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無資格では出来ない仕事とは?士業の独占業務を徹底解説

公開日: 2023.02.07
最終更新日: 2023.02.10

無資格では出来ない仕事とは?士業の独占業務を徹底解説

世の中にはさまざまな仕事があり、基本的に人は自由に仕事を選ぶことができますが、なかには、「独占業務」と呼ばれ、限られた人でなければできないものがあります。

今回は、その独占業務について解説した上、独占業務を行うことができる職業について説明していきたいと思います。

独占業務とは

独占業務とは、その資格をもっている人でないと行ってはいけないとされている業務のことです。その業務の専門性の高さを理由に、業務を遂行するのに資格を持つことが必要とされています。

独占業務にはどのようなものがある?

代表的なものに医療行為が挙げられます。

診察や治療を行うにあたり、知識やスキルを持っていることが必要とされています。

医療行為を行う医師になるためには、医師法が定める「医師国家試験」にパスする必要がありますが、そのためにはまず6年制の医学部医学科を卒業するなど条件が決められています。

ほかにもさまざまな職業がありますが、独占業務を行える資格のことを「業務独占資格」と呼びます。一言でいうと、「業務を独占できる資格」ということになります。

ちなみに、業務独占を認める国家資格は100種類ちかくあります。

業務独占資格と名称独占資格との違い

業務独占資格と似たような言葉に、「名称独占資格」があります。

これは、その資格を持っている人しか、その名称を名乗ってはいけないとされているもののことです。

たとえば、理学療法士や栄養士などがあります。

たとえば、栄養士の資格はもっていなくても栄養指導を行うことは可能です。

栄養士は業務独占資格ではないためです。しかし、栄養士の資格を持っていないのに「自分は栄養士です」と名乗ることは許されていません。

このように勝手に名乗ると法律違反になるような資格を名称独占資格と言います。

一言でいうと、「名称を独占できる資格」となります。

 

ちなみに、業務独占資格は、名称独占資格を兼ねています。

医療行為は医師免許がなければできないので業務独占資格となりますが、「医師」と名乗ることだけでも当然法律違反となります。

独占業務を無資格で行うとどうなる?

独占業務を無資格で行った場合、法律違反となります。

その独占業務の種類により適用される法律は異なりますが、罰則が設けられています。

具体的には、懲役もしくは罰金が課されることになります。

独占業務資格取得のメリットとデメリット

独占業務資格を得るとどのようなメリットがあるでしょうか。

独占業務にあたることは、その資格がない人には自由に行えませんから、地位や収入が安定するといったメリットがありますし、転職や独立が容易となります。

そのため、個人事業主、フリーランスを目指したいという独立志向の高い方に大きなメリットとなると言えます。

 

なお、デメリットとして特筆すべきことはないと言えるでしょう。

もちろん、取得にそれなりに時間とお金がかかるため、その苦労や、職務の重さによる精神的な重圧等を考えれば、ほかの職業のほうがいいと考える方もいます。

しかし、一般的に独占業務資格を得るのにかかるコストよりもその後得られる収入のほうが多いですし、名誉を得ることもできます。

したがって、デメリットはほとんどないと言って差し支えないでしょう。

独占業務資格にも種類がある

一言で、独占業務資格といっても3つの種類があります。

 

◆有償業務独占

 

文字どおり、有償での業務のみを独占できるということです。

お金をもらう場合は、独占業務資格がなければ行うことができないというものです。

たとえば、弁護士がこれにあたります。

みなさん、裁判で被告の弁護をするのは弁護士でなければならないと思っている方がほとんどだと思いますが、実はそうではありません。

弁護士でなくとも、被告の弁護を行うために弁護人席に座ることはできるのです。

ただし、それは無償で行う場合の話です。

弁護費用を請求する場合は、弁護士でなければなりません。

 

◆無償業務独占

 

有償でも、無償でも、業務独占するものです。

たとえば、医師がこれにあたります。

報酬をもらわずボランティアで行うものだとしても、診療や治療などの医療行為は許されていないということです。

人体に危険を及ぼす恐れがあることなので、当然と言えば当然ですね。

 

◆行為独占

 

