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個人事業主がアルバイトを雇う際の注意点!雇用手続や年末調整について解説

公開日: 2018.09.03
最終更新日: 2022.01.21

個人事業主がアルバイトを雇う際の注意点!雇用手続や年末調整について解説

飲食店や事務所などを営む個人事業主が、業務が多忙になってきたので、短期間のアルバイトを雇った場合、はたして雇用保険に加入しないとてけないのでしょうか。加入が必要な条件、加入したときの保険料の額など、雇用保険のあれこれをみていきましょう。

個人事業主とは?

人事業主と雇用保険の関係を探って行く前に、そもそも個人事業主とは何かについてみていきましょう。

個人というのは、いうまでもなく「一人の人間」という意味ですが、個人事業主でいう個人は、法人の対比語として用いています。つまり会社という組織ではなく、一人の人間が事業をしているということです。

人事業主という制度は、事業で得た収入のうちから税金を納めるための形態で、なにか収益のある事業を始めるときは、開業届を税務署に提出します。

在宅ワークで稼いでいる方のように、特別の屋号がなく単にIDネームや本名で業務をしている場合でも、基本的には個人事業主ですから、開業届を提出しなくてはいけません。

開業届を提出することにによって、青色申告ができるようになります。青色申告では、年に65 万円の控除が活用できますから。個人事業主にとっては、大きなメリットといえるでしょう。

それではフリーランスと個人事業主の違いはどこにあるのでしょうか。フリーランスは特定の組織に属さずに、単発で様々な仕事をする人をさします。一見アルバイトのようにも思えますが、アルバイトは、短期間にせよ、どこかの組織に属しているので、フリーランスとはいえません。

つまりどこの組織にも属していないという意味であれば、フリーランスと個人事業主はほぼ同義語といっていいのです。

ただ大きな違いといえば、フリーランスと呼ばれている方は、いわゆる「一匹狼」が、活動のスタイルであることが多く、いくら忙しくなっても人を雇うということは、ほとんどないでしょう。また拠点となる店舗や事務所を構えることもありません。

その点、個人事業主は、基本的に拠点となる店舗や事務所を構えます。そして、たとえばカフェを開業して、店が順調な繁盛していけば、やがてはアルバイトでも雇おうかという選択肢が脳裏に浮かんできます。

そこで今回のテーマである雇用保険が大きな問題となってくるのです。ひとりで業務をこなしているうちは、単にその日の稼ぎだけを考えていればよかったのですが、従業員の働く環境を整えるという観点も必要になってくるのです。

しかし経営規模を顧みれば、事業主とアルバイトだけの小さな店なのに、大企業と同じように、雇用保険に加入しないといけないのでしょうか。しかも、アルバイトが午前10時~午後2時までの、1日わすが4時間の勤務だとしたらどうなるのでしょうか。

はたして、この事業主は雇用保険に加入しないといけないのか、じっくり探っていきましょう。

雇用保険て何?

それでは次に、雇用保険とはなにかというところを探っていきましょう。

雇用保険は、加入者が失業した際に給付金が支給されるのが大きな特徴のひとつです。「失業保険」という言葉を耳にされた方もいると思いますが、それがこの雇用保険から給付されたものなのです。

しかも次の就職に備えて指定の学校で講座を受講すると、「教育訓練給付金」が支給されます。詳しくは後述しますが、その他にも、育児休業給付や介護休業給付などもあり、労働者にとっては、メリットが大きい保険です。

雇用保険は、個人事業主と法人の区別なく、一定の要件を備えた従業員を雇うと、加入手続きをしなくてはいけません。事業主の立場からすれば、大きな負担となりますが、だからといって、これを無視して万が一監督庁に発見されるとどうなるのでしょうか。これまでの事例では過去2年にわたって遡って支払いを命じられたことがありますから、ないがしろにするわけにはいきません。

それでは、どのような雇用要件であれば、雇用保険に加入しないといけないのでしょうか。詳しくみていきましょう。

どんな人が雇用保険に加入するの?

