コールスタッフの仕事内容は?
求人情報を見ていると、コールセンターで働く「コールスタッフ」の募集を見かけることが多いかもしれません。通常の事務よりも時給が高いことが多いので、気になっている方も多いのではないでしょうか?
でも、経験がないとなかなかイメージが湧きにくいかもしれません。
私自身は、大学時代にはアルバイトとして、その後、就職先の保険会社では社員として、コールスタッフと関わりのある仕事をしてきました。
今回は、そんなコールスタッフの仕事について簡単にまとめてみました。
1.コールスタッフの仕事内容って?
コールスタッフの仕事は、簡単に言うと「電話対応」です。
主に、コールセンターと呼ばれるところで、多くのスタッフがいる中で、電話対応を行うことが多いです。
大企業のコールセンターなどでは、ヘッドセットと呼ばれるイヤホンとマイクがくっついているものを身につけ、両手が空いた状態で電話対応をします。
雇用形態としては、パート、アルバイトのほか、契約社員という場合も多くあります。
一言で「コールスタッフ」と言っても、業務内容は大きく2種類にわかれます。
1つは「インバウンド」、そしてもう1つは「アウトバウンド」です。
インバウンドとは、受信業務を中心としたコールセンターでの対応のことで、例えば企業の問い合わせ受け付けの窓口です。
お客様からの問い合わせに回答をしていくことを目的としたコールセンターであるため、基本的には「待ち」の姿勢で電話対応をします。
それに対して、アウトバウンドと呼ばれるものは、発信業務を中心としたコールセンターでの業務です。何か企業側から顧客や一般消費者に対して伝えたいことがある場合に、電話をかけて案内をしていきます。「キャンペーンのご案内」などで架電をするため、ノルマが課される場合もあります。電話での営業活動とも言えるでしょう。
このようにインバウンドとアウトバウンドでは、電話を受ける側なのか、架ける側なのかという違いがあります。どちらのケースでも、コールセンターでは1日にたくさんの件数の電話に対応していくことになるため、電話を受け続けるのか、電話を架け続けるのか、これは意外と大きな違いです。
インバウンドでもアウトバウンドでも、通常は事前に研修があり、マニュアルなどを使って対応していくため、未経験でも大丈夫です。
一つの企業で、インバウンドのコールセンターとアウトバウンドのコールセンター、どちらも持っているところもあります。
また、コールセンターは人件費や賃料などをおさえるため、郊外に設置されていることが多く、違う企業のコールセンターが複数ある地域もあります。
いくつかのコールセンターがある地域では、優秀なコールスタッフの流出を防ぐため、時給が高めに設定されていることもあり、実際、違う企業のコールセンターに転職をする人もいます。
求人に応募をする際は、インバウンドなのか、アウトバウンドなのかをよく確認して応募をすることをお勧めします。
2.コールスタッフって大変なの?
「コールスタッフ」「電話での業務」と聞くと、“きついのでは?”“大変そう!”と思われる方もいるかもしれません。
実際、コールセンターで働くことは大変なのでしょうか?
