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慶弔費とは?意味や読み方・正しいマナーなど個人事業主必見の対応を解説!

目次

慶弔とは?

慶弔とは、「結婚や出産などといった喜ばしい出来事(お祝い事)」と、「病気や死などといった不幸な出来事」との両方を指した言葉で、「けいちょう」と読みます。

いずれも、日常とは異なる特別な状況であるため、それらを表現する言葉が作られたと言えるでしょう。

慶弔の種類とは

慶弔と一言でいっても、さまざまな種類があります。

慶弔それぞれ、代表的なものをご紹介します。

【慶】

・結婚祝い

・出産祝い

・開業、開店祝い

・昇進祝い

・就任祝い

・上場祝い

【弔】

・傷病見舞い

・災害見舞い

・死亡弔慰金(香典など)

慶弔ともに、親戚や知人など個人に対するもの、仕事上の取引相手に対するものに分かれています。

慶弔費とは?

慶弔費とは、社員やその家族に慶弔があった場合、会社から支給されるお金のことで、「慶弔金」「慶弔見舞金」などと呼ばれています。

具体的には、結婚したときの祝い金や入院等で支払われる見舞金、不幸があった場合の香典などのことを指します。

これらの支給に関しては法的に定められているわけではありません。

それぞれの企業が独自に規定として定めるものであり、福利厚生のうちのひとつと言えます。

▽慶弔費は法定外福利厚生のひとつ

健康保険や厚生年金などといったものは「法定福利厚生」と呼ばれており、企業は、必ず導入するよう義務づけられています。

いっぽうで慶弔費は、必ずしも導入の必要のない「法定外福利厚生」のなかのひとつです。

法定外福利厚生はこのほかにも、住宅手当や人間ドックの費用補助、短時間勤務制度などが挙げられます。

▽慶弔費を導入している企業は8割越え

繰り返しになりますが、慶弔費は法定外福利厚生であり必ずしも導入の必要はありません。

しがたって、慶弔があっても会社から何ももらっていないという方もいます。

とはいえ、導入している企業は8割越えなどという調査結果があります。

さきほど例に挙げたような法定外福利厚生のなかでも、慶弔費の導入率は高めの傾向にあります。

参照元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 平成30年「企業における福利厚生施策の実態に関する調査

▽慶弔費の相場はいくら?

慶弔費には結婚祝いや弔慰金などがありますが、その額は企業によって異なります。

参考までに、慶弔費の相場についてケース別にご紹介していきます。

・結婚祝い(本人)…1~3万円

・出産祝い(本人または配偶者)…1~3万円

・傷病見舞い(業務外の場合)…1万円前後

・災害見舞い(本人の住居)…2~5万円

・死亡弔慰金(家族)…1~5万円

相場と言っても、このように金額にある程度の開きがあるのが特徴です。

法律で決められているわけではないので、金額は各企業が自由に設定できるためです。

ちなみに法定外福利厚生の多くは、500人未満の企業より1,000人以上、5,000人以上などといったより大きな企業の方が、金額も大きく手厚いサービスを実施する傾向にあります。

基本的には、企業への愛着心を高めるといった目的で導入されています。

(参照元:日本経済団体連合会 2019年「第63回 福利厚生費調査結果報告」)

▽慶弔費は非課税扱い

慶弔費を金銭で渡された場合は原則非課税扱いとなり。消費税が発生することはありません。

したがって経理処理を行う際には、非課税で計上することとなります。

いっぽうで現金ではなく、花束など贈答品を渡す場合、消費税の課税対象となります。

同じ慶弔費でも経理処理の仕方が異なるのに注意が必要です。

ただし、これはあくまで原則です。

現金で支給する場合において、その額が社会通念の範囲を超え多額になる場合は、臨時的な給与と見なされ課税の対象となります。

慶弔費を簡単に判断する方法とは?

