ワンオペ育児の意味とは?原因や背景、解決策を解説
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「私、今日一日、いったい何してたんだろう?」自分でも不思議に思うくらい、主婦の一日はあっという間に過ぎていきます。そんな日々の中、仕事でも始めようものなら、忙しさは倍増。毎日は信じられないほど、目まぐるしく過ぎていきます。そんな時、どのようにして毎日を乗り切ればいいのでしょうか。一番の鍵は「ワンオペレーションを解消すること」。そこで、今回はワンオペ解消法について、考えてみましょう。
ワンオペ育児の意味
最近、ワンオペという言葉をよく目にしませんか?ウェブサイトやSNSなどでの活字のほか、お友達と話していて、耳にすることも多いことでしょう。 でも、なんとなく意味はわかるけど、実際は、正確には理解していないという方が多いのではないでしょうか。
ワンオペとは、和製英語で、本来であれば2人以上でこなすような分量の仕事を、1人で回すことをいいます。最近では、夫の単身赴任などの理由から、仕事をしつつ子育てを1人で行う状態を「ワンオペ育児」と表現されています。 離婚して、子供を引き取った側のシングルマザーやシングルファザーも、同じくワンオペ育児の代表です。
これまでは、こういった状況を一言で言い表す言葉がなかったせいか、瞬く間に広まり、2017年には「流行語大賞」にノミネートされるまでになったのです。
ワンオペ育児と発言する時の注意点
すっかり定着しつつある「ワンオペ育児」という言葉ですが、やたらに連呼している方が、あなたの周りにもいませんか?自分の大変な状況を誰かに伝えたいのはわかりますが、あまりにワンオペをアピールするのは、避けた方が良いでしょう。
「主人は休みの日いつもスマホでゲームばっかり。子供の世話どころか、遊んであげることもしないから、ワンオペ育児状態なの」「夜中に何度も授乳で起こされて寝不足なのに、朝、おなか空いたって起こされて…。ワンオペ育児で嫌になる!」などなど…。
確かに、嘆く気持ちは分かります。 自分は忙しくて走り回っているのに自由な時間を楽しんでいる配偶者を見たら、愚痴も言いたくなるでしょう。それに、初めて赤ちゃんを育てる方は、育児に振り回されがちです。精神的にも追い詰められ相手をなじりたくなる気持ちもあるでしょう。
でも、考えてみてください。 もしそれをシングルマザーやシングルファザーが聞いたらどう.思うでしょうか? または単身赴任で実質1人での仕事と育児を両立している人だったら…。 両親にも頼れず、本当に1人で日々仕事や子育てに追われている状態のほうが、「ワンオペ育児」といえるのではないでしょうか?
また、単純に、忙しさアピールとして、単なる自慢ととられる場合もあります。 いずれにせよ、他の人に不快さを与えないよう、気をつけたいものですね。
「ワンオペ」の社会的背景
そもそも、「ワンオペ」という言葉が生まれたのには、ある社会的な背景があります。 それは、2014年のこと。有名な飲食チェーン店で、深夜、1人で勤務する状況が定着していたことが発覚したのです。
従業員は、休憩はもちろん、トイレに行くことすらままならず、過酷な状態で働き続けていました。
この企業だけではありません。人手不足や人件費削減といった事由から、店を1人で切り盛りさせるといったブラック企業が多くあったのです。
その過酷な状況を表すワンオペという言葉がニュースや週刊誌などで広がり、そこから派生して、夫婦共働きなのに子育ては母親に任せっきりの状態を「ワンオペ育児」と呼ぶようになりました。
こうした社会背景を知ると、気軽にワンオペ育児という言葉を使うことにためらいを感じるのではないでしょうか。
ワンオペ育児が起こる原因
さて、ワンオペ育児とはどのような場合に起こるのでしょうか? 具体例をあげていきたいと思います。
■ケース1:配偶者の帰宅が遅い場合
日頃から残業が多く、配偶者の帰宅が21時は過ぎると言ったような家庭です。なかには深夜に及ぶ方もいるはずです。 そうなると、仕事から先に帰ってきたもう片方に、家事や子育ての負担はもう片方にいきがちです。
■ケース2:配偶者の仕事が、夜間勤務の場合
夜間勤務に従事している方は、昼間は寝ていることがほとんどです。 家事や子供の世話は昼間が中心のことが多いので、配偶者にその負担がのしかかります。もちろん夫婦2人そろっているので完全なワンオペ育児とは言えませんが、配偶者が料理などの家事が不得意の場合、出勤前や朝方に、家族とは別の時間帯で食事を用意するなど手間が増える傾向にあります。
■ケース3:配偶者が単身赴任になった場合
一時的なものではありますが、配偶者が単身赴任となると、ワンオペ育児になりがちです。近ければ週末帰宅も可能ですが、新幹線を利用するなど遠方で費用もかかるとなると、多くて月2回となる方が多いです。 なかには、海外に単身赴任というケースもあるでしょう。頻繁に帰ることはより難しくなり、年に数回の長期休暇にしか戻ってこない場合がほとんどです。 当然、配偶者には、家事と子育てなどの負担が重くのしかかります。
■ケース4:離婚、または死別でシングルマザー/ファザーになった場合
事由がなんであれ、夫婦ともに歩めなくなった場合、1人で仕事や家事、子育てをこなすことになります。上記3つケースは、家事や育児に参加できなくても、その存在があるだけでましと言えるでしょう。しかし、このケースでは相手にほぼ頼ることもなく、精神的にもより負担が大きいと言えます。
今回は4つのケースを紹介しました。 しかし、両親など親類の助けを借りられる場合には、負担は大幅に改善されます。ワンオペ育児の代表であるシングルマザー/ファザーでも、保育園の送迎や食事の準備をしてくれるなど両親のサポートがあれば、精神的にも体力的にも気が楽になるはずです。逆に夫婦2人そろっていても、配偶者が単身赴任で、かつ両親のサポートも受けられない方は、仕事、家事、育児に追われ、精神的に追い詰められる恐れも少なくないのです。
「ワンオペ」が問題になりやすい事例とは?