その行為自体を独占するものです。

無償業務独占と似ていますが、こちらは、業務としてだけでなく、無資格者がその行為自体を行うことが禁止されています。

建物を設計する行為や薬の調剤といったものがあります。

独占業務「士業」とその業務内容

独占業務として医師の例を挙げましたが、「士業」も有名です。

士業とは、「〇〇士」といったように、最後に「士」がつくものです。

人事業主やフリーランスを目指す方に人気が高いのもこの士業です。

いくつか例をあげて説明をしていきます。

 

◆社会保険労務士

 

社会保険労務士は、依頼者に代わって行政機関に書類提出や申請を行ったり、人事や労務管理を行います。

別名「社労士」と呼ばれ、社会保険労務士法によって定められています。

業務内容は主に以下の3つがあり、1号、2号、3号業務という呼ばれ方をしています。

理由は、それぞれの業務が、社会保険労務士法内の各号に明記されているためです。

 

・1号:手続き代行

 

手続き代行とは、労働及び社会保険に関する法令(以下、「労働社会保険諸法令」とします)に基づいて、書類を作成することです。

作成する書類としては、申請書のほか、届出書、報告書、審査請求書、再審査請求書などがあり、これらを行政機関等に提出します。

また、行政機関等に対して、労働社会保険諸法令に基づく申請等について、または、その申請等にかかる行政機関等の調査、処分に関し、主張や陳述を代理で行います。

 

具体的な例としては、労働保険の更新手続きや健康保険の給付申請手続きがあります。

また、最近問題となっているのが、助成金(補助金)申請です。

この業務は独占業務であり、本来であれば社会保険労務士が行わなければなりませんが、最近、助成金コンサルタントなどと名乗り代行したり、社会保険労務士と提携しているとしてビジネスを行う方がいますが、それは社会保険労務士法の第27条や第23条に違反しています。

違反した場合、どちらも、同法律の第32条に定められているとおり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

 

・2号:帳簿作成

 

労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成することです。

 

労働保険にかんする帳簿書類とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の「法定三帳簿」や「就業規則」があります。

法定三帳簿は、労働基準法において、労働者がいる事業所では必ず作成する義務がありますし、10人以上の従業員を常時抱える企業は就業規則の作成が義務付けられているため、安定した需要があると言えます。

 

こちらも社会保険労務士法の第27条により独占業務と定められているため、社労士でない方が行うと罰則の対象となります。

 

ちなみに法律全般を扱う弁護士の場合はこれらの業務を行うことができます。

 

・3号:相談業務

 

事業における労務管理や、その他の労働に関する事項、労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じたり、指導をすることです。

 

これは、1号、2号とは異なり、独占業務ではありません。

つきましてが、社会保険労務士ではない方が行っても、罰則の対象になりません。

 

◆行政書士

 

行政書士は、行政の認可申請を行うための書類を作成したり、官公署に提出を行う仕事です。

一言でいうと行政手続きの専門家であり、国家資格です。

業務の範囲はかなり広く、さまざまなシーンで活躍する仕事で、行政書士法によりその業務内容や独占業務について定められています。

 

業務内容には以下のようなものがあります。

 

・許認可申請

 

飲食店をはじめる、建設業をはじめる、古物取引をはじめる、旅館を営業するなどとしたときには、必ず行政の許可が必要ですし、最近話題になっている民泊の運営をしたいなどといったときも許可が必要です。

この許認可を申請するのが行政書士の仕事のひとつです。

なお、こういった申請手続きの種類は1万以上もあると言われています。

 

・権利や義務に関する相談業務や書類の作成

 

ビジネスに関するものから、一般の人の暮らしに関するものまで相談を受けたり、必要に応じて書類の作成を行います。

代表的な例では、決算、財務諸表の作成など企業の会計業務に関するもの、相続遺産分割協議書や贈与や売買、消費貸借などに関する契約書の作成、示談書、告訴状などが挙げられます。

 

また、2000年に始まった成年後見制度においては、成人はしているものの、意思や判断能力が低い人に代わり、法律行為等を行う代理人となることも可能です。

具体的には、知的障害者、精神障害者、または認知症になってしまった方々など社会的弱者を守る制度です。

 

