個人事業主の職種にはどんなものがある?人気・おすすめの仕事を紹介!
目次
個人事業主とは、「個人で事業を行う人のこと」。私の周りには、さまざまな職種の個人事業主がいます。これほど働くスタイルや社会保険の制度が変わってきた時代の中で、個人事業主に関して興味がある方は、結構多いようです。
実際私の周りの個人事業主をしている人たちは、学校の先生から個人事業主になったり、会社員から個人事業主になったり、専業主婦から個人事業主になったりと、多方面から個人事業主になっています。
その一番の要因は何と言っても「個人事業主という働き方の魅力と職種の多さ」にあると思います。ここでは、個人事業主の仕事についてさまざまな角度から実例を交えながらご紹介していきます。
個人事業主の仕事〜クリエイティブ系〜
クリエイティブ系の仕事は、個人事業主の仕事の中では割合が高いと思います。その理由は、「優秀なクリエイターはフリーののうが会社に所属するより収入が上がる場合が多い」のと「個人事業主の方が自分のやりたい仕事ができるから」。では個人事業主はどういった仕事をしているのでしょうか。
【カラーコーディネーター】
私の友人・知人で個人事業主をしている人の中で一番多いのが、この職種。「カラーコーディネーター」と言っても、対応している仕事内容は人それぞれ。
ただひとつだけ知り合い全員に共通しているのが、「カラーコーディネーターの資格対策講座の講師をしている点」です。その方々の中には、元小学校の先生がいます。
この方にとっては、うってつけの仕事内容だと言えるでしょう。一方、前職が先生だった人以外でも、合格率90%を出して“人気講師”として活躍している人も。
カラーコーディネーターの資格自体が人気なので、資格対策講座の時期に限られますが、必ずカラーコーディネーターの資格対策講座の講師依頼は来るそうです。
では資格対策講座の開講時期以外のときは何をしているのかといえば、「インテリアのカラーコーディネーター」だったり、「デパートのイベント会場でパーソナルカラー」をしたり、「文化サロンでカラーコーディネーターになるための講座の講師」をしたりとその方々の得意分野で頑張っていらっしゃいます。
この世に色のない世界はありません。ですから色はビジネスチャンスの宝庫。まずはカラーコーディネーターの資格を取得してからにはなりますが、カラーコーディネーターは個人事業主として、活躍できる場面が多い職種だと思います。
【フラワーデザイナー】
こちらも個人事業主として活躍している人の中では多い仕事になります。その仕事内容は、各種学校のフラワー講師あるいはそのアシスタントだったり、冠婚葬祭のフラワーアレンジメントやデパートやホテル、駅構内でのフラワーデザインなど多種多様。
フラワーデザイナーの資格試験はカラーコーディネーターのように年に数回というものではありません。ですから講師やアシスタントの仕事は、年間を通じてあります。
近年は景気が良くなってきたことも影響してか、ご葬儀に「自分らしさ」を求めて生前から活動する「終活」という言葉が注目。それに伴って「終活」をしている一般人もだんだん増えてきています。それに伴ってフラワーアレンジメントの依頼も増えてきているそうです。
また結婚式場も同様に、形式にとらわれることのない「自分らしさ」にこだわって行なわれる傾向にあります。例えば最近では、結婚式場自体を車で移動させ、新郎新婦の思い出の地で結婚式を行なうというプランが人気のようです。
その際、フラワーデザイナーとして同行をさせてもらって、フラワーアレンジをすることが増えつつあるようです。
フラワーデザイナーもカラーコーディネーター同様、まずは資格取得を目指すところから始まります。ただフラワーデザイナーの場合、お花屋さんや葬儀場や結婚式場などで経験を積むことができるところがたくさんあります。ですからまずは、それらでフラワーデザイナーの勉強をしてから、ぜひ「自分の方向性」を見極めたうえで、個人事業主として活躍することをおすすめします。
【ラッピングコーディネーター】
こちらも私の周りに個人事業主として頑張っている人が何人かいます。ラッピングコーディネーターの仕事は、ラッピングコーディネーターの資格対策講座の講師や文化教室などで開催されているラッピングコーディネート講座の講師、またホテルやデパートなどでのラッピング指導などがあります。
今や100円均一のお店に行けばラッピング用品が多数揃えられているほどラッピングは市民権を得た存在になってきています。しかも今はどの業界も「インスタ映え」の時代。特にラッピングは「インスタ映え」がとても良いものなので、人々の関心が高いそうです。
ラッピングコーディネーターも、今までのカラーコーディネーターやフラワーデザイナー同様、まずは資格取得を目指すところから始まります。そのあとまずは、ホテルやデパートなどで包装担当として勤務したのち、個人事業主になるのが一番効率的なやり方のように思います。
実は私はホテルで包装担当の仕事をしたことがあります。ホテルは結婚式が行なわれるので、かなりの数を包装することになります。そこでまず場数を踏んだ方が、のちのち独立してそのような大型案件をいただいたとき、かなり役に立つと思います。
ですからまずは、他のクリエィティブ系の資格同様、経験を積んだのち、個人事業主となるのが一番良いのです。
【 WEBデザイナー】
何と言っても、個人事業主のデザイン系の仕事で花形と言えば、このWEBデザイナーでしょう。例えば今は、インターネットがつながる環境さえあれば、クレジットカードの発行すらインターネットで事足りる時代。
そんなインターネット時代ですから、まずは自社のホームページを訪問してもらうために、どの企業もWEB事業に非常に力を入れています。しかもそのホームページの数は、いわゆる「星の数ほど」あります。そしてこのホームページの数だけ、WEBデザイナーの仕事があるというわけです!これってすごくないですか?
