自営業者は厚生年金に加入可?個人事業主の老後資金対策を解説!
目次
- 自営業者・個人事業主は年金をいくらもらえる?
- 個人事業から法人化した場合、厚生年金はどうなるの?
- 個人事業で厚生年金保険の適用事業所となった場合、厚生年金に加入できる?
- 自営業者が個人事業主から法人となるには?
- 自営業者でも厚生年金に加入できる方法があるのか?
- 自営業者の年金は「基礎年金」のみ?
- サラリーマンの厚生年金はここが違う!
- 自営業者の公的年金は基礎年金だけなのか?
- 自営業がお得に基礎年金を納める方法はあるの?
- 自営業者が厚生年金以外で加入できる公的年金とは?
- 個人事業主(自営業)と法人では社会保険にも格差がある!
- 自営業者が厚生年金以外にできる老後の資金準備
- 法人化しない自営業者は厚生年金に代わる老後資金の準備を!
自営業者・個人事業主は年金をいくらもらえる?
自営業や個人事業主の場合、一般的なサラリーマンとはもらえる公的年金が圧倒的に少ないと言えます。
スキルや経験をお持ちで独立する方や、子育てをしながら在宅で働くスタイルを選んだ方は、いわゆる個人事業主や自営業ということになりますが、たとえ独立して手取りが増えたという方も注意が必要です。
それぞれのケースについてどれくらいの年金が支給されるのか説明していきます。
▽会社員の場合の年金
会社員の場合、もらえる年金は“2階建て”と言われています。
ひとつは国民年金で、もうひとつは厚生年金です。
会社員の場合、厚生年金を支払えば、国民年金保険料を別途収める必要はありません。
会社からの給与から、厚生年金保険料のみが天引きされる形です。
厚生年金は、1ヶ月あたりの報酬額に応じて保険料が決まります。
たとえば、1ヶ月当たりの標準報酬額が20万円の場合、月の支払いは18,300円です。
しかし、実際は企業側が半分負担しており、36,600円の保険料を納めていることになります。
この保険料は、実際には、今、年金をもらっている世代に支給されているということになりますが、自分も将来同じようにもらえるようになるのです。
つまり将来に対し貯蓄しているのと同じ原理になりますね。
なお、厚生年金は月額標準報酬額の18.3%(ただし会社と個人で9.15%ずつ負担)ですから報酬額が多ければ多いほど保険料は高額になりますし、将来もらえる年金も増えることになります。
ちなみに平均支給額は令和2年度で144,366円でした。
▽自営業・個人事業主の場合
自営業や個人事業主の場合、支給されるのは国民年金のみとなります。
国民年金の保険料は報酬額に関わらず一律です。
令和4年度は月額16,590円で、毎年保険料は見直しされます。
たとえば月額報酬が20万円であった場合、厚生年金と比較し多少保険料が安いと言えます。
月額報酬が40万円となると、さらに保険料は割安となります。
しかし、その分、将来もらえる年金額は格段に低くなります。
ちなみに、平均支給額は令和2年度で56,252円でした。
会社員の場合、自営業・個人事業主と比較して2.5倍の年金がもらえるという計算になりますね。
というのは、厚生年金の場合、会社が保険料を半分負担する仕組なので、実際に自分が支払っている金額以上の年金額がもらえるためです。
会社から独立して「手取りが増えた!」と喜ぶ方も多いですが、厚生年金がなくなる分は、自分で自分の将来に対する備えが必要なのです。
参考URL:
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
個人事業から法人化した場合、厚生年金はどうなるの?
自営業者の中には、一人起業などで個人事業主として事業の運営を始めるというケースもたくさんあります。順調に利益を出して、事業規模が大きくなり、ある一定以上の収入を越えると、所得税の負担が大きい個人事業主より、法人化して節税する方がお得になります。
では、個人事業主から法人になったら、一般の企業に勤める方たちと同じように、自営業の経営者も厚生年金への加入ができるのでしょうか?
