パートの試用期間とは?退職はできる?トラブル時とるべき行動をご紹介
目次
パートで働く場合、本採用の前に試用期間を設ける職場は少なくありません。
試用期間中は、丁寧な指導が受けられたり、短時間勤務だったり、時給が少し安かったりなど本採用とは少し形態が違います。
もしもパートの試用期間中に退職したいと思った場合、どうしたらいいのでしょうか?
基本的には本採用中の退職と変わりませんが、注意したい点もあります。
そもそも試用期間とは?
パートの試用期間とは?
そもそも、試用期間とはどういったものなのでしょうか。
「なんとなくは分かるけど、はっきりとした定義が分からない!」なんて方がほとんどなのではないでしょうか。
試用期間とはずばり、試験的に仮採用とする期間のことで、本採用前に設けている企業が少なくありません。
しかも、新卒の正社員だけにかかわらず、中途採用やパートやアルバイトであっても導入している企業がたくさんあるのです。
理由は簡単で、いきなり本採用して、まったく使い物にならなかったら困ってしまうからです。
試用期間中の勤務態度や能力などを総合的に判断したうえで採用した方が確実です。
「え?試用期間でだめだったからといって、結局採用されなかったら困る!」と不満に思う方もいるかもしれませんが、労働者にとっても良い面もあります。
実際にその仕事をやってみたら想像と違ってうまくこなせなかった場合、仕事し続けるのは本人にとっても企業にとっても不幸と言えるからです。
でも気になるのは、試用期間中の給与や採用拒否などの対応についてです。
みなさんが疑問にもちやすい6つのポイントについて説明していきます。
▶そもそも試用期間とは?
パートやアルバイトで試用期間が設定されているケースがあります。
試用期間は本来の時給より安く設定されている場合も多く、「時給が低くて困る!」なんて不満に思う方もいるのではないでしょうか。
なぜ、この試用期間があるのかというと、雇用者と企業側のマッチングを図るためです。
雇用前に十分に職務について説明を受けたとしても、実際に働いてみたら思っていたのと違うなんてことはよくあることです。また、職務については合うものの社風が合わないなんてこともあるでしょう。無理に継続したとすると、企業にとっても、労働者にとっても不幸なこととなります。
その点、試用期間で一旦区切ることになれば、お互い冷静に判断できることとなるでしょう。
・期間について
期間はおよそ3ヶ月である場合がほとんどです。なかには2ヶ月、半年などといった職務もあり、企業や職務内容によって異なります。
・3ヶ月経過するとどうなる?
3ヶ月たつと、ほとんどの人は緊張が解け、冷静に職務や社風を判断できるようになります。
しかし、最初は新人ということで優しくしていた上司や同僚からの目も厳しくなるのもこの頃です。いつまでも新人気分で甘えていると立場が悪くなることもあるので気をつけたいものです。なお、雇用が盛んな企業の場合、後輩が入ってくる場合もあります。後輩よりも覚えが遅いと評価が下がるため、続ける場合は確実に仕事を覚えていきましょう。
▶試用期間っていつまでなの?
試用期間の長さについては、労働基準法においても明確な決まりはありません。
しかし、3か月程度であることが一般的です。
企業によっては1ヵ月と短い場合もありますが、仕事を覚え、能力が発揮できるまで時間がかかったり、注文住宅の営業など、契約という結果が出るのに時間がかかるような仕事の場合は、6か月など長く設定されている場合もあります。
パートの場合、よほど業務が難しいものでなければ長い試用期間が設定されることはありませんが、正社員や職種によっては最長で1年などと設定している企業もあるようです。
▶なにを見られている?適性はどう見極められるの?
入社試験として筆記テストや面談があることが多いですが、採用担当者もそれだけでは適正かどうかを判断できない場合があります。
そこで、実際に仕事に従事してもらいその仕事ぶりを確認したり、まじめな態度で勤務しているかをチェックするのです。
採用は、お互い両想いであることも重要ですから、その間、面談などを行い、続ける意思があるか、やっていけそうかなど質問する担当者もいます。
企画会社などでは、実際に企画を任されるなんてこともあるでしょう。
その企業ごとに見極めポイントは異なりますが、将来、その会社に寄与できるのかといった観点で見られていることには違いありません。
▶クビになることもある?
試用期間は、仮採用と言っても採用は採用ですから、正当な理由もなしに解雇されることはありません。労働契約は結ばれているので、契約に基づいて何事も手続きが行われます。
「雇ってみたけど、思ったより仕事ができないね」などの一言で、簡単にクビにされることは基本的にないということです。
ましてや、「担当者と気が合わない」「仕事後、飲み会に来なかった」なんて理由で本採用が見送られることはありません。
ただし、経歴詐称や遅刻や無断欠勤が続いたとなると、これは正当な理由になりえますから、クビになることもあり得るので注意しましょう。
▶研修期間とはなにが違うの?
