派遣社員の所得税はなぜ高い?税金の仕組みや過払い金について解説
今では、一般的になりました「派遣社員」、その方々の活躍なしには会社がなりたたない場合もあるようですね。
これから派遣社員として活躍したいとお考えの「派遣社員ビギナー」の方には、その収入が気になるところでもあります。
そして、その収入からとられる「税金」にも。
そこで、今回は、「派遣社員の方々の税金」についてまとめてみました。
派遣社員の給料の仕組みはどうなっているの?
まず、派遣社員の税金のお話の前に、派遣社員の給料の仕組みについてご紹介いたします。
派遣社員の給料は、次のような3ステップで支払われます。
それは、
1.まず、はじめに、派遣先の会社と派遣元の会社が契約を結びます。
2.そして、正式な時給を決めます。
3.派遣社員へは、正式な時給の7割程度が時給となり支払われます。
後の3割は、派遣元の会社の取り分となります。
このように、派遣先の会社と派遣元の会社との契約の結果が「時給」として反映されるのです。
派遣社員が給料から差し引かれる税金にはなにがあるの?
このような、給料システムの派遣社員の場合、支払わなければならない税金には「所得税と住民税」があり、これは正社員と同じということになります。
しかし、正社員は、これらの税金を「源泉徴収」(天引き)方式で差し引かれますが、派遣社員の場合は、この方法が用いられない場合もあるのです。
<所得税とはどういうもの?>
所得税とは、「その年の1月1日から12月31日の個人の所得に対してかかる税金」のことで、国に納める「国税」です。
この税金は、全収入から、「給与所得控除や配偶者控除、扶養控除などの所得控除」の額を差し引いた「残りの収入」に対して課税されます。
<住民税とはどういうもの?>
「住民税」とは、都道府県や市区町村へ納付される「地方税」です。これは、翌年に課税することが原則になっています。
つまり、「前年の1月1日から前年の12月31日までの所得に対して課税」されます。
納税先は、納税する年の1月1日現在に住んでいる都道府県や市町村です。
納税方法は、2通りありまして、
・給料から天引きされる「特別徴収」
・本人に納付書が郵送されてくる「普通徴収」
となっています。
この住民税には、「給与所得控除(65万円)」という制度があり、これは、1年間の総収入から65万円を差し引いた金額に課税されるという制度です。
でも、1年間の総収入から65万円を差し引いた金額が「35万円以下」の場合は、課税はされません。
つまり、「1年間の総収入が100万円以下」の場合は、住民税はかからないという事になります。
しかし、住民税は、実際に働いた前年の1月から12月まで1年分の所得にかかる税を「後払い」で納税することですので、たとえば、昨年の途中でやめた場合でも納税しなければなりません。
派遣社員は、税金は源泉徴収されるの?
正社員として働いている場合は、通常、会社が「所得税と住民税」は、毎月のお給料から源泉徴収(天引き)されています。
その一方、派遣社員の場合は、所得税は、正社員と同じように派遣先会社のほうで源泉徴収されて納税されますが、「普通徴収」といって自分で納付するのが一般的のようです。
もちろん、派遣会社によっては、住民税も“特別徴収”(お給料から天引き)するところもあるようですが・・・。
どうして派遣社員は給料から住民税は引かれないの?
前にもお伝えしましたが、住民税の場合、派遣会社によっては、特別徴収(給与天引き)しているところもあるようですが、多くの会社では、普通徴収で、自分で、地方自治体から送付されてくる納付書で納付するところが多いようです。
これは、派遣社員の場合、働き方に個人差が大きく、収入額にも個人差が生じることが多いので、普通徴収にしているところが多いのではないかと思います。
普通徴収の場合は、働いている派遣会社から、派遣社員の住んでいる市区町村へ前年の所得金額が連絡され、ご自宅に住民税の納付書が送られてきます。
そして、その納付書をもって、役所または指定の金融機関などで納税します。
収めた税金が戻るかもしれない?派遣社員も年末調整をしましょう。
年末調整とは、正社員や派遣社員が、毎月の給料から天引きされている所得税の金額を、年末に調整する手続きのことです。
正社員や派遣社員の場合は、会社が毎月の給料から所得税を天引きすることが多いため、年末になると所得税額の過不足を調整することになります。
つまり、この調整によって、税金が戻るかもしれません。
年末調整に必要な書類は2枚あり、会社が社員に配布してくれるのが一般的です。
その書類は、
・「平成〇〇年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
・「平成〇〇年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」
の2種類です。
しかし、この2枚の書類以外にも、控除の対象となる費用を証明する書類を提出する場合もあります。
ちなみに、所得税控除の対象には、
・配偶者や扶養家族の控除
・保険料の控除
・住宅ローンの控除
などがありますのでご参考に。
収めた税金が戻るかもしれない?派遣社員も確定申告をしましょう。
通常の正社員で働いていらっしゃる方には、「確定申告」はあまりなじみがないかもしれません。
確定申告とは、「税金の払い戻しの手続き」のことですが、派遣社員の方でも、給料から毎月源泉徴収されていて、12月に年末調整書類の提出をしていれば必要はありません。
しかし、次の場合は確定申告が必要となります。
それは、
・12月の時点で、退社等で働いていない
・所属している派遣会社では、年末調整をしない。
・派遣社員の仕事以外にも副業で収入がある
などです。
ですから、払い過ぎた所得税の払い戻しを受けるためにも、「確定申告」を自分で手続きをして払い戻しをしっかりしてください。
派遣社員の確定申告について、必要な書類や、やり方は?
