郵送で確定申告をする方法を詳しく解説!手続きの期間や必要書類などをご紹介☆
目次
毎年、年度末に近づくと、「確定申告を忘れずに!」「確定申告はもうしましたか?」といった文言をあちこちで見かけます。毎年確定申告をしている人であれば、「あぁ、またこの時期がきたな」といった程度のものかもしれません。
一方、初めて自分で確定申告をしなければならない人にとっては、「確定申告って何をすれば良いんだっけ・・・」「期限はいつからいつまで?」「どんな方法で確定申告をすれば良いの?」「必要な書類は?」と、特に分からないことが多いのではないでしょうか。
しかも「年度末という多忙な時期に、税務署に出向いている余裕なんてない!」という人も少なくないでしょう。
しかし、安心してください。確定申告はさほど難しいことではなく、直接税務署に出向く時間がなくても、郵送やインターネットで済ませることも可能なのです。本コラムでは、特に確定申告を郵送で行う方法について詳しくご紹介いたします。
確定申告とは
確定申告とは、1年間(1月1日~12 月31日)の所得を確定し、それにかかる税金の額を計算したうえで、税金の支払いが必要であれば行い、還付金があれば受け取るという手続きです。所得とは、収入から経費を差し引いたものを指します。
会社員として会社から給料を受け取っている人は、年末調整というかたちで会社が納税の精算を行っているので、基本的に自分で確定申告を行う必要はありません。しかし、複数の職場から一定額以上の給与をもらっている場合や、年末調整では申告できない控除があるといった場合などには、確定申告が必要になることがあります。また、個人事業主やフリーランスとして働いている人は、自ら確定申告を行う必要があります。
その他、この1年間で配当所得、不動産所得、退職所得、譲渡所得、山林所得、一時所得、年金やちょっとした副業による雑所得があった人は、確定申告が必要になります。
「昨年までは会社員として働いていたため確定申告をしていなかったけれど、今年から個人事業主となり、初めて確定申告を行うことになった」というような人は、確定申告の期限や方法について、しっかりと把握・確認しておきましょう。
確定申告の対象となる収入の期間に関して
提出期間は皆さんもよくご存じだと思いますが、確定申告の課税対象期間は知っていますか?種類によって少し違いがありますので少し触れておきましょう。
■所得税
基本的には個人事業主を対象としており、1月1日~12月31日までの1年間になります。
■消費税・地方消費税
個人事業主の場合…1月1日~12月31日の1年間になります。
法人の場合…事業年度が対象期間となります。
■法人税
文字通り法人が対象となっており、事業年度が対象期間となります。
※事業年度…会社の経営成績や財務状態を明らかにする目的で決算するために設けられた一定の期間のこと。この期間は1年以内の期間で定めればよく、半年を事業年度とすることも可能だが、ほとんどの企業は1年を事業年度としている。
青色申告と白色申告
確定申告の方法は、青色申告と白色申告の2つの方法があります。
青色申告とは、複式簿記の原則に基づいて帳簿を作成している場合、所得金額から65万円を控除できるというものです。簡易帳簿で申告する場合も10万円の控除になります。青色申告の特典としては、他にも家族への給与を経費にすることができる、赤字を3年先に繰り越すことができるなどといったものも挙げられます。
青色申告をするには、始めに青色申告承認申請手続きが必要です。
白色申告は、青色申告と比べて簡単に確定申告を行うことができる方法です。青色申告のように節税の特典はありませんが、日々の合計金額を一括記載するという方法で確定申告ができるので、日々の手間は省くことができます。
しかし、2014年の法改正によって、白色申告にも帳簿作成が義務付けらました。保存義務なので提出する必要があるわけではないのですが、この義務付けにより、青色申告も白色申告もあまり手間が変わらなくなり、「それなら節税特典のある青色申告にしてみよう」という人も増えているようです。また、確定申告書類を効率良く簡単に作成できる無料ソフトも出回っており、こういったものを活用して、申告の手間を省く方法もあります。
このように、青色申告と白色申告の違いを正しく認識したうえで、自分に合った申告方法をまずは選択しましょう。
確定申告の提出方法と期限
申告方法が確定したら、次は確定申告の提出方法を考えます。方法は以下のとおり、3つあります。
・所轄の税務署に直接出向く
必要書類などを持参し、税務署に直接出向いて確定申告を行う方法です。国税庁のホームページや専用ソフトで、事前に書類作成したうえで出向くと、提出をスムーズに行うことができます。しかし、時期や時間帯によっては、税務署に長蛇の列ができてしまい、待ち時間が長くかかってしまうことが予想されます。係員に不明点などについて確認をしながら進めることができるというメリットはありますが、「年度末という多忙な時期に、税務署に出向き、時間をかけて確定申告を行う余裕はない」という人は、郵送またはインターネットでの提出をお勧めします。