これまで見てきた自営業者のケースでは、個人事業主として経営している間は、厚生年金の加入資格がありません。
いわゆる個人事業主が加入できるのは社会保険で、従業員が5人未満の小規模企業であっても、従業員は、社会保険(厚生年金を含む)に任意加入することが可能です。家族経営している自営業者の場合は、家族が従業員という方も多いと思います。
そのため、家族一人分ずつに負担が発生していた「国民年金」や「国民健康保険」が、扶養家族分を一括して負担できる「社会保険」の任意加入できれば、その分、お得になります。
ちなみに、従業員5名以上の場合は、社会保険の加入は任意ではなく強制加入となっています。
ここで注意したいのは、自営業者の社会保険は、従業員のみに適応されるというもので、自営業者本人は、任意で社会保険に加入しても、引き続き国民健康保険、国民年金を支払うというしくみになっているということです。
では、自営業の方本人が厚生年金に加入する方法は他にないのでしょうか?
個人事業から法人化することで、社会保険(厚生年金と健康保険)への加入が強制となりますので、自営業者本人が厚生年金に加入したいのであれば、いっそ事業を法人化してしまうという手が考えられます。
個人事業で厚生年金保険の適用事業所となった場合、厚生年金に加入できる?
個人事業主が法人化するのではなく、個人事業主のまま、事業の拡大をしていくケースもあるかと思います。
常時従業員を5名以上雇用するようになった場合、「強制適用事業所」となるため、従業員に関しては健康保険および厚生年金に加入する必要があります。
なお、常時従業員が5名以上でも、以下のような業種は強制適用事業所から除かれます。
【適用の対象外となるもの】
農林業、水産業、畜産業、法務、宗教、サービス業の一部、
なお、令和4年10月からは、以下の士業は対象となるので注意が必要です。
【適用の対象となる士業】
弁護士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理人、税理士、社会保険労務士、弁理士
ちなみにパートタイマーやアルバイトは対象外となります。
また、厚生年金の適用事業所でも事業者本人は加入できません。
参照:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の適用事業所における適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)」
自営業者が個人事業主から法人となるには?
個人事業主は、各自治体の税務署に「開業届」を提出すれば、どなたでも簡単に自営業を名乗ることができます。
それに対し、法人を設立するには、事業の出資者を募り、会社の定款を定めて、登記手続きなどを行わなければなりません。法人化するというのは、このような手続きを踏むということです。
平成18年までは、個人事業家ら法人化するのに、有限会社の場合で最低資本金300万円、株式会社は最低資本金1000万円といった準備金が必要でした。
現在は資本金がなくても法人設立が可能となっており、登記手続きや定款の発行手続きにかかる費用を10万円から30万円ほど支払えば、誰でも事業を法人化することができます。
以前は、役員と監査役を含めて、4人いなければ法人化できませんでしたが、現在では、役員一人でも起業できるようになったため「一人法人」という会社も存在しています。
<自営業者が法人化することのメリット>
厚生年金に加入できるということもありますが、自営業者が法人化すると他にも様々なメリットがありますので、以下に簡単にご紹介してみます。
まず、個人事業主と違って、法人の場合は、契約者本人以外の保証人なしで事業資金の調達ができるというメリットがあります。法人は、個人事業主に比べて社会的信用が高いため、資金繰りの面でも優遇されるという印象です。
また、会社の代表となる代表取締役の給与は、経費として計上できますので、給与所得控除で税金も軽減できるというメリットもあります。
大企業の中には、法人としか取引しない場合もありますので、入札のチャンスなど商取引の面でも間口が広がるという点もあります。
この他のメリットとしては、法人の代表取締役本人と、家族従業員の退職金については、損金として計上できるという点もあります。
一番大きな税制上のメリットで、自営業で個人事業主の場合は、最大で55%という高い税率で所得税を納めなければなりません。それに対し、法人税は、800万円以上の税率が23.4%とかなり低くなるため、所得が多い個人事業主の方は、法人化する方がかなり税制面でお得ということになります。
また、法人化して所得が1000万円以下の場合には、法人設立後の2期まで消費税の納入が免除されるという特典もあります。
塁審課税方式を取り入れている所得税法では、所得が多い自営業者ほど、税金の負担が増えるので、所得が1000万円を越える個人事業主は、法人化を検討した方が良いと言われるのはこのためです。
法人化した後の税率は、多くても約30%前後ですので、所得が増えれば増えるほど、個人事業主として自営業を続けるよりは、法人化した方が節税できるということが分かります。
ここまで法人化することのメリットを見てきましたが、では、法人化することのデメリットはどんなことがあるのでしょうか?
