専業主婦業を年収換算するといくらになる?月給・時給も!
「家事をしているだけでは稼ぎがない」
「私には収入がないから」
そう思って、後ろ向きな気持ちになってしまう主婦の方もいるかもしれません。
だけど実は、無償で提供していると思われがちな家庭労働にも、きちんとした評価額が算出されているんです。
今回は、家庭労働をお金にしたらどれくらいの金額になるのか、ということについてご紹介していきます!
家事活動を貨幣評価する方法はいくつかある?
家事などのお金が発生しない労働を貨幣評価する方法は、実はいくつか存在します。
今回は、それらの中でも特に代表的な2つの方法について取り上げたいと思います!
- 方法1:機会雇用法(OC法)
OC法とは、「家事に充てていた時間を、外(市場)での労働に置き換えたら」という視点から、家事活動をお金に換算する方法です。
さっそく、具体的な計算方法について見ていきましょう!
ここでは、1日の家事活動を7時間として計算してします。
また、主婦の方が外(市場)で働いた場合に得られる給与については、厚生労働省が発表している「男女別・年齢別の1人あたりの時間給」を参考にしています。
35歳女性の平均時間給は約1,500円とあるので、今回はこの金額で計算してみましょう。
週休1日と想定し、月に25日働いたと考えると、月々の給料は
1,500円 ×7時間×25日
で、約26万円と計算されます。
また、12ヶ月分の給料で考えると、約310万円という金額が算出されます。
つまり、OC法による計算だと、専業主婦の方の年収が310万円と計算できるでしょう!
- 方法2:代替費用法(RC-S/RC-G法)
こちらの方法では、家事の内容ごとに類似サービスの給与に当てはめていって、家事活動をお金で評価していきます。
代替費用法には2つの種類があって、内容が少し異なってきます。
そのうちの1つ「RC-S法」は、たとえば炊事は調理師・掃除は清掃員・育児は保育士といった具合に、それぞれの家事活動で似ている専門職の給与に当てはめて、賃金換算していく評価法です。
もう1つの方法「RC-G法」では、種類ごとに分けるのではなく、家事を「家事代行サービス」とみなして給与を計算していきます。
- RC-S法で計算した場合の年収は?
上で紹介した方法のうち「RC-S法」を用いて主婦の方の年収を計算してみましょう!
具体的な計算に入る前に、まずは細かい金額設定から。
ここでは、以下の内容と時間で家事を行ったとします。
- 炊事:調理師の平均時給1,100円 ×3時間= 3,300円
- 掃除:清掃業の平均時給1,100円 ×2時間= 2,200円
- 買い物:宅配業の平均時給1,000円 ×1時間= 1,000円
- 洗濯:クリーニング業の平均時給1,000円 ×1時間= 1,000円
- 育児:保育士の平均時給1,200円 ×7時間= 8,400円
※各専門職の平均時給は、厚生労働省のデータを参考にしています。
これらを合計すると、1日の家事労働で得られる報酬は、15,900円と計算されます。
先ほどと同じく週休1日で働いたとすると、月収は397,500円。
年収だと、約480万円の給与になることが分かります。
育児の時間を含めたぶん、OC法よりも金額は高めになっていますね。
- 家事をお金に換算する意味
家事活動で得られる金額を計算してみて、どのように感じましたか?
「意外と多いじゃん」と感じた方も多いかと思います。
2番目の評価方法だと、一般的なサラリーマンほどの報酬を得ていることになりますから、感覚通りだと言えるでしょう。
ここで1つ、考えていただきたいことがあります。
家事をお金に換算する意味についてです。
- 価値が見えることの重要性
実際に評価額を算出することで、家事活動について様々な事柄が「見える化」されたかと思います。
その中でも1番大きいのが「家事って大変なんだな」という発想です。
年収でいうとサラリーマン並みの働きをしているわけですから、ある意味当然ですよね。
しかし、この発想が浮かばないと「専業主婦も休みが必要」といったアイデアが出てこないと思います。
今回の計算でも、週休1日としてお金の計算をしました。
普通の仕事だと週休制は常識だけれど、主婦の仕事は毎日行うことが当たり前。
これって何だかおかしいと思いませんか?
家事労働も、普通の仕事と同じ軸で評価される必要があります。
そのため、「家事も立派な仕事」という認識を、パートナー間で共有することが大切になって来るでしょう。
「主婦」が職業ではない理由は?
主婦って職業?それとも無職?
「主婦」は職業なのか、そうではないのか、悩んだことはありますか?
または、普段考えていなくても、なにかの申込書やアンケートを書く際にふと迷った経験があるのではないでしょうか。
しかし、結論から言うと、主婦は職業ではありません。
「え?こんなに働いているのに?」「主婦の労働時間のほうが長いのに!」といった専業主婦の方の意見が聞こえてきそうですが、大変かそうでないかに関わらず、残念ながら職業というくくりには入らないのです。
▽そもそも主婦とは
そもそも主婦とは、一般的に家事や育児をする人のことを指します。とはいえ、あくまで「一家の」という条件がつくため、独身の方の場合は家事をしていたとしても、決して主婦とは呼ばれません。
ちなみに、最近では夫婦のうち女性が外で働き、男性の方が家事を担うケースも見られますが、その場合は「主夫」と書かれることは一般的です。
日本における専業主婦の割合は3割強です。つまり、3人に1人は専業主婦ということになります。
多いと見るか、少ないと見るかはその方により違うと思いますが、少子化や経済状況の悪化により、この割合は徐々に減ってきていると言えます。
高度成長期において、女性は出産を機に専業主婦になる方が多くいましたが、現在は育児休業制度を利用し、再び働き始める方が増えています。時短制度などを利用し、ワークライフバランスをうまくとりながら正社員として働く方も少なくありません。
とはいえ、正社員は辞め、子育てが一旦落ち着いた時点でパートなどの非正規雇用で働く方はもちろん、子育てや家事に専念し一切働かないという専業主婦もまだまだいるのです。
ちなみに、海外と比較し日本は専業主婦の割合が多いと言われています。妻が働かなくても暮らしていけるという観点から見れば日本は裕福で幸せな国と言えるでしょう。一方で国民総生産や税収面での問題点、そして年金制度への不安を抱えているということも事実です。
参考URL: 厚生労働省「平成30年版厚生労働白書」
▽主婦が職業に含まれない理由
主婦(以降、主夫も含むとします)の仕事量は少なくありません。一般的な職業は8時間など労働時間が決まっていますが、主婦の仕事に決められた時間はありません。とくに赤ちゃんがいるご家庭の主婦は、夜中に授乳したりおむつを替えたりと24時間体制で働いていると言っても過言ではないでしょう。
しかし、これからの行動に賃金は発生しませんよね?