・郵送する
必要書類と控えなどを封筒に入れ、郵送することで確定申告を済ます方法です。郵送で提出する方法については、このあと詳しくご説明しましょう。
・インターネットで行う
e-Tax(電子申告)と呼ばれる「国税電子申告・納税システム」を利用して、インターネットで確定申告をすることもできます。オフィスや自宅のパソコンで済ますことができるので、最近はこの方法を選ぶ人が増えています。最初に登録や電子証明書の取得が必要で、パソコン環境を整えるなどの事前準備にも少し時間はかかりますが、申告から税金の支払いまでこのe-Taxで完結させることができるので、非常に便利です。パソコン環境は、一度整えてしまえば、翌年からはその準備の必要はありません。確定申告期間中は24時間利用可能で、自動計算機能が備わっているので計算ミスの心配もいりません。また、還付金を受け取る場合も、e-Taxで確定申告をすると、他の方法で申告した場合に比べ、早く受け取ることができるというメリットもあります。
提出できる日にちに関して
先程申告期間について少し触れましたが、もし3月15日が土日祝日に当たる場合は翌月曜日までとなっているので、消印(信書で郵送した場合のみですが)も翌月曜日になります。
提出期限を過ぎてしまった時のことについても詳しくお話しした方が、今後皆さんの注意喚起にもなると思ったので記載します。
まず「無申告加算税」が発生します。その額なのですが、
■納税する税額の内50万円までは10%の税率
■納税する税額が50万円を超えた部分は15%の税率
で計算することになってしまいます。もし、税務署からの指摘の前に期限後申告を自主的に行った場合、無申告加算税は5%に軽減されることとなります。
もし正当な理由がある時や申告期限から1カ月以内にされた期限後申告の場合は「無申告加算税」は課せられることはありません。
あまりこのようなことはないと聞きますが、確定申告提出期限から納付日までの延滞税が必要になることもあるようなので、「期限は守ることに越したことはない」ということだと思います。
また、ほとんどの皆さんが行っている青色申告のメリットはご存じ「65万円の特別控除」を受けることですが、確定申告期日を過ぎた後の申告では10万円しか青色申告特別控除が受けられなくなってしまいます。言い換えると「65万円-10万円」で55万円も所得が増えてしまい、それだけ納付する税金が高くなってしまうということなのです。
還付申告の場合も還付金が減ってしまうのです。もし常習性があると税務署が判断してしまえば青色申告の資格を取り消しされ、申告すらできなくなってしまいます。
期限を過ぎてしまうとこんなにも大変なことが起こってしまいます。確定申告はただでさえ書類の手間がかかって大変なのに、期限を過ぎてしまえば更にいろいろと手続きをしなくてはならない…まさに「二度手間」となってしまいます。郵送は手軽ですが、申告ミスがあって期限に間に合わないなどのリスクも伴ってしまいますので、慣れている人は郵送でもいいと思いますが、初めての申告や少しでも不安に感じているのであれば面倒であっても直接税務署に出向くことが一番ではないかと私は考えています。
郵送で確定申告をする場合
それでは3つの方法のうち、郵送で確定申告をする方法について詳しくみていきましょう。
【提出期間】
確定申告は、原則、毎年2月16日から3月15日が提出期間となっています。郵送の場合は、3月15日の消印があれば期限内とみなされますが、トラブルなどで郵送が遅延する可能性もありますので、できるだけ早めの提出を心掛けましょう。
ちなみに、個人事業主の消費税と地方消費税は2019年4月1日まで、贈与税は2019年2月1日~3月15日までとなっています。
期限に遅れてしまうと、期限後申告として扱われることになり、税額が上がってしまいますので、注意が必要です。
【封筒のサイズ、郵送方法】
封筒のサイズは、特に指定はありませんが、控えや添付書類など中身が多くなりますので、A4サイズを折り曲げずに入れられる角形2号サイズをお勧めします。
封筒の表には、所轄の税務署の郵便番号、住所、税務署名を記載し、中身が分かるように「確定申告書在中」と宛名の横に明記しておきましょう。裏面には、自分の郵便番号、住所、氏名を記載します。
所轄税務署が分からない場合は、「税務署(地域名)」で検索する、どこかの税務署に電話して聞くなどして確認をしましょう。国税庁のホームページから調べることもできます。
郵送方法は普通郵便で問題ありませんが、トラブルなどで遅延したり届かなかったりする可能性がゼロではありませんので、心配な方は簡易書留やレターパックにすると良いでしょう。確定申告書は「信書」に当たるため、宅急便やゆうぱっくは利用しないようにしましょう。
【必要書類】