法人化すると、会社の預金はすべて会社名義となりますので、事業者個人のお金ではなくなります。これまでのように、自由に口座から引き出して使うということはできません。
個人事業主の間は、売上から経費を差し引いた分がすべて自分の収入となっていましたが、法人化すると会社から支払われる「役員報酬」(給与)という形で支払われた分が自分の収入となります。
家賃、光熱費など、生活費の全般は、すべて支払われた給与でまかなう必要があり、会社名義の預金からはお金を引き出すことはできません。
個人事業主の間は、確定申告手続きを自分で行うことも可能です。最近では、自営業者の方が簡単に使えるオンラインの会計ソフトなどを使って、安い価格で確定申告手続きや税務処理ができるようになっています。
しかし、法人化した場合は、専門の税理士に依頼しなければ、必要な書類などを揃えることもかなり難しくなるため、これまでと違って税務処理にかかる費用がかなり高額になります。
この他のデメリットとしては、社会保険への強制加入で、会社負担分が発生するため、人件費が膨らむということや、赤字決算の年度でも、法人地方税の支払いが義務付けられているという点などがあげられます。
法人化すれば、自営業者も厚生年金に加入できますが、事業規模が小さかったらなかなか法人化することは難しいと言えます。
自営業者でも厚生年金に加入できる方法があるのか?
超高齢化社会になることが予想されている日本社会において、老後の蓄えとしての年金について不安を抱く人が増えています。
特に、自営業を営む方は、会社勤めのサラリーマンと違って、厚生年金を受給できないため、老後に受け取れる金額にかなり格差があるということは、周知の事実です。
決められた退職年齢がない自営業者は、年を取ってからでも働き続けられると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には、老齢になると若いころより仕事がこなせなくなり、収入が激減してしまう自営業者が少なくありません。
老後の人生にかなりの不安がよぎる自営業者。もらえる年金の額は一体いくらぐらいあるのでしょうか?そして、厚生年金以外に、将来の社会保障を盤石にする方法はないのでしょうか?
今回は、自営業者とサラリーマンの厚生年金の違いや、自営業者でも厚生年金に加入できる方法はないか?など、自営業の老後に備える年金の情報についてお伝えします。
自営業者の年金は「基礎年金」のみ?
会社員と自営業者の両方がもらえる年金には「基礎年金」があります。逆に言うと、自営業の方は、この「基礎年金」しか受給されないという風にも言い換えることが可能です。
日本では、サラリーマンと自営業者では、年金制度が違っています。なぜこのような差が生まれたのかは、日本の年金制度の歴史を見ていくと分かります。
<昔は官僚や軍人の厚生年金しかなかった!>
現在の国民年金が誕生するはるか昔、1875年には、明治時代のエリートたちに支払われる「海軍退隠令」という恩給制度がありました。
いわゆる「恩給」と呼ばれたこの制度は、1942年第二次対戦中に労働者年金保険法の前身として誕生しており、退職後や、退職前に殉職した軍人の遺族にも生活資金などを支援するための制度でした。
恩給は、官僚や軍人など一部の公務員だけが、保険料なしで受けられる特別な制度でしたが、やがて昭和19年の「厚生年金保険法」成立によって、保険料を給与から天引きする現在の年金制度に近い制度へと変わります。
その後、昭和29年には、公務員だけでなく、一般企業に勤める会社員にも厚生年金保険制度が導入されていきます。この制度の対象者も会社勤めをしている人だけが対象となっていたため、自営業者に対する制度は、何もないという状態が続きました。
1961年、ようやくすべての国民が加入できる「国民年金法」が施行されるようになり、これによって自営業者にも年金が支給されるという制度が確立することとなります。
<自営業者の年金制度が遅れたのはなぜ?>
今では、「国民皆保険」は当たり前のこととなっており、自営業者や働けない障害者の方でも、年金によって等しく生活を保障される権利があるということになっています。
軍人や官僚だけに限られていた恩給の時代から、実に80年という歳月をかけてようやく誕生した国民年金、加入義務があるのは20歳から60歳までとなっています。
自営業者は、商売がうまくいけば、会社勤めのサラリーマンより、巨額の収入を得られるという可能性があったため、商才があれば、年金などの社会保障制度がなくとも、老後まで自分の面倒を見れると判断されていました。
そのため、自営業者も加入できる国民年金制度の導入が遅れたと考えられています。
サラリーマンの厚生年金はここが違う!
