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自営業者・個人事業主は扶養内に入れる?注意点・控除について解説

目次

はじめに

街を歩いていると、マンションの一角などで、「ネイルやっています」という看板を見かけることはありませんか?

近年、ネイルやカラーコーディネーターのような専門的技術が身につけやすくなり、少し歩けばそのような看板を目にする機会が増えたように思います。

では、上記のような自宅でネイルサロンやカラーコーディネートを行う場合、扶養家族のまま開業することはできるのでしょうか?それとも自営業主だから扶養家族から出て、自分で保険を払う必要があるのでしょうか?

今回は「自営業主と扶養」についてご紹介します。

扶養に入ることのメリット

主婦をやっていると、103万円の壁という言葉をよく耳にします。

扶養に入るかどうか、主婦にとって永遠のテーマと言っても過言ではないと思います。

では、扶養に入ることによるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

立場の違いや項目ごとにメリットを説明していきたいと思います。

◆主婦(夫)が配偶者の扶養に入る場合のメリットについて【所得税・住民税編】

主婦が夫の扶養に入ると、夫の支払う税金が減る可能性があります。

具体的には「配偶者控除」という制度で、所得が少ない配偶者がいる場合に適用されます。

ざっくばらんに言うと、「養ってあげなければいけない家族がいるので、税金を少なくしてあげましょう」という制度です。

その税金とは、国に納める「所得税」と、地方に納める「住民税」の2つです。

配偶者控除を受けるには、自分自身の年間所得だけでなく夫の所得にも条件がありますが、税金が減るとすれば、それは大きなメリットと言えますよね。

自分自身の年間所得にかんする条件とは、48万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)です。夫の所得に関する条件とは1,000万以下であることです。

実際に受けられる配偶者控除の金額は夫の所得によって金額が異なります。

表にまとめてみましたので、参考にしてください。

簡単に言うと、配偶者の所得が多いほど控除額は減っていきます。

※国税庁|No.1191 配偶者控除、東京都主税局|個人住民税より作成

なお、上で説明したものは、「配偶者控除」という仕組みですが、妻の年間所得が48万円(給与所得のみの場合は103万円)超えていても、その金額によって控除を受けられる「配偶者特別控除」という制度もあります。

なお、今回は主婦の場合で説明をしましたが、夫が主夫で、妻の扶養に入るというパターンもあります。その場合の条件や金額は同じです。

◆子どもが親の扶養に入る場合のメリットについて【所得税・住民税編】

配偶者だけでなく、子どもが親の扶養に入る場合も、扶養控除を受けることができます。

これも支払う税金が減るということにつながり、納税者にとって大きなメリットとなります。

この扶養控除の特徴としては、子どもの年齢が16歳以上から適用されることです。

こう言われると、「え?16歳未満は控除されないの?」と疑問に思う方もいると思いますが、16歳未満の方は地方自治体から児童手当がもらえる仕組みとなっています。

※国税庁|No.1180 扶養控除、東京都主税局|個人住民税より作成

なお、上の表を見ていただけるとお分かりいただけるとおり、住民税については、23歳を過ぎても70歳までは、16~19歳未満と同じように控除されるのがポイントです。

◆親が子どもの扶養に入る場合のメリットについて【所得税・住民税】

親が子どもの扶養に入るときも、所得税や住民税が控除されます。

ポイントは、まず70歳以上であるということをクリアする必要があること、そして同居しているかどうかで金額が変わってくることです。

「老人扶養親族(70歳以上)における扶養控除額」

※国税庁|No.1180 扶養控除、東京都主税局|個人住民税より作成

なお、70歳を超えても収入が一定以上ある場合は適用外となります。

◆その他のメリット【社会保険】

扶養に入ることで控除等、税制上の優遇が受けられるだけでなく、健康保険や年金などについても優遇措置が受けられます。

本来であれば金額負担がある健康保険ですが、扶養に入れば料金負担なしに健康保険の対象になります。

また、年金についても、保険料を納めていないにもかかわらず、国民年金の第三号被保険者として将来国民年金を受けることができるのです。

ただし、負担するのは厚生年金なので、配偶者が厚生年金に加入しておらず国民年金の場合は、そもそも扶養という扱いがないので注意が必要です。

扶養家族のまま自営業主になれるの?