それこそが、主婦が職業でない最大の理由です。
家政婦やベビーシッターであれば賃金をもらい赤ちゃんの面倒を見ることになりますが、主婦の場合は誰かがお金を払ってくれるわけではないはずです。
職業というのは生計をたてるため行う労働であり、賃金が発生することが前提なのです。
専業主婦は悪いこと?
前項では、「専業主婦は職業ではない」「専業主婦の仕事は貨幣価値に直すことはできる」ということを説明してきました。
最近では、「主婦の労働力をお金に換算し、正しく評価すべき」いった考え方が浸透しつつあるので、以前よりは専業主婦の地位も上がったと言えるでしょう
しかしそれでも、「専業主婦であることに肩身が狭い思いをしている・・・」そんな意見を聞くことがあります。
そこで、その原因と考え方について説明していきたいと思います。
▽専業主婦世帯は減少傾向に
専業主婦であることで肩身が狭いと感じるのは、専業主婦の数が減りつつあるという現実があるからかもしれません。
かつて、高度経済成長期の日本のなかでは、男性が外で働き女性は専業主婦をするという構図は一般的でした。昭和55年においては専業主婦世帯が1150万世帯であったのに対し、共働き世帯は600万世帯という数字だったことからもよく分かります。
しかし、平成に入ると共働き世帯数と専業主婦世帯数がほぼ同率となり、平成26年は共働き世帯が1,114万世帯、専業主婦世帯が687万世帯となり、かつての構図と逆の結果となりつつあるのです。
平成11年を境に共働き世帯の割合が増え続けていることから、令和に入った現在ではもっと数字に差が出ていることは簡単に推測できますよね。
おおまかに言うと3世帯のうち1世帯だけが専業主婦世帯となります。
日本人は、「マイノリティを良しとしない」、「他の人と違うことを割ける」傾向があると言えるので、結果として「専業主婦=悪い」といったような感覚になるのかもしれません。
しかし、果たしてそうでしょうか?
働くことで自分のスキルアップや自己実現が叶うとも言えますが、そもそも金銭的に余裕があっても働くのかと言ったら、それは疑わしいと言えます。
配偶者の収入が高く子どもの学費も心配がないうえ、自分にも自由に使えるお金があれば、そのお金を使って自分を磨くことも可能だからです。
となると、専業主婦でいられるのは、働かなくても生活ができる水準にいるということです。
もちろん、現在専業主婦である場合で、お金に余裕があるわけではないという方もいるはずです。
「子どもが小さく外に働きに行けないだけ」という方などはその分類に入るでしょう。
しかし、本当に生活ができないほどであれば、0歳児でも保育園に預けるなどして働くしかありません。「子どもが幼稚園に入ったら」などと選べるだけ幸せだと言えるのではないでしょうか。
つまり、専業主婦は悪いとか良いとかといった価値基準では判断できないと言えるのです。
出典:厚生労働省「配偶者手当の取り巻く環境について1-1 専業主婦世帯と共働き世帯の推移」
▽新しい専業主婦の在り方
「専業主婦であることを選べるということは幸せだと言える」と書きました。
とはいえ、「外には働きに行けないけれど、生き生きと働いている友人が羨ましい」などという方もいるかもしれません。
確かに、働いて賃金を得ることは生活のためではありますが、「誰かの役に立つこと」「自分が認められている」と実感できることから、精神的な幸せや生きていくための活力を得ることができます。
もし、「充足感が足りない」「なにか自分にできることを探してみたい」と感じるのであれば、家でもできる仕事、つまり「在宅ワーク」を始めるという手もあるのです。
在宅ワークにはさまざまな仕事があり、パソコンを使うもの、スマホでできるもの、手先を使うものなどと、その特徴は多岐にわたります。
とくに、以前「経理をしていた」「人事部にいた」などといった経験があれば活かすことができるので、専業主婦で在宅ワークを始める方が増えつつあります。
これまでと変わらず扶養範囲内で収入を得ることが可能ですし、所得が48万円以内であれば確定申告など面倒な手続きも不要です。
「専業主婦であることに不安を感じている」、または「自分の価値に悩んでいる、家族や友人に認めてもらいたい」などといった方は、「主婦をしながら在宅ワーク」という新しい選択肢もあることを知っていただけたらと嬉しいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、
- 専業主婦について
- 家事労働をお金で評価した場合について
- 家事を見える化することの大切さ
といった内容について、ご紹介してきました!
「毎日の家事が大変だ」という方も、家事を仕事として捉えて、パートナーと理解しあうことで、より良い家庭生活を送ることができるでしょう!