業務委託とは?働き方の特徴からメリット・デメリット・リスクまで徹底解説!
在宅ワークをしていると、「業務委託」という言葉を聞くことがあります。 あまり聞き馴染みのない言葉のため、意味が分からず戸惑う方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、業務委託の意味やそれに付随する情報について、ご紹介していきたいと思います!
業務委託って一体何?
「業務委託」とは簡単に説明すると、「企業に雇用されない働き方」という意味で、企業が一部の業務を他の事業者や個人に委託することを言います。
たとえば、一般的な企業で働く場合、会社に所属して仕事をして、給料をもらいます。
「社員として」会社に労働力を提供し、その対価としてお金が発生する。そこには「企業の下に社員がいる」という絶対的な上下関係が存在します。
あくまで「企業に雇われた」状態で仕事を行うのです。
一方で、業務委託の場合は「企業に雇われる」ということはありません。
雇用関係がないため、企業と個人とは完全に対等な、フラットな関係性。その中で企業から「業務の依頼」を受けて仕事を行っていきます。
つまり、企業には属さずに依頼された業務だけをこなし、仕事に対する対価としてお金をもらう、という関係性です。
【他の雇用形態と具体的にどこが異なるの?】
「業務委託」とは「企業に属さず仕事を行う」働き方だと紹介しました。
それでは、一般的なサラリーマンと比べた場合、具体的にどの部分が異なるのでしょうか?
「雇用の有無」によって、たとえば勤務地や勤務時間など「働き方」に関する項目がまず違ってきます。
業務委託の場合、あくまで個人として作業に取り組むので、時間や場所の制約がないケースが多いです。
しかし、業務委託で最も特殊だといえるのが「労働基準法が適用されない」ということでしょう。
業務委託で働く労働者は、あくまで「仕事を依頼されて」働いているに過ぎません。
そのため「会社に属している」サラリーマンと違って、労働基準法などの労働者を保護する法律は適用されなくなります。
そこで「自分の身は自分で守る」という姿勢がより重要になってきます。この点については、後述する「デメリット」の項で詳しく説明していきます。
【業務委託と会社員や派遣社員との違いとは?】
◆会社員(雇用契約)とは
雇用契約とは会社と行う労働契約であり、正社員、契約社員、パートといった種類があります。
個人は会社の従業員として決められた時間内を働き、その対価として給与を受け取ることになります。
したがって、個人は雇い主である会社の命令や指示に従う必要があり、破ると懲戒免職などの処分を受ける場合も出てきます。
反面、労働契約にはさまざまな決まりがあり、雇用された者が安心して働いたり、収入を得られるような配慮もされているのもポイントです。
◆派遣社員(派遣契約)とは
派遣の場合は、派遣会社(派遣元)がと派遣先企業とが結んだ契約に基づき、派遣先企業にて業務に従事していきます。
会社と雇用関係にあるといった点では上の雇用契約と同じですが、実際に業務に従事する派遣先企業ではなく、派遣会社と労働契約を結ぶというところに違いがあります。
したがって社会保険なども派遣先企業ではなく、派遣会社の制度を利用することとなります。
最近では同一労働同一賃金など、派遣社員を守るような制度が充実しつつあることもポイントです。
◆個人事業主(業務委託契約)とは
業務委託契約とは、会社が特定の業務を外部の企業や個人に委託する方法です。
似たような言葉にアウトソーシングといったものがありますが、業務を他者に依頼するといった点でほぼ同様の意味となります。
業務委託で働く場合、たいていは個人事業主として業務を実行し、その成果物を納品することで報酬をもらうといったものになります。
雇用契約の場合は雇用関係にあるため、その成果がどのような結果であれ給与が支払われますが、業務委託の場合は成果に対しての報酬制となるため、万が一相手が求めたような結果で納品できなければ、報酬がもらえない可能性があります。
【業務委託に関する法律とは?】
現在、業務委託に関する明確な法律はありません。
しかし、民法には、業務委託に関連する3つの記述があります。
・632条 請負い契約について
・643条 委任契約
・656条 準委任契約
繰り返しになりますが、現在一般的に行われている業務委託はこれらの3つのうちどれかに当てはまるということではありません。
最近で業務委託契約が増えていますが、分野や業務内容もさまざまであり、ますます定義づけが難しくなっているのが現状です。
業務委託=個人事業主(フリーランス)になる?
