派遣と業務委託の違いを徹底解説!メリット・デメリットを知り、自分らしい働き方を♪
派遣と業務委託の違いってどんなところ?
2018年は働き方改革元年とも言われ、日本の雇用体系を大きく変える節目の年になったという声もあります。
多様化する日本労働環境の中で、さらに増加していく傾向にあるのが、正社員ではなく「派遣」や「業務委託」という働き方です。
ざっくり両者の違いをご説明すると…
「派遣」とは、派遣会社に登録してその会社から他の企業に派遣されて働く働き方です。
一方、「業務委託」とは、個人で企業と「業務委託契約」を結び、個人で仕事を請け負って成果物を提出することによって報酬を得るという働き方です。
両者は、正社員とは違いその企業に属さない形で「労働力」や「成果物」を提出するのが一般的で、いわゆる「外注」の一つと言えば、わかりやすいのではないでしょうか?
企業に属さない働き方としてよく比較される「派遣」と「業務委託」。今回は、両者の違いとメリットやデメリット、そして自分ならどちらを選ぶ方が向いているのか?といった読者の疑問にお答えします。
派遣と業務委託の違いを知るとこんないいことがある!
「派遣」と「業務委託」は、どちらも企業から見ると「外注」という扱いになりますので、そこは共通しています。
なんとなく、両方共フレキシブルな働き方ができそうといったイメージがありますが、両者はまったく違います。
派遣と業務委託の違いを知ることで、自分のライフスタイルに合ったフレキシブルな労働環境を手に入れることができます。まずは、派遣や業務委託の就労形態から違いを見ていきましょう。
派遣とは?
まずは、派遣とはどんな働き方をするかについて解説します。
派遣とは、派遣会社と労働者が雇用契約を結び、派遣先の企業で労働力を提供する働き方のことです。
社内でしか提供できない業務などを、企業が外注したい場合に派遣労働者を使います。
派遣という形で働くと、派遣先の企業の担当者が、派遣社員に対して行うべき業務を指示しますが、派遣先でのトラブルについては、雇用主となっている派遣会社が解決することが決められています。
派遣契約には3つのタイプがあります。
<一般派遣>
一般派遣とは、派遣会社が労働者に仕事を紹介し、一定期間だけ働く形式です。登録型派遣とも呼ばれており、派遣先一カ所に対して最長3年までという期限があります。
派遣期間が終了すると、雇用契約も終了となるので、次の派遣先を探す必要があります。次の派遣先が決まると、再度派遣会社と雇用契約を結び次の派遣先へと派遣される仕組みに成っています。
給料がもらえるのは、派遣期間のみとなっていて、大抵の場合は時給制です。
<特定派遣>
特定派遣は、派遣会社に正社員として雇用されているため、一般派遣と違い常に収入が安定していました。
また、無制限で雇用されているため、派遣先への就業が決まっていない期間でも、一定の給与が支給される仕組みになっていました。しかしながら、平成30年9月末にてこの制度は終了しています。
<紹介予定派遣>
紹介予定派遣とは、派遣社員として派遣会社から企業に派遣されたのち、最長6カ月間の派遣期間が終わると、派遣先の企業の正社員あるいは契約社員として登用される働き方のことです。
雇用されるかどうかは、企業側と労働者側の合意が必要なので、必ず直接雇用になるという確約はありません。採用されない場合は、契約期間が終了となりますので、一般派遣同様、一から仕事探しをするということになります。
業務委託とは?
続いて「業務委託」について解説します。業務委託とは、企業と対等の立場で仕事の依頼を受け、必要な業務を行い成果物を提出することで報酬を得る働き方です。
企業と対等の立場で仕事の依頼を受けるので、その分責任も重くなります。
業務委託契約の場合は、派遣と違い社外でも行えるような仕事を外注で請け負うという形になります。行う業務内容やどのぐらいの費用で請け負うか、また納期はいつまでにするのか?と言ったことを企業側と話し合いで決めてから、業務に移ります。
派遣には関連する法律がいくつかありますが、業務委託の場合は、サービスの提供者である個人に対しても、受注者である企業側に対しても取り締まるべき法律がありません。
基本的には、「請負契約」と「委任契約」という二つの形で仕事を請け負うことになっています。
それでは、請負契約と委任契約にはどんな違いがあるかも確認しつつ、両者について解説していきます。
<請負契約>
請負契約というのは、民法623条には「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。
この法律では、業務を請け負った側が、業務を行った後に成果物を提出することで、クライアント(企業や個人)から報酬を受け取るということを意味しています。
業務委託契約では、クライアントと契約した内容に則り、業務を行わなければなりません。期日までに納品できなかったり、納品後の検収で不可となった場合は、報酬も発生しないのです。
業務委託の中で請負契約となるのは、どんな場合でしょうか?