働いた経験のある私が感じた「大変なこと」をいくつか挙げていきたいと思います。
①クレームを言われることがある
どんな仕事でも、クレームを言われることはあります。
インバウンドのコールセンターでも、商品そのものに対するクレーム、企業姿勢に対するクレームなど、あらゆるクレームを受付するのも仕事のうちです。
ひどく激昂して電話をかけてくる人も稀にいらっしゃいますが、コールスタッフはあくまでも企業の窓口として受付をしているだけであって、自分自身に言われているわけではありません。
業務と割り切って対応することが必要です。
また、電話対応そのものに対してもクレームを受けることもあります。
「敬語の使い方」「説明の分かりにくさ」などからクレームになることもあり、自分の対応が原因となっていることから、精神的にダメージを受けることもあります。
しかしこれも、自分自身のスキルアップのための経験値として、「失敗は成功のもと」と考えて、気持ちを切り替えましょう。
②マニュアルなど、決まりを覚える必要がある
企業規模が大きいほど、マニュアルは細部にわたって作られています。
しかし、裏を返せば、AときたらBと答える、CときたらDと答える・・・と企業側で事前に決めてくれていて、自分自身で考えなくて良いということになります。
「よくある問い合わせ」については、一字一句コメントが決まっているケースもあります。例えば、保険会社の場合、お客様の「改正改名」「住所変更」「保険契約の解約」などは非常に多い問い合わせであるため、お客様に対してのコメントが決まっているだけでなく、その時の対応方法などは、事前の研修などで練習した上で、実際のお客様対応をするスキームが出来上がっていました。
③ノルマ達成が難しいこともある
わかりやすいノルマとしては、アウトバウンドで「アポ成約◯件」など、アポイントメントを取り付けるノルマなどが設定されていることがあります。
そして実は、インバウンドでもノルマが設定されている場合もあります。
受電件数を増やして、コールセンター全体でより多くの電話を受け付けできる態勢を整えるため、1件あたりの通話時間をできるだけ短く終える、というノルマなどです。
他にも応対品質の良さを抜き打ちでチェックされたり、品質コンテストが行われたりすることもあります。
企業によって、ノルマに対しての厳しさは異なるかと思いますが、私の在籍していた保険会社では、努力目標という感じで、達成した場合にはご褒美があるものの、未達成の場合のペナルティなどはありませんでした。
また、もう20年以上前のことになりますが、大学時代にアルバイトしていた放送局では、コールセンターというほどの人員はおらず、特に目標やマニュアルなどもなく、ただノリで対応する程度のものでした。
今考えると、応対品質にはかなりの差があったと思います。
求人に応募する際には、ノルマの有無や雰囲気などを確認しておくと良いでしょう。
④通話は録音されている
よく企業のコールセンターに問い合わせの電話をかけると、オペレーターにつながる前に「この通話は品質向上のために、録音されています」と事前に案内が入るケースがありますが、実際に、録音したものを後で確認に使用することがよくあります。
コールスタッフ側からすると、対応は全て録音され続けている環境ということになり、緊張してしまうかもしれませんが、これはコールスタッフを守るためでもあります。
案内すべき内容をきちんと伝えているにもかかわらず、お客様が「聞いていない」と主張してくるケースをはじめとして、「言った、言わない」が原因のトラブルを確認するには、録音した通話を確認するのが一番確実です。
また企業によっては、通話の品質を点数化して、案内漏れもなく、感じの良い案内ができているスタッフを表彰する制度を導入しているところもあります。
3.コールスタッフに向いている人とは?
では、コールスタッフにはどんな人が向いているのでしょうか?
①コミュニケーションが好きな人
インバウンド、アウトバウンドともに、人とのコミュニケーションが好きな人は向いています。
どんな仕事でも、ある程度コミュニケーション能力は求められますが、コールセンターでの電話では、基本的に一期一会の方との通話となるため、同じお客様に何度も対応するというよりは、その都度その都度がはじめましてのコミュニケーションです。
初めての人と話すのは苦手、電話は苦手という方でも大丈夫です。
必ず「スクリプト」という基本的なコメントは用意されていますし、事前の練習もあります。また「聞き上手」というのも大切です。
「声の第一印象」を意識したコミュニケーションになりますが、コミュニケーションが好きな人は、声のトーン、明るさ、話すスピード、簡潔な説明など、好印象で対応ができる人が多いのではないでしょうか?