自分の特技を活かして自営業を営むのは、ある種、理想的な働き方といえるでしょう。ただそれに対する憧れとは裏腹に、「扶養の範囲内で自営業主になることなんてできるの?」という疑問が沸き上がるのも当然のことだと思います。

なぜならば、主婦の方はずっと配偶者の扶養内にいたから、税金や保険のことを意識する機会があまりなかったと考えられるからです。

そこでこちらでは、税金や保険のことが苦手な方が読まれてもご理解いただけるように、分かりやすく説明しますので安心して読み進めてくださいね。

まずは、メインのテーマである「自営業でも扶養家族でいられるかどうか」についてご紹介します。

個人事業主でも扶養範囲内になるケース

次に、個人事業主として開業していたとしても扶養に入れるケースについて説明していきます。税制上、または社会保険上の優遇措置が受けられる可能性があるのでしっかりと抑えていきましょう。

◆配偶者に扶養に入るケース

現在、夫(または妻)の扶養に入っていながら個人事業主として開業したとしても、所得合計額が一定以下であれば、そのまま扶養に入ることができます。

扶養に入れば、配偶者控除、または配偶者特別控除が適用され、夫、または妻が所得税および住民税において優遇を受けることができます。

ちなみに配偶者控除を受ける所得合計額の条件とは48万円です。

「え?103万円じゃなかったの?」と驚かれる方が多いと思いますが、103万円というのは給与所得者の場合なので、給与制ではない個人事業主の場合は48万円の壁ということになるのです。

ただし48万円を超えても133万円以下であれば、配偶者特別控除が適用されます。

なお、当然ですが、この配偶者控除、または配偶者特別控除は、夫、または妻のどちらかしか受けることができません。

お互いを扶養に入れることができないということです。

◆親族の扶養に入るケース

配偶者がいない場合でも、6親等以内の血族、または3親等以内の婚族といった親族の扶養に入ることが可能です。

ただし、年間所得が48万円以下であることが条件となります。

なお、配偶者控除とは異なり、扶養者となる親族の所得に制限はなく、たとえ年間所得が1,000万超えていても控除が適用されるのが特徴です。

◆個人事業主が扶養に入るのは得かどうか

個人事業主が扶養に入ることができる2つのケースを紹介してきましたが、そもそも開業したのに扶養に入ることが得なのかというと、「必ずしも得ではない」というのが答えとなります。

たしかに、配偶者、または親族の所得税や住民税が控除されれば、支払う税金が減るといったメリットや社会保険上の優遇がありますが、本人や配偶者の金額によって決して得とは言えない状況が発生するのです。

たとえば下記の一例をご紹介します。

【夫の給与所得が500万円、社会保険料控除が80万円、妻の所得を48万円以内に抑えたケース(扶養)】

≪所得税の計算方法≫

まず、年間の給与所得から各種控除を引き、課税対象金額を出します。

給与所得    基礎控除   社会保険料控除  配偶者控除 = 課税所得金額 

500万円   48万円      80    38万円 =  334万円

334万円の場合の所得税率は20%*1です。

課税所得金額が334万円の場合、427,000円の控除を受けることができます*2から最終的に所得税は以下の金額になります。

(*1*2 :国税庁|No.2260 所得税の税率参照)

課税所得金額   税率     控除    = 所得税

334万円   20%    427,500円  = 240,500

≪住民税の計算方法≫

次に住民税の計算です。

住民税も同じように、年間の給与所得から各種控除を引き、課税対象金額を出します。

給与所得    基礎控除   社会保険料控除  配偶者控除 = 課税所得金額 

500万円     43     80万円     33万円 =  344万円

住民税の税率は10%なので、この場合の住民税は以下のようになります。

課税所得金額   税率  = 住民税

344万円   10%  = 344,000

次に、所得から所得税と住民税を引いた手取金額を見てみましょう。

夫の給与所得 + 妻の所得  社会保険料 - 所得税   住民税  = 手取金額

500万円 + 48万円 -  80  - 240,500円  344,000 = 4,095,500

このケースの場合は、実質的に手元に入る金額は、4,095,500円ということになります。

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【夫の給与所得が500万円、社会保険料控除が80万円、妻の所得が150万円で扶養から外れ社会保険料に20万円支払ったケース】

