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業務委託で給与明細は受け取れる?委託報酬と給与の違いについて解説

公開日: 2019.11.18
最終更新日: 2022.04.20

業務委託で給与明細は受け取れる?委託報酬と給与の違いについて解説

業務委託先へ給与明細や源泉徴収票を発行する義務はあるのか

業務委託は給与明細や源泉徴収票を発行してもらえる?

 

人事業主やフリーランスになると必要になるのが、毎年の確定申告です。

確定申告書には、一年間で得た収入や源泉徴収額を記入する欄がありますから、業務委託を受けた企業から給与明細や源泉徴収票を発行してもらえるのか心配する方もいるでしょう。

そこで、これらを発行してもらえるかどうか、その理由や背景も含めて説明していきます。

 

▽給与明細について

 

業務委託の場合、雇用契約を結んでいるわけではありません。

したがって、委託元企業から支払われるお金は給与ではなく「報酬」といった扱いになりますので、給与明細は発行されることはありません。

 

▽源泉徴収票について

 

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者が所得税をあらかじめ計算し、支払額から引いたうえで本人の代わりに納付する制度のことです。

企業は、企業が雇用している会社員だけでなく、業務委託を行う個人事業主に対しても源泉徴収を行う必要があります。

では、委託元は源泉徴収票を必ず出してくれるのかというと、実はそうではありません。

なぜなら、企業に源泉徴収の義務はあっても、源泉徴収票の発行の義務はないからです。

つまり、源泉徴収票は発行される場合と発行されない場合があるのです。

会社員(雇用契約)と業務委託の契約の違いについて

会社員(雇用契約)と業務委託では、契約に明確な違いがあります。

現在フリーランスの方にも、これからフリーランスになる方にとっても重要な事柄になるので、解説していきたいと思います。

 

雇用契約と業務委託では主に6つのポイントで違いがあります。

 

・労働基準法が適用されるか

・出勤時間の拘束があるか

・指揮命令権限や監督権があるか

・業務関連物品提供の必要性があるか

・代替性があるか

・対価の支払い基準はどうか

 

以上のポイントを押さえながら、それぞれの契約について解説をしていきたいと思います。

 

▽雇用契約

 

雇用契約は、言ってみれば「使用者」と「労働者」の関係です。

労働者は出勤時間だけでなく、出勤日や就業時間など決められた就業規則にのっとり働く必要があります。

また、決められた休憩時間や休暇などがある一方で、仕事が終わらなければ特別に休日出勤を命じられる場合もありますが、その労働に対しては必ず給与をもらえます。

このように労働者には労働基準法が適用されますので、法で定められた最低条件をクリアした労働条件で働くことができます。

なお、業務の進め方に関しては上長の指示に従い行いますが、必要な備品類は提供されることもポイントです。

ちなみに、支払われた給与に関しては明細が発行されます。

 

業務委託

 

一般的に業務委託とは、企業が、社内で対応ができない一部の業務を外部の企業や個人に委託することを指します。

実際に企業が業務を委託する際には業務委託契約書を交わします。

この業務委託契約は、依頼した内容に対して対価(報酬)が支払われるというものですので、雇用契約とは異なり、委託元も委託先も対等な関係になります。

したがって、委託元に指揮命令権があるわけではなく、就業時間や業務の遂行の仕方についてあれこれ指図することはできないのです。

とはいえ、備品など、業務に必要な物品の提供は原則なく、パソコンやインターネット回線、特定のソフトなど、自分で用意する必要があるうえ、労働基準法は適用されないので、締め切り日に間に合わず深夜に仕事を行っても特別な手当が出るわけではありません。

 

なお、この業務委託契約とは実は法律的な用語ではありません。

正式には「請負契約」または「委任契約・準委任契約」と呼ばれており、それぞれ支払いの条件等に大きな違いがあるのです。

 

>請負契約

 

請負契約とは、仕事を完成させることを約束したうえで、完成した成果物に対して報酬が支払われるというものです。

建設業やソフトウェア・システム開発などに適用されることが多いです。

極論を言うと、雇用関係にある建設作業員やプログラマーの場合、たとえ締め切り日までに完成しなくても月の労働に対しては月給が支払われますが、請負契約の場合、完成しないと報酬は支払われないのです。

 

>委任契約・準委任契約

 

委任契約、または準委任契約とは、委託した業務を遂行させること自体に報酬が支払われるというものです。求められた業務に対し、ベストを尽くすことが求められるのみで、成果物の納品を行う必要はありません。

一般的な事務作業やコールセンター業などに適用されることが多いです。

 

ちなみに、委任契約は弁護士など法律行為を行う場合に適用されるもので、一般的な職業に関しては準委任契約が適用されます。

その他の業務委託契約と雇用契約の見分け方とは?