業務委託を個人で受けた場合、一般的な会社員として働く際に結ぶ労働契約ではなく、個人事業主として契約することとなります。
会社員として働きつつ副業で業務委託契約を結び仕事を行う方もいますが、個人事業主として開業届を行い確定申告を行うケースがほとんどと言えます。
業務委託には2つの契約形態がある?
「業務委託」には、実は2つの契約形態が含まれています。それは「請負契約」と「委任契約」の2つです。
よく「業務委託契約」という言葉が使われることがありますが、厳密にはそのような契約は存在しません。上記2つをまとめて「業務委託」と呼ぶのです。
ここでは、「請負契約」と「委任契約」について詳しく説明していきます!
【請負契約とは?】
請負契約とは「仕事の完成」や「成果物の完成」と引き換えに、企業から報酬をもらうような契約形態のことです。
たとえば、プログラマーとして働く場合。このとき、作業に対しては報酬が支払われず、完成品のシステムに対してお金が支払われます。
あくまで仕事の完成を目的としているため、たとえば成果物に不備等あった場合は、修正対応などが必要になります。
作業自体ではなく、完成品に対して値札が付けられる契約、というふうに認識しておくと良いでしょう。
【委任契約とは?】
委任契約の場合は請負契約と違って、「作業自体」に対価が発生します。
委任契約では、成果物の完成責任は問われません。あくまで、その人が行った「仕事」に対してお金が支払われます。
「業務を遂行する」というところに目的を置いているのです。
会社の受付や事務業務など、目に見える形の完成品が存在しない仕事では、委任契約を結ばれることが多いです。
「結果に対する報酬」なら請負契約、「行為に対する報酬」なら委任契約という形で覚えておくと良いでしょう。
業務委託のメリット
次に、「業務委託」という働き方のメリットについてご紹介していきます。
在宅ワーカーにとって、業務委託で働く機会も多いでしょうから、メリット・デメリットについてしっかりと理解しておきましょう!
【メリット1:自分の得意分野や専門性を活かせる】
業務委託で働くメリットの1つとして、「自分の得意分野・専門性を仕事に活かせる」ということがあります。
業務委託の場合、特定の作業について企業からの依頼を受けて、業務を行います。
依頼された仕事だけを行えば良いため、自分の苦手な領域の作業を行う必要がありません。
たとえば、システムエンジニアの仕事を業務委託によって依頼されたとしましょう。
この場合、行う仕事としては、プログラミングによる完成品の納品だけになります。お客様対応や、その他事務作業を行う必要はありません。
そのため、人と話すことが苦手な方でも、プログラミングだけを行っていれば、仕事を完了させられるのです。
自分の得意分野・専門性を活かして仕事ができる、というのは大きなメリットであるといえるでしょう。
【メリット2:働く時間や場所が自由】
業務委託で働く場合、仕事を行う場所や時間は自由であることが多いです。
特に、成果物の完成を目的とする「請負契約」のような働き方では、在宅で働けることも多く、通勤や勤務時間に関わるストレスが大きく軽減されます。
働く時間・場所が自由だと、ライフスタイルの可能性が増えます。
たとえば、育児や介護をしながら働くこともできます。また、場所に関する制約がないため、旅をしながら働く、といったスタイルも可能です。
このように、近年提唱されている「ワークライフバランス」に則した働き方ができるという点では、業務委託は非常に優れた働き方だといえるでしょう。
業務委託のデメリット
次に、「業務委託」という働き方のデメリットについて考えてみましょう。
【デメリット1:労働基準法が適用されない】
前の項でも少し触れたように、業務委託で働く労働者には「労働基準法」が適用されません。
業務委託では、会社に雇用される社員ではなく、個人事業主として仕事を行います。
つまり、企業との間には「使用者」と「労働者」のような主従関係は存在しません。あくまで「事業間取引」という形で仕事を行うため、労働基準法による保護が受けられなくなってしまうのです。
法律によって守られていない状態で業務を行う必要があるため、契約内容などには常に目を光らせておく必要があります。
自分の身は自分で守らなければならない、ということです。
その分、普通に働く場合に比べて、気を遣わなければならない部分も増えるでしょう。