郵送する書類は、確定申告書および、添付書類台紙に源泉徴収票、生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書、国民年金控除証明書、医療費控除分の領収書などの各種控除書類を添付したものです。青色申告書は青色申告決算書、白色申告者は収支内訳書も必要になります。
また、マイナンバーも必要になりますが、マイナンバーカードを持っているか持っていないかによって、必要書類が異なります。
・マイナンバーカードを持っている場合
マイナンバーカードの表裏コピーを同封します。
・マイナンバーカードを持っていない場合
通知カードのコピー、マイナンバーが記載された住民票のコピー、マイナンバーが記載された住民票記載事項証明書のいずれか一点を同封し、さらに本人確認書類として、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、在留カード、健康保険証、身体障害者手帳のうちいずれか一点も忘れずに同封します。
【控え】
申告書を郵送で提出する場合は、控えと返信用封筒を同封することを忘れないようにしましょう。返信用封筒には、自分の住所氏名を宛先欄に記入し、82円切手を貼っておきます。サイズは、A4用紙が三つ折りで入る長形3号が良いでしょう。確定申告の手続き完了後、受領印の捺印された控えが返送されてくることになります。
確定申告書の控えは、ローンやクレジットカードの審査、保育所の入園手続きなどの際に、収入や所得を証明するために提出が求められることがあります。サラリーマンであれば、源泉徴収票が所得を証明するものとして使用される場合が一般的ですが、自営業の場合は、この確定申告書の控えを用いるのが通常です。
もし、この控えが必要になったにも関わらず紛失してしまったという場合には、まずは源泉徴収票や課税証明書で代用可能かどうかを、審査機関に確認してみましょう。代用不可ということであれば、国税当局に「開示請求」をするための手続きをとる必要があり、少し面倒になってしまいます。確定申告完了後に控えが返送されてきたら、紛失しないように気を付けましょう。
確定申告を郵送で行うメリットとデメリット
確定申告を郵送で行うメリットとしては、税務署に出向く手間が省ける、税務署で列に並ばずに済む、税務署往復にかかる交通費より郵送代の方が安価な場合が多い、などが挙げられます。
一方デメリットとしては、税務署に出向けば確定申告書の書き方で分からないことがあれば係員に相談することができますが、郵送の場合それができないということがあります。毎年確定申告を行っていて、書き方も頭に入っており慣れているという人であれば郵送で済ませてしまう方が楽でしょうが、初心者であれば郵送でない方が良いかもしれません。というのも、郵送で提出した書類に不備があった場合、訂正や再提出を求められることがあり、そのやりとりで時間がかかってしまい期限内に提出できないということも考えられるためです。
ここで、書類に不備があった場合の対処法についても触れておきましょう。
もし、提出後に書類のミスがあったことに気が付いたら、期限内であれば正しい書類を再提出することになります。期限内に再提出した場合、後の日付のものが有効になります。
それでは、期限後にミスに気が付いたら、どうすれば良いのでしょうか。再提出により税額が増えてしまう(あるいは還付金額が減ってしまう)場合は、「修正申告」という手続きをとる必要があります。増えた税額に対しては、延滞税というものがかかってしまいます。また、税額が減る(あるいは還付金額が増える)場合は、「更生の請求書」の提出が必要になります。
いずれにしても、不備やミスに気付いた時点で、迅速に適切な処置を行わないと、ペナルティーが重くなってしまいますので、気を付けましょう。最初の提出が郵送であっても、ミスに気が付いた時の再提出は、更なるミスを見逃さないためにも、直接税務署に持ち込む方が賢明かもしれません。
まとめ
確定申告とは1年間の所得を確定させ、税額を算出するものです。確定申告の方法は青色申告と白色申告があり、どちらかを自分で選ぶことができます。
また、確定申告の提出方法も、「直接税務署に出向く」「郵送」「e-Tax」の3つの方法から選択することができます。
本コラムでは郵送で提出する方法を中心にまとめてみましたが、読んでみると簡単そうでも、実際にやってみると分からないことや判断に迷うことが出てくるかもしれません。不明点をそのままにして確定申告書を郵送し、もし提出書類に不備があった場合、再提出が求められることがあり、その再提出も期限内に済ませる必要があります。特に郵送で提出する場合には、再提出を避けるためにも、不明点や疑問点をしっかり解決してから送るようにしましょう。
また、郵送の際には、控えと返信用封筒を同封したかどうかをしっかり確認し、控えが返送されてきたら、紛失しないように、分かりやすい場所にしっかりと保管をしておきましょう。紛失してしまった場合には国税当局に「開示請求」をしなければならず、手続きが少し面倒になってしまいますので、控えの管理を怠らないことが大切です。