・家の建設を大工さんに依頼する
・企業がプログラミングソフトの開発を外注する
・ウェブサイトの運営者が記事の執筆を依頼する
などです。
<委任契約>
続いて「委任契約」について見てみましょう。委任契約は請負契約と違い成果物ではなく、業務を行うこと自体に報酬を支払います。
委任契約は、プログラムしたシステムや執筆した記事といった明確な「成果物」を提出するのではなく、「サービス」を提供する場合に使われます。
委任契約と請負契約の共通点は、依頼主が業務委託者に対して直接指示命令をすることがないということです。ここが、派遣とはまったく違っている点で、業務委託では個人の裁量によって業務を進めていけるという特徴があります。
委任・準委任契約には、どんな働き方があるでしょうか?
・ビル管理会社が清掃会社にビル清掃を依頼する
・IT企業がフリーのエンジニアにシステム管理を外注する
・個人事業主が会計業務を税理士に依頼する
・被害者が弁護士に弁護を依頼する
このような業務形態の場合は「委任契約」となります。
派遣のメリットとデメリット
派遣と業務委託の違いもしっかりと分かったところで、ここからは、派遣のメリットとデメリットを見ていきましょう。
まずは、メリットから
<派遣のメリット>
派遣のメリットは、自分の働きたい仕事や就業時間を選べるという点です。例えば、毎日午前中4時間だけの勤務で事務職を希望すれば、このような条件の派遣先を派遣会社が紹介してくれます。
業務委託契約と違い、自分で仕事を探して個別に契約する必要もないので、仕事探しで困ることはありません。
また、業務委託契約のように成果物を提出する、サービスを完遂するといった縛りもないので、定時で仕事を終えて帰宅できるというメリットもあります。
さらに、紹介予定派遣制度を利用すれば、将来的に正社員として働ける可能性もあるので、安定した収入を得たい方であれば、派遣という働き方はある意味メリットがあると言えます。
この他のメリットとしては、派遣の場合は、一定の条件を満たせば社会保険への加入も可能ですので、業務委託契約と違い福利厚生の部分が多少充実しています。
<派遣のデメリット>
続いて派遣のデメリットをみていきましょう。派遣会社の解約は、最短3ヵ月か6ヵ月ほどと期間が決められています。また、同じ派遣先に派遣できるのは、3年までと定められており、これを超過して働くことができません。
そのため、派遣社員となると、あまり重要ではない単純作業のような仕事を担当するのが基本で、仕事にやりがいを感じられないケースも多いようです。
業務委託のメリットとデメリット
派遣のメリットとデメリットをご紹介しました。派遣のメリットは、仕事を探す営業活動をしなくてもいいということで、デメリットは、やりがいのある仕事をさせてもらえないということでした。
続いては、業務委託のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
<業務委託のメリット>
業務委託のメリットは、なんといっても自分の能力を生かして得意分野で働くことができるという点です。また、業務委託の場合は、基本的に個人事業主になりますので、自分の頑張り次第で収入がどんどん増えるというメリットもあります。
クライアントから請け負った仕事を、きちんと契約内容に添って納品することさえできればよいので、業務委託の場合は、働く時間もいつでもよく、働く場所も指定されていないのが特徴です。
家で働いてもよし、カフェや図書館をオフィス代わりにしてもよし、好きな場所で働けるというメリットがあります。また、業務に支障がなければ、深夜、早朝あるいは土日といった、空き時間で仕事を行うことも可能です。
もちろん、決められたレギュレーションがある場合もありますが、出勤・退勤に関するルールは、ほぼないので、納期さえ間に合うのであれば、体調の悪い日などに無理して働く必要もありません。業務委託はその仕事の特性上、会社内でやる必要がないということが前提条件です。
そのため、一人でコツコツとできるような仕事が多く、人間関係の悩みもありません。基本的に一人で仕事を進めていきますし、コミュニケーションもチャットツールなど文字が多いので、対人関係の悩みがほぼゼロというのもメリットと言えるかもしれません。