私の周りで個人事業主でWEBデザイナーをしている人の多くは女性です。「個人事業主」と聞くと男性が多いイメージがあるかもしれません。しかしこのWEBデザインの仕事に関しては、そうでもないようです。
その理由としてこの制作系の業界は、結構夜遅くまで仕事があります。ですからWEBデザイナーの女性の多くは、出産を機に退社をします。結婚相手に業界の現状を理解されない場合は、結婚を機に退社をする方も。
しかしWEBデザイナーの数は、このネット社会において圧倒的に足りません。しかもWEBデザインとはデザイナーが好き勝手にデザインできるものではなく、企業によりいろいろなルールがあります。
ですから制作会社としては、結婚や出産のために会社を辞められるのは非常に痛手なのです。おそらく会社の規模が小さいほど、その傾向が高いと思います。そこで退社された方に、仕事の打診をすることがあるようです。
これは依頼主である企業にとってのメリットとしては、新しく入社した方に一から説明する手間が省けるから便利。また退社した元社員にすれば、とりあえず慣れた仕事で新たに覚えるストレスを感じることなく報酬がもらえます。またこの経験を次の仕事を見つける際の“実績”にできるというメリットも。つまりお互いにとっても悪い話ではないようです。
個人事業主の仕事〜教育系〜
この数年前から、「10年後には消えてなくなっている仕事」に関する話題があがっています。私の本業は校正で、副業は在宅のWEBライターと採点をしています。正直「どちらも専門性が高い仕事になるし、安泰だろう」と胡坐をかいているところがありました。
ところが今年に入ってから「AIがライティングをできるようになった」旨のニュースを知りました。さらにそのライティングの質は高く、読みごたえがあるということを知り、思わず襟を正しさずにはいられませんでした。
このように以前ならばAIはまだ参入できないとされていた業界にも、徐々にAIは入ってきています。そのような中、例え今以上に少子高齢化社会が進んでも、おそらくなくなることはなく、AIの参入も考えられないと思われる仕事の一つに「教育系の仕事」があります。
その理由は、例えどんな時代になろうとも、AIに人間の教育を任すことはあり得ないから。また「教育」とは、机上のことだけではなく、人間形成も含めて「教育」であるから。
あと「教育系」は個人事業主の中では独立しやすく、しかも将来的には法人化も夢ではありません。これからの時代を考えると、仕事として無くなることがなく、独立もしやすい教育系の個人事業主の仕事。その仕事には、どのような内容のものがあるのでしょうか?
