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個人事業主って給料はあるの?

2018.09.03
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会社だと社長も給料をもらっているけど、個人事業主の場合はどうなのだろうと疑問を抱いたことはありませんか? はたして、個人事業主は給料をもらえるのでしょうか。また家族が一緒に働いた場合の給料はどうなるのでしょうか。個人事業主の給料にまつわる疑問を探ります。

個人事業主のお金の管理方法は?

個人事業主の収益は帳簿で管理します。確定申告をするのも目的のひとつですが、帳簿の最も重要な役割は経営状態を把握するためです。

どの分野で収益が上がり、どの分野で赤字になっているのかを客観的に把握しないことには、事業を未来につないでいくことはできません。

また設備投資で資金が必要な場合、金融機関から融資を受けようと思えば、帳簿をきちんとつけていることが最低条件です。資金管理がきちんとできていれば、信頼を得ることができ、融資につながる可能性があるのです。いくら自分が事業主だからといって、事業で得たお金を勝手に持ち出していては、事業の将来展望がもてなくなります。

それでは、事業主自身がプライベートに使うお金や生活費はどうやって工面すればいいのでしょうか。やはりサラリーマン同様に「給料」という形で支出するのが正しい方法なのでしょうか。はたして個人事業主には給料があるのか、じっくりとみていきましょう。

個人事業主の生活費はどうするの?

個人事業では、売上から経費を差し引いて残った金額が、個人事業主の取り分になります。しかし、これを「給料」という形で経費として計上することはできません。

事業を開始する際には、事業用の銀行口座を開設して、そこで資金管理をすることで公私の区別をつけるようにするのが一般的な方法です。ここから生活費を引き出した場合は、帳簿に「事業主貸」という名目で記載します。

たとえば、銀行口座から事業主の生活費を10万円こ引き出した場合は、複式簿記では次のように記載します。

  • 借方 事業主貸 10万円
  • 貸方 預金   10万円
  • 適用 生活費

個人事業主の多くの人は、会計ソフトで帳簿管理をしていますが、会計ソフトの中にも「事業主貸」の勘定科目は標準設定されています。

事業主貸という勘定科目は資産に分類されるので経費には算入されません。そのため事業主貸で生活費を引き出しても所得にはまったく影響しません。

事業主に貸すというと、まるで借金をしたかのような印象ですが、これは個人事業主特有の用語です。帳簿を主体に考えたときに事業主に貸したと仕訳すると、帳簿自体の考えがクリアになるところから発想されたものです。

事業主貸は生活費ばかりでなく、所得税を納付した際にも同じ様に事業主貸で処理をします。所得税は経費には算入されない項目ですから、同様に事業主貸の扱いになるのです。

さて、ここまで事業主貸について説明をしてきましたが、反対に「事業主借」というものもあります。これは事業が赤字になって帳簿がマイナスになった場合に、その赤字を個人事業主のプライベートな預金から補った際に用います。

この事業主借も収入には参入されません。会計ソフト上では、事業主借や事業主貸は会計年度が変わると自動的に元入金に算入されます。

新年度の元入金は、次の数式で算出します。

新年度元入金=旧年度の元入金+所得+事業主借-事業主貸

それでは、実生活において個人事業主はどのような基準で生活費を引き出せばいいのでしょうか。サラリーマンのように、毎月決まった日に、同じ金額を引き出すのが理想的だといえますが、収入が安定していないと、なかなかそういうわけにもいきません。

売上に左右されると生活費の管理が難しいので、なんとか給料にならないかと思案しても、個人事業主である限りは給料という制度を取り入れることはできません。それでも給料にこだわるという場合は、個人事業からの法人成りをおすすめします。

家族の給料はどうなるの?