<業務委託のデメリット>
では、業務委託のデメリットについてはどうでしょうか?業務委託の場合は、派遣会社い登録しているわけでもなく、企業に属しているわけでもありません。そのため、労働法の補語を受けられないというデメリットがあります。
また、仕事を探す営業活動や報酬をもらった後の会計処理、そして年度末の確定申告などの会計業務も含めて、マルチにこなさなければなりません。
社会保険もすべて自分で負担となり、住民税や年金の支払いなどもかなり多いですので、金銭的な面でかなりプレッシャーを受けるというデメリットがあります。
派遣と業務委託が抱える社会問題
短時間勤務もでき、選べる職種や業種も豊富な「派遣」ですが、かなり3ヵ月から6ヵ月、長くても3年までしか働けないということもあり、社会的にはかなり不安定な働き方と言われています。
また、「派遣切り」という深刻な問題も抱えており、仕事を失って路頭に迷う…なんてことになる方も一定数はいるようです。
派遣でも紹介予定派遣で正社員に登用されれば、収入は安定しますが、そこまでには半年以上かかりますので、経済的な安定を望むのが難しいと言えるでしょう。
また、派遣だとボーナスや交通費の支給がなかったりしますので、正社員に比べると収入格差が生じやすいとも言われています。
業務委託の問題点は、労働法の保護が受けられないことから、依頼主から不当な成果物の差し戻しを受けたり、ありえないような低単価での仕事受注を強制されてしまうといった点です。
また、業務委託契約で仕事を行う個人事業主の場合も、派遣同様収入が安定しない傾向にあります。
仕事を見つけられない場合や成果物を期限までに収められないような事態が発生すると、収入がゼロになってしまいます。もちろん、個人事業主になると決めたのは自分の責任ですが、そういった面で経済的に非常にシビアな状態に置かれる可能性があるということは、あらかじめ知っておきましょう。
派遣と業務委託どちらが私に向いてるの?
派遣と業務委託の違いについてお伝えしてきました。ここまで本文をご覧になった方は、自分にはどちらの働き方が向いているというのが、何となくお分かりいただけたのではないでしょうか?
営業から経理まですべての業務をこなさなければならない業務委託契約は、自分に売りたい能力や特別な才能、スキルを持ち合わせていることが条件です。
働く時間も場所も選ばない、自由なワークスタイルが魅力で、若い世代の中には、業務委託契約という形で個人事業主として働きたい方も増えてきています。
一方、派遣についてですが、安定はしないものの、どうしても仕事を見つけたいという方におすすめです。派遣の仕事は単純作業なども多く、誰でもやれるような業務が中心ですので、自分には、特別な才能もない資格やスキルもない、だけど仕事が欲しいという場合は、まずは派遣から始めてみるのが良さそうです。
また、派遣会社の中には、手厚い福利厚生がつく場合や、スキルアップ研修を実施してくれる会社も多数あります。自分で社会保険に加入したり、国民年金を収めていくことが、経済的に厳しい場合は、派遣も働き方の一つではないでしょうか?
派遣と業務委託の違いを知って自分に合った働き方をしよう!
派遣と業務委託の違いをご紹介いたしました。それぞれ働き方のメリットとデメリットもお伝えしましたが、いかがでしたか?
業務委託は、軌道に乗れば莫大な報酬を得ることも可能な働き方で、サラリーマンから転向する方も少なくありません。一方派遣はいわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる低所得層を生み出す温床にもなっており、今後も法整備や政府の施策が改善されていく必要のある働き方です。
派遣も業務委託も、どちらも正社員に比べてやや不安定な働き方であるという点では共通しています。しかし、子育てや介護などで、正社員として働くことが難しいという方も多く、今後ますます日本の働き方は多様化していく見込みです。
大切なのは、自分のライフスタイルと特性に合った働き方を選ぶことです。今回ご紹介した内容を参考に、どんな働き方が自分には合っているのか?じっくり検討してみるとよいかもしれません。