【塾の講師】
学生時代に「塾の講師」のバイトをしたことがある方ならご理解いただけると思いますが、特に大手の進学塾の場合、社会人のプロの講師がいらっしゃいます。
そのプロの講師は大抵の場合、一つの進学塾に在籍しているわけではなく、複数の進学塾に籍を置いて活躍しています。ただ特に人気のいわゆる「看板講師」になると、高い報酬をいただく代わりに一つの進学塾での在籍になるかもしれません。
もし将来的には経営者になりたいとお考えの方の場合、塾の講師は実現しやすい職種だと思います。その理由は少し体力勝負にはなりますが、例えば自分で「経営者兼講師」となることで、人件費を抑えて、その間に独立資金を貯めることができるからです。また「少人数制」を売りにすれば、狭い場所でもすぐに開講することが可能。
ところで塾の講師になるためには、絶対条件ではありませんが、最低限、教師免許は持っておいた方が集客数や親の信頼性を考えると絶対に良いでしょう。
あともし独立開業するならば、事前にさまざまなタイプの講師を経験したうえで、自分が「個別指導型」での講師が向いているのか、「クラス型」の講師が向いているのかを考えたうえで行動することをおすすめします。
偏差値の高い大学出身の講師が必ずしも教え方が上手と言うわけではないのと同様に、「個別指導型」が向いている講師が必ずしも「クラス型」が向いているわけではありません。むしろ「個別指導型」が向いている方は、「クラス型」に苦手意識を持つ傾向が高いです。逆にその「見極め」を誤ってしまえば、この業界自体と疎遠になってしまう可能性が。くれぐれもご注意ください。
【着物の着付け師】
着物を着る方は年々減っています。だからとは言え、着物は「日本の民族衣装」ですから、着物を着る人がいなくなることは絶対にありえません。よって、夏祭り・成人式・結婚式・ご葬儀・入学式・卒業式など折に触れ必ず誰かは着物を身につけています。
ところで、おそらく着物を着る方が減っている大きな要因の一つは、「着物を身につけることの難しさ」にあると考えられます。しかし日本人のたしなみとして「自分で着物を着たい」と言う思いも、着物を着る人同様、なくなることはないでしょう。
ですから「着物の着付け師」という職種は今までも、そしてこれらからもあるわけです。着物の着付け師になるためには、まず資格取得を目指さなければなりません。
ただ例えば、「自分で着物を着る感覚」と「人に着物を着せてあげる感覚」は違いますよね?しかし着物の着付け師として活躍するためには、どちらのパターンも自分の中でアウトプットできるようにする必要が。あと着物の文化と歴史、着物に関連する小物の名称や役割など覚えること、理解することが非常に多いのも「着物の着付け師」の特徴です。
仕事場所としては、着物教室での着付け師養成講座の講師であったり、結婚式場やきもの屋さん、神社などの着物体験コーナー、写真館など実にさまざま。またこの「着物の着付け師」も自宅で独立開業することも可能です。
私は仕事で京都に行く機会が多いのですが、年中、必ず一人は着物を着ている人を見かけます。ただそうやって着物を着ている人をしょっちゅう見かける機会があるから、「着物の着こなし方」に自然と目が。
せっかくきれいな着物を着ていても、着こなし方はもちろん、例えば歩き方などの所作がきれいではないと、特に着物の場合、逆に目立ってしまいます。着物の着付け師の方の力量一つで、着物を着ている方の印象が変わるわけですから、責任重大です。
【カメラ教室の講師】
「“カメラ教室の講師”はどちらかと言えば“クリエイティブ系”の職種じゃないの!?」というご指摘を受けそうですが、実は私の周りの個人事業主の中で「元カメラマン、今はカメラ教室の講師(+αカメラマン)」という人物が結構います。そこであえて「教育系」に含めました。
私がここで話題にあげている元カメラマンとは、テレビ局の中継でよくみられる大きなカメラ機材を持って撮影しているカメラマンではなく、モデル撮影をするためのカメラマンになります。
カメラマンの仕事もWEBデザイナーの仕事同様、非常に大変な仕事。「カメラを撮って“はい、おしまい”」というわけにはいきません。クライアントの要望に応えるべく、画像の明暗・美しさ・モデルと背景のマッチングなど、あらゆる角度から「撮影をどうするのか」を考えて撮影を行わなければなりません。
しかも外での撮影の場合は天候に左右されたり、子どものモデル撮影の場合は子どもの笑顔をいかに引き出すかなど、本当に細やかな配慮をしつつ行なう必要があります。しかしそれらに気を付けながら撮影をしても、なかなか思い通りには物事が進みません。だから残業は当たり前。
そのため、女性カメラマンは女性WEBデザイナーと同じように、出産あるいは結婚を機に退社される方が多いです。ただカメラマンはWEBデザイナーのようにパソコンとソフトがあれば在宅でできるものではありません。
