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家族経営なら知っておきたい専従者給与とは?条件・給与・届出手続きなど徹底解説★

目次

まず初めに

個人事業主と呼ばれる人たちの中には、家族で会社を経営している人たちいます。一緒に働く家族を「専従者」と呼び、家族である「専従者」に対して支払われる給与が「専従者給与」と呼ばれます。

この「専従者給与」は青色申告のメリットの一つで、経費として認められています。今日はこの「専従者給与」とは何かについてお話していこうと思います。

個人事業主のあれこれ

個人事業主に対して課税される所得税の税率は、所得に比例して高くなります。この制度は「累進課税」といい、具体的な税率は下記にご紹介したものになります。

※課税される所得金額・税率・控除額の順になります。

195万円以下…5%・0円
195万円以上~330万円以下…10%・97,500円
330万円以上~695万円以下…20%・427,500円
695万円以上~900万円以下…23%・636,000円
900万円以上~1800万円以下…33%・153,600円
1800万円以上~4000万円以下…40%・2,796,000円
4000万円以上…45%・4,796,000円

このため、個人事業主の所得を家族への給与として支給することにより、税率を下げることができます。ですが、それは「税金逃れ」として見られてしまう危険があるので、家族の給与に対してきちんとしたルールが設けられています。

税務上、基本的には家族の給与を経費として落とすことはできません。家族=生計を一にする配偶者やその他の家族のこととなります。
例として、所得が1000万円の個人事業主が500万円の給与を支払った場合、家族と従業員とで下記のような差が発生します。

※支払い対象者・個人事業主の所得・備考の順でご紹介します。

【家族】
1000万円
給与500万円が経費として落とすことができないので、所得は給与を支払う前と同額

【従業員】
500万円
給与500万円が経費で落とせるため、所得が圧縮される

これだけの税金がかかるとなると、節税したいなと考えてしまうのは当然のことですよね。特に個人事業主の場合、立ち上げ当初は特に家族で一緒に事業を行うケースがあります。ですがこの家族に対しての給与を、いくつかの条件をクリアすることで経費として落とすことができる方法があります。それが「青色事業専従者給与」と言います。

まず「青色事業専従者給与」とはどういったものなのかについて少しお話させてください。
青色事業専従者給与とは、青色申告者が事業に携わっている家族に対する報酬を控除できるというものです。白色申告の専従者控除が配偶者86万円、その他の親族は50万円と決められていますが、青色申告専従者給与は金額が定められていません。つまり、妥当性のある報酬を設定することが出来るということになります。

利用するための条件について

ではここからは青色事業の専従者給与が利用できる人の条件をご紹介していきます。

◆「所得税の青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する

まずは青色申告をすることが前提となるので、青色申告をするための届出書を提出する必要があります。そして、青色事業の専従者給与を利用するために「青色事業専従者給与に関する届出書」も一緒に提出しなくてはいけません。

※この時、届け出る給与金額は上限額なので、実際に支払った金額が下回ったとしても問題はありません。ですが、届出よりも金額が上回った給与を支払う場合や、給与の支払日を変更したい時には、変更しようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する変更届」を提出してください。

◆事業主と同一生計であること

同一生計=事業主と一緒に生活をしている、別居していても生活費は事業主との間で仕送りをしているという場合が該当します。

◆15歳以上の家族や親族であること

その年の12月31日現在で年齢が15歳以上の家族や親族である必要があります。もう一つの条件としてはその親族が他の仕事をしていないことも条件となります。
※ここでいう「親族」は配偶者・6親等以内および3親等以内の婚姻が対象です。
※6親族以内…高祖父母の祖父母・昆孫・高祖父母の父母の兄弟姉妹・高祖父母の兄弟姉妹の子・祖父母の甥姪の子などが該当する
※3親等以内…自分の兄弟姉妹・甥姪の配偶者・おじおばの配偶者・子や孫の配偶者

専業従事者の人数の規定はないので、条件を満たしていて実務実態があれば、届出によって専業従事者を増やすことが出来ます。

◆1年の半分超をその事業に専念している

当然かもしれませんが、その年を通じて1年前の半分超をその事業に専念している必要があります。(最低でも6カ月以上が条件となります)

これらの条件を満たすことが出来れば誰でもこの制度を利用することが可能となります。

どうやって給与を決めればいいのか?

