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手取り15万稼ぐとどうなる?パートでいくら稼ぐと損になる?
公開日: 2018.11.02
最終更新日: 2022.01.16
目次
2018年1月から配偶者控除を受けられる金額のボーダーラインが変更していたのはご存知でしょうか?
今までは配偶者控除を受けるために103万円の壁を超えないように敢えて減らして働くように注意していたのが、もう少し働いても控除を受けられるようになりました。
どれくらい変更されたのでしょうか?
更にはこのボーダーラインも大切ではありますが、たとえ配偶者控除を満額受けることが出来たとしても、所得税・住民税の支払いが義務化されたり、国民健康保険や国民年金は自分で支払わなければならなくなったりと、稼ぎを増やしても、それがそのまま手取りに反映されるわけではないので、注意が必要です。
パート主婦の年収の壁って一体何のこと?
主婦がパートで働いている場合、親切な事務員さんがご親切にこちらの事情を考慮してくださって、103万円を超えないように教えてくれている会社もありますよね。
何となく税金関係で損をしないようにしてくれているんだな、とはわかるものの、それが一体何なのかはっきり理解しているわけでなく働かれている主婦の方も大勢おられることでしょう。
先ず昨年までのパート主婦の年収の壁とはそれくらいだったのでしょうか?
2017年までは「103万円」がボーダーラインでした。これは、パートで働いている主婦の年収が103万円までは夫が配偶者控除として38万円の所得控除を受けることが出来て夫の所得税が減額されるという特典を意味しています。
そして妻本人は自分で所得税を支払う必要がなく、夫は配偶者控除を受けられて所得税は減額されるボーダーラインということです。
ですから昨年まではパート主婦の年収の壁は「103万円」であり、一般的にはこれを注意深く超えないようにギリギリまで働かれる方が多かったのです。
2018年からのパート主婦の年収の壁の変更
それが2018年1月からそこが大きく変更されました。
夫が所得控除38万円を受けられる妻の年収の上限が「103万円」→「150万円」に変更したのです。
これは政府の働きかけによって実現したもので、女性が社会進出をより積極的に行えるようにしてくれていることの表れです。
これによって毎月約8万5千円程度→毎月約12万5千円まで働いても配偶諸控除額がおなじように受けられる、という仕組みです。
働く時間が増えてもそのまま手取りに反映されないってどういうこと???
ここに注意が必要です。
ギリギリまで働くことにして、以前と同じように働いた分だけ手取りがそのまま反映されると思っているとがっかりしてしまいます。
というのは配偶者控除は満額受けられる、というだけなのです。
夫の所得税に関しては配偶所に関しての所得控除分は満額38万円が適用されますが、なんと、妻自身は所得税のボーダーラインは今のところ103万円のままのため、これからは妻が自分の分として所得税が引かれることになってしまうのです。
更には地域によって異なる住民税は年収93~100万円がボーダーラインであり、これもまた妻本人に支払いが課されるようになってしまいます。
他にも色々と出てきます。
これは大企業などに当てはまりますが、年収106万円以上になると、勤務先への社会保険の加入が絶対条件になってしまいます。
そのため、配偶者控除を満額受け取れるようになったからといって、増やした分だけ手取りがそのまま増えるわけではありませんから、よく考えてから仕事時間を増やすようにしましょう。
「社会保険の壁」って何のこと?
配偶者控除のためのパート主婦の年収の壁に関しては大体わかりましたね。
今度は「社会保険の壁」も注意が必要なのです。
先ほど大企業の場合の社会保険の加入条件のボーダーラインが106万円であることに少し触れました。
妻のパート先が中小企業であれば、収入が130万円未満の場合、夫の会社の「社会保険の扶養」扱いにされるため心配ないのですが、そのボーダーラインを超えると、妻は夫の会社の社会保険の扶養から外されて、自分で支払わなければなりません。
もし妻のパート先が大企業で年収106万円以上になるようであれば、そこで社会保険に強制加入となります。
要は、パート先が大企業か中小企業かで変わってきますね。
夫の社会保険の扶養から外されると、自分で年金や健康保険の保険料を払わなければならなくなります。
主婦が年収を考慮する場合、自分の勤め先が大企業なのか中小企業なのかを注意して働く時間を、夫の社会保険の扶養に入れるくらいにとどめるのは知恵の道かもしれません。
手取りが多少増えたとしても、こういったことを考慮するなら、無理して働いても疲れるばかりで手取りも反映されませんから、気を付けましょう。
「年収の壁」を計算するときは交通費に注意!