なぜならば、カメラ機材は非常に高価。しかも機材が重く、移動が大変。そんなこともあってか、文化サロンやデパート、大型商業施設などで開催されているカメラ教室の講師を行なう傍ら、自然の風景や動物や子どもの写真を撮ったりしているようです。
【マナー講師】
この仕事はさまざまな業界や職種からの出身者が、個人事業主として本格的に活躍されていることが多いように思います。
私が知っているマナー講師の前職で最も多い職種は、「元キャビンアテンダント」。あと、「元各種学校の学校長」や「元編集長」、「元大手商社の人事課長」という肩書の方もいらっしゃいました。
これは逆に言えば、「マナー講師」はどの業界からでもある程度の肩書や指導経験があれば、比較的簡単に個人事業主になることができる仕事だと言えるのではないでしょうか。
ただ実績がなければ、仕事がいただけないことは火を見るよりも明らか。ですからまずは「マナー講師としての実績作り」から始める必要があります。
正直「マナー講師」に関する資格は複数存在します。しかし資格は絶対に取得しなければ、マナー講師として活躍できないものではありません。ただ、資格もなくマナー講師としての実績もない人物にマナー講師の依頼をする企業は絶対にないと思います。
ですからまずはほかの資格同様、マナー講師の資格取得を目指します。資格取得後、研修を専門に行なっている会社などに入社をしてマナー講師の技術を磨いていたのち、独立をするというのが、一般的なマナー講師になる方法のようです。
またマナー講師として活躍するために他の職種と比べて突出して行なう必要があることは、ずばり「営業」。どのような職種からでもマナー講師を目指せるということは、それだけマナー講師になるための競争率が高いということに他なりません。ですから自分からの売り込みは必須になるわけです。
個人事業主の仕事~士業〜
個人事業主の仕事でクリエイティブ系や教育系以外の仕事と言えば、昔からある「士業」が挙げられると思います。士業の場合、ほとんどが国家資格になるので、難易度は非常に高いです。
例えば弁護士などは難易度がかなり高いにも関わらず、業界自体が飽和状態で仕事がないと一時話題に。その一方で、年収が1000万円以上の弁護士の方も多くいらっしゃいます。
ここでは話題に現実味を持たせる意味でも、私の周りで実際に「士業」の資格を持っていた方のことを交えながら、「士業」についてご紹介したいと思います。
【行政書士】
行政書士という士業を一般の人が意識する機会があるとすれば、「車の車庫証明を取得するとき」が一番身近な機会かもしれません。街を歩いているとよく目にする行政書士の看板。行政書士が「身近な街の法律家」と言われている所以です。
行政書士になるためにはまず、国家資格である行政書士を取得しなければなりません。ところで行政書士は数ある国家資格の中では比較的簡単だと言われています。
ただ簡単とは言っても、行政書士の試験を主催している一般財団法人行政書士試験研究センターがホームページで発表している「平成29年度行政書士試験実施結果の概要」によると、合格率は15.7%とのこと。
少し話は逸れますが、最年少受験申込者は8歳の女性だそうです!その逆の最年長受験申込者は93歳の男性。つまり行政書士は、年齢や性別に関係なく受験可能です。では行政書士を取得して個人事業主になった場合、どんな仕事があるのでしょうか?
皆さんは「行政書士は仕事がない」なんて噂を聞かれたことはありませんか?しかしそれは正しい噂ではありません。なぜならば行政書士は、例えば医師免許と同じように、行政書士の資格を持っていないとできない業務があるから。
では行政書士が対応できる具体的な業務はいったい何でしょうか?私の通勤路にも行政書士の事務所がありますが、そこに出ている看板には「相続手続き」「飲食店などの開業手続き」に対応する旨が書かれてあります。
ただ今までご紹介したほかの個人事業主と同じで、行政書士の資格を取得後即「行政書士」の看板を掲げても、すぐに仕事の依頼が来るわけではないそうです。
ですからまずは行政書士事務所に就職。その後行政書士としての仕事のノウハウを学んだうえで独立をするのが、一番有効的な方法のようです。
【中小企業診断士】
私の以前お世話になった会社の直属の上司が、この中小企業診断士の資格を学生時代に取得していました。ですから、資格の内容など大まかなことは聞いたことがあります。
例えば、中小企業診断士は、難易度が非常に高い国家資格であること。ちなみに平成29年度の合格率は、試験を主催している一般社団法人中小企業診断協会によると19.4%だそうです。
ところで中小企業診断士とはどのような仕事をするのでしょうか?その資格の名称通り、「“中小企業”の“診断”をする人」になります。
もっと今どきな表現を使えば、「経営コンサルタント」という言葉の方が、日常生活でよく聞く機会がありしっくりくるかもしれません。その理由は、朝のテレビの情報番組のいずれかの局の中で一人くらいは「経営コンサルタント」という肩書の方が登場しているから。