自営業者やサラリーマンを含めたすべての方が受給できる公的年金は、「基礎年金」という年金です。
これに加えて、サラリーマンの人は、最大で所得の約18%を勤め先の企業と労働者で協力して「厚生年金」を納めています。会社員の場合は、企業に勤めているかぎり、自動的に給料から厚生年金が天引きされる仕組みになっていますので、退職後には、基礎年金に加えて厚生年金の分も年金が支給される仕組みになっています。
サラリーマンが受け取れる公的年金は、基礎年金+厚生年金の2階建て構造になっているため、加入していた期間の長さや収めていた年金の金額には個人差があるものの、自営業者よりは多く受け取れるということが分かります。
勤めている間は、自動的に給与から天引きされますし、自営業の方が支払っている金額に比べると、厚生年金の月々の支払額はかなり多くなっています。
その分、会社員の場合は、配偶者が専業主婦や年収130万円未満の場合は、社会保険の被扶養者になるため、保険料を別途納めなくてよいと言う特徴があります。
これに対し、自営業者の場合は、配偶者の分も1人ずつ別々に納めないといけない仕組みになっています。
自営業者の受給できる国民年金の金額はかなり低くなりますが、基礎年金に加えて年金を増額できる方法がいくつかありますので、後ほど詳しくご紹介致します。
自営業者の公的年金は基礎年金だけなのか?
サラリーマンの公的年金が、基礎年金+厚生年金で2階建て構造になっているということについては、前章の通りです。
では、自営業者の公的年金は、基礎年金だけなのでしょうか?自営業の方は、昔は自分の能力や商才を生かしていくらでも収入を多く稼ぐことができ、老後の資金も蓄えられるから、社会保障はいらないといった見方を長い間されてきました。
しかし、現代社会では、事業が続けていけるかどうかのリスクは、昔に比べて格段に高くなっており、長引く不況によって老後の資金もままならないという自営業者も増えています。
自営業者の中には、会社員の厚生年金が羨ましいと感じる方も少なくありません。
年をとって働けなくなったとき、もらえる年金がないとなれば、自営業でなくとも、不安になるのが当然です。
国民年金は、国が管理しているため、景気に左右されず、老後死ぬまで終身保障してもらえる制度として、国民が安心して老後を暮らせるために存在しています。しかし、超高齢化社会と少子化の影響で、年金の受給者に対し、納付者が年々減少しており、このままでは、日本の年金制度は立ち行かなくなるという見方をする専門家が増えています。
実際に年金の受給額は、世代によって変遷してきており、平成29年度の自営業者向けの公的年金(つまり基礎年金)の受給額は、1人あたり月6万5000円ほどでした。
この金額は、20歳から60歳までの40年間年金を支払い続けた場合に受け取れる満額とされています。
月6万5000円しかない年金では、家屋敷を持っている方でも、光熱費などの固定費を支払ったら、既に底をつくというぐらい小額です。もし、賃貸住宅に住まなければならないとしたら、家賃すら支払えないという高齢者も出てくるということです。
自営業者も国民年金基金をプラスで納めることで、老後に受け取れる年金の額を増額することが可能です。
また、納入方法を変えることで、少しではありますが、支払い額に割引をしてもらえる制度もありますので、次章で詳しくご紹介します。
自営業がお得に基礎年金を納める方法はあるの?