・事実証明に関する相談業務や書類の作成

 

企業や一般の人の暮らしに必要な、事実証明に関す相談を受けたり、書類の作成を行います。

具体的な例としては、会計帳簿、決算書類など企業の会計に関する書類、建築の際に必要となる、現況測量図などがあります。これは、実地調査に基づいて行われるものであり、土地の形状や面積などを掲載するものです。

 

 

なお、上で挙げた行政書士のこれらの業務については、行政書士法によって明記されており、かつ独占業務とされています。

 

———————————-行政書士法(e-GOVより抜粋——————————–

 

第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

 

——————————————————————————————————-

 

なお、これらの規定に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が課されます。行政書士資格を有しないものなのに日本行政書士会連合会に対し虚偽申請をして行政書士名簿に登録させても同様です。

 

親族や知人が行政書士で自分も手続き方法を知っているなどとして、無資格者なのにフリーランスとして上記に当てはまる手続きを代わりに行ってしまった場合も、罰則の対象となるので十分に注意をしましょう。

 

 

◆司法書士

 

司法書士は、一言でいうと法律の専門家です。法律の専門家といえば、弁護士を思い浮かべる方が多いと思いますが、訴訟など、「もしも」のときの専門家というより、市民生活を歩むうえでお世話になる、身近な専門家といった存在です。

おもに以下のような業務があります。

 

・登記業務

 

司法書士の業務のなかで中核となっているのが、登記業務です。

登記とは、ある事項を公に知らしめるため、公的な帳簿に記載することです。

たとえば、土地や建物を所有するにあたり、それが誰の者なのかはっきりとさせておかないと、不測の事態になることがあり得ます。そのため、ここの土地は〇〇のものといったように個人の財産であることを証明する必要があるのです。

その手続きを代理で行うのが司法書士です。相続で所有者がかわるときも、当然登記名簿の書き換えが必要となることから、一般人の生活に密着した存在と言えます。

ほかにも、会社設立をした際、屋号や本社所在地、代表者の氏名等の登記が必要となります。役員変更や移転にあたっても同様です。

このような商業登記でも司法書士の活躍の場があるのです。

 

 

・訴訟代理業務(簡易裁判所)

 

訴訟における法律の専門家は弁護士であると説明しましたが、実は、簡易裁判所で扱うような案件は司法書士でも取り扱うことができるようになりました。あくまで、法務省の認定を受けた「認定司法書士」であることが条件ですが、テレビCMでも一時多く見られた過払い金問題を率先して取り扱っているケースが見られました。ただし、あくまで代理人として出廷ができるといったもので、「請求訴訟額が140万円以下の民事事案」であること、裁判所は「家庭裁判所のみ」となります。

逆にその条件に当てはまれば、法律相談を受けたり、裁判所に提出する書類を作成することが可能です。

 

・成年後見人業務

 

最近、利用者が増えている「成年後見制度」で、司法書士は「成年後見人業務」を行うことができます。成年後見制度とは、障害があったり、高齢になって、成人しているにもかかわらず財産管理において十分な判断能力を持ち合わせていない人の財産を守るための制度です。高齢化が進む日本のなかで非常に重要な制度と言えます。

子どもや親族がいないケースも増えているので、司法書士の活躍の場が広がっていると言えます。

 

・相続に関する各種業務

人がなくなったときの遺言書の作成や不動産などの権利移転の登記など、相続にかかわる各種手続きを行うのも司法書士の業務です。

また、遺言書がなかった場合や法定相続人がその遺言内容に意義があった場合は、遺産をどのように分けるか遺産分割協議書を作成したり、多額の借金があるなどといった理由で相続を放棄するといった場合に「相続放棄申述書」の作成も行います。

 

このように国家資格である司法書士にはさまざまな独占業務があり、司法書士法の第三条第一項第一号から第五号にその業務が、そして第七十三条に独占業務であることが記されています。(下記抜粋を参照)

また、それらを破った場合には罰則として、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。

 

———————————-司法書士法(e-GOV)より抜粋——————————–

 

第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。

四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。

五 前各号の事務について相談に応ずること。

 

       ~途中省略~

 