また、通常企業が行ってくれる「確定申告」や「保険料支払い」等も自分で行う必要があるため、こちらについても注意が必要です。
【デメリット2:常に仕事があるわけではない】
企業に属する場合と違って、業務委託で働く場合、常に仕事があるわけではありません。
業務委託で働く際には、企業と契約を結んで業務を行います。しかし、雇用契約のようにある程度長期的な関係性ではなくて、依頼された仕事についてだけの関係性に過ぎません。
ある仕事を終えた後、次回も契約を結んでくれるかどうかはその企業次第ですし、業務を完了すればそれっきりになってしまうケースもあります。
その場合、新しい仕事を自分の手で探さなければなりません。
常に収入源があるわけではない、という緊張感やプレッシャーに苛まれることになる。これは、業務委託で働くうえでのデメリットであるといえるでしょう。
企業が業務委託を依頼する背景
企業が業務委託を行うには主に3つの理由が考えられます。
1:教育の手間、コストがかからないこと
もし企業内である業務を行うとなれば、その業務を行えるようになるまで人材を教育することが必要です。
さほど難易度の低い業務であれば、それほど手間やコストはかからないと言えますが、新規授業で全くノウハウがない場合は、多大な手間、コスト、時間がかかることとなります。
一方で、その業務に精通している人材に最初から業務委託すれば、社内で人材育成を行う必要がないのです。
2:経費が削減できる
自社で人材を入れ一から教育するには人件費がかかりますが、かかるのはその人材に対する給与などといったほかに、さまざまなコストがかかります。
大きなもので言うと、事務所などの賃料、光熱費、備品代といったものがかかります。
また、人材を雇った場合は給与以外にも社会保険料もかかります。
業務委託の場合は雇用関係が発生するわけではないので、社会保険料は発生しません。
また、依頼した成果物を納品してもらうことで報酬を支払うといったケースがほとんどなので、企業側が事務所や備品などを用意して働いてもらうわけではなく、賃料や光熱費、備品代もかからないのです。
3:必要なときに必要なだけ依頼できる
業務委託の場合、頼みたい業務に関して契約するだけなので、頼みたい業務がないときには費用は発生しません。
たとえば、立ち上げ時にだけ労力が必要となる新規事業や、一年に1度しかない決算業務などは、一時的に業務のボリュームが増えるだけであり、そのためにわざわざ人材を入れてしまうと普段は無駄なコストがかかることになります。
システムを新規開発するといった場合も、一度できてしまえば、あとは運用、保守のみで開発メンバーは不要となります。
このような一時的にボリュームが増える仕事、一時的に必要な業務で後は不要になるものについては業務委託でまかなうほうが企業にとって大きなメリットになると言えるのです。
業務委託契約は、どのように仕事を作る?
業務委託契約を請け負う、仕事を作るにはさまざまな方法があります。
1:知人のつて
企業に勤めている知人から、紹介してもらう方法です。
とくにプログラミングの世界では紹介によって仕事を得られるケースが多いです。
わざわざ募集していなくても、「いい人がいれば頼みたい」と考えている企業もいるので、普段から知人の声かけをしておくと良いでしょう。
2:自分で宣伝をしたり、営業をかける
ホームページをつくったり、SNSなどを利用して広く案件を募集する方法もあります。
なにか特定の実績があれば、ポートフォリオを作成しホームページとして公開することもおすすめです。
ポートフォリオ作成には有料、無料のサービスがありますが、なかにはそのサイト内で紹介してもらえる場合もあります。
または、「自分のスキルが役に立つのでは?」と思う企業があれば、思い切ってメッセージを送ったり電話営業してみることもおすすめです。
3:求人情報サイト、マッチングサービスで探す
業務委託を広く取り扱う求人情報サイトやマッチングサービスがあります。
さまざまな業務委託が掲載されていますので、その中から自分ができそうな案件を検索するなどとして絞り込んでみましょう。
たいていはそのサイト上で応募することができます。
なお、マッチングサービスのなかには、業務委託料のうち20%程度が手数料として引かれる場合もあるので、条件を確認、納得してから契約するようにしましょう。
ママワークスには業務委託の在宅ワーク求人が多く掲載されています。
業務委託契約でメリットを得られるのはどんな人?