慶弔費は福利厚生のひとつであることはお分かりいただけたと思います。ついては、経理上、福利厚生費で処理するということは容易に推測できるでしょう。

しかし、福利厚生費ではなく交際費として処理すべきケースもあります。

それは、取引先など、社外の人間、たとえば得意先や仕入れ先などといった取引先の方に贈る場合です。

交際費というのは、取引先に行う接待や慰安、贈答などの行為のための支出を指します。

したがって、取引先への慶弔も、交際費のひとつに分類されるというわけです。

つまり、「社内だったら福利厚生費」、「社外だったら交際費」と、簡単に判断することができるのです。

慶弔費に関して知っておいて欲しいこと

私も新入社員時代に「会社のものを買ったときは必ず、領収書をもらってきてね」とよく言われ、領収書をもらい忘れると怒られたものでした。

ママワークスコラムをご覧の皆さまにとって近い例を挙げれば、例えば、結婚式に行って御祝金を渡す際、「領収書をください」と言われたら「え~!?」って思いませんか?

逆に皆さまなら、「領収書をください」と受付の方に言えますか?私は友だちの結婚式の受付を何度かしていますが、今までそのようなことを言われたことがありません。つまり、結婚式のお祝い金には、領収書が出ることはほとんどありません。

それは出産祝いも同じことですが、お祝いをもらったとき、「領収書をください」と言われたら、面食らってしまいますよね?また自分が、出産祝いを渡したとき、「領収書をください」なんてちょっと言いづらいことでしょう。

ある程度年齢を重ねると、「こうするのは非常識だ」と何となくその場の空気を読むことができると思います。

しかし、もし私が若ければきっと、その場の雰囲気を察してあえて何も言わない代わりに、「こんな時、領収書はどうすればいいんだろう…」と自分の気持ちの中で悶々としていたのではないか、と容易に想像することができます。

でもこちらを読んでいただければ、悶々とする必要はありません!こんな場合は、「出金伝票」を用意しておけば大丈夫です。出金伝票に、「いつ・誰に・どこで・どんな目的(「結婚式参加のため」のようなこと)で・いくらか」を書きましょう。

ただ、勤め先によっては、結婚式の場合は招待状、ご葬儀の場合は会葬礼状を添付するように言われるところもあると思います。またそれらがあれば、確実な証拠になりますので、保管されることをおすすめします。

個人事業主は絶対に慶弔費のことは知っておくべき

ここまでは一般的な慶弔費についてのルールについて説明をしてきました。

しかし、個人事業主の場合、注意しなければならないポイントがあります。

なぜなら、個人事業主の場合、プライベートと仕事上の支出が混在しているためです。

個人事業主の方が確定申告をするうえで忘れてはいけないのは経費の計上ですよね。

ものを販売している場合、仕入や発送にかかった費用を売上げから引かないと余計な所得税を払うことになりますから、必ず経費として引く必要があります。

また、自宅を事務所として使用している場合、賃料や光熱費などは個人用と事業用とで切り離せない「家事関連費」として、まず按分した上で経費として引くこととなります。

では、慶弔費に関してはどうなるのでしょうか。

答えは簡単です。

まず、その慶弔が事業に関係するかどうかの判断を行います。

たとえば、自分が卸している商品を仕入れているお店やその従業員に渡すのであれば、売上げに関係する業務上の支出、つまり経費として処理できます。しかも、社内ではなく、社外の方への慶弔なので、交際費にあたります。

いっぽうで、事業上取引のない叔父や叔母、姪っ子などの親族に渡す場合は、事業に関連性がないので経費とはできません。ただし、叔母が従業員として働いており慶弔が発生した場合は、福利厚生費として経費にできます。

このように個人事業主の場合、交際費か福利厚生費なのかという問題のほかに、事業に関係するかどうかという判断が最初に必要になるのです。

一般企業の「慶弔費」が「必要経費」になるパターン

慶弔費についてもっとしっかりと理解していただくために、一般企業の場合の慶弔費についてもっと細かい点まで確認をしていきたいと思います。

一般企業の慶弔費に関するルールは以下のとおりです。

———————————————————————————————–

1:従業員やその家族にかかわる慶弔があり、慶弔費が発生した場合 

  →福利厚生費

2:事業上関係のある取引先(社外)に対して慶弔費が発生した場合             

  →交際費 

※社会通念的な金額である場合のみ適用

→金銭で支払われた場合は非課税、花束など物品を贈った場合は課税対象

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ただし、ここで知っておきたいのは「交際費はそのまま必要経費となるとは限らない」ということです。

