感じている不安を打ち明けられたりもしています。
西江 確かに普段のミーティングだとなかなか言えないことも飲みながらだと話せそうですね。
秋沢 ガス抜きですね。自由にやっているので、時間があったら入ってという感じでやっているんですけど。10人くらい集まることもあれば、時間が経つと抜けていったりするので、2~3人くらいになったり。
結局、2時とか3時になることもありますよ(笑)
西江 盛り上がってますね~!実際にモチベーションも上がっていますか?
秋沢 うん、1回話すと違いますよね。お互いに。
あとはチャットとかのアイコンも顔写真を付けてもらっていて。お子さんと写ってたりすると、仕事で融通利かせ合えたりしますし、“人を感じられること“がやっぱり大事だと思いますね。
西江 バックグラウンドがわかるといいですよね。親近感も湧きやすいですし。
組織として、在宅ワーカーやリモートワーカーを活用する上で大事にしていることはありますか?
秋沢 コミュニティを大事にしたいですよね。
スキルを持っている人はフリーランスでお仕事される方も多いと思うのですが、弊社の場合は組織なので、自分がどうしようもないときに助け合うことができます。一人で仕事をしているとなかなか情報が入りにくかったりしますが、みんなで最新情報を追求していって、よりスピーディにスキルアップもしていきたいですね。
西江 WEB上でコミュニティを作っていらっしゃるんですか?
秋沢 チャットワークで全員入っている部屋があるので、そこで自由に発言したり、気になったニュースを流してもらったりしています。 
記事作成の部屋では、こういう記事があったので、次のネタにいいかもしれません、とか。
西江 職種ごとのコミュニティもあるんですね!

報酬をあえて時給制にすることでスピードと責任感を生み出す

西江 業務委託契約の場合、案件ごとに単価を決められている企業様が多いですが、御社は業務委託契約で時給制ですよね。時給にされている理由はどんなことからですか?
秋沢 単価ベースの仕事は、記事1本いくらとか、業務内容がすごくはっきりしているものだと思うんです。
ただ、例えば、弊社の業務で多い資料を作成する際、修正や追加も出てきますし、同じ資料作成にしても、枚数、用途、業界業種によって難易度が変わってきます。1つ1つの仕事に見積もりを出すのがすごく大変。出してもいいんですけど、それをすることによって時間がかかって、仕事に取り掛かるのが遅れ、スピードが遅くなってしまう。そのため、時給にしています。
西江 なるほど。勤務時間は自己申告ですか?
秋沢 はい、自己申告ということが大事だと思っています。でも自己申告だと、働いていない時間も働いていると言うことはできてしまうので、怖いですよね。
西江 そうですね、強い信頼関係がないと怖い印象はありますね。
秋沢 何かの記事で読んだのですが、オフィスで仕事をしていないと、さぼってしまうと思う、ちゃんと仕事できないと思うという方が3~4割程いるみたいです。また、上司側も疑いの目を持つということもあるようです。
でも、それはやってもやらなくても支払われる固定給だからだと思うんですよね。弊社の場合、幸か不幸か業務委託という形でやっているので、概念としては時間で報酬を支払っているわけではなくて、自分が出したアウトプットに対して報酬をお支払いしているので、自分が出す納品物に責任を持ってほしいと考えています。
お客様は限りある弊社との契約時間を使って依頼をしているので、常にひとつひとつの仕事や対応を値踏みしています。そのなかで、「手抜き」や「ズル」をすれば、当然お客様は離れていき、結果、自分の仕事がなくなってしまいます。
西江 在宅やリモート環境の中でも、直接お客様とコミュニケーションを取ることで責任感も高まりそうですね。
秋沢 そうですね、実際にお客様と接している方と接していない方だと、納期の部分や工数のところのシビアさが違いますね。

在宅ワークのメリットに目を向けて、まずはやってみる

西江 在宅ワーカーに寄り添ったきめ細やかな運営で、とても働きやすい環境づくりをされていますね。御社独自の取り組みをいろいろお聞かせいただき、ありがとうございました。
最後に、これから在宅ワーク導入を検討している企業様へのメッセージをお願いします。
秋沢 意外と在宅ワークって難しくないですよ、ということですかね。
これちょっとできないかもしれないとか、在宅だから難しいと思わずにやってみることが一番大事かなと思います。 
壁が一番高いのはコミュニケーションの部分だと思うんですよね。やっぱりフェイストゥフェイスじゃないとだめだと思う方もいるんですけど、意外とそうでもないですよ。とお伝えしたいです。
西江 工夫すれば、逆にプラスの面も多いですよね。
秋沢 離れることによって無駄な会議がなくなるというのは聞いたことがありますね。限られた時間で会議をやるようになるので、アジェンダをしっかり決めたりだとか、必要なことだけを確認したりだとか。
あと、テキストでのやり取りが多くなるので、より相手にわかりやすい形で書いたり、結論ファーストで進められるようになります。
そこをきちんと徹底すると逆に仕事しやすくなると思います。
西江 確かに、いい意味で訓練せざるを得ない環境ですもんね。
秋沢 あと、これも陥りがちだと思うんですけど、顔を合わせない状況で仕事をしているので、メールをリアルタイムで返さなきゃとか、この仕事はこの時間までに絶対やらなきゃとか、メリハリがつかず、バランスが取れなくなってしまう方も多いので、注意が必要ですね。
西江 在宅やリモートで仕事されている方たちはサボるどころか、本当に真面目な方が多いですよね。
秋沢 そうなんですよね。でも、バランスがくずれてしまうと続かないので。
休みの時間をしっかり入れて、時間のコントロールができるようにフォローしないと潰れてしまう方もいると思いますね。
西江 そういった意味でも御社のフォロー体制もしっかりとされていて、事業自体がこの少子高齢化社会の日本で社会貢献につながっていらっしゃるな、と感じました。
本日は貴重なお話ありがとうございました!

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