■コンビニや飲食店での夜間の仕事
一般的にコンビニや飲食店では、日中、複数人の従業員で回しています。
設置されている場所にもよりますが、とくに混み合う朝の通勤時間やランチ時、夕食時やサラリーマンの帰宅時間は、シフトを重ねるなどしていつもより多い人数を配置するように心がけているお店もあります。
いっぽう、深夜はお客様の数がぐっと減るものです。
1時間に1、2組しかお客様が来ないとしたら、複数人の従業員は置きたくないのが経営者の気持ちです。
なぜなら、売上げに対し、人件費が高額になる、または上回ってしまうと、お店にとっては死活問題となるからです。
となると、当然1人体制を敷くケースが増えます。
たしかにお客様が1時間に1,2組しかいないのであれば余裕に思えるでしょう。
しかし、コンビニであれば商品の補充や調理、事務作業などレジ打ち以外の仕事もありますし、飲食店では注文を受け、配膳、テーブルの片付け、皿洗い、レジ打ちなどの仕事もあります。
結果、意外に忙しく、体力的に疲れたり精神面でもストレスを感じてくるのです。
また、トイレに行きたいと思っても、お客様が来てしまうのではないかと不安になることから、なかなかトイレに行けず、場合によっては体調を崩すといったことも考えられるでしょう。
■子育てや家事・仕事に大忙しの場合
子どもが生まれると生活は一変します。
これは、お子さまをお持ちの方なら誰もが感じることでしょう。
そもそも、“外で働いて、帰宅したら家事をする”、これだけでも余裕がないと感じる方が多いのではないでしょうか。それなのに、お子さまの世話が加わると、一気にやるべきことが倍増するのです。
乳幼児の場合はミルクをあげたり、おむつを変えたり寝かしつけたりと、これらのことだけで1日が終わる感じです。月齢が進むと離乳食をつくって食べさせなければならないうえ、歩けるようになると目が離せません。2,3歳になってもお風呂に入れてあげたり、着替えを手伝ったりと、必要とされるお世話がたくさんあります。小学生になれば、かなりのことを自分自身でこなせるようになりますが、宿題を見てあげたり話を聞いてあげたりと、別の悩みが増えます。
もし共働きで、夫婦それぞれ同じように外で働いているのに、家事、育児は一方に偏っていたらどうでしょうか?
いわゆるワンオペ状態と言えますよね。
仕事には休みがありますが、家事、育児には休みはありません。
この状態が続くと、片方が体調を崩したり、離婚の火種となり、最悪の状態に至る可能があるのです。
■介護が発生した場合
医療技術の発展や健康意識への高まりから、平均寿命がのび、長生きする人が増えてきました。
しかし、最後まで元気でいるというわけではなく、足腰が弱って思ったように動けなくなったり、認知症を発症して介護が必要となるケースも増えています。
子育てや働き盛り世代にとって介護は大きな問題です。
ただでさえ仕事や子育てで時間がとれないからです。
おまけに少子化の影響で親の面倒を見る人数も減りつつあります。
4人の子供で交代ずつという場合は1人1人の負担が減りますが、兄弟2人しかいない、しかも片方が遠方にいて1人で看るしかないとなると、いわゆるワンオペになります。
場合によっては、本人が仕事で看ることができず、配偶者が家事や子育てをしながらワンオペ介護をするというケースもあります。
介護は、1人で行うと、精神的にも体力的にもかなりの負担になります。
そもそも結婚していない、または離婚してしまったなどで全く相談する相手もいない場合は、絶望感に打ちひしがれることもあるでしょう。
結果、うつ病など、心の病気になってしまう恐れも潜んでいるのです。
ワンオペ育児から抜け出す解決法
■伝えなくてもわかってくれると夫に期待しない
こう書くと「パパはダメよね」というようにネガティブなイメージで受け取られるかも知れませんが、そういう意味ではありません。男性は、言葉をそのまま受け止める生き物であることを、女性側が理解しましょうということ。言葉の裏に隠れている女性の本心まで、くみ取ってもらえることを期待してはいけない、という意味なのです。言葉にして伝えなければ、それは尚更。「こんなに頑張ってるのに、気付いてくれない」「私一人で、もう無理!」心の中にはそんな不満が蓄積されているのに、夫に相談したり、解決策を探そうとしないのは「主婦は家を守るのが仕事」というイメージが自分自身の心のどこかにいまだ根づいているからではないでしょうか。