≪所得税の計算方法≫

まず、年間の給与所得から各種控除を引き課税対象金額を出しますが、今回は配偶者控除が適用されません。

そこでご主人の所得税は以下のように計算します。

給与所得    基礎控除   社会保険料控除  = 課税所得金額 

500万円   48万円      80万円    =  372万円

課税所得が372万円の場合も、所得税率は20%であり、控除額は427,000円となります。

課税所得金額   税率     控除    = 所得税

372万円   20%    427,500円  = 316,500

夫の所得税は316,500円となり、配偶者控除を受けられない分あがっています。

次に妻の所得税を計算します。

事業所得    基礎控除   社会保険料控除  = 課税所得金額 

150万円   48万円      20万円    =  82万円

課税所得が82万円の場合は5%ですから所得税は以下のようになります。

課税所得金額   税率     控除   = 所得税

82万円     5%     0円   = 41,000

≪住民税の計算方法≫

次に住民税の計算です。

住民税も同じように、年間の給与所得から各種控除を引き、課税対象金額を出します。

給与所得    基礎控除   社会保険料控除  = 課税所得金額 

500万円     43万円     80万円     =  377万円

住民税の税率は10%なので、この場合の住民税は以下のようになります。

課税所得金額   税率  = 住民税

377万円   10%  = 377,000

次に妻の住民税を計算します。

事業所得    基礎控除   社会保険料控除  = 課税所得金額 

150万円     43万円     20万円     =  87万円

結果、妻の住民税は以下のようになります。

課税所得金額   税率  = 住民税

87万円    10%  = 87,000

次に、2人の所得から所得税と住民税を引いた手取金額を見てみましょう。

夫と妻の所得   社会保険料 -   所得税     住民税    = 手取金額

(500万+150)(80万+20)(316,50041,000円)-(377,000+87,000) 4,678,500

こちらのケースでは、手取金額が4,678,500円ということになります。

以上のように、扶養から外れても手取りが増える場合があり、扶養に入ったほうが得というわけではないことが分かりました。

なお、今回、個人事業主として青色申告を行うと、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるので、税の支払いを抑え手取金額を増やすことも可能です。

いずれにせよ、妻の事業所得等により状況が変わると言えますね。

自営業主でも扶養家族でいられるの?

自営業主でも、扶養範囲を超えなければ扶養家族に入ることができます。

配偶者控除が適用されたり、健康保険や国民年金などの社会保険についても優遇措置を受けたりすることができます。

ただし、青色申告で、青色事業専従者という制度を利用し、ある家族に給与を支払い、それを経費として支払った場合、その家族は扶養控除の対象になりません。

たとえば、夫が給与所得者、妻が開業し青色申告をしていて、妻が18歳になる子どもに青色事業専従者として給与を支払っているとします。

通常、16歳以上の子どもは夫の扶養親族として控除を受けることができますが、青色事業専従者は対象外となるので、控除が受けられなくなります。

結果、夫の税負担が重くなる可能性がありますので注意が必要です。

「年収103万円の壁」とはどんな壁?

まず国税庁のホームページの『No.1191 配偶者控除』を見てみましょう。そこには、「控除対象配偶者となる人の範囲」が書かれてあります。

その中に、「(3)年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」という一文が。ここで、「103万円の壁」である“103万円”が登場します。

つまり、給与収入が103万円を超えると、自分で所得税を支払う義務が生じるわけです。では、その前に書かれてある「合計所得金額が38万円以下」とはいったい何のことなのでしょうか?

「合計所得金額が38万円以下」って何のこと?

まず38万円という金額についてですが、この額は「基礎控除の金額」のことです。

国税庁のホームページでは、「基礎控除」を「確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つ」と説明しています。

以上より38万円とは、「所得税の計算に使用される基礎控除額」のことになります。

例えば、あなたの収入が103万円だった場合、給与所得控除が65万円、基礎控除額が38万円ですから、103万円からそれぞれの控除額を引くと所得税額は0円なので、自分で所得税を払う必要がないというわけです。

ただここで新たに、「給与所得控除65万円」という言葉が出てきましたが、これはいったい何のことなのでしょうか?