ただ経営コンサルタントには、「経営コンサルタント」という資格がありません。ですから中小企業診断士は、経営コンサルタントを名乗りたければいつでも名乗ることができます。当然ながら中小企業診断士を名乗ることも可能です。一方経営コンサルタントは中小企業診断士の資格を持っていなければ、中小企業診断士を名乗ることができません。
ところで中小企業診断士の仕事の具体的な内容とは、どのようなものなのでしょうか?それは「経営の“診断”と“助言”」が主な仕事になります。具体的には「企業の経営状態をよくするために、財務・労務・生産・販売など経営全般にわたって調査分析を行ない、改善方法をアドバイス」します。
ただこの仕事内容をお読みいただければご理解いただけると思いますが、他の「士業」の資格同様、中小企業診断士を取得後すぐに個人事業主になることはほぼ不可能。まずは経営コンサルタントの会社に勤務して、経営のノウハウを学んでからの独立が最も有効な方法ではないでしょうか。
【税理士】
税理士の方のお話も、周りからよく聞きます。ただ税理士サイドの話ではなく利用者サイドの話なので、「申告書を作成して貰うだけでこれだけの金額を請求されるから、自分で申告書を作った」という話が大半。その利用者サイドの話を聞く限りでは、私の中で税理士の方は収入が良さそうなイメージがあります。
ちなみに税理士も国家資格。だた非常に難しい国家資格で、日本税理士会連合会のホームページによると「例年受験者の10~20%が(税理士の試験に)合格」しているそうです。ただ税理士には税理士しか対応が許されていない業務をいくつか持っています。
それは、私も毎年度お世話になっている「確定申告に関する業務」になります。具体的には、まず一つめが、確定申告の際、税務署への申告や申請を納税者に代わって行なうことができる「税務代理」。次に二つめが、確定申告の税務書類を専門家の判断に基づいて作成する「税務書類作成」。最後三つめが、納税者の個別の質問に対し回答やアドバイスができる「税務相談」。これらの業務は、 税理士法の定めにより税理士だけ行なえます。
ただ確定申告の時期は年度末のみ。それ以外のとき、税理士はいったいどんな仕事をしているのでしょうか?一番多い業務は、財務諸表や帳簿の作成を行なう「会計業務」。あとは、会計や財務、経営管理など財務数値の分析。また事業計画を立てる「コンサルタント業務」も行なっています。
以上のように税理士の業務内容の幅は非常に広いです。それゆえに中小企業診断士など他の士業と同じように、まずは税理士の資格を取得してから、税理士事務所や一般企業の人事などで業務の勉強をしてから、個人事業主として活躍をするのが一番確実な方法だと思います。
【社会保険労務士】
私は以前とある教育関連の会社で総合職として勤務していたことがあります。そのとき一人の男性が私と同じ総合職で、中途採用後、入社をされました。実はその中途採用された男性がこの社会保険労務士の資格を持っていました。
そのとき私は、「国家資格の社会保険労務士の資格をせっかく持っているのに、なぜあえて教育関係の会社の“現場”である総合職で再就職したのだろう」と不思議で仕方がありませんでした。
一応私は教育業界に籍を置いていたから、社会保険労務士の資格の難しさはよく知っていました。社会保険労務士の資格は、片手間で勉強をして取得できるようなレベルの内容ではありません。
その証拠に2017年度の合格率はなんと10%を切る6.8%!しかも試験は年に一度しか行なわれていないので、万が一不合格になった場合、翌年まで受験はお預けになってしまいます。
また、さきほど登場した社会保険労務士資格保持者の男性の話にも関係しますが、私の中では、「社会保険労務士の資格を持っている方は人事に配属される」というイメージがありました。
つまり社会保険労務士の仕事の一つに企業内教育や人事配置があるのを知っていたから、「なぜ社会保険労務士の資格を持ちながら現場の“総合職”!?」という思いがあったのです。
あと社会保険労務士の資格保持者の仕事内容で、会社に勤務している人にとって身近なことと言えば、「健康保険、雇用保険、労災保険などへの加入・脱退手続きを行なうこと」ではないでしょうか。
しかもこの「保険の加入と脱退の手続き」を行なえるのは、社会保険労務士だけ。つまり社会保険労務士にのみ許された独占業務になります。
こちらの社会保険労務士も今までご紹介した士業と同じく、資格取得後すぐに独立をするという方はほとんどいないと思います。大抵の方は社会保険事務所や会社の人事の仕事をして、場数を踏んでから個人事業主になる方が多いようです。
個人で仕事をする手段
前項で個人事業主が多い職業を挙げてきましたが、実際にどのような手段で仕事をしているのかについても分からない方が多いですよね。。
会社に雇用されている場合、与えられた仕事をこなしていれば給与をもらいますが、個人事業主の場合、仕事は自分で探していく必要があります。