第七十三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

~途中省略~

 

第十一章 罰則

第七十八条 第七十三条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

 

 

司法書士が行える業務のなかには、司法省士でなく他の士業でも認められているものもあります。その場合は罰則の対象とはなりません。

しかし、独占業務を無資格者が行った場合は罰則の対象となるので注意しましょう。

 

◆弁護士

 

弁護士は、法律の専門家です。訴訟になったときに依頼人の弁護を行うスペシャリストといったイメージがありますが、独占業務としては以下のようなものがあります。

 

・依頼者から法律の相談を受けアドバイスを行う

・紛争相手と交渉を行う

・依頼者の弁護を行う

・損害賠償請求を行う

 

なお、争いの種類は限定されておらず、刑事だけでなく、民事も取り扱うことができます。もちろん企業法務も取り扱います。その職務については、弁護士法第三条に明記されています。

 

———————————弁護士法(e-GOV)より抜粋——————————–

 

(弁護士の職務)

第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。

2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。

 

——————————————————————————————–

 

司法書士も一部の業務については取り扱うことができますし、報酬をえる目的でない場合に限りに許されている業務も一部ありますが、弁護士法で明文化されている弁護士の独占業務は幅広く、仮に破ると罰則を受けることになります。

罰則としては、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」とほかの士業の独占業務に対する違反より重いものとなっているが特徴です。

 

(下記資料参照)

 

———————————-弁護士法(e-GOV)より抜粋——————————–

 

 

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

~途中省略~

 

 

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

二 第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

三 第七十二条の規定に違反した者

四 第七十三条の規定に違反した者

 

——————————————————————————————–

 

 

◆弁理士

 

あまり聴いたことがない、そして、馴染みがないであろう士業に「弁理士」があります。

弁理士とは、特許など、知的財産にかんする専門家であり、主に企業や個人発明家などに頼りにされる存在です。

ほかの士業と同様に国家資格であり、難易度はかなり高く、高学歴出身者が多いと言われています。法律に詳しいでなく、業界の知識が必要で、弁理士になってからもまた勉強が必要と言えます。

 

業務としては以下のようなものがあります。

 

・知的財産の権利化

 

新しく開発した技術やアイデアなどの知的財産権を得るため出願手続きを行います。

具体的には、「特許」、「実用新案」、「意匠」、「商標」といったものが対象です。

新しい技術や製品の独自性といった特許やロゴマークなどの商標は耳馴染みがあると思います。一方で一般生活においてあまり耳にしないであろう実用新案や意匠とは、初めての技術など発明的なものではなく、その形状や組み合わせ、構造といったちょっとしたアイデアといったもので、インクをあらかじめセットして、スタンプ台をつかわずに判ができるようにしたハンコや、立体化させて、顔にフィット、かつ口紅など化粧がつきにくくしたマスクの形状だったりを指します。

 

・財産権の争いごとを解決する

 

すでに登録が済んだとしても、侵害を受けるケースが多々あります。

相手が意図的である場合と、気づかずに侵害しているケースとに分かれますが、調査のもと企業と企業、または個人との間に入り、それを解決に導くのが仕事です。

最近では、海外企業との紛争も増えています。

そのため、外国語、とくに英語や中国語といった言語も必要とされるケースがあります。

 

・特許などにかんする相談業務

 

商標録ができるかの調査を請け負ったり、特許を得た技術を売ったり、ライセンス契約を結ぶと言った契約の締結や著作権の管理を行います。

 

弁理士の独占業務を無資格者が行うことは弁理士法の第七十五条で禁止されており、それを破った場合には1年以内の懲役、または100万円以下の罰金といった罰則が第七十九条に明記されています。

 

 

———————————弁理士法(e-GOV)より抜粋——————————–

 

第七十五条 弁理士又は弁理士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続若しくは特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する行政不服審査法の規定による審査請求若しくは裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理(特許料の納付手続についての代理、特許原簿への登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成を業とすることができない。

 

 ~途中省略~

 

第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三十一条の三(第五十条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

二 第三十二条又は第五十四条第一項の規定による業務の停止の処分に違反した者

三 第七十五条の規定に違反した者

 

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◆税理士

 