雇用保険は、以下の雇用条件の人が加入対象者になります。

1.1週間の所定労働時間が20時間以上ある人

2.同一の事業主に継続して31日以上雇用される見込みがある人

3.季節労働者の場合は、雇用契約が4カ月以上、または1週間の所定労働時間が30時間以上の人

1週間に20時間というと、週に5日働くとしても、1日4時間ですから、ほとんどのアルバイトやパートの人が対象になります。

また1月間以上の雇用を約束している場合も雇用保険の加入対象になるということです。

人事業主の場合は、家族も同じ職場で働くことが多いと思いますが、その場合は雇用の形態によって異なってきます。

もし従業員同様に事業主の指示、命令を受けて職務をしているのであれば、加入対象者となりますが、従業員を指示する立場なのであれば対象者にはなりません。

雇用保険の手続の仕方

雇用保険に加入するためには、労災保険とセットで手続をする必要があります。この二つの保険を総称して「労働保険」と呼んでいます。

労災保険とは、仕事中にけがや病気をした際に補償をしてくれる保険で、これも労働者にとっては大切な保険です。

ところが、労働保険はセットだといいながら、それぞれの手続をする窓口が異なります。雇用保険の窓口は、ハローワークですが、労災保険の窓口は、労働基準監督署になります。

手続は、まず最初に労働基準監督署で労災保険の方から始めます。必要書類は以下のとおりです。

  1. 労働保険保険関係成立届
  2. 労働保険概算保険料申告書
  3. 住民票
  4. 事務所を借りている場合は、事務所賃貸契約書の写し

労働保険保険関係成立届は、雇用してから10日以内に、労働保険は概算保険料申告書は50日以内に提出しなければいけません。通常は、同時に申請をして、納付を50日以内に行います。

次にハローワークで、雇用保険の手続きを行います。手続きは雇用してから10日以内に行わなければいけません。提出する書類は以下のとおりです。

  1. 適用事業所設置届
  2. 被保険者資格取得届
  3. 住民票
  4. 事務所を借りている場合は、事務所賃貸契約書の写し
  5. 労働保険保険関係成立書の控え
  6. 開業届の控え
  7. 賃金台帳
  8. 労働者名簿
  9. 出勤簿もしくはタイムカード

 

未加入のままで雇用をしている者に対しては、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に課せられる罰則が定められています。未加入については、従業員自身の通報などにより容易に発覚しますから、雇用する際には、加入条件に該当するかのチェックを必ずおこないましょう。

保険料の計算方法は?

国には、労働保険料として納付します。労働保険料は、雇用保険料と労災保険の合計金額です。

保険料は以下の計算式により算出します。

  • 労災保険料=労災保険の被保険者である従業員の賃金×労災保険料率
  • 雇用保険料=雇用保険の被保険者である従業員の賃金×雇用保険料率

労災保険は全額事業主が負担をします。一部であっても、雇用者に負担させるのは違法になります。労災保険の保険料率は90種類に分類されているので、ここではその一部を掲載します。詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。

  • 食品製造業  6/1,000
  • 警備業    7/1,000
  • 通信業   2.5/1,000
  • 小売業、飲食店 3.5/1,000
  • 建築事業   11/1,000

建設事業と小売業を比較してみると分かりますが、労災保険は危険度が高い業務の方が高率の掛け金になっています。

次に雇用保険ですが、こちらは雇用者と事業主がそれぞれ負担します。実際の納付は事業主が一括して行うので、雇用者負担分は、事業主が雇用者の給与から差し引きます。割合は以下のとおりです。

①が雇用保険率、②が労働者負担分、③が事業主負担分です。

  • 一般の事業 ① 9/1,000 ② 3/1,000 ③ 6/1,000
  • 農林水産・清酒製造の事業 ①    11/1,000 ②   4/1,000    ③ 7/1,000
  • 建設の事業 ①12/1,000 ② 4/1,000 ③ 8/1,000

これにより、飲食店で毎月の給与が20万円で、ボーナスはなしだとすると、月々に支払う労働保険の額は、次のとおりになります。

  • 労災保険料 200,000円 × 3.5/1,000 = 700円
  • 雇用者保険料 200,000円 × 9/1,000 = 1,800円
  • 労働保険料  700円 + 1,800円 = 2,500円

 

この結果、事業主が毎月国に支払う労働保険料は、2,500円ということになります。そのうち、従業員負担金は、次の計算式により算出します。

  • 従業員負担の雇用保険料 200,000円 × 3/1,000 = 600円

これにより従業員は、給与の中から、雇用保険料として600円が差し引かれることになります。

雇用保険はどんなメリットがあるの?