自営業者が納付しなければならない基礎年金の納入方法には、いくつかの選択肢があります。
例えば、1年分の年金を前納した場合には、以下のような割引が可能です。
口座振替で年金を前納する場合は
年2回納入で年間1120円割引
年1回一括納入で年間4150円割引
2年分一括納入で15640円割引
となっています。割引方法に応じて、年金の納付月なども違いますので、詳しくは日本年金機構のホームページで確認してみましょう。
平成29年4月から、現金やクレジットカードで支払いも可能となりました。現金またはクレジットカードで前納した場合は
年2回納入で年間800円割引
年1回一括納入で年間3150円割引
2年分一括納入で14440円割引
となっています。手続きには、クレジットカード納付申込書と年金番号を確認できる書類が必要となります。分からない場合は、お近くの国民年金基金の事務所にお問い合わせしてみてください。
この他にも、年金をお得に納入する方法がいくつかあります。口座振替で納入する場合には、月々納めている年金の納入のタイミングを、当月末(納付期限より1ヶ月早いタイミング)に変更すれば、年間600円の割引を受けられます。
自営業者は、商売がうまくいかなかったり、思うような利益があがらなかった月は、年金を納めるのが経済的に厳しく、中には未納となってしまう場合も出てきてしまうかもしれません。
年金は加入年数が足りないと、支給されないという仕組みになっているため「どうせもらえない」と考えて未納のままにしてしまう方も多いようですが、後納制度などを利用すれば、未納期間を減らして、受給資格を喪失せずに済む場合もあります。
後納制度の支払い方法などの詳細については、また後ほど取り上げます。
自営業者が厚生年金以外で加入できる公的年金とは?
前章で、法人化することのメリットとデメリットをご紹介しましたが、ここまでの情報を見て、自分の事業規模では、法人化することは難しいと考える自営業者の方も多いと思います。
厚生年金に加入できたら、老後は安心だけれど、法人化するほどの規模がない事業を運営しているから、法人化して厚生年金に加入するのは諦めるしかない。
こういった事情を抱えて、社会保険の加入ができない自営業者には、基礎年金や厚生年金以外にも加入できる年金があるのです。
その制度の一つが、基礎年金にプラスして加入できる「付加年金」と呼ばれる年金です。
付加年金は、別名「国民年金基金」と呼ばれており、基礎年金として支払う国民年金保険料に、プラス400円を加算するだけで年金が増額できるという自営業者向けのセーフティーネットです。
国民年金基金の加入は、一口400円で、何口でも申し込みが可能です。たとえば、20歳から60歳まで40年間ずっと付加年金を納入した場合は、老後に受給できる年金額が一年当たり、240,000円増額されます。
もし2口(800円)ずつ40年間加入した場合は、年間360000円分の年金がプラスアルファーで受け取れます。付加年金を手厚くすれば、厚生年金ほどではないかもしれませんが、老後の年金受給額をある程度増額することは十分可能です。
付加年金の加入条件は、20歳から60歳までの国民年金第1号被保険者となっており、自営業者の他、学生にも加入する権利があります。
自営業者の家族で、60歳から64歳までの任意加入者も対象となっていますので、配偶者の分でも付加年金を足すことが可能です。
また、国民年金の保険料と、追加で納めた国民年金基金の保険料は、確定申告の際、所得税控除の対象となっています。納めた分は、年収から差し引くことができますので、節税対策として年金を支払うということも考慮すると良いかもしれません。
厚生年金のような手厚いサポートの受けられない自営業者には、この他にも、確定拠出型年金で、老後の資金を確保するという方法があります。
個人事業主(自営業)と法人では社会保険にも格差がある!