税理士は、税に関する専門的な知識をもとに、申告書の作成や申告手続きを行う専門家です。法にのっとった正しい書類を作成するだけでなく、節税対策など依頼者の立場にそったアドバイスをしてくれる頼もしい存在でもあります。

税理士の3大業務と言われるものは以下のとおりです。

 

・税務(書類の作成や申告)

・会計業務

会計に関するアドバイス、もしくは、記帳代行業務や決算書の作成を行います。

・コンサルティング業務

 

これらの税理士業務は税理士法第五十二条に明記されていますが、税理士の資格がない人が行うことは禁止されています。

弁護士と異なるのは、それが無報酬であったとしても禁じられていることです。

税金は国家にとって非常に重要なものであり、根幹にかかわるものであるため、しっかりとした知識を保有しその試験にパスした税理士でなければ、税務書類の作成や相談に乗るべきではないといった考え方です。

税理士でないものが税理士の独占業務を行った場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されると税理士法第五十九条に明記されています。

 

———————————税理士法(e-GOV)より抜粋——————————–

 

(税理士業務の制限)

第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

 

 ~途中省略~

 

第五十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして税理士名簿に登録させたもの

二 第三十七条の二(第四十八条の十六において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

三 第三十八条(第五十条第二項において準用する場合を含む。)又は第五十四条の規定に違反した者

四 第五十二条の規定に違反した者

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人事業主やフリーランスの方は、税務書類作成等に自然と知識がついてくることから、税務相談にのったり代行してあげるということをしがちですが、上述のように独占業務違反となるので注意が必要です。

 

◆公認会計士

 

公認会計士は、監査や会計のコンサルティングを行います。

なかには、「税理士とどこが違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

たしかに、どちらも企業の会計にかかわりますが、税理士は税務書類の作成や手続きを行うのに対して、会計士は第三者の立場として財務諸表をチェック(監査)し、監査報告を行います。財務諸表にはその企業の利益や財産などが記載されており、経営成績を知ることができます。これらが正しくなければ銀行や投資家は安心できませんから、信用性を保証してくれる会計士の役割は大きいと言えます。

ほかにも、会計のコンサルティングや記帳代行など税理士と同じような会計関連業務を行うことができます。

ただし前者の、財務諸表監査は独占業務であるため、公認会計士以外の者が行うことはできません。

 

———————————公認会計士法(e-GOV)より抜粋——————————

 

(公認会計士又は監査法人でない者の業務の制限)

第四十七条の二 公認会計士又は監査法人でない者は、法律に定のある場合を除くほか、他人の求めに応じ報酬を得て第二条第一項に規定する業務を営んではならない。

 

 ~途中省略~

 

第五十条 第四十七条の規定に違反した者又は公認会計士若しくは外国公認会計士となる資格を有しない者(公認会計士又は外国公認会計士となる資格を有する者で第四条各号のいずれかに該当するものを含む。)で第四十七条の二の規定に違反したものは、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

 

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◆土地家屋調査士

 

土地家屋調査士は、不動産の登記を行う専門家です。

数ある士業の中でも、聞いたことがないといった方が多いかもしれませんが、以下のような業務を行います。

 

・不動産の表示に関する必要な調査や測定を行う

・不動産の表示に関する登記申請を代理で行う

・不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続きを代理で行う

・筆界(ひっかい)特定の手続について代理すること。

・土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理すること

 

法務省「土地家屋調査士の業務」を参考に作成

 

権利の登記を行うのは司法書士です。

しかし、不動産そのものの広さや形状などといった表示に関する登記は、この土地家屋調査士が行います。

デスクワークだけでなく、実際に現場にいって測量も行うのです。

 

なお、土地家屋調査士は国家資格であり、表示の登記に関しては独占業務になります。

 

———————————土地家屋調査士法(e-GOV)より抜粋————————–

 

(非調査士等の取締り)