「年収の壁」は所得税に関するものと社会保険の加入要件に関するものがあります。勤務先から交通費を支給されている場合「年収の壁」にどのような影響があるのでしょうか。
まず所得税に関してはまったく心配はいりません。交通費は1カ月あたり15万円以下の支給は非課税と定められているからです。所得税法上の年収とは、源泉徴収票の「支払金額」に記載されている金額を指しますが、交通費を支給されても15万円以下であれば、支払金額には反映されません。このため年収がアップすることもないので、所得税への影響がないのです。
しかし社会保険では対応が異なるので注意が必要です。社会保険の対象になる「年収」は、事業者が支払うすべての賃金が対象になります。このため交通費も対象になるのです。
交通費は源泉徴収票に反映されないことから、「年収の壁」ぎりぎりの場合は、毎月の給料明細書の支払金額をすべて合算して算出する必要があります。
年収別の税金シミュレーション
年収の壁がいろいろとあることが分かりましたが、それでは実際に年収の壁を超えることで、世帯単位の手取り収入がどのように変化するのかをみていきましょう。
次の条件の世帯の収入が、妻の収入の変化でどのようになるのかシミュレーションしてみます。
・住居:とある中核都市
・家族構成:夫(38)、妻(34)、子(小2)
・夫の職業:会社員(年収600万円)
・妻の職業:パート(時給千円、従業員50名の会社)
それぞれの数値は、千円未満を切り捨てて算出しています。
①妻の年収が103万円の場合……妻は所得税を課せられない
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夫 |
妻 |
年収 |
6,000,000円 |
1,030,000円 |
所得税 |
348,000円 |
|
住民税 |
274,000円 |
8,000円 |
社会保険料 |
891,000円 |
3,000円 |
手取り |
4,487,000円 |
1,019,000円 |
夫婦の手取り合計 |
5,506,000円 |
|
妻は住民税と雇用保険が引かれますが、少額であるため、収入と手取りに大きな差は生じません。この段階では、妻に収入があっても夫の手取り額にまったく影響を及ぼしません。したがって、妻の働いた分だけ世帯の収入が増加することになります。
②妻の収入が150万円の場合……妻は所得税を課せられるが、夫の配偶者特別控除は適用される
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夫 |
妻 |
年収 |
5,880,000円 |
1,500,000円 |
所得税 |
329,000円 |
32,000円 |
住民税 |
291,000円 |
8,000円 |
社会保険料 |
891,000円 |
224,000円 |
手取り |
4,369,000円 |
1,236,000円 |
夫婦の手取り合計 |
5,605,000円 |
|
妻の年収が150万円に上がると、多くの会社では夫の扶養手当が支給されなくなります。ここでは、扶養手当を1カ月1万円と想定して、12万円の減収としました。
さらに住民税の扶養控除が外れたので納税額がアップしています。妻自身も社会保険料や所得税の納付が追加されました。
それでも妻の手取り額は約21万円増えましたが、夫の収入が下がったために、世帯の手取りとしては9万9千円の増加にとどまりました。
妻の労働時間に着目してみましょう。妻の年収が103万円の頃は、一週間に5日労働の場合、1日4時間労働でした。ところが150万円の収入を得るためには、1日6時間労働が必要になります。
③妻の年収が201万円の場合……夫の配偶者特別控除が適用されない
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夫 |
妻 |
年収 |
5,880,000円 |
2,010,000円 |
所得税 |
405,000円 |
61,000円 |
住民税 |
291,000円 |
62,000円 |
社会保険料 |
891,000円 |
303,000円 |
手取り |
4,293,000円 |
1,584,000円 |
夫婦の手取り合計 |
5,8777,000円 |
|
妻の年収が201万円になったので、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。所得税の負担が増えて、ますます手取り金額が減少しました。