先ほど、個人事業主も任意加入で社会保険に加入できるということをご説明しましたが、社会保険についても、法人の方が自営業者よりも税制の面でお得になります。
国民健康保険の加入者は、自営業者以外に無職の方もいるため、国民健康保険の方が、加入者全体の所得水準は低くなっています。そのため、国民健康保険で支払われる社会保障の範囲は、当然ながら会社員が加入している健康保険よりも下がるということになります。
個人事業主・自営業者の場合は、社会保険の部分でも法人よりはデメリットが大きいと考えた方が良さそうです。
例えば、夫が自営業で妻が会社員の場合などは、子供の社会保険を妻の扶養にする方がお得かもしれません。というのも、会社員の妻の社会保険なら、子供は扶養に入ることができるため、自営業者の国民健康保険のように1人ずつ個別で納付する必要がないからです。
しかし、会社員の妻の社会保険に子供が扶養として加入できるかどうかは、雇用主の判断に委ねられます。仮に、自営業の夫の法がより高い収入がある場合には、収入の多い親が扶養者となることに決められていますので、雇用主側で所得を確認して、このようなケースに該当すると判断された場合は、子供を会社員の妻の扶養に入れることはできません。
会社員が加入できる社会保険は、労災も受けられますので、万が一、怪我や病気をした場合にも、一時給付金や手当て金が支払われます。それに対し、自営業者の社会保険には、労災手当てが一切ありませんので、怪我や病気で働けなくなったら、収入がいきなりゼロになってしまい、生活が立ち行かなくなるというリスクもあるのです。
こういったリスクを回避するために、自営業者は、民間の保険で補填する必要があります。今後、政府の施策で自営業やフリーランス(個人事業主)を保護するための所得保護保険が登場する可能性もありますので、新しい制度が確立すれば、こういった制度を活用して社会保障を厚くするという可能性もあります。
自営業者が厚生年金以外にできる老後の資金準備
これまでご紹介してきた通り、自営業者は、会社員と違って法人化しなければ、厚生年金に加入することはできません。
老後の資金確保のためには、退職金などを前もって積立てておくというのも重要です。
自営業者が加入できる共済制度の中には、確定申告の際、所得控除の対象となっているものもあります。加入できる制度は二つあり、一つは「中小企業倒産防止共済」、もう一つは「小規模企業共済」です。
中小企業倒産防止共済は、掛金のうち年間最大240万円までが所得税控除の対象となっているため、節税という観点から見ても、大変お得なシステムです。
中小企業倒産防止共済は、保証人や担保がなくても、納付された掛金の最大10倍まで(最高額8000万円)の融資が受けられるというメリットがあり、掛金は、月額5000円から20万円まで好きな金額を選んで納入することができます。
また、事業がうまく行かず納入を続けることが難しくなった場合も解約手当て金を受け取ることが可能で、解約理由が自己都合でも40ヶ月以上納めて入れば、掛金が全額返金されます。
このため、退職金という感覚でお金を積み立てておきたい自営業者には、非常にメリットの大きい制度ということができます。
中小企業倒産防止共済は、自営業(個人事業主)となって1年以上が経過しないと加入できませんので、その点だけご注意ください。
もう一つ、自営業者の老後の資金対策としておすすめなのが、小規模企業共済です。
小規模企業共済の場合は、掛金が全額所得控除の対象となっていますので、節税効果がかなり高い制度となっています。
掛金は、毎月1000円から7万円までとなっており、500円刻みで増額、減額も可能です。
サービス業なら5人以下の小規模自営業者が対象となっているため、自営業でも5人以上の従業員がいる場合は加入できないという点だけご注意ください。
この二つの制度は、どちらも節税効果が高いおすすめの共済システムです。小規模事業者しか入れないという点から見ても、ぜひ、加入を検討したい制度です。
法人化しない自営業者は厚生年金に代わる老後資金の準備を!
自営業者の年金と、老後の資金調達にまつわる情報をご紹介してきました。
これまで述べてきた通り、自営業者は法人化して役員報酬(給与)を支給される立場にならなければ、社会保険への加入ができないため、厚生年金は受け取れないということになっています。
事業規模が1000万円以下の個人事業主の場合は、法人化の手続きや税務処理、法人地方税などのランニングコストの観点から見ても、法人化するにはデメリットが多すぎます。
法人化しない自営業者は、厚生年金に代わる老後資金の積立が必要です。今回ご紹介した付加年金や小規模事業共済など、自営業者向けの社会保障制度をうまく活用してみてくださいね!