私は本業を持ってはいるものの、副業として主に在宅WEBライターをしています。ですので、業務委託契約と雇用契約の違いは実感できているつもりです。そこで、そんな自分の経験から、この両者の違いについて、指摘をさせていただきたいと思います。

実際に感じる両者の大きな違いですが、業務委託は出勤を強要されることはありません。しかし、雇用契約は、出勤することが当たり前になっている点がまず挙げられるでしょう。

あとは、雇用契約の場合、出勤時間やお昼時間、退社時間などが決まっている、つまり時間の拘束があると思います。それに対し、在宅WEBライターの場合、納期は決まっていますが、納期までの時間の使い方を指示されることはありません。

また本業の場合は、自分の仕事以外の倉庫の片付けのような「労働力のサービスの提供を行う」のに対し、在宅WEBライターの場合、記事を納期までに納めるという「受託した業務に対するサービスの提供だけを行う」ことも大きな違いと言えるでしょう。

以上のように、在宅WEBライターの場合、業務委託契約か雇用契約かの違いはとても分かりやすいと思います。ただ、雇用契約か業務委託契約かの違いが分かりにくい業種や職種も正直あります。ではどのような業種や職種が、雇用契約か業務委託契約かが分かりにくいのでしょうか。

この雇用は雇用契約?業務委託契約?

業務委託か雇用契約か分かりづらい業界として思い浮かぶのは、美容院業界の美容師でしょう。

私が以前通っていた美容院は、6カ月の予約待ちが当たり前の美容院でした。非常に腕が確かな美容師で、一人でお店を切り盛りでしていました。

話を聞いてみると、以前は大きな美容院で働いていて独立したそうです。そして美容院業界では、ある程度の年齢の男性になると、それが当たり前のことなのだそうです。またそれは、美容院業界に限った話ではなく、建築業界の大工やとび職、左官についても同じようなことが言えるそうです。

そのため、これらの業界や職種では、雇用契約か業務委託かあいまいに感じることが多いパターンもあるそうです。例えば、「個人事業主として独立した者の収入のほとんどが、委託業者から受けたものである場合」。

これでは独立した者が、実際に独立して自分で事業を行っているという意識があるのかどうか微妙で、依頼主側に「社会保険料を逃れるためにわざとそうしているのでは?」と疑われてしまう可能性が出てきます。

ではもし、「これって業務委託ではなく、雇用契約では?」と税務調査に認識されてしまった場合、どうなってしまうのでしょうか?

業務委託の場合給与明細はどうなるのだろう

会社員で副業をしている方なら、想像が付きやすいと思いますが、会社員の場合必ず、給料日の前日か当日に給与の明細書をいただくことでしょう。

ところが、副業で業務委託契約を結んだ場合、委託業務に対する対価は報酬になります。そして、この業務委託報酬に対して、給与明細のような明細書を送付してくれるところは、おそらく少ないと思います。つまり、業務委託報酬の場合、依頼主側には、明細書を必ずしも出す必要がないのです。

余談にはなりますが、上記のように明細書が出ないところもあるから、報酬の把握をしないと、確定申告の際、大変なことになってしまうわけです。

あとこの「給与」と「業務委託報酬」の違いは、依頼主側にとっても、委託を受ける側にとっても、意外と大きな違いになってきます。これに関しては、委託を受ける側の場合、副業よりも個人事業主の方のほうが、影響が大きいかもしれません。

では、この「業務委託報酬」は、それぞれの立場の人たちにとって、どのような影響があるのでしょうか。今回はそんな「業務委託報酬」について、幅広くご紹介します。

業務委託報酬明細書は渡さなければならないものではない

まずは、業務委託報酬の前に業務委託についてお伝えします。業務委託とは、「会社が会社外の人に対し、業務を委託し、それに対して報酬や手数料を支払うこと」になります。

ところで先ほど指摘をしましたが、会社員もしくはアルバイトは給与というかたちで給与明細書が必ず渡されるのに対し、業務委託に関しては、会社外の人との取引になるため、報酬に関する明細書がもらえるところがあれば、もらえない会社もあることをお伝えしました。

ではなぜ、業務委託の場合は、報酬に関する明細書を渡すところや渡さないところなど、さまざまなのでしょうか。一番の理由はやはり、「委託報酬明細書を渡すのが必須ではないから」でしょう。

ここからの話は、自分に置き換えて考えていただければ容易に想像がつくと思いますが、必ずしも出さなければならないわけではないデータの作成を、あなたはわざわざ対応しますか?省略できるなら、省略したいのは誰も同じことでしょう。

まして会社ともなると、依頼をしている件数がかなり多く、その分の明細書を出すのは、かなりの労力を要することになります。ですから、業務委託報酬の明細書を出す会社と出さない会社があるのです。

では逆に考えてみれば、なぜ給与明細は必ず出されるのに、業務委託報酬に関する明細書は(平たく言えば)出しても出さなくてもいいのでしょうか?おそらくこの違いにも、理由があるはずです。

ただ、その理由を探る前に、「給与明細」と「業務委託報酬に関する明細書」の違い、つまり、会社員と業務委託の雇用の違いを知るのが、もっとも理解しやすい方法だと思います。そこで次の項目で、そのあたりのことをお伝えしたいと思います。

税務調査で「雇用契約」とされた場合、どうなるの?

ここまでは基本、業務委託を“受ける”側、あるいは、雇用契約“される”側の立場から紹介を進めてきました。しかしこちらの項目では、その逆の業務委託を“依頼する”側、あるいは、雇用契約“する”側の立場から紹介していきます。なぜならば、そのほうが話が分かりやすいからです。

まず、会社が社外の人に業務委託し、報酬や手数料を支払った場合。委託した業務が、例えば「紙面のデザイン加工」などの主要な業務の場合、「外注費」として計上されます。また、宝石や布団などの販売業務である場合は、「販売手数料」に計上されます。

委託した業務が上記以外、例えばWEBライティングなどの場合は、「支払報酬」として計上されます。つまり、業務委託報酬の場合、税務上の項目は、「外注費」「販売手数料」「支払報酬」に該当するわけです。

ところが、依頼主である企業がこれらの「外注費」「販売手数料」「支払報酬」などとして計上した費用が、税務調査で「従業員給与」あるいは「パート・アルバイト給与」として認定された場合、認定された金額が追加納税になる可能性がでてきます。そしてこの場合、追加納税しなければならなくなるのは、「消費税」と「所得税」です。

つまり、「外注費」「販売手数料」「支払報酬」が税務調査で「従業員給与」として認定された場合、「従業員給与」に対する「所得税の源泉徴収税」を追加納税しなければならなくなる可能性が出てくるわけです。

では税務調査は、どのような場合において、「これって本当に業務報酬?」と疑問に思うのでしょうか?そこで引き続き、税務調査で疑問に思われるのは、どのようなパターンのときなのかをお伝えします。

税務調査で「業務委託ではなく雇用契約では?」とまず疑われるのは、「業務委託契約」を結んでいない場合でしょう。あと、請求書が発行されていない場合も、雇用契約を疑われる可能性があると思います。また、出勤の義務がないはずの業務委託なのに、会社の従業員のように交通費や通勤費が一定額支払われている場もそうでしょう。

ところで冒頭に、「業務委託報酬の明細を出してくれるところと出してくれないところがある」ことをお伝えし、委託報酬の明細は給与明細のように、必ずしも出さなければならないものではないことをご紹介しました。

おそらく在宅ワークに強く興味のある方がこれを読むと、「じゃあ明細を出してくれないならば、自分で源泉徴収しなければならないの?それともしなくていいの?確定申告はどうすればいいの?」とさまざまな疑問が思い浮かぶと思います。

そこで次の項目では、そのいろいろな不安に一つずつ対処すべく、まずは委託報酬の明細が出されない場合、気を付けるべき点について説明したいと思います。

委託報酬の明細が出されない場合、気を付けるべき点

繰り返しにはなりますが、給与の場合は明細が発行されます。しかし、業務委託報酬の場合は、明細の発行義務はありません。つまり、業務委託報酬は明細を出しても出さなくてもどちらでもよいのです。

ただ、給与と業務委託の位置づけが異なるものだということは、既述の通りでそれ故に、業務委託に関しては明細を発行する義務はないというわけなのでしょう。

そのため逆に、報酬が振り込まれたときは、どのクライアントからいくら振り込まれたのかをしっかりと管理する必要があります。このことは、私自身にも言えることです。

私はあくまで副業ですから、クライアント数が片手位でそれほどないので、管理はまだしやすいと思います。しかし、副業でも私よりもはるかにクライアント数が多い在宅WEBライターの方や在宅ワークが本業の方は、委託報酬の明細を出してもらえるかどうかを確かめたうえで、もし出してもらえない場合は、早めに動いた方がいいでしょう。

次の項目では、源泉徴収をしなければならない在宅ワークについてお伝えします。

在宅ワークで源泉徴収をしなければならないものは?

ところで皆さまは、フリーランスの仕事で源泉徴収を行わなければならない場合があることをご存じですか?

それに関しては、国税庁ホームページの「平成30年版源泉徴収のあらまし」の「第1源泉徴収について」にどんな場合に、源泉徴収されるのかが詳しく書かれてあります。それは下記の通りです。

⑴原稿料、デザイン料、講演料、放送謝金、工業所有権の使用料、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料など

⑵弁護士、公認会計士、税理士等の報酬・料金

⑶社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬

⑷外交員、集金人、電力量計の検針人、プロ野球の選手、プロサッカーの選手等の報酬・料金

⑸芸能、ラジオ放送及びテレビジョン放送の出演、演出などの報酬・料金並びに芸能人の役務提供事業を行う者が支払を受けるその役務の提供に関する報酬・料金

⑹バー・キャバレーなどのホステス、バンケット ホステス・コンパニオンなどの報酬・料金

⑺使用人を雇用するための支度金等の契約金

⑻事業の広告宣伝のための賞金及び馬主が受ける競馬の賞金

おそらくこの中で多くの在宅ワーカーに関係することは、「⑴原稿料、デザイン料、講演料」ではないでしょうか。つまり、在宅WEBライターもしくは在宅デザイナーに対する報酬は、源泉徴収をした上で、支払う必要があるわけです。

そのため、源泉徴収の際に、依頼主は源泉徴収票(支払調書)と呼ばれる明細を作成して税務署に提出します。ただこの支払調書も、税務署に提出する必要はありますが、それをフリーランスに渡さなければならない義務はありません。

確かに私も、支払調書を発行してくれる企業もあれば、支払調書を発行してくれない会社もありました。支払調書を発行してもらえない場合は、先ほども指摘した通り、自分で源泉徴収をした額を計算する必要があります。

以上より、源泉徴収票を依頼主から発行してもらえない場合、どうすればいいのでしょうか?そこで、源泉徴収票がない場合、確定申告はどうすればいいのかをお伝えします。

実はこちらに関してはあまり危惧される必要はなく、確定申告の用紙から源泉徴収額を計算すれば大丈夫です。なお、確定申告時に支払調書を提出する義務はないため、自分で源泉徴収額を計算して確定申告書類に記入することは可能なのでご安心ください。

ではいよいよ確定申告について話を進めさせていただきますが、その前に皆さんは、所得にはさまざまな種類があるのをご存じですか?次の項目では、確定申告の所得についてご紹介します。

確定申告の所得の種類について

上記の通り、所得にはさまざまな種類があり、確定申告時にはそれぞれの所得に合わせて申告を行う必要があります。所得の種類に関しては、国税庁のホームページの「所得の種類と課税方法」に記載されています。その一覧は、下記の通りです。

・事業所得(営業等・農業)→商・工業や漁業、農業、自由職業などの自営業から生ずる所得、事業規模で行う、株式等を譲渡したことによる所得や先物取引に係る所得

・不動産所得→土地や建物、船舶や航空機などの貸付けから生ずる所得

・利子所得→公社債や預貯金の利子などの所得、国外で支払われる預金等の利子などの所得

・配当所得→法人から受ける剰余金の配当、公募株式等証券投資信託の収益の分配などの所得※申告分離課税を選択したものを除く、上場株式等に係る配当等、公募株式等証券投資信託の収益の分配などで申告分離課税を選択したものの所得、特定目的信託の社債的受益権の収益の分配などの所得

・給与所得→俸給や給料、賃金、賞与、歳費などの所得

・雑所得→国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、恩給、一定の外国年金などの所得、原稿料や講演料、生命保険の年金など他の所得に当てはまらない所得、業(事業規模を除く。)として行う、株式等を譲渡したことによる所得や先物取引に係る所得、公社債の償還差益のうち、一定の割引債の償還差益などの所得

・譲渡所得→ゴルフ会員権や金地金、機械などを譲渡したことによる所得

・一時所得→土地や建物、借地権、株式等を譲渡したことによる所得※株式等の譲渡については事業所得、雑所得となるものを除く

・山林所得→所有期間が5年を超える山林(立木)を伐採して譲渡したことなどによる所得

・退職所得→退職金、一時恩給、確定給付企業年金法及び確定拠出年金法による一時払の老齢給付金などの所得

上記より、多くの個人事業主の方々に関係するのが、「雑所得」だと思います。雑所得の中に、「原稿料」と書かれていますよね?この雑所得が、在宅WEBライターの原稿料、つまり報酬に該当するわけです。

以上より、在宅WEBライターとしての収入は、雑所得に当たります。また、委託報酬と給与がまったく異なるものだということも、両者の項目の違いからも明白だと言えるでしょう。

ではいよいよ次の項目から、受託者が確定申告をする場合の注意点をお伝えしていきます。

在宅ワークの方の確定申告での注意点1

ここまでご紹介してきた通り、受託者、即ち在宅ワークの方は、年末調整をしてもらうことができないから、自分で確定申告をするしかないことはご理解いただけたことでしょう。
ではフリーランスの方が確定申告をするうえで、何に注意をしなければいけないのでしょうか。

まずは、「確定申告をスムーズに行うためにも、支払調書をもらえるところはもらい、もらえないところの場合、自分で源泉徴収額を計算するように準備」しましょう。

例えば私の場合、支払調書を出してくれる会社は1割程度だと思います。しかも副業のため、在宅ワークを本業とされている方に比べれば、依頼主はかなり少ないと思います。

それでも、11月末からは支払調書を出してくれない企業の源泉徴収額を計算したほうがいいかな、と思っているくらいです。ですから、本業で在宅ワークをされている皆さまは、(釈迦に説法だとは思いますが)もうそろそろ事前準備を始められたほうがいいのではないでしょうか。

在宅ワークの方の確定申告での注意点2

本業で在宅ワークをされている方は、既に登録済みだとは思いますが、もし税務署で「IDとパスワード」を発行済みなのであれば、「e-Taxで確定申告を済ませましょう」。確定申告時の混雑を経験なさっている方ならば、特にそう思うのではないでしょうか。

私は本業があり、どうしても確定申告は土曜、あるいは日曜にしか行くことができません。ただ私のような考えの方は非常に多いようで、特に日曜日に確定申告に行く場合はいつも、「今日は4~6時間は確定申告に時間がかかるかな?」と覚悟を持って行っていました。

特に子どもが赤ちゃんのときは、夫に預けて行くのですが、「おむつはどこ?」「うんちはどうやって片付けるの?」「泣き止まないんだけど、どうすればいい?」「お昼寝してくれない…」などなど、次から次へと電話がかかってきて、確定申告は気になる、子どもも気になる…で、まさに「体はここにあれども、心はここにあらず」の状態で確定申告をしていたのを覚えています。

少し話題はそれてしまいましたが、e-Taxで確定申告をすれば、そんなストレスとはおさらばです!ただ、e-Taxで確定申告をするためには必ずIDとパスワードが必要になります。

もしIDとパスワードをお持ちではない方は、まずはそれらを税務署で発行するところから始めましょう。

在宅ワークの方の確定申告での注意点3

人事業主の場合、確定申告で「青色申告」にするか「白色申告」にするかを選ぶことができます。ただもう少し正確な言い方をすれば、もし青色申告にする場合は、事前に青色申告の登録が必要です。

そして、個人事業主の方の多くは、青色申告を選択されます。なぜならば、青色申告のほうが、経費として認められるものの幅が広がり、最大65万円の控除を受けることができる可能性があるからです。

ちなみに白色申告の場合は、基礎控除として38万円の所得控除を受けることができます。ただ、この基礎控除は青色申告でも受けることができ、青色申告ならさらに追加で、最大65万円の控除を受けることができるというわけなのです。

ですから、在宅ワークを本業とされている方で、扶養から出そう、もしくは扶養から出るほど、しっかりとした収入がある方に関しては、青色申告を事前に申請されていたほうがいいかもしれません。

では青色申告をするにはどうすればいいのでしょうか?それは青色申告で申告を行う事業年度の3月15日までに「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。

ただ、国税庁のホームページの「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」によると、「その年の1月16日以後、新たに事業を開始した」「場合には、その事業開始等の日から2月以内」に提出しなければなりません。

しかも、「青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により継承した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて」、「次の期間内に提出してください」とあります。その期間とは、下記の通りです。

①その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合…死亡の日から4か月以内

②その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合…その年の12月31日まで

③その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合…その年の翌年の2月15日まで

上記のように、事業を相続した場合は、青色申告の提出期限はかなり細かくなりますので、ご注意ください。

なお、「提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります」。またそれ以外にも、青色申告には優遇措置があります。次の項目からは、青色申告の優遇措置をご紹介していきます。

青色申告の優遇措置1:赤字の繰り越しが可能

例えば、個人事業主の場合、事業を始めた年から黒字を出すというのはとても難しいことだと思います。なぜならば、事業を開始したばかりの頃は、まずはその事業の準備資金を回収することから始まるだろうからです。

ところが、もし青色申告を行っていれば、個人事業主の場合は最長3年間、所得から差し引くことができます。

例えば今年、450万円の赤字を出したとしましょう。その後、3年間で150万円ずつ黒字を出したとします。すると、今年、即ち1年目の所得は、-450万円になります。

そして次の年、つまり2年目の所得は、-450万円+150万円=-300万円になります。そして翌々年、即ち3年目の所得は、-300万円+150万円=-150万円になります。

そして最後の4年目の所得は、-150万円+150万円=0円となり、どの年にも所得税はかからないシステムとなっているのです。これはかなり大きな節税対策になりますよね。

ちなみに白色申告の場合、上記と同じパターンで説明すると、2年目の黒字が出たときから、税金を支払わなければなりません。

ところで、ここまでの説明だと、白色申告のメリットがあまり感じられませんよね?しかし、白色申告には白色申告の良さはあります。

例えば、青色申告なら上記の通り、事前申請が必要ですが、白色申告にはそのような事前申請は不要です。あと白色申告は、計算の仕方が非常に簡単です。

一番近いたとえを挙げれば、各ご家庭でつけているであろう「家計簿」と計算方法が同じです。普段からの計算方法と変わらない訳ですから、ラクラク簡単ですよね。

青色申告の優遇措置2:家族への給与を経費できる

こちらも事前の届け出が必要となりますが、個人事業主の家族に支払った給与を経費として計上できるのも、青色申告の利点といえるでしょう。このことを「青色事業専従者給与」と言います。

ただ、この「青色事業専従者給与」にするためには、下記の条件を満たしていることが前提になります。そしてその条件は、国税庁ホームページの「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」の「2 青色事業専従者給与」に書かれてあります。

イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。

ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。

ハ その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

青色専業専従者給与の場合、給与額は仕事内容に応じたものであれば、お金の額での縛りはないので、節税効果が期待できると言えると思います。

おわりに

今回は業務委託報酬について幅広くご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

委託報酬をいただく立場の方、つまり、在宅ワークをしている方は、依頼主である企業ときちんと業務委託契約を結び、支払調書をいただける場合はいただき、支払調書をいただけない場合は、自分でクライアント別に業務委託報酬額を管理するようにしましょう。

そして、あなたが在宅ワークとしてしっかり報酬を得ている方ならば、青色申告を事前申請してください。確定申告の時期はもうすぐです。もし青色申告にするかどうかを迷っている方がいらっしゃるようでしたら、まずはそこから始めてみませんか?

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