自分が業務委託契約にむくかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、業務委託契約でメリットが得られる人というのはどんな人なのかについて解説していきます。
1:ワークライフバランスを取りたい人
家事や子育てをしっかり行いながらフルタイムワークを行うのはすごく大変なことです。
特に小さなお子さまがいる、両親のサポートも受けられない方にとっては、体力的にも精神的にも辛いことがあるでしょう。
また、パートという形でも、子どもがごく小さいときには条件的に厳しいでしょうし、子どもの行事に休みをお願いしにくいなどといった悩み事が発生しがちです。
業務委託契約であれば、自分の働きたい分だけ、しかも在宅でできる仕事が多いので、ワークライフバランスを重視する人にとっては大きなメリットがあるのです。
2:さまざまな変化や可能性を楽しみたい人
業務委託契約は、ひとつひとつの業務が終われば、別の契約をすることができます。
これまで関わったことのない新しい企業の仕事を請け負うこともできますので、さまざまな環境の変化を楽しむことができます。
なにか資格をとってまったく違う業界にチャレンジすることもできます。
そういった意味では可能性が無限にあるといっても過言ではありません。
一方でひとつの企業に雇用され働く場合は、部署の異動などはあるにせよ、同一企業でずっと働くことになります。
変化や可能性を楽しみたい人にとっては、業務委託契約に大きなメリットがあると言えます。
3:高収入を得たい人
雇用されているサラリーマンの場合、いくら結果を出したとしても、インセンティブのある営業ではない限りなかなか給与にすぐに反映されないものです。
もちろん定期昇給や個人のパフォーマンスに応じたボーナスなどが設定されていても、会社全体の利益が出ていない場合には、本人が期待するだけの結果が伴わないこともあります。
一方で業務委託の場合は、分量をこなせばこなすほど報酬がもらえる仕組みですし、能力次第では高額報酬案件を受けることができます。あらかじめ、結果によって報酬額を決める仕組みにしてもらったり、次回からの報酬単価をあげてもらうといった交渉も可能でしょう。
したがって高収入を得たいと考えている人にとっては、業務委託契約は大きなメリットがあると言えるのです。
業務委託で働く際の注意点
最後に、実際に業務委託で働く際の注意点についてご紹介していきます。
【注意点1:契約内容には細心の注意を払う】
業務委託で働くときには、契約内容について特に注意を払いましょう。
企業と契約を交わす際、書面など目に見える形で契約内容を確認しておくことが大切です。
たとえば、口頭で契約を結んだ場合、仕事を完了した後に値下げ要求されるなど、トラブルに発展しかねません。
上でも書いたように、業務委託で働く場合、自分の身は自分で守る必要があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、金銭が絡む契約条件については自分の目でしっかりと確認するようにしましょう。
【注意点2:仕事に対して責任を持つ】
会社や企業の中で働く場合と違って、業務委託で働く場合、仕事に関する責任はすべて自分自身にかかってきます。
仕事上で発生したミスや不具合などの責任は、作業者である個人が取らなければなりません。
会社員やサラリーマンのように、ミスに対して組織が守ってくれることはなく、自身に火の粉が降り注いできます。そのため、1つ1つの仕事に責任を持つことが大切です。
「仕事をこなせば良い」という考えではなく、当事者意識を持って「自分ゴト」として仕事に取り組みましょう!
業務委託で働く際の契約書の内容とは?
業務委託で働く際に交わす契約書には、どのような内容を入れたら良いのかについて説明したします。
・業務内容
・契約期間
※自動更新の有無についても
・契約の解除について
・報酬や報酬の支払い方法、期日について
・契約条件の変更について
・保証や損害賠償について
・再委託(第三者委託)について
・秘密保持について
あくまで基本的な例ですが、最低限盛り込むべき項目は以上のとおりです。
そのほか、納期日や成果物の著作権などについて加えることも可能です。
繰り返し発注がある場合は、毎回の発注に共通する項目だけを基本契約として結び、それぞれの発注ごとに個別契約(発注書)をして契約するという形でも良いでしょう。