というのは、取引先に多額な接待費(交際費)を投入すればするほど支払う税金が減ったら、おかしなことになるからです。

ですから、会計上は交際費を経費(損金)にできたとしても、税務上は損金にできず、所得として課税対象になるのです。

これを「損金不算入」と言いますが、交際費のほかにも役員報酬や寄付金などが同様の扱いとなります。

ちなみに、企業が、中小か大企業かで多少条件が異なりますが、本記事での解説はここまでとします。

もっと知りたいという方は下記記事をご参照ください。

参考記事:損金算入のメリットを分かりやすく解説!分類や計算方法も

参照元:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算

慶弔費の事例1:社内の結婚や出産について

では次に、社内外に慶弔があった場合について、そのケースごとにどのような扱いになるのか、注意したいマナーがあるのかを順番に見ていきましょう。

まず、従業員に結婚や出産があった場合、結婚祝いや出産祝いを出したとします。

この場合、社内と判断できるので、福利厚生費となります。

繰り返しになりますが、社会通念的に大きな金額になる場合は臨時給与の扱いとなり、課税の対象となりますので、注意が必要です。

相場は1~3万円です。

従業員本人ではなく、その家族に対しても支給できます。

たとえば、社員のご子息が結婚されたといったケースです。

その場合、結婚する本人は従業員ではないので、従業員より少額にすることが一般的です。

また、慶弔費は、社員だけでなく、パートなど従業員全てに支払うことも可能であり、その場合も同じように福利厚生費となります。

もし個人事業主として従業員を雇用する場合、慶弔費の支払いは必須ではありませんが、慶弔費を支払っている企業の割合が高いこと、経費として計上できることを鑑みたうえで総合的な判断をされると良いでしょう。

▽知っておきたいマナーについて

結婚祝いに関しては特に注意したいマナーは特にありませんが、再婚だからあげないといった判断は適切とは言えません。

再婚も慶事ですので、会社で規定した金額をお渡しすることが望ましいでしょう。

また、最近多く見られる「授かり婚」の場合はどちらかを省略するのではなく、結婚祝い、出産祝いと2つ用意することが一般的です。その場合、使用して良い熨斗が異なりますので、それぞれ袋を分けて用意してください。

なお、授かり婚でもまだ出産していない場合は、先に出産祝いを渡すことは避けてください。

万が一のことがあった場合、精神的に負担を与える恐れもあります。

無事赤ちゃんが生まれてから、改めて贈るようにしましょう。

ちなみに、出産が2人(双子)だった場合、出産祝いはどうなるのかについてじゃ意見が分かれるところです。

子どもが2人だからと2人分(2倍)渡すところもあれば、あくまで出産祝い金であり、双子でも1回の出産なので規定の金額のみといったところもあります。繰り返しになりますが、あくまで会社ごとで自由に決められる規定なので、事業主次第と言えます。

慶弔費の事例2:社内の入院と弔事について

従業員の入院、または不幸などの弔事があった場合は、慶事と同様に福利厚生費として処理します。

ただし、経費となるので、本人から申請書を出してもらうこと、その金額が分かるような記録を取っておくようにしましょう。

個人事業主が確定申告する際、経費の証拠となる領収書の提出は必要ありません。しかし、証拠となるものを保管しておくことが必要だからです。これは弔事だけでなく慶事にも同様のことが言えます。

ちなみに、従業員の配偶者が入院したなどといった場合は、支払うべきか支払わないか意見が分かれるところでしょう。

あくまでも法律的な縛りはないので、自社の判断で決めることになります。

とはいえ、「この従業員の配偶者のときには払ったけど、この従業員の配偶者のときは払っていない」などといったことにならないよう、きちんと決まりごとをしておくことをおすすめします。