それでは、家族が一緒に働く場合の給料はどうなるのでしょうか。

個人事業主の場合、配偶者や生計を共にしている親族の給与は、原則として経費として認められませんが、青色申告の場合であれば「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に性出することで、経費として計上できます。

この届出書は、青色申告をするその年の3月15日までに届け出ることが義務づけられています。ただ届け出ればいいというものではなく、以下の条件に該当しないと認められません。

  • 青色申告者と生計を同一にする親族であること
  • 当該年度の12月31日に15歳以上であること
  • 青色申告者の事業に6カ月以上従事していること

必要経費となる給与額は、社会通念上妥当な額で、届出書に記載した金額の範囲に限られます。また他にメインの業務に従事している場合は専従者とは認められません。

青色専属従事者であっても、年収が103万円を超えると所得税が課せられます。ただ、その一方青色専属従事者の給与が高くなると、その分青色申告者の所得が減ることになるので、逆に税負担を軽減する場合もあります。

給与の支払い方法は届出書に記載した方法で支払われたものでなければ、必要経費として認めて貰えないので、細心の注意が必要です。

青色申告の事業専従者給与の勘定科目は「専従者給与」に仕訳します。

従業員の給料はどうなるの?

従業員を雇ったとしたら、給料の扱いはどうなるのでしょうか。

個人事業主が従業員を雇うと、「給与支払事務所等の開設届」を税務署に提出する必要があります。開設の事実が発生した日から1カ月以内に手続をしなければいけません。

これにより、個人事業主は源泉徴収義務者となり、従業員の給料から源泉徴収を行う義務が発生します。

従業員から源泉徴収したら、毎月1回税務署に納付しなくてはいけません。ただし従業員が10名未満の小規模な事業所であれば、これを年2回の納付に減らすことができます。この制度を利用するためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要があります。

毎月納める場合は、翌月の10日までに納めないといけません。年二回の納付にした場合は、1月~6月の源泉徴収分が7月10日までに納付、7月~12月の源泉徴収分は翌年の1月10日までの納付とされています。

納付するまでの源泉徴収したお金は、勘定科目の「預り金」に仕訳しておきます。出し入れが頻繁に行われるので、源泉徴収した税金を管理するためには、帳簿とは別に「源泉徴収簿」を作成することをおすすめします。

従業員の給料は勘定科目の「給料賃金」仕訳します。

まとめ

ここまで個人事業主と給料の関係についてご説明をしてきましたがいかがだったでしょうか。

個人事業主の場合、給料を支払う人との関係性によって勘定科目が異なってきます。その関係は次のとおりになります。

  • 事業主の生活費……事業主貸(経費ではない)
  • 家族の給料……専従者給料(一定条件により経費になる)
  • 従業員の給料……給料賃金(経費になる)

専従者給料を増やすことによって収益を減らすことができることから、一定効果のある節税が見込めます。収益が1,000万円あれば、専従者の年収が300万円でも不自然さはなく認められる可能性が高いでしょう。

しかしこれが収益が400万円なのに専従者の年収が300万円だと、あまりにもアンバランスなので税務署に認めてもらえることは難しくなります。

専従者の給与が10万円を超えると、どのような業務に従事しているかについて、税務署から問い合わせを受ける場合もあります。やはり業務内容に見合った給料に設定しておくべきでしょう。

従業員に給与を支払うことになった個人事業主は源泉徴収義務者になりますが、扶養控除等申告書を提出してもらっている従業員の場合、毎月の給料が88,000円以下であれば源泉徴収の必要がありません。これは専従者の場合も同様ですので、専従者の給料を設定する際のひとつの目途にもなります。

青色申告の場合は、家族の給料も専従者給料として経費の扱いを受けることができる点が大きなメリットといえます。家族も業務に従事するのであれば、個人事業主として、この利点を有効に活用しましょう。それと同時に、従業員を雇うようになれば、源泉徴収義務者になることを自覚しておきましょう。

個人事業主自身は給料という名目でお金を得ることはできませんが、収益は自分の意思でいくらでも使うことができるのですから、努力して収益をあげて有意義な暮らしをしていきましょう。

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