「給与所得控除65万円」って何のこと?

こちらも国税庁のホームページの『No.1410 給与所得控除』の説明を読んでみると、「給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出」すると書かれてあります。

ただこのとき、確定申告の際「青色申告」を行うことで、65万円が控除されます。これが「給与所得控除65万円」の正体です。

ちなみに確定申告を行うとき、「白色申告」か「青色申告」を選択することができます。そのときはぜひ「青色申告」を選びましょう。

その一番の理由は、「特典がいろいろと受けられるから」です。その違いをよりご理解いただくためにまずは「白色申告」について説明します。

「白色申告」は事前に申請を行う必要がないので、事前申請を行わなかった人は必然的に「白色申告」になります。

この「白色申告」で確定申告を行った場合、記帳する内容は、売上先や金額などの収入、必要経費などだけです。特に簿記の知識がなくても対応できるので、初心者向けだと言われています。ただ特別控除などの特典はありません。

一方「青色申告」は、青色申告を行う年の3月15日までに青色申告承認申請書の届け出が必要です。また、帳簿は複式簿記による帳簿付けを行うため、簿記に関する知識も必要になります。

ただ、青色申告で貸借対照表及び損益計算書を添付して確定申告を行う場合は、65万円の青色申告特別控除を受けられるという大きな特典が。以上より、確定申告は青色申告でおこなうのがおすすめです。

「年収130万円の壁」とはどんな壁?

ここまでで、「年収103万円の壁」が「所得税の壁」であることはご理解いただけたかと思います。では、「年収130万円の壁」とはいったい何の壁なのでしょうか?それは「扶養の壁」です。

つまり、「年収130万円の壁」とは、自営業主が扶養から出て、国民健康保険料と国民年金を支払うかどうかのボーダーラインのことを指します。

では自営業主が扶養から出て、国民健康保険料と国民年金を支払わなければならないのは、年収がいくらからなのでしょうか?

自営業主が国民健康保険料を払うのはいくらから?

おそらく皆さんは、配偶者の健康保険の種類はご存じのことでしょう。

ただ健康保険には種類がいろいろあり、例えば、主に大企業が単独で設立している「組合健保」や主に中小企業が加入している「協会けんぽ」などは、世間的にもよく知られている保険ではないでしょうか。

あと、国家公務員や地方公務員、また私立学校を対象とする「各種共済組合」なども知名度が高い健康保険としてあげることができると思います。

私がそれらの健康保険の扶養から外れる年収を調べたところ、どの健康保険も「被扶養者(60歳未満)が年収130万円(月額平均108,334円未満)を超えると見込まれるとき」と設定していました。

ただ、その年収額はあくまでも私が確認したところに限ります。一方、健康保険の種類はかなり多いですから、中には個人事業主というだけで、被扶養者から外されるところもあるそうです。

ですから扶養外になる年収については、配偶者が加入する健康保険の公式ホームページで必ず調べてください。

ところで、自営業主が国民年金に加入しなければならない条件は、どうなっているのでしょうか?

自営業主が扶養から外れて国民年金に加入する条件は

「国民年金」も健康保険の扶養対象外の条件と同じく、130万円までの収入であれば第3号被保険者として扶養の範囲に入ることができます。

詳しくは、『日本年金機構』の「従業員が家族を扶養にするときの手続き」の「被扶養者の認定」の「(1)収入要件」に、「年間収入130万円未満」とあり、さらに「給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下。雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であること」と書いてあります。

ただ上記の通り、国民年金の場合、収入から経費を差し引くことができるため、収入条件が多少緩和されているといえるのではないでしょうか。

参照元

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm No.1191 配偶者控除|国税庁
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html#gaiyo_07 個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm No.1410 給与所得控除|国税庁

おわりに

いかがですか?扶養でも、自営業主になれるのは意外なことだったのではないでしょうか。

また世間でよく言われている「103万円の壁」や「130万円の壁」のことも、ご理解いただけたことでしょう。

税金や保険を理解することは、本当に難しいと思います。ただ特に今年はいよいよ消費税が増税され、少しでもやりくり上手にならなければ、損をしてしまう可能性も。

これを機に自分と大切な家族のためにも、しっかりと税金と保険について、正しい知識を身に付けませんか?

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