主な手段は2つありますので、それぞれ解説していきます。
1:業務委託契約をする
まず挙げられるのが業務委託契約です。
個人事業主として仕事をスタートする方の多くは、この業務委託契約を結ぶことを選んでいます。業務委託契約とは、会社が業務の一部を外部の人間(または企業に)委託する契約のことです。雇用関係ではなく、あくまで「取引相手」となります。
したがって、企業とは対等の立場と言えます。
ちなみに、一言で業務委託といっても単発の仕事もありますし、委託元から終了という意思表示がない限りずっと続くタイプもあります。業務委託を正式な法律上の名称で分けると、「委任契約」または「準委任契約」、「請負契約」とに分かれますが、Webデザインやイラストなどといった形になるようなものは、成果物に対して報酬をもらう「請負契約」であることが一般的です。
雇用契約の場合は、決められた時間に指示された要領で業務をこなすことが求められますが、この請負契約の場合、業務の遂行と成果物の提出を求められるだけで、業務に従事する時間や進め方は自由であることがほとんどです。
いっぽう、講師や秘書などといった職業は仕事を成果物として出しにくいので、仕事を遂行に対して報酬が支払われる委任契約や準委任契約となります。
2:起業したり店舗を構える
もうひとつ挙げられるのは自分で起業したり店舗を構えるといった方法です。
具体的には、塾の講師であれば塾を設立したり、フラワーデザイナーであればフラワーデザインスクールを運営するといったことになります。さきほどの業務委託契約と比較し、より積極的なビジネス展開と言えるでしょう。
規模の大小は関係ありません。フラワーデザインスクールといっても、テナント契約をして数名が入れるような教室を運営するといった本格的なものではなく、自宅で1対2と少人数制で教えるといったものや、オンラインで教えることも可能です。
ただし、業務委託と比較し、自分で生徒さんを見つけてこないとならないという点において難易度が高いため、ある程度売上げ(入会する生徒など)の見込みがついている方がこの方法を選択する場合が多いです。
ちなみに、起業というとハードルが高いように思えますが、必ずしも法人になる必要はありません。個人事業主として開始し、売上げが増えてきたら法人を設立するといった流れが一般的です。
★ポイント★個人事業主になるには?
業務委託にせよ、起業するにせよ、個人で仕事をするためには個人事業主として働くことが基本となりますが、個人事業主になる方法自体は、実はとても簡単です。
税務署に開業届を出す
これだけです。
開業届は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
詳細については本記事では割愛しますが、直接税務署に持参するか郵送で手続きは完了します。
※画像は国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
個人事業主の仕事に向いている方とは?
個人事業主に向いている方とは、どのようなタイプなのでしょうか?ここでは私の周りで実際に個人事業主として活躍している方の実例を踏まえながらご紹介します。
【前向きな方】
個人事業主に向いている方として一番に挙げられるのが、この「前向きであること」。あとの項目にも繋がりますが、個人事業主の方は、基本調子の良し悪しにかかわらず、さまざまな業務をすべて自分自身で対応しなければなりません。
誰しも調子の良いときは、当の本人が驚くほど、業務がサクサクと進みます。一方、調子の悪いときは、最悪の場合、何をどうあがいても負のフープから抜け出すことができません。おそらく調子の悪さから抜け出す唯一の手段が、この前向きな姿勢だけだと私は思います。
私が以前一緒に仕事をさせていただいていた個人事業主のカラーコーディネーターの講師は、取引先との交渉で先方から無理難題を出されると、「(難しい依頼をされた方が)燃える!」と言っていました。
私はそのときの依頼(因みにその内容は、一般の全国の合格率55%に対し、最低でも80%を出すこと)を言われたときは、総合的判断から「無理」という結論を心の中でくだしていました。
ところがカラーコーディネーターの講師の前向きな考え方とそれに対する努力のおかげで、私の予想に反し、合格率の高さから全国で3校しか選ばれない「優秀団体校」に選出されました。その体験より、個人事業主になるには前向きな方が良いと感じました。
【営業力のある方】
個人事業主になるには、営業力は非常に重要。待っていても仕事はやって来ません。「自分で取りに行くくらいの気持ち」で臨まなければ、おそらく仕事は途絶えてしまうでしょう。
前の項目で紹介したカラーコーディネーターの講師は、上記の無理難題を突きつけられた際も話し合いの中で、「じゃあ合格率を上げるために、希望者もしくは成績が芳しくない人向けの短期集中講座を別枠で作るのはどうですか?」とむしろ先方に営業を仕掛けるではないですか!
