学童保育の料金と最新オプションとは?パートタイマーが預けるべきかについても解説
子どもが小学校にあがると、共働きの家庭では、「学童保育」を利用する方がほとんどです。低学年、とくに1,2年生のうちは帰りが早いため、保育園や幼稚園の預かり保育を利用して夜まで働いていた場合、困った状況になるからです。
これから働き始める方も含めて、「学童保育は一体いくらかかるのか」、その料金が気になりますよね。
そこで今回は、学童保育の基本的な料金や最新オプション、パートタイマーが料金を支払ってでも学童保育を利用すべきかどうかも解説していきます。
学童保育とは
学童保育とは、日中、仕事等の理由で、保護者が家を留守にしている小学生児童を預かる保育事業です。運営は、おもに、自治体や自治体が委託したNPO法人が行っていますが、最近では民間企業も増えてきました。
■実施している場所はさまざま
子どもたちを実際に預かっている場所は、学校内の余裕教室、児童館や公民館が多いですが、専用施設が設けられている場合もあります。
学校内だと移動もないので安心です。また校庭や施設の保有する屋外スペースで外遊びができるケースも。さまざまな年齢の子どもたちが同時に集う、貴重な場でもあります。
■利用できる時間
利用できる時間は、その施設により異なります。
下校時間から17時までとしているところもあれば、18時、場合によっては19時まで預かってくれるところも。19時まで預かってくれるのであれば仕事の選択肢も広がるので、助かりますね。
平成29年5月1日現在では、18時半を越えるところが全体の約55%を占めるようになりました。18時を越えても開所しているところが増えている傾向にあります。
厚生労働省 平成30年「放課後児童クラブ関係資料」より
なお、実施曜日は月曜から土曜日のところが多いですが、土曜日は時間が短いところもあります。
■利用できる学年
利用できる学年については、小学校1年生から3年生までのところが多く、小学校4年生になると退所せざるを得ないケースが見られます。これは、場所やスタッフの人数が限られていることが原因です。しかし、自治体によっては子育て世代を支援するため、施設を増やし、学年の制限を撤廃するなど学童保育の充実をはかっているところもあります。
学童保育の料金
さて、働くパパママにとって大きな味方である学童保育の料金とは、一体いくらなのでしょうか。
政府の調査データを使って、まずは見ていきましょう。
■もっとも多い月額料金は4,000円~6,000円!
厚生労働省が公表している平成26年の地域児童福祉事業等調査によると、学童保育のうち32%が「4,000円~6,000円」でした。続いて多いのが「2,000円~4,000円」「6,000円~8,000円」で20%ずつ。一方、12,000円以上となるケースも5.5%の割合で見られます。
厚生労働省「平成26年 地域児童福祉事業等調査」より
これほどまでに違いがあるとは驚きですね。
実際、自分の地域の学童保育がいくらなのかは、事前に調べておく必要があると感じます。
■学童保育はオプション料金がかかる場合がある
また、学童保育自体のサービスにも差があります。
その代表的な例は「おやつの有無」です。
月額利用料金に含まれているところもあれば、希望する方のみオプション料金でおやつを提供しているところもあります。
いくつか具合的な学童保育の例をあげます。
>>目黒区の例
月額料金:8,000円
延長料金:1,000円
おやつ代:月額料金に含む
利用対象:小学1年生から小学3年生まで(一部の学童保育では小学1年生から小学6年生まで利用可)
利用時間:下校時~18:15、土曜日 8 :30~18:00(一部の学童保育では、いずれも19:00まで)
>>練馬区
月額料金:5,500円(2人目以降は4,500円)
延長料金:2,000円
おやつ代:月額料金に含む
利用対象:小学1年生から小学3年生まで(一部の学童保育では小学1年生から小学6年生まで利用可)
利用時間:下校時~18:00、土曜日 9 :00~17:00
>>川崎市
月額料金:無料
おやつ代:1回110円(希望者のみ)
利用対象:小学1年生から小学6年生まで
利用時間:下校時~18:00、土曜日 8 :30~18:00
>>浦安市
月額料金:5,000円(おやつ代のほか、傷害保険料・教材などにかかる費用を含む)
おやつ代:月額料金に含む
利用対象:小学1年生から小学4年生まで
※学童保育とは別に、小学校の空き教室などを有効活用した「あそび場」が提供されています。そちらは17時までですが、小学1年生から6年生まで無料で利用することができます。なお、大人の見守りもあります。
利用時間:下校時~19:30、土曜日 7 :30~19:30
以上のように、かなりばらつきが見られます。無料にしているところは、子育て世代を増やすための施策の一貫なのでしょう。これから住み替えを検討されている方は、こういった事情を加味したうえで、お住まいのエリアを選ぶのも大切ですね。
■夏休みや冬休みなどの長期休暇はどうなる?