よく間違われるのは研修期間という言葉です。
求人情報を見ると「試用期間あり」や「ただし研修期間中は時給〇〇円」などといった記載があります。
研修期間とは、文字通り研修を受ける期間です。
つまり、業務につくためのノウハウを得る研修を受ける期間であり、本採用されているケースです。
試用期間は実際に業務につかせることにより能力を見極める期間のことなので、全く種類がお異なります。
▶試用期間が延長されることってあるの?
労働条件通知書や就業規則などにあらかじめ記載がある場合ことが前提ですが延長されることがあります。
ただし、なぜ延長されるのか合理的な理由がない場合は認められていませんし、本人が合意することも必要です。
そもそも、稀なケースだとは思いますが、たとえば事故などで怪我をし、所定の期間働くことができなかったなどといったケースなどが考えられます。
参照:厚生労働省「職業安定法の改正について」
パートの試用期間中って辞めていいの?
まだ採用されて日が浅いパートの試用期間中。
自分の為に採用や指導の時間を割いてくれたり、制服を用意してもらったりしたにもかかわらず、辞めるというのは可能でしょうか?
■試用期間中でも辞めるのは可能
試用期間中でも、雇用形態問わず、雇用契約を結んでいる状態ならば辞めるのは可能です。
ただし、辞めるためには就業規則に記載されている手続きを踏むことが求められます。
雇っている側にとって、使用期間中にパートに退職をされるのは、正直迷惑です。
また募集、面接、選考、各種手続き、新人指導をイチからやり直さなければなりません。
しかし、結局辞めるのならば早い内に辞めてもらった方が結果的には損失は少なくなります。
しっかりと手間をかけて研修をし、ある程度戦力になった頃合いに突然辞められてしまう方がはるかに迷惑です。
■即日の退職は難しいことも
パートの試用期間中であっても退職は認められますが、「辞めます」といったその日にうちに退職するのは難しい場合があります。
法律上は「原則として退職予定日の14日前までに退職の意思を、人事権を持つ人に申し出る」必要があるとされています。
つまり「退職したい」と伝えた後実際に退職するまでに14日間かかることがあるのです。
とはいえ、採用されてから日が浅く、まだあまり重要な仕事をしていない試用期間中ならば雇用側とパート側、双方の合意があれば14日以内、あるいは即日の退職が可能な場合もあります。
■試用期間中に辞めさせられるのは拒否できる
一方、働いている本人は辞めたいと思っていないのに、雇っている企業側から試用期間中に「辞めてくれ」「本契約は結べない」と言われてしまった場合、退職しなければならないのでしょうか?
パートの試用期間中であっても雇用契約はしっかりと結ばれています。
つまり、正当な利用のない突然の解雇や本契約の拒否は認められません。
試用期間中であったとしても、労働者の権利は守られます。
【パートの試用期間中に辞めたいけれど辞められない、辞めたくないけれど退職をせまられた場合は?】
パートの試用期間中に何らかの理由があって辞めたいと伝えたのだけれど、雇う側にそれを拒否されてしまったり、辞めたくないのに雇い主側から辞めるように迫られたりした場合はどうしたらいいでしょうか?
■まずは会社の内部の窓口に相談をしましょう。
そのようなものがなかったり、それでは解決しなかったりする場合は、退職にまつわるトラブルは藤堂基準監督署、労働相談コーナーに相談してください。
労働相談コーナーは、各都道府県にあります。
退職を迫られなくても、何カ月も試用期間のまま、本契約を結べる条件があいまいという場合にも力になってくれます。
パートの試用期間中に辞めるにはどうしたらいい?