私はかなり驚きましたが、このタダでは起きない雑草魂がこの講師の独立の成功の秘訣なんだろうなぁ、と改めて感服しました。
景気が良くなってきたとは言え、必ず仕事がいただける時代ではありません。まずは目の前の仕事を完璧に仕上げて信頼を勝ち取ってから、営業をかけるくらいの気合いがなければ個人事業主としてやっていくには、厳しい時代なのかもしれません。
【仕事好きな方】
おそらく個人事業主の方は、好きな仕事で個人事業主になっている方がほとんどだと思います。ですから例えば、一般家庭のママが「24時間365日ママ」であるように、基本、「好きな仕事で独立しているから、念頭に“仕事”はある」のが当たり前な状態だと思います。
しかも最近はひと昔前に比べると、チャットワークなどの便利なビジネスツールが普及しています。そのおかげで個人事業主の方は、委託先との連絡がかなりスムーズになり、仕事の依頼を受けやすくなったと思います。一方で連絡がすぐにつくために、何かあれば依頼主から日時に関係なく連絡が入るようになったかもしれません。
通勤型の勤務の方の場合、決まった休みの日があります。しかし個人事業主の方は決まった休みがないうえに、上記のような便利なビジネスツールの登場で、仕事とプライベートの区別がつかなくなってきているのが現状ではないでしょうか。
以上より、仕事で好きな方、あるいは仕事とプライベートの「オン・オフ」の切り替えが上手な方が、個人事業主に向いているのではないかと思います。
【孤独な環境でも平気な方】
勤務型の仕事の場合、新規の契約が取れたりすると会社の仲間が「良かったね」と祝ってくれたり、上司が「よくやったな」と労ってくれたり、後輩が「すごいですね」と褒めてくれたりしませんか?もしこの契約内容が重要な場合、会社で表彰して貰えることも。これは誰にとっても、大きな励みになりますよね?
勤務型の魅力はこの「良いことはみんなで祝ってくれて、悪いことはみんなが手を差し伸べてくれる環境」にあると思います。
しかし個人事業主になると、新規契約をとっても誰からも褒めて貰えません。一方クレームなどの悪いことが発生したときは、自分の中の折れそうな心と戦いながら対応しなければなりません。
つまり個人事業主の方は、良いことはすべて自分のものにできます。しかし悪いことも、すべて自分一人で対応しなければなりません。この特に悪いことが起こったときに、孤独に耐えながら悪いことに立ち向かっていく強い心が個人事業主には不可欠なのです。
個人事業主の仕事の良い点と注意点
個人事業主の仕事にも、良い点と注意点はあります。こちらも実例を交えながら、ご紹介したいと思います。
【良い点:快適な環境で仕事ができる】
この良い点は個人事業主の最大の魅力の一つでしょう。例えば私の場合、通勤手段として「自転車」と「電車」を利用します。まず、家から最寄り駅まで自転車に乗ります。そこまでで、夏場は汗をかきます。そして、自転車置き場から最寄りの駅まで歩きます。すると最寄り駅に乗るためのエスカレーターに乗ったときには、両足から汗が流れています。
その後電車に乗ったとき、さらに顔から汗が。もう化粧は落ちるわ、恥ずかしいやらで、本音を言えば出社自体が嫌になります。私のような中年女性でもこのような気持ちになるのですから、私より若い女性の場合、もっと深刻に悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
でも個人事業主の方の場合、このような悩みは一切ないのです!私なんかはこの「通勤の汗問題」は自分の中の「通勤ストレス」でかなりのウエイトを占めているので、個人事業主の方を本気でうらやましく思っています。
しかも電車に乗ったらおしまい!というわけではなく、「大きな声で携帯電話を使って話す人」や「足を思いっきり前に伸ばしている人」や「イヤホンを使ってはいるものの音が大きすぎて音漏れがひどい人」などがいます。
最悪のときなどは足をピンヒールで踏まれるなどの被害に遭うことも。これらの問題も個人事業主の方の場合は一切関係がないのですから、本当にうらやましい限りです。
【良い点:自分のペースで仕事ができる】
これも個人事業主の魅力の一つだと思います。その理由はなんと言っても上司から嫌味を言われることもなく、先輩から指図されることもなく、同僚から妬みや嫉みを受けることもなく、後輩の面倒をみる必要がなく、自分のやり方で業務を進めることができるのですから。仕事がはかどること、この上ないことでしょう。
私は通勤型就労の本業と、在宅WEBライターと採点の副業を仕事にしています。その本業では、紙媒体の校正を行なっています。私の本業の校正の場合、ディレクターが作った指示書をもとにデザイナーが文字や画像をはめ込んでプリントアウトしたものを校正します。
つまり、ディレクターの指示書作成が遅れれば、デザイナーの紙面作成は遅れます。デザイナーの紙面作成が遅れれば、私は校正ができません。こんな感じで、一人でも対応が遅れると業務が停滞してしまいます。
このため、私にとって個人事業主の「自分のペースで仕事の進捗を自由にできる」というのは、かなり魅力的なことなのです。
私は仕事で校正をするようなタイプですから、黙々と仕事をすることが好きです。しかし本業では、必ず勤務中に「勤務先の誰かとの他愛のない話をする時間」が生じてしまいます。「これも会社で円滑にやっていくための大切な手段」と捉えて対応するようにしています。
ただ本当に業務が立て込んでいるときに、私が発している「“話しかけないで”オーラ」に全く気付いてくれず話題を振ってくる人がいます。こういうときは本当に自分のペースで仕事ができる個人事業主の方をうらやましく思うのです。
【注意点:体調管理は万全に】
基本、個人事業主の方は自分一人で仕事をしなければなりません。例えば勤務型就労の場合、会社を体調不良で休んだとき、休み明けに会社に行けば机の上に隙間がないほど書類などが置かれていたりしませんか?しかし納期が休んでいた最中にあった場合、他の社員の方が対応してくれていますよね?