第六十八条 調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに掲げる事務(同項第二号及び第三号に掲げる事務にあつては、同項第一号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る。)又はこれらの事務に関する同項第六号に掲げる事務を行うことを業とすることができない。ただし、弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人が同項第二号から第五号までに掲げる事務(同項第二号及び第三号に掲げる事務にあつては、同項第一号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関する審査請求の手続に関するものに限る。)若しくはこれらの事務に関する同項第六号に掲げる事務を行う場合又は司法書士法第三条第二項に規定する司法書士若しくは同項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人が第三条第一項第四号若しくは第五号に掲げる事務(同法第三条第一項第八号に規定する筆界特定の手続に係るものに限る。)若しくはこれらの事務に関する第三条第一項第六号に掲げる事務を行う場合は、この限りでない。

 

 

~途中省略~

 

 

第七十三条 第六十八条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 協会が第六十八条第二項の規定に違反したときは、その違反行為をした協会の理事又は職員は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

————————————————————————————————–

 

以上のように、土地家屋調査士の資格がないにもかかわらず、表示の登記にかかる独占業務を行った場合は、1年以下の懲役または、100万円以下の罰金が課されることになります。

 

◆不動産鑑定士

 

不動産鑑定士は、不動産の資産価値を判定する仕事であり、国家資格となります。

国や地方値自体が発表している「地価公示」「相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価」の依頼を受けたり、高度な知識をもって、個人や企業むけに不動産に関するコンサルティングを行います。

このうち、前者の不動産鑑定評価は独占業務となるため、不動産鑑定士の資格がないのに行うと罰則の対象となります。

 

————————–不動産の鑑定評価に関する法律(e-GOV)より抜粋—————–

 

(不動産鑑定士でない者等による鑑定評価の禁止)

第三十六条 不動産鑑定士でない者は、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産の鑑定評価を行つてはならない。

2 不動産鑑定業者は、その業務に関し、不動産鑑定士でない者に不動産の鑑定評価を、第四十条第一項又は第二項の規定による禁止の処分を受けた者に鑑定評価等業務を行わせてはならない。

 

~途中省略~

 

第五十六条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第六条、第十四条の十三第一項又は第三十八条の規定に違反して、秘密を漏らしたとき。

二 不動産鑑定士試験に関し、事前に試験問題を漏らし、又は不正の採点をしたとき。

三 第十四条の十六の規定による実務修習業務の停止の命令に違反したとき。

四 偽りその他不正の手段により不動産鑑定士の登録を受けたとき。

五 第三十六条第一項の規定に違反して、不動産の鑑定評価を行つたとき。

六 第三十六条第二項の規定に違反して、不動産の鑑定評価又は鑑定評価等業務を行わせたとき。

七 第四十条第一項又は第二項の規定による禁止の処分に違反して、鑑定評価等業務を行つたとき。

 

————————————————————————————————–

 

以上のように、不動産鑑定士の国家資格がないにもかかわらず、その業務を行った場合は、

6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が科されることになります。

 

◆宅地建物取引士

 

宅地建物取引士は、宅地や建物の売買や賃貸等、その取引が公正に行われるように、法的な基準をクリアした事務を行う仕事です。一般的には「宅建士」などと呼ばれることが多いです。

国家資格のひとつであり、以下の3つの重要な仕事があります。

 

・重要事項の説明を行う

・重要事項説明書への記名、押印

・契約書のへの記名、押印

 

これは、宅建士しかできない業務であり、違反すると罰則があります。

 

——————————宅地建物取引業法(e-GOV)より抜粋—————————–

(無免許事業等の禁止)

第十二条 第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。

2 第三条第一項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。

 

~途中省略~

 

 

第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 不正の手段によつて第三条第一項の免許を受けた者

二 第十二条第一項の規定に違反した者

三 第十三条第一項の規定に違反して他人に宅地建物取引業を営ませた者

四 第六十五条第二項又は第四項の規定による業務の停止の命令に違反して業務を営んだ者

 

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以上のように、宅建士の国家資格がないにもかかわらず、その業務を行ったり、その業務を行うような広告をした場合は、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が課されることになります。

ほかのものと比べて重いのは、不動産取引においてその取引に関わる人たちへの利害、損害が甚大なものになると考えられているためです。

人事業主やフリーランスにおいて、広告宣伝業務を行っている方も少なくないと思いますが、宅建士の独占業務に抵触しないためしっかりと理解することが必要です。

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