雇用された立場からみた雇用保険は、どんなメリットがあるのでしょうか。

ひとつには、もし失職をしたら、失業給付がもらえるという点があげられます。会社を辞める前の2年間で、月に11日以上働いた月が12カ月以上あれば給付してもらえます。

給付額は、実際に働いていた頃の給与の60%くらいの額になります。給付日数は勤務年数が10年未満であれば、自己都合退職の場合90日間給付してもらえます。失業して次の職を見つけるまでの間これでしのげますから、このメリットは大きいでしょう。

メリットは失業中だけではありません。現役で働いていてもメリットはあります。

雇用保険の二点目のメリットは、育児休業給付金がもらえることです。育児休業給付金とは、育児休業中にもらえる手当です。もらえる期間は出産後1年までの育児休業中です。

雇用保険に加入している人のうち、育児休業給付金がもらえるのは次の条件に当てはまる人です。

  • 育休開始する日より2年以内に12ヶ月以上、雇用保険に加入している人
  • 育休期間中の各1ヶ月ごとに、休業開始前の1ヶ月当たりの賃金の80%以上の賃金が支払われていない人
  • 働いている日数が、支給単位期間(1ヶ月)中に10日以下の人

育児休暇手当ては、育休開始日から180日目までは、給与の67%が、181日目以降は給与の50%が支給されます。

雇用保険の三点目のメリットは、介護休業給付手当てがもらえることです。近年家族を介護する人が増えてきています。やむなく介護のために休業を余儀なくされることもありますが、その際の介護休業給付があるのです。介護休業給付は、ひとりの家族に対して93日まで、3回を限りに支給されます。支給額は休業開始時の日額賃金の67%とされています。

雇用保険の四点目のメリットは、教育訓練給付が受けられることです。これは現在働いている人も退職した人も利用できる制度で、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講した際に一定の補助が受けられるものです。

終了まで受講すると、受講受講生が払った50%、資格を得るとさらに20%プラスの補助が受けられます。支給の上限は年間で40万円、資格を取得した場合には、57万円となります。

このようにメリットの大きい雇用保険ですが、デメリットはあるのでしょうか。特にないといえますが、あえていえば保険料の負担をすることくらいでしょうか。

その保険料も前出の計算で明らかなように月の給与が20万円で600円の負担ですから、それほどの大きな負担になるとは思えません。

反対に事業主の立場からすると、雇用者側に大きなメリットがないのに、負担が増えるのですから、これをデメリットとしてとらえている事業主もいるかもしれません。しかし、実は事業主にもメリットがあるのです。それは、「まとめ」の中でふれます。

まとめ

ここまで、個人事業主と雇用保険についてご説明をしてきましたが、いかがだったでしょうか。

人事業主の経営する事業がいくら小規模であっても、一定時間以上雇用する従業員がいれば、事業主は雇用保険に加入する手続きをしなくてはいけません。もし手続きが複雑だと考えられた方は、社会保険労務士に代理手続をお願いする方法もあります。

雇用保険については、従業員側のメリットばかり強調してきましたが、実は事業主にもメリットはあります。それは、雇用保険には様々な助成金制度があるのです。助成金は借入金と違って返済する必要がないお金ですから、給付を受けられればメリットは大きいでしょう。

しかし雇用保険の未納があったり、適切な手続きをしていない場合は、助成金の受給資格が喪失しますから、やはり雇用保険は、しっかりと収める必要があります。

人事業主さんは、しっかりと雇用保険の手続きをして、従業員の皆さんに気持ちよく働いてもらいましょう。

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