一方、個人事業主の場合休み明けに出社をしても、まず書類を机上に置いてくれていることはありません。当たり前のことですが、書類が机の上にあるのは「書類を出してくれる人がいるから出ている」のであって、個人事業主の場合、それさえも自分でしなければなりません。さらに体調不良中の納期業務に至っては、誰も代わりに対応してくれません。
ですから個人事業主の方は勤務型の就労者の方以上に、体調管理には気を付けなければなりません。私の周りの個人事業主は、必ずインフルエンザの季節になると、予防接種を受けるのはもちろん、例え自費であっても人間ドックは年に一回、絶対に受けているそうです。
【注意点:全て自分で対応】
この前の「注意点」の内容にも共通することですが、個人事業主の方は、基本、全て自分で対応しなければなりません。電話対応・FAX対応・メール対応・掃除・請求書作成・郵便対応などのようなことも含めてすべて自分で対応しなければなりません。
例えばカラーコーディネーターで個人事業主をされている方の場合、色に関する仕事は迅速に対応できることでしょう。しかしそれ以外の業務になると、色に関するお仕事同様にスムーズに進めることができるとは限りません。だからと言って、人に頼むわけにもいかず、結局は自分で対応しなければなりません。つまりその庶務的内容の処理時間も踏まえて、業務計画を立てなければならないのです。
これは先ほどご紹介した社会保険労務士や行政書士などの仕事の場合に特に言えることらしく、個人事業主になった一年目は、取引のあった企業へのDM(ダイレクトメール)の作成と送付をしながら、依頼を受けた書類の作成とその対応済み書類の役所への提出のための外出などにかなりの時間をさかれているそうです。私の知人のカラーコーディネーターも、仕事が終わった後は必ず、全ての委託先に手書きでお礼状を書いて送っていると言っていました。
個人事業主になった後のこと
個人事業主になった後の選択肢は大きく分けて二つあります。まず一つめは、「そのまま個人事業主を続けていくこと」。もう一つは、「法人化して自分の会社を設立すること」。
どちらにもメリット・デメリットはあります。まず個人事業主は税金さえちゃんと収めれば、面倒な手続きはほとんどありません。ですから個人事業主の方が、手軽に始めやすいでしょう。しかし、仕事に対するあらゆる対応が個人レベルになってきます。ですから、もし「仕事の幅を広げたい」と考えても、その広げられる範囲に限界があると思います。
一方、法人化をすれば、リスクが大きくなる可能性は否定できません。この何が起こってもおかしくない時代、誰にとっても「絶対安泰の仕事」なんて存在するはずがないことですから。しかも個人で法人化に向けての手続きをするのは、容易なことではないでしょう。その代わり法人化をすれば、手に入るもの(報酬や社会的信頼など)はより大きくなります。
つまり「個人事業主のままで活躍する」にしても、「法人化してより手広く事業を展開する」にしても一長一短であるわけです。
そんな中「個人事業主に興味はあるけれど、いきなり個人事業主になる勇気はない」という方におすすめなのが、(少し体力勝負にはなりますが)「本業を持ちながら副業をしてみること」。
おそらくこの方法で自分の可能性や能力を見極めたうえで判断をするのが、一番安全だと思います。ただ一点だけ注意事項が。それは「勤務先が副業を許可しているのかどうかを必ず調べること」。この点だけはくれぐれもご注意ください。
以上、「個人事業主」と「仕事」についていろいろとご紹介をさせていただきました。個人事業主は、この雇用形態自体、様変わりしそうな時代の中、働き方の大きな選択肢の一つとしてさらに注目されていくことは間違いないと思われます。
もしあなたが「個人事業主」と「仕事」について興味があり、このコラムがお役に立てれば幸いです。ぜひ素敵な「個人事業主の仕事」との出会いがありますように。