正社員でなくても、試用期間中であっても雇用関係は成り立っています。
退職をする場合には、それなりの手順が存在します。
パートの試用期間中に辞めるためにするべき行動や手続きなどについて紹介していきましょう。
■退職をする意思を上司に伝える
退職届をいきなり突き出すのはドラマの中だけのことです。
まずは退職をしたいという意思を口頭や書面で上司に伝えましょう。
口頭で「辞めたい」と伝えるだけでも十分ですが、書面を渡すと後々のトラブルを防止することができます。
直属の上司に「退職したいのですが、どのような手続きをしたらいいでしょうか?」と尋ねると良いでしょう。
就業規則にのっとった退職願や退職届などを書くように指示される場合もあります。
■合意が得られない場合は退職届を提出
直属の上司が退職を認めてくれない場合は人事権を持つ人に「退職届」を提出します。
これを提出すればたとえ受理してもらえなかったとしても、14日後に退職をすることが可能です。
ここでポイントは、14日間については無断欠勤をせずに出勤をして働くことです。
退職届は提出したら即日退職というものではありません。
無断欠勤したり職務怠慢ともとれる行動をしたりした場合には、退職ができたとしても損害賠償を求められるリスクがあります。
無理矢理退職届を提出するようなことは、できれば避けたいですね。
円満退社できるように話し合う方向を目指しましょう。
■合意が得られたら退職願を提出
雇い側と退職の合意が得られた場合は「退職願」を提出します。
退職させてくださいとお願いする書式で受理をされると、退職が認められます。
試用期間中だったり、就業規則によったりしては必ずしも退職願の提出は必要でないこともあります。
この段階で退職日について話し合いなどで決定します。
■給与を確認する
たとえ短い間であったとしても働いた分の給与はもらえます。
必ず都道府県が定めている最低賃金以上を貰いましょう。
試用期間中であったとしても最低賃金以上を払う義務が会社にはあります。
■備品などを返却したり手続きをしたりする
退職する前に会社から借りている備品などがあれば返却しましょう。
制服や文房具などは返却し、ロッカーや机などには私物は残しません。
また、税金・雇用保険・社会保険・年金などの必要な手続きをします。
離職票や年金手帳の返却も忘れずにしてもらいましょう。
忘れてしまうと退職した後も会社に行かなければならなかったりと面倒なことになります。
■お世話になった人へ挨拶を済ませる
パートの試用期間中ならば、それほど引き継ぎ作業などはないでしょう。
しかし、指導してもらった上司や一緒に働いた仲間などお世話になった人はいるはずです。
退職する最終日までしっかりと出勤して働き、最終日には丁寧にお礼をいいましょう。
誠意を持った態度でお礼を言えば温かく見送ってくれますよ。
パートの試用期間中、辞めたいけれど頑張ってみたい人へ
あなたが退職したいと思っている会社は、かつてあなたが働きたいと思っていた会社であったはずです。
いざ働き始めてみたけれど、こんなはずじゃなかった……。
そんなときはどうしたらいいでしょうか?
■雇用条件の違いは見切りをつけたほうがいい
パートを試用期間中に辞めたい理由として、最初に提示されていた雇用条件と待遇が違う場合は、見切りをつけるのがおすすめです。
たとえば残業が無いと言っていたのに残業があると言われたり、事務だと言われていたのに営業をさせられたりなどです。
これらは我慢していても改善されることはないので、受け入れることが出来ないのならば、早い段階で退職をして次のパート先を見つけましょう。
最初に聞いていた待遇と違うというのは、今後他のところでも「聞いていたのと違う」ということが発生しやすいです。
■人間関係や仕事が難しいのならば3ヶ月は粘ってみて
パートを始めたものの人間関係やうまくいかなかったり、仕事内容は難しかったり、ハードだったりする場合は、すぐに退職を決めず、まずは3ヶ月を目標に頑張ってみることをおすすめします。
少し人間関係がうまくいかなかったり、仕事が難しかったりする程度で辞めると辞め癖がついてしまい、どのパートでも長続きしなくなってしまいます。
働き始めは人間関係がギクシャクするものですし、仕事もコピー機の場所を覚えるところからのスタートなので苦労して当たり前です。
3ヶ月経てばだんだんと仕事にも慣れてきますし、人間関係も落ち着いてきます。
全員と仲良く話すことはできなくても、仲のいい人や話しやすい人などはできてくるでしょう。いきなり多くのパートさんや社員さんの雑談に入ろうとせずに、聞き役に徹して人間関係の相関図を自分なりに作ったり、職場の雰囲気を把握したりするようにしましょう。
また、指示された仕事以外にもちょっとした掃除や整理整頓、人の手伝いなど手が空いている時には積極的に行うことで好印象持ってもらい、職場に受け入れてもらいやすくなります。
仕事はメモを取りながらしっかりと覚えていきましょう。
これらを3ヶ月つづけてもやっぱりこれ以上は無理だと思ってから退職を検討しても遅くはありません。
パートの試用期間中でも退職は可能。でも手続きはしっかりと
パートの試用期間中であったとしても雇用契約は成立しています。
だから、試用期間中であっても退職をしたいと言う場合は、退職願や退職届を提出するなどの手続きをふむ必要が出てきます。
また、普通に働いているのならば、試用期間中であっても不当な理由で解雇される事はありません。
退職理由が人間関係や仕事の大変さならばとりあえず3ヶ月を目標に少し頑張ってみましょう。
慣れることで解決していくものもあります。