アメリカにフリーランス人口が多い理由とは?日本との違いも解説
はじめに
日本は何事においても、意識下にアメリカがあるように思います。例えば、日本の映画広告と言えば、「“全米”が泣いた!」「“全米”驚愕!」など、アメリカを念頭においた広告の打ち方をしていますが、この手法は何十年と続いているものです。
つまり戦後以来日本では、物事の基準を考える際、いつも念頭にアメリカを置いて考える傾向にあると考えられます。ましてや、経済や雇用に至っては、まずアメリカの動向を踏まえて、自国の日本の場合に置き換えて考えているようです。
この考え方の良し悪しは別にして、アメリカは世界の経済大国であることは間違いありません。文化や風習は違っても、見習うべき点はいろいろあると思います。
そこで今回は、アメリカのフリーランス事情と、対する日本はフリーランス事情をどうすべきかについて考えます。
アメリカはフリーランス大国!?
「経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室」が発表した『「雇用関係によらない働き方」について(現状と課題)』によると、「アメリカの労働力人口の1億5,700万人のうちの35%、約5,500万人がフリーランスとして仕事を受けており、現在増加傾向」にあるそうです。
しかも、私のような本業の傍ら副業をしているフリーランサーと「雇用を持たないフリーランサー(インディペンデント・コントラクター)」の割合が35%と同率になります。
ちなみに日本でインディペンデント・コントラクターに該当するのが「自由業系フリーワーカー」になると思いますが、副業の中でその方たちが占める割合は、6%とかなり低いです。そして(と言うか、やはり)私のような「副業系すきまワーカー」の占める割合が一番高く、全体の39%にもなります。
アメリカでは、インディペンデント・コントラクターは今後ますます増えるとされており、「フリーランサーズユニオン」によると、来年の2020年には「労働人口の約50%がフリーランスとして働く」という予想もされているようです。
なぜアメリカはフリーランスが主流になりつつある?
正直、その理由は「これ!」と示せるものではなく、あらゆることが組み合わさった結果、アメリカではフリーランスが主流になりつつあるような気がします。
まず一番に考えられる理由としては、「インターネットによってフリーランスの価値が明確になった」ことでしょう。
分かりやすく、日本の有名な例を挙げてみると、こちらの『「雇用関係によらない働き方」について(現状と課題)』にも参加している、「ランサーズ株式会社」や「株式会社クラウドワーク」のようなサイトがそれに該当すると思います。
つまり、オンラインサービスで、「Aという仕事をやってもらいたい企業」と「Aの仕事ができる人物」の結びつきがより早くできるようになり、ビジネスのスピードは格段に早くなりました。
その結果、企業サイドにすれば、今までのように費用と時間をかけて、従業員を採用する必要がなくなってきます。同様に、個人としても“会社”という大きな組織に属さなくても、個人で仕事が得られるようになったのです。
そうなると、「わざわざ“会社”という大きな組織に属さなくても、通信機器を用いてうまく自己のブランディングを行えば生活できる」ということも、フリーランスが主流になりつつある理由と言えるでしょう。いずれにしても、インターネツトの普及は、アメリカのフリーランスにも大きな影響を与えたようです。
ほかに考えられる理由は、「通信機器の発達により、いつでもどこでも仕事ができるようになった」から。
これも、せんえつながら私の場合で説明すると、スマートフォンさえあれば、記事のテーマをインターネットで調べることができ、Googleのスプレッドシートにアップしておけば、パソコンからでも記事の続きを作成できますが、これを可能にしたのは、まさに通信機器の発達によるものでしょう。
日本のフリーランス事情について
では日本のフリーランス事情はどうなっているのでしょうか。
先ほどの『「雇用関係によらない働き方」について(現状と課題)』によると、日本のフリーランスの数は1,064万人で、その中でも割合的に一番多いのが、先ほども少し触れましたが、私のような「常時雇用されているが副業としてフリーランスの仕事をこなせる」副業系すきまワーカーになります。
しかも、日本を代表する会社「トヨタ自動車」の社長が、「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と言っても、インターネットが普及して、自分のことをブランディングしやすい時代になったと言っても、日本では「正規雇用」を“良”とする考え方が根強いです。
一方、世阿弥の言葉ではないですが、日本文化の根底には、「秘すれば花」という考え方があります。また数年前には「忖度」という言葉が流行りましたが、こちらも日本人特有の考え方でしょう。
つまり、日本人には「組織に属して、表立って目立たないこと」「相手の気持ちを慮って行動すること」を“美”とする考え方があり、その日本的文化の影響もあってか、日本人は諸外国に比べ、自己のブランディングを苦手とする人が多いとされています。
以上より、日本ではアメリカのような「フリーランサーの時代到来」とは、なかなかならないのではないでしょうか。
アメリカのフリーランス事情で日本が見習うべき点は
以上のように、私も含めですが、日本のフリーランスのメインは、「副業型フリーランサー」になります。おそらく副業型フリーランサーをしている方の多くは、「収入を増やしたい」からそうしているのではないでしょうか。
ただ、そうすることにより、家族と過ごす時間が減ってくるのも事実でしょう。そのため、日本のフリーランサーの多くは、「家族と過ごす時間を確保するのが難しくなった」と感じているようです。
私も、やれ工場見学だ、それお祭りだ、ほれ遊園地と、休日だけはすべて、子どものために使っています。ただ、一緒に家でまったり過ごす時間だけで考えると、副業を始めてからその時間は短くなったと思います。
ただ、その分子どもとは、「質より量」で濃密な時間の過ごし方をするように心がけています。
しかしアメリカでは、ほとんどのフリーランサーは「親子で過ごす時間が増えた」と感じているようです。この理由はアメリカの多くのフリーランサーは、私のような副業型ではなくメインで行っているので、自分のペースで仕事を進めることができているからでしょう。
なかなか国も違えば、考え方も違うので、真似るように言っても難しいのは百も承知です。でも、アメリカ人の「家族で過ごす時間を大切に」という考え方は見習うべきと言えるのではないでしょうか。
日本のフリーランス事情の今後について
日本には「終身雇用」という世界でもまれな雇用形態があります。一方で、日本を代表する企業のトップが、「終身雇用の終焉」を語って話題になりましたが、「終身雇用」の考え方が、根底から覆されようとしているのも事実でしょう。ですから、終身雇用が今後もずっと続いていくとは考えにくいと思われます。
また2020年には東京でオリンピックが開催されます。そのときの日本の交通事情を考えて、企業の中でも「テレワーク」の考え方がかなり浸透してきています。
あと今年も例年に違わず、天災の多い年でした。そんな中、フリーランスに興味を持った方も少なくはないようです。しかも、通信機器の普及と発展は今後必ずさらに進んでいきます。
以上より、日本のフリーランス事情は、今後伸びていくものと考えられるのではないでしょうか。
おわりに
それぞれの国には、自国の文化や歴史があります。その文化や歴史は、自国の国民性に大きな影響を与えているのです。
例えばアメリカは、移住してきた人々が開拓してアメリカという国を発展させてきた歴史があります。そのため、人々の心の根本には、「誰かに支配されたくない」「自分の人生は自分で切り開いていきたい」という考え方が。
ですから、フリーランスという働き方が怒涛の勢いで進んでいったのでしょう。
一方控えめで自己主張が苦手な日本人の間には一見、フリーランスという就業形態は浸透しないような感じがあります。しかし、几帳面で自己管理能力が高いという日本人の特長に、フリーランスはぴったりです。
しかも日本では今年、消費税が増税され、ますます家計が厳しくなることから考えても、今後日本でフリーランスになる方は増えていくのではないでしょうか。