Uターン・Iターン?移住で手に入れる新ワークスタイルのメリットとデメリットと成功の秘訣とは?
毎日、人混みの中で生活していると、ふとした瞬間に「田舎でのんびりと過ごしたいなぁ」などと思うことがありませんか?20代に特化した転職サイトを運営する就職情報会社「学情」がインターネットを通じて行ったアンケートによると、「地方への転職を希望する人」が36%を越えたという数字も出ています。もちろんこの数字も一時的なブームの可能性もあり、今後どうなるかはわかりませんが、新しい技術やインターネットを使ったサービスがどんどん進化している今、そういった動きを加速させる可能性もあります。
そこで今回は、UターンやIターンという言葉に代表されるような地方への転職についてそのメリットを考えるとともに、デメリットについても確認していきたいと思います。実は、憧れて地方への転職をしたものの、失敗だったと考える人もいるからです。そこで、あなたが本当にUターンや、Iターンによる転職にむくのか、その判断基準とともに、成功させるための秘訣についても解説していきたいと思います。
田舎や地方に憧れている方、子どもが生まれたことをきっかけに移住を考えている方、必見です!
Uターンとは?
そもそもUターンという言葉の意味がよく分からないという方もいるでしょう。Uターンとは、もともとは地方に住んでいた人が、就学や就職などをきっかけに都市に移住し、
再び故郷である地方に戻ることを言います。
「U」の文字を見てみると、ブーメランのように戻るところがイメージできると思います。これはもともと転職には関係のない英語の単語で、車の運転など、一般的に使われている言葉です。
たとえば、岩手県で生まれ育った方が大学に通うために東京に来て、そのまま東京で就職したとします。仕事に対する知識や経験をしっかり積んだあと、故郷である岩手県に戻って、地元企業に転職するなどといったケースがあります。
もともと、住んでいたところに戻るということで、あらかじめデメリットは想定可能です。そのため、こういったケースは後悔や失敗が少ないと言えます。
Iターンとは?
一方、Iターンとは、Uターンに対して新たに作られた言葉です。同じ場所に戻る「U」の文字とは違って「I」は一直線となっていることから、もともと都市部にいる人が、地方に移住するということを意味する言葉として長野県庁が作ったキャッチフレーズです。
いまではすっかり定着をしていますが、英語ではないので、当然海外では通じません。
ちなみにIターンの「I」は、一直線を示す人の流れを意味するだけでなく、自分を意味する「I=私」と、地方を愛するという意味の「I=愛」とかけているのです。つまり、「I LOVE 地方」で、「Iターン」という、幾重にも意味を重ねた、なんとも高度な造語なのです。感心してしまいますよね。
ほかにも、Vターンや、Jターンなど新しい用語も!
UターンやIターンが就職関係で主に使用されている言葉ですが、このほかにも、JターンやVターンという言葉もあります。今回こちらを読んでいただいている方も当てはまる可能性があるので、簡単に説明しておきますね。
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■Jターン:地方出身者が都市部に移住した人が、出身地に近い、しかし都市部よりやや規模の小さい地方都市圏に移住し定住すること。たとえば、静岡県出身者がいったん東京に移住し、そのあと、川崎や横浜などに移住し定住するといったような場合を指します。
■Vターン:地方から都市部に移住した人が、故郷ではない別の地方で働いたり移住したりすること。たとえば、福島県出身者がいったん東京に移住し、そのあと、沖縄県などに移住するようなことを指します。
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いっぽう、Oターンという言葉もあります。文字からはなかなかイメージがつきにくいかもしれませんが、ぐるりと一周しているところに注目してみてください。
・・・お分かりになりましたか?
Oターンとは、一度都会から地方へ移住してみたものの、なんらかの事情で都会に戻ることを言います。せっかく田舎に憧れて移住したのに、まだ戻ることになってしまうのは非常に残念なことです。今回は、そのようなことが起らないよう、Oターンになってしまう原因や防ぐ方法について、のちほど説明をしていきますね。
UターンやIターンと移住する目的、メリットは?
UターンやIターンなどと呼ばれる移住には、どのような目的やメリットがあるのでしょうか?人によって異なりますが、一般的に言われている目的やメリットを挙げていきたいと思います。
>>自然が豊か!
地方には都市に比べて圧倒的に優れているものがあります。
それは、自然に囲まれているということ。木々や草花が多く、緑あふれる景色に、心も自然と癒やされるはずです。高層ビルに囲まれているなんてこともありませんので、空も広々しています。また、排気ガスなども少ないので、空気もきっと美味しく感じるに違いありません。
>>食べ物が新鮮!
以前に比べて物流の速度も早くなり、都心でも美味しい野菜を食べられるようになりましたよね。とはいえ、地産地消を謳う地方には叶いません。採れたての野菜は、野菜本来の味を感じることができるはずです。とくにトウモロコシや枝豆などは、スーパーで販売されているものとはまるで別物。香りが豊かなうえ、ぎゅっと濃縮されたような味わいを楽しむことができます。また、漁業が盛んな地域では、スーパーでは出会えないような地魚が手に入ることもあります。もちろん新鮮さも抜群。わざわざ道の駅に行かなくても、当たり前のように近所で手に入るのは、地方や田舎の特権と言えます。
>生活費が安く済む!
家計の支出のなかで最も多く占めるのが、家賃などの住居費でしょう。しかし、地方や地方都市では、東京などの大都市に比べ、ぐんと相場がさがります。たとえば、東京都心で家を買うのは夢のまた夢でも、地方であれば、庭付き一戸建てに手が届く可能性が高いです。マンションやアパートなどの賃貸でも、同じ賃料を払えばずっとずっと広いお部屋や、駅に近いなどの好条件の物件に住むことができます。
また、家賃と並んで大きく家計を占める食費もさがる可能性が高いです。この2つの支出を低減できるだけで、毎月生活がぐっと楽になるはずです。
>>人との繋がりが温かい!
都心では隣に誰が住んでいるかわからないなんてことは当たり前ですが、田舎や地方の場合は顔見知りである可能性が高いです。同じような年代の夫婦だったり、自分の子どもと同じ小学校の家庭だったりすれば、なにかと安心して過ごせるのではないでしょうか。田舎に行けばいくほど、子どもは地域のみんなで育てるといった考え方が深く根付いています。公園で一緒に遊んでくれたり、通学を見守ってくれたりと、温かい目で見守ってくれるでしょう。温かい環境のなかで育つことで、子どもは、助け合いの心を学びながらのびのびと育ってくれるはずです。
>>通勤ラッシュにも悩まされない!
都心では毎朝見られる通勤ラッシュも、田舎や地方ではほとんど見られません。人の数自体が少ないので混雑知らずだからです。また、駐車場も確保されている会社が多いので、通勤自体、マイカー通勤が可能な場合も多いです。好きな音楽やラジオを聴きながら、自分だけの空間でゆったりと通勤できるので心に余裕が生まれますよ。雨の日や風の日もドアツードアなので、悪天候にも悩まされにくいのも魅力の一つです。
Uターン、Iターンなど、移住に伴うデメリット~仕事~
次に、UターンやIターンなどで起こりうるデメリットについて考えてみましょう。ものごとにはたいてい、いいこともあれば悪いことも必