▽知っておきたいマナーについて

入院見舞いの際は、病室に出向いたりご自宅に伺うなどして手渡す場合も多いと思います。

あくまで療養中なので相手の体調優先で日取りを決めたり、長居しないなどの心遣いが大切です。

仕事に穴が空くこともあるでしょうが、本人が治療に専念できるよう心配りが大切です。

「仕事のほうは大丈夫」などと安心できるような声かけをしてあげると良いでしょう。

慶弔費の事例3:取引先社員の結婚や出産について

取引先社員に結婚や出産などの慶事があった場合、お祝い金を出すといった企業や個人事業主も多いことでしょう。

本記事内でも説明してきたように、この場合は交際費扱いとなります。

ただし取引先と一言でいっても、顧客である場合と、提携先などである場合など関係性はさまざまです。

従業員の場合とは異なりますので、金額は一律である必要はないでしょう。

なお、気をつけるマナーは社員の場合と同様です。

慶弔費の事例4:取引先社員の入院や弔事について

取引先社員に入院や弔事があった場合、お見舞い金を出すというケースもあるでしょう。

この場合の見舞金も交際費にあたります。

▽知っておきたいマナーについて

取引社員の入院や弔事についてのマナーは社員と同様ですが、相手先に出向く際注意したいのは、いくら取引相手と言えども仕事の話はなるべく避けるといったことでしょうか。

入院にせよ弔事にせよ、相手が大変なときに変わりありません。

代わりの担当の有無や今後のやり取りについては本人でなく相手先の企業に確認するなど、大人の気遣いをしたいものです。

出典元:No.5261 交際費等と福利厚生費との区分

今さら聞けない慶弔費について

ママワークスコラムをお読みの皆さまにとって、会社で慶弔費に関わる機会があったとすれば、「自分の結婚」と「自分の出産」の申請の際ではなかったでしょうか。

それ以外になると、私のような小さな会社でメインの職種を持ちつつ総務系の仕事を任されていたか、あるいは、経理や総務の仕事をしていなければ、業務上に慶弔及び慶弔費に関わることはないでしょう。

しかも、慶弔はプライベートでもそれほど頻繁にあるものではありません。そのため余計に、「慶弔及び慶弔費=よく分からないこと」になっているのではないでしょうか?

そこでまず、こちらでは「慶弔費ってなに?」から始めたいと思います。

「慶弔費」とは、「慶事や弔事にかかる費用」のことで、もう少し具体的に事例を挙げながら紹介すれば、「慶弔費=慶事(結婚、出産など)のお祝い金と弔事(ご葬儀や入院など)の香典やお見舞金」のことを指します。また近年は、天災が多発しているので、そのお見舞金なども慶弔費としてとらえられています。

正直それほど頻度のあることではないので、たまに慶弔費が発生した場合、「処理の仕方はどうすればよかったっけ?」と思いがちですが、判断目さえ知っておけば、それほど難しいことではありません。

慶弔費に関する体験談

多くの方にとって、プライベートでも慶弔に関することは非常に難しいのに、会社の慶弔となると、「どうすればいいの!?」という感じではないでしょうか?

私の以前の勤務先は、非常に人数の少ないところでした。ですので、私は編集・校正職での採用でしたが、編集・校正の仕事以外に、慶弔に関することの対応を担当していました。

以前の会社でお付き合いのある方は、お年を召された方が多いこともあり、慶事より弔事の対応のほうが圧倒的に多かったです。しかも、宗派により電報の文言をすべて変えて出していたので、絶対に間違えることのないように、各宗派のお悔やみの言葉を必死で覚えたものでした。

またご葬儀に参列する機会も何度かありましたが、当時の勤務先は、電報でも宗派によりお悔やみの言葉を変えて打つようなところでしたので、ご葬儀のしきたりもその宗派の作法にのっとり、すべて変えていました。

そのおかげもあって、プライベートでも葬儀に参列した際は、失礼のないように対応できているとは思います。とは言うものの、慶弔や慶弔費に関することは難しく、しかもそのマナーを知っていないと、大人としての品格が疑われてしまうでしょう。

今回は、そんな慶弔や慶弔費についてご紹介します。

おわりに

慶弔費は他の科目の分類分けに比べれば、かなり分かりやすいと思います。ただ、領収書をもらえないものなので、出金伝票はその都度つけるように気を付けましょう。

また証拠となるものは、すべて保管しておいてください。あとは、大人として常識ある振る舞いをすれば問題ありません。落ち着いて行動しましょう。

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