でも、家庭も子どもも「夫婦二人のもの」。協力し合って当然です。分かりやすく言葉にして伝えると、男性は意外なほどすんなりと理解してくれます。話をする時も、感情的に言うのではなく、事前に伝えておきたいこと、今の悩みなどをノートに書きだして整理し「ちょっと相談があるんだけど、いい?」と相手のコンディションを見ながら切り出すようにしましょう。一度書き出すことで自分の頭の中も、気持ちも整理することができます。その上で、ふたりで向かい合って、これからの生活について話し合いをすると、建設的な結果を得ることが出来るでしょう。
■自動化できるものは自動化する
食洗機に、洗濯機、掃除機と、最近は便利なものがたくさん出ています。夫のヘルプがなかなか期待できないなら、自動化できるものはできるだけ自動化してしまいましょう。それは、手抜きではありません。賢い主婦のワンオペ育児・ストレス軽減法です。
■子供だって大事な戦力
■両親に相談してみる
「大好きな両親に、頼るなんてできない…」。ご両親に大切に育てられてきた方ほど、そう思うのではないでしょうか。または、そもそも反対された結婚だったら、相談をためらう方もいるかもしれません。 しかし、両親にとってあなたは、いつまでも子供です。そして、あなたの幸せを願っていることでしょう。 もちろん、あなたはもう大人ですし、ご両親の年齢や健康状態も考慮しなければなりません。
まずは悩みをうちあけ、無理のない範囲でサポートしてもらえないか、相談してみると良いでしょう。
■交流の場をつくる
一番良くないことは、一人で抱え込むことです。 おすすめは、地域にある児童館や支援センターに行くことです。大差はあれ、同じような悩みを抱えている方が多くいます。ときには、自分よりもひどい状況にいながら、日々前向きに頑張るパパママと出会えることもあります。そんなときは、愚痴をこぼすどころか、「私も頑張ろう」と前向きになれるはずです。 なお、子連れヨガなどの講座へ出向くのもおすすめです。参加中は、ゆっくり話し合うことはできませんが、言葉を交わすうちに悩みを相談できるお友達になれるかもしれません。また、もやもやした気分もすっきりできますよ。
もちろん手軽に悩みを打ち明ける場としてSNSも有効でしょう。ただし、種類によっては、心ない発言がかえってきて、より傷つく恐れもあります。 たとえ、友達だけに限定したSNSにしたとしても、冒頭で説明したとおり、自慢しているように思われ、嫌な顔をされる恐れがあります。 十分理解、注意したうえで、活用しましょう。
■有料サービスを活用する
働く女性が増え、家事代行やベビーシッターなどのサービスを提供する企業が増えてきました。もちろん有料ではありますが、時短や精神的負担軽減を考えると、活用しない手はありません。必要経費とわりきり、どんどん活用すると良いでしょう。
ワンオペ育児の負担軽減するサービス
では次に、ワンオペ育児の負担軽減におすすめできる実際のサービスについて、具体例をあげていきます。
■ベビーシッター
一定時間、子供のお世話をしてくれるサービスです。 未就学児だけでなく小学生を受け入れている場所もあります。また、場所も自宅ではなく、預かるためのスペースを確保しているケースがほとんど。しかも通勤時にお願いできるよう駅近につくられている場合も多いです。保育士などの資格者をそろえていて、当日予約や土日も預けが可能など、質の高さや利便性を売りにしているところも。現在はすぐに利用予定がなくとも、近所にそういったサービスがないか事前に調べておくと、いざというときに安心です。
■助け合いサービス
地域により、市やNPO法人による、助け合いサービスを実施している場合があります。登録制で、預かりなどのサービスを提供したいしたい住民と、利用したい住民とのマッチングを行ってくれるのです。 子育てを終えたシニアや、子育て中の専業主婦の方など、家事や子育てに経験がある方が登録しているケースが多いです。サービス範囲も子供の預かりだけでなく、保育園や学童、塾への送迎など請け負ってくれる場合も。 民間に比べて安価に設定されていることもメリットのひとつと言えるでしょう。
■家事代行サービス
文字通り、家事を代行しているサービスです。夕食の下準備や水回りの掃除など、自分の希望内容でお願いできます。必要なときだけ頼むスポット利用のほか、おトクに利用できる定期サービスなどもあります。定期利用する場合は、スタッフが指定できるところがおすすめ。代行サービス中は不在にしていても良いため、スタッフに信頼ができるようになれば時間を有効活用できます。
一番大事なことは、自分の気持ちを分かりやすく相手に伝えることだと思います。夫も子どもも大事な家族ですが、自分とは違う「一人の人間」です。お互いの気持ちや困っていることを伝えあい、問題を共有し、解決できるように日々取り組むことができれば、ワンオペレーションから脱却できるのではないでしょうか。
【ライター:丸山智子】