学童保育では、夏休みや冬休みなどの長期休暇も子どもを預かってくれます。
そのときの料金は、普段の月額利用料金と変わらないところがほとんどです。ただし、一般的にはお弁当を用意することが必要になります。
学習や送迎付き!?進化する学童保育プション
学童保育は、いま、単に「預かる」から、脱出しようとしています。
保育園に入れない「待機児童」の問題がありますが、学童保育に入れない「待機学童」という問題も実はおきています。子どもを預かる、場所や人材が不足しているからです。
そこで最近では、民間に委託し、運営をお願いする自治体も増えてきました。
民間の学童保育ではある程度利益を出すために、単なる「預かる」ではなく、さまざまなサービスを提供することで、「選んでもらえる学童保育」「利用単価のあがる学童保育」を目指しているのです。
■至れり尽くせり!第二のママのようなサポート付き
おやつは当たり前。「最大22時まで預かる」「学校や、習い事先まで送迎する」「急に病気になったときには病院まで連れて行く」など、まるでママのように子どもの面倒を見てくれる学童保育も。なかには、夕食を食べさせてくれるだけでなく、働いてきて迎えにきた保護者に夕食をふるまうところもあります。
■体験遊びや基本マナーの指導つき
楽しく学べる体験遊びや、あいさつなどの基本マナーを教えてくれるなど、きめ細やかなサービスを売りにしているところも。こういったところはオプション料金として別料金をとっているか、月額料金がそのぶん高額になっています。なかには、週5回の月額料金で4万円以上のところもあります。
■プログラミングや書道など、習い事つき
プログラミングや書道など、習い事顔負けのプログラムを用意しているところや、ディベート力や数学的センスをつける高度なプログラムを用意しているところもあります。わざわざ習い事や学習塾を別に探さなくても済むので安心ですね。
月額利用料金に4,000円~7,000円などオプション料金がかかります。
さまざまなサービスを知ると、学童保育に対する見方が変わってきますよね。
学童保育の難点に「習い事に通わせられない」という意見がありますが、それも過去のものになりつつあるようです。それどころか、食事の世話や病院への付き添いまで行ってくれるのであれば、安心してフルタイムワークができるのではないでしょうか。
パート勤務でも学童保育を利用すべき?
正社員に比べて、一般的に給与が低いパート勤務。
学童保育を利用してまで働いたほうが得なのか、迷っている方も多いはず。
それは、その方の家族構成やどんな仕事をするかによっても変わってきます。得られる収入に対して学童保育への支払いが高い場合は損なので判断は簡単です。しかし、マイナスとまではいかないまでも微妙なケースもあります。
以下に判断が難しい場合について例をあげてみました。
■国分寺市在住A子さん。夫は年収600万円。子どもは小学生1年生と幼稚園年少1人のケース
これまでA子さんは、ご主人の収入のみで家計をやりくりしていました。しかし、子育て費用の増加に伴い、第一子が小学生、第二子が幼稚園に入ったのを機にパート勤務を考え始めました。
ここでA子さんは2つの条件を加味して仕事を選びました。
・夫の扶養範囲内におさまること
・国分寺市における学童保育の利用条件である「月12日以上、日中4時間以上で午後3時以降まで勤務があること」をクリアすること
結局、近所のコンビニエンスストアで、10時から16時までの勤務、時給1,050円、週4日という条件で働くことにしました。週4日、16時までであれば、子どもの迎えにも間に合ううえ、なんとか家事もこなせると考えたのです。
A子さんの収入: 1日あたり5,250円(昼休憩を1時間はさむため、実働5時間)
1ヶ月当たり16日勤務の場合、月84,000円の収入
一方、かかる費用は、以下の通りです。
・学童保育代:月額7,500円 ※課税標準額が500万円以上の世帯での月額料金
・幼稚園の延長代:月額4,000円
つまり、差し引き72,500円の収入増加となりました。
ここで勤務時間を「10時から14時(昼休憩なし)」にしたケースを考えてみましょう。
勤務前には軽食をとり、帰宅後に遅めの昼食を済ますという形です。
この場合、学童や延長は利用しないので幼稚園や小学校へのお迎えは不要です。
A子さんの収入:1日あたり4,200円
1ヶ月当たり16日勤務の場合、月67,200円の収入増加
かかる費用:なし
つまり、週4日16時まで働いた場合と、14時で終わりにしてしまう場合では、5,000円程度しか変わらないということです。
もし、5,000円が手元にあったら、もちろん嬉しいですが、週に4日、お迎えや家事にばたばたすることを考えると、学童に預けてまで働くことを迷う方も多いのではないでしょうか。おまけに、前者の場合はお昼代がかかる、またはお弁当をつくる手間がかかるという問題もあります。そこで、長期休暇となる夏休みだけ預けるという選択肢や、そもそも「在宅ワーク」で学童保育を利用しないという選択肢が生まれます。
在宅ワークの求人募集は増加傾向にあり、学童保育を利用せず在宅ワークを始める方も急増しています。
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一方、毎日子どもと夫のお弁当作りをしていて、自分の分を作るのが手間ではない、子どもたちのお迎えも苦に感じないという方もいるでしょう。その場合は、プラス5,000円を得るために、学童保育の利用を選ぶかもしれませんね。
今回は学童保育の料金について説明してきました。
基本料金はもちろん、注目すべきオプションやその料金、また、パート勤務者が学童保育に預けるべきかの判断基準についても述べてきました。
これから小学校にあがるお子さんをお持ちのパパママは、不安もいっぱいあると思いますが、学童保育やさまざまなサービスを上手に利用していきたいものですね。