妻は年収103万円時代に比べて手取り金額が約49万円増えましたが、一方で一週間5日労働だと、1日に8時間労働をすることになります。しかも世帯単位では約37万円の増加に過ぎません。
つまり妻は時給で労働をしているので、労働時間だけは年収に正比例して増えているのですが、手取りの金額の増加は、労働時間に比例しないという結果になります。
ここまでのシミュレーションでお分かりのように、税制度や社会保険料の仕組みが複雑であるために、必ずしも手取り金額は労働時間に比例しません。そのうえ妻の収入が年収の壁を超えるごとに夫の手取り収入が減少していきます。この辺りの事情を夫婦の共通認識としていないと、夫の労働意欲にも影響しかねません。
1日4時間の労働と1日8時間の労働は、単に1日の労働時間の長短の問題ではありません。1日4時間労働だと、シフトを工夫することによって、休暇を取得できますし働く時間帯を変更することも可能です。
つまり生活のリズムを優先した働き方ができるということですが、1日8時間の労働だとなかなかそういうわけにもいきません。もちろんその結果として、世帯単位で約37万円の増収になるのですが、これはひと月当たりにすると3万円超の増収です。
1日当たりの勤務時間を増やすと、家族の日常生活にも大きな影響を及ぼします。勤務時間を増やしたいと考えている方は、ひと月当たり3万円超の増収が、はたして本当に現在の家庭に必要な資金なのかを検討したうえで判断をしてみてはいかがでしょうか。
夫婦で協力して円満な家庭を維持していこうとするのであれば、収入を優先するのか、あるいは家族団らんの時間を優先するかをしっかりと話し合ったうえで選択をしましょう。
要するに主婦がパートで一番得をする年収はどれくらい???
大多数の主婦の意見では「130万円の壁」を超えないようにするのが無難ということのようです。
配偶者控除がたとえ満額受け取れたとしても、中小企業の場合に限りますが130万円をこえるなら夫の社会保険の扶養から外されてしまうからです。
フルタイムで働いているわけではない主婦の場合には、安易に扶養から外されると損が逆に出てしまいがちです。
ということは今まで「103万円」ギリギリまで働いていたところが、「130万円」までギリギリ働くとすると、簡単に言うと25万円前後増やせることになります。
そうすると一ヶ月増やせるのが2万円程度になり、時給が千円だとするならば、一ヶ月で20時間程度増やせることになるわけですね。
ということは一週間に5時間程度増やせばよいので、もしパートで1日4時間×4日であったとしたら、週1日5時間の日を増やせばいいということになります。
それか一日働ける時間を増やすとかでもいいですね。
住民税や所得税はそんなに高額ではないので、やはり「130万円の壁」がポイントになります。
勿論これもそれぞれの家庭で決めるのがべストではありますが、分かりやすく単純化するとそうなります。
主婦のパート収入の壁を考えて計画的に働こう!
主婦は何となく税金のことなど普段は考えないものですよね。でも一ヶ月10万円を稼ぐって主婦になると結構大変ですよね?
この金額以上を、もしかしたら扶養に入るかそうでないかによって浮かすことが出来るかもしれないんです。
ですから普段からこういったミニお得情報的な知識を頭に入れておくのは本当にお得です。
毎日の生活では、スーパーに買い物に行くと、モヤシが5円いつもより安いとか、少し遠くのスーパーならブロッコリーが大特価だ、とか、10円、20円の世界で主婦は戦っています。
ですが税制上の特典を知っておくなら、その程度なんかは目じゃありません。
特に今年からはこういった形での変更がありましたから自分でよく調べておくと良いですね。
まとめ
今は主婦でも気軽に働けるようになりました。
気軽に働いて、バイト先の言われるまま、人員不足も手伝って、ちょっと多く働いちゃった~なんてことも日々の生活には多々あります。
真面目で人のいい主婦こそ、そんな時には相互扶助~なんて思って、思わずボーダーラインを超えてしまった!ということの無いようにしたいものです。
とりあえず130万円の壁さえ越えなければ、中小企業に限っては、損が出てしまうこともないことだけは覚えておきましょう。
103万円の壁を超えると住民税等の支払いは出てきますが、そんなに高額でもありませんし、さほど焦る必要はありません。
社会保険の扶養に入った上手な働き方をして、計画的に働いて、もし人員不足が分かっている時期が前もってわかっているならそうでない時期に休暇をもらって調整してくださいね。
計画的に上手に働いて、家計を助けながら頑張る主婦は家族の宝です。
これからも働くママとして輝いていってくださいね!