では、派遣社員の確定申告には、どのような書類が必要で、どのようなやり方をすればよいでしょうか。
具体的に見てみましょう。
確定申告に必要な書類は次の通りです。
・1年間で働いた(複数の場合も)時の源泉徴収票
・銀行の預金通帳、もしくはキャッシュカード
・銀行の届出印
・生命保険や損害保険に加入している場合は保険料控除証明書
・控除に必要な領収書、契約書
などです。
確定申告のやり方(方法)は次の通り。
確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日と決まっています。
この期間中に、必ず、自分の住民票がある自治体の税務署に行って、手続きをします。
期間は一カ月ほどですので、混雑が予想されますので、できるだけ早めに行くことをおすすめします。
ところで、確定申告をスムーズに進めるために、国税庁のホームページで書類をダウンロードして作成することができます。
ですから、以下のページから申告書や決算書などをダウンロードして作成しておくとよいですね。
ちなみに、インターネットで確定申告ができるシステム「e-Tax(イータックス)」というものもあります。
忙しくてこの期間になかなか行けそうもない・・・という方などにはとても便利なシステムといえるのではないでしょうか。
ちょっと豆知識:意外なことですが。派遣元会社にも税金がかかるのです。
みなさんは、派遣元会社にも税金がかかるものがあるのをご存じでしょうか。
それは「人材派遣料」です。
派遣先会社が、派遣元会社に派遣料を支払った場合(人材派遣料)は、消費税の課税対象となります。
派遣社員は派遣先の会社とは、直接の雇用関係はありませんので、派遣元会社への支払いは、人材派遣料となり「課税対象」となるのです。
また、派遣元会社からの請求書に「非課税区分」があったとしても、派遣元会社へ支払う人材派遣料は、「全額課税対象」となります。
派遣社員が税金を納める時の注意点は?
正社員の場合は、住民税は源泉徴収(天引き)されますが、派遣社員として働いていて「住民税は源泉徴収されない」システムになっていることを忘れて、うっかり納税するのを忘れるという方、少なくないようです。
早めに気が付けばよいのですが、それが遅れると、自治体から督促状が送られてきます。
住民税を滞納してしまうと「延滞税」を課せられることがあります。
実は、税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として「法定納期限の翌日から納付する日までの日数」に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されるというきまりがあるのです。
ここでは、国税庁の延滞税についてご紹介いたします。
以下引用:国税庁 延滞税について
[平成30年4月1日現在法令等]
税金が定められた期限までに納付されない場合には、原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。
延滞税のあらましは次のとおりです。
例えば次のような場合には延滞税が課されます。
(1) 申告などで確定した税額を法定納期限までに完納しないとき。
(2) 期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税額があるとき。
(3) 更正又は決定の処分を受けた場合で、納付しなければならない税額があるとき。
いずれの場合も、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。
なお、延滞税は本税だけを対象として課されるものであり、加算税などに対しては課されません。
とされています。
もし、督促状に気づかなかったり、「住民税なんて納めなくていいや」などと悪い考え?をもって住民税の納付を滞納していると、給料を差し押さえされるなどの問題に発展することも・・・ぜひご注意ください。
まとめ
いかがですか。
派遣社員さん達の税金のシステムをご紹介いたしましたが、税金のシステムをお分かりいただけたでしょうか。
税金を納めるのは「国民の義務」です。
ですから、派遣社員としてのご自分の仕事に対する税金のことを、もっと知って納税をしてくださいね。
そして、確定申告などをしっかりして、払いすぎた税金を戻すことも同時に忘れずに
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/02/08.htm
国税庁