②気持ちの切り替えができる人
コールスタッフは、直接お客様とお話しするという業務の特性上、クレームを言われることも多いと認識しておいたほうが良いと思います。
特に、「電話」というツールは相手の姿が見えず、また自分自身も相手に見られていないためか、実際に会っている時に比べて強い口調でクレームを言う方もいらっしゃいます。
また無理難題を言う顧客に対して「お客様は神様ではありません」と掲げた企業もありましたが、建設的ではない文句を言いたいだけの人に、たまたま偶然当たってしまう可能性もあります。
私の在籍していたコールセンターでは、どうしようもないクレーマーの対応を専門とするスタッフも用意されていました。
前述の通り、クレームの大半は、自分自身に対して向けられているわけではなく、本来は企業や企業の商品・サービスに対してのものであり、スタッフはあくまでも、業務上、受付をしているだけです。
そんなスタッフに対して怒りをむき出しにしてくるような人のせいで、精神的なダメージを受ける必要はありません。
しかし、電話という1対1のツールで話し続けられると、人間なので気持ちが下がるということもあります。
しかし、次の電話のお客様にはそんなことは関係ありません。
もちろん、自身の対応が悪くてクレームに発展してしまった場合には、直すべきところは直して次に活かす必要はあります。
でも、一番大切なことは、気持ちを引きずらないことです。
4.コールスタッフの醍醐味は?
ここまで、クレームを受けることがある、気持ちの切り替えが必要・・・というような話をしてきましたが、その逆のことも多々あります。
コールスタッフは、その企業にとっての電話での窓口。感謝の連絡を受けることもあります。
また、「あなたの説明がわかりやすかった」など、自身に向けたお褒めの言葉をいただくこともあります。
さらに、ノルマを達成した際には、達成感を味わうこともできます。
また、コールスタッフとして長く勤務していると、SV(スーパーバイザー)やASV(アシスタントスーパーバイザー)など、スタッフを教育・サポートする立場となり、チームをまとめて、共に目標達成を目指していくことになる場合もあります。
チームの目標達成時には、やり甲斐や達成感も、より大きなものとなります。
コールスタッフは、常に人員を確保する観点から、通常の事務職よりも、もともと時給が高い傾向があります。
チームをまとめる立場になると、さらに時給アップも見込めます。
収入面からも、この仕事に魅力を感じる人も多いと思います。
5.コールスタッフは在宅でできる?
次に、コールスタッフは在宅で可能か調べてみました。
コロナ禍を経て、自宅で発信・受信をするコールスタッフを認めている企業も以前より増えています。
家事に育児に忙しい主婦にとっては、通勤ストレスがない在宅コールスタッフは、ワークライフバランスを取りやすい仕事と言えるでしょう。
もちろん、通信環境を整えることは必要です。
電話はもちろんのこと、基本的にマニュアルへのアクセスはインターネットを通じて行うことから、高性能のルーターの設置などにより、安定したネット環境を整える必要があります。
また、自宅のチャイム音や、子供の声などの生活音が入らないようにする工夫も必要となります。
懸念点としては、マニュアルを見てもわからないことを、通話中にすぐに確認することが難しいことです。
通常、コールセンターではSVやASVが通話中でもサポートを行ってくれています。
何か問題が生じた際に手を挙げると、経験のあるスタッフがサポートに駆けつけてくれて、その場ですぐに解決することも多々あります。
在宅でのコールスタッフは、SVやASVによるサポートが即座に受けられないことも多いため、「折り返して確認をする」などの対応が必要になることがあります。
1回の通話で完結しないとなると、より多くのお客様対応をすることの妨げになるため、業務効率が悪くなることもあります。
6.最後に
ここまで、コールスタッフやコールセンターについて、私の経験も含めてまとめてみて、その内容に怖気付いてしまった方もいるかもしれません。
実際、コールスタッフは長く続かない方もいますし、向き不向きはあると思います。
しかしながら、特別な資格や経験は一切不要です。
また、電話での上手な話し方やマナーが身につくだけでなく、嫌なことを言ってくる人に対しての絶妙な対応力というのも身につきます。
精神的にも強くなれると思います。
やってみて、意外と自分には向いている仕事だと気づき、長年勤務している方がいらっしゃるのも事実です。
最初は高い時給に魅かれて、というきっかけでも良いと思います。
気になる方は是非、「コールスタッフ」を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?