大学職員って副業大丈夫?知っておきたいメリットと注意点
はじめに
大学職員と言いますと教授や准教授、講師など専門知識を持った方々をイメージするかもしれませんが、他にも助手や図書館・研究センターなどの附属施設の学芸員、事務職員、施設管理職員などさまざまな方々が活躍されています。
今回は「学問」や「研究」、「教育」などの分野で携わっている大学職員、いわゆる大学の「教育従事者」の副業事情について解説していきたいと思います。
そもそも大学職員の方は副業が可能か?
結論から言えば、大学職員もサラリーマンと同様に学校法人に雇われていますので、大半は「No」と言えます。管轄している学校法人の規則にもよるかもしれませんが、その温度差は「私立大学」と「国立大学」では大きく変わってきます。
私立大学に関しては民間企業のように独立された組織ですので、建前上は副業禁止でも黙認していたり、申請すればすぐにでも可能とされる法人もたくさんあります。
しかし、国立大学は税金で運営されている以上、副業には厳しく扱われます。
2004年に「国立大学法人」という形で運営がスタートし、ここで働く人たちは「公務員」と思われがちですが原則的には団体職員として扱われています。公務員法が扱われないといって、副業は可能ではありません。そのほとんどの規則は、国立大学が厚生労働省所管の時からほぼ変わっていないからです。つまり運営方法が公務員として扱われなくなっても公共性の高い立場であることから、副業を始める手続き自体は以前と変わりはありません。
実はかなりの人が副業している
ここまで大学職員が副業禁止と説明してきましたが、実はかなりの人が副業をしています。皆さんもテレビやインターネットの記事を見ていて大学教授の人が番組に出演していたり、本を書いたり休日に講演会など活動しているのはご存じかと思います。実は、あれらは副業になります。
もちろんこれらは許可を得ているものでありますが、大学の規則には「自らの営利活動の禁止」、「不定期、非継続的な活動の禁止」とされているのがほとんどです。つまり、自分の専門分野や研究分野に関わる副業に関しては、事前申請すれば認可されます。
しかしそれら副業の方に専念してしまっては本業である「教育」や「研究」、「大学運営」の方に支障が出てしまいますので各大学は副業に関して週単位や月単位、年単位で副業の稼働時間の上限を設けています。
時間に関しては大学の規定によってばらつきはありますが今回のコラム執筆にあたっていくつかの大学を調査した平均結果を以下に紹介します。
①1日当たりの副業上限時間・・・3~6時間
②1週間当たりの副業上限時間・・・10~20時間
③1カ月当たりの副業上限時間・・・40~60時間
④1年当たりの副業上限時間・・・300~500時間
大学職員はなぜ副業をするのか・・・
様々な規則や申請が必要とされている大学職員でありますが、大学と言う場所は非常に閉鎖的であまり刺激が少ないため、大学職員の研究に新たな発想が生まれません。その為、新しい刺激や情報収集も兼ねて副業をする人が多いとされています。しかし、教授や准教授、講師、助手など立場によって副業の理由は大きく異なります。
教授となるとその分野の一人者ですので「副業の誘いが来る」と言ったほうが良いでしょう。主にテレビ出演や本の執筆などが挙げられます。一方、大学職員としては経験の浅い職員の方々は「自分磨き」や「生活費」、「趣味の延長」などのさまざまな理由があると思います。具体的には企業の研究支援や他大学の臨時講師、ベンチャー企業の立ち上げなどが挙げられます。
また近年では少子化により大学も学生の確保に苦労しているため、大学本部からも情報発信として副業が容認されやすくなったのも背景にあります。
ネット社会ならではの副業も近年では増加傾向
最近はYouTubeやWebサイト運営などの副業も大学職員の方々も増えています。YouTubeやWebサイト運営によるアフィリエイト収益やGoogleアドセンスによる活動はすぐに収益化することができないので、さまざまな規則がある大学職員にとっては副業と位置付けるのが難しいですが、自身の研究成果の情報発信としてはとても最適です。
しかし研究内容によっては機密事項や論文提出、特許関係にも大きく関わるので、まずは副業として申請するのではなくインターネット上やSNS上でそれらを発信できるかの確認が必要でしょう。
大学職員と言う立場上たくさんの生徒さんや専門的な技術を知る立場にあります。それらを踏まえて情報をインターネットやSNS上で発信することは一般の会社員よりも重要な情報を有している場合も多いので注意が必要です。
発信できる内容としてはかなり制限されることと思われますが、すでに学会報告が済んでいたり世に出ている情報を組み合わせて生活の中で使えるお役立ち情報を発信することで、大学の注目が集まり学生さんが集まりやすくなると思います。
さいごに…
大学職員に限らず一般会社員もそうですが、インターネットやSNSを使用した副業は現実的には厳しく、本業を精一杯頑張りその延長線上においてネット副業をすることが無難だと言えます。
アフィリエイトやGoogleアドセンスによる収入は95パーセントの方々が月に1万円未満の収入であるのが現状です。YouTubeに限っては登録者数や直近半年の再生回数によるハードルや動画編集と言う技術も必要とされるので難易度はさらに高くなります。
副業に興味があるという方は、ぜひ慎重に検討してみてください。