では実際に家族への給与はいくらぐらいにしたらいいのでしょう?青色事業専従者の給与に対しての上限設定がないとはいえ、社会通念上、妥当な金額や条件があると思います。それらを順にお話していきます。

◆10万円以内が目安

専門性のある仕事でないのであれば、10万円以下にするのが一つの目安と言われています。10万円を超えると、担当している業務内容について税務署から問い合わせを受けることがあります。
また、青色専従者給与も源泉徴収の対象となりますが、88,000円未満であれば源泉徴収の必要がありません。つまり会計処理の手間がないという点も大きな理由の一つです。

◆同業同職種の賃金を参考にする

青色専従者給与は10万円を超える金額を設定しても金額の算出の根拠を説明できるような妥当性のある金額であれば問題はありません。「青色専従者給与に関する届出書」には、担当する業務や所有している資格を記入する欄があります。家族だからといって高めに設定せず、求人情報などを参考にして同業相職種の賃金水準と同等にするようにしておきましょう。

◆青色申告者の収入とのバランスを考慮する

例えばですが、青色申告者が1,000万円の収入を得ている場合、青色専従者給与が300万円であっても、事業内容に妥当性があれば認められますが、青色申告者の収入が600万円程度の場合、300万円を青色専従者給与とするには難しいものがあります。青色申告者の収入とのバランスを考慮することが、重要なポイントとなります。

節税はできるのか?

給与設定の基準についてここまでお話していきましたが、やっぱり気になるのが「節税」。節税効果を高める方法はないのか?ということで調べてみたことをご紹介していきます。

◆配偶者控除や扶養控除よりも高い金額を設定しましょう。

青色専従者給与控除の対象者に対して、配偶者控除や扶養控除は使えなくなります。配偶者控除は最大で38万円です。それよりも低い金額を専従者給与として設定する場合、配偶者控除を利用した方が得になります。

◆税負担を比較して検討しましょう。

青色専従者も、収入が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると所得税が課税の対象となります。一方、専従者給与として支払うことで所得税は累進課税なので、青色申告者の納税分が減ります。結果として税負担を軽減することが出来るということにつながります。
また、法定職種で所得が290万円を超える場合、個人事業税が発生しますが、青色専従者に支払うことで税負担を軽減することができます。青色専従者が支払うことになる税金と青色申告者が減額できる税金を比較して検討すると良いでしょう。

書き方の順番

さて、ここまでで節税の方法や青色専従者給与の条件などいろいろなことをお話してきました。ここからは、青色事業専従者給与に関する届出手続きの書き方を順番に説明していきたいと思います。

◆管轄の税務署と提出年月日
青色専従者給与に関する届出の左上に、管轄する税務署を記入します。それと共に青色専従者給与に関する届出書を提出する日を記入してください。

◆納税地
納税地=一般的には住所を指しています。つまり、国内に住所がある人はその住所地が該当します。お店や事務所が別のところにあるとしても、住んでいる場所が納税地となりますので、間違えないように気を付けましょう。また、住所がある場所の郵便番号・電話番号を記入することも忘れずにしてください。

◆氏名・生年月日

◆職業
ここでは事業内容を簡潔に記入しましょう。
もし複数の事業を展開している場合、職業欄に複数並べて記載すれば問題ありません。

◆屋号
お店や事業の屋号をお持ちの方は記入しますが、ない場合は記載しなくても問題ありません。

◆青色専従者給与
ここでは青色事業の専従者給与の支給タイミングを記入します。その年から青色事業専従者給与を利用したい場合、届出書を下記の期間までに提出する必要があります。
・1月15日までに事業を開始・専従者となった…その年の3月15日
・1月16日以降に事業を開始・専従者となった…その日から2カ月以内

届出書を提出してから変更点があった場合は上記でも説明しましたが変更届出書をすぐに提出するようにしてください。

◆専従者の氏名・続柄・年齢・経験年数
ここでは、青色事業の専従者給与の対象となる人の情報を記入していきます。続柄に関しては、夫・妻・子・親等を記入し、経験年数は現在の事業経験年数に加え、他の同業・類似した事業に従事した期間があればその期間を合計した年数を記載してください。

◆仕事内容・従事程度・資格など
従事する仕事の内容を簡潔に記入します。従事の程度に関しては、1週間の勤務日数や毎日の勤務時間などを記入してください。保有資格がある場合もここで記載することになります。

◆給与
毎月の支給日と金額を記載します。金額なのですが、ここで記入した金額以下であれば、専従者給与として認められますので、少し余裕を持った金額設定にしておくと良いでしょう。
ここで気をつけていただきたいのは、あまりにも高額な給与金額にしないようにしましょう。あまりにも高額設定にすると税務署から否認されてしまう可能性がありますので、平均給与を自分で調べて設定するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
これからもし家族で会社を経営していきたい、また家族経営に移行していきたいと考えている方たちの参考になったら嬉しいです。ここまで読んでいただきありがとうございました。

【参照元】
◆家族を事業専従者にした場合の給与にまつわる事業主の税金を徹底解説
◆青色申告者の専従者給与 家族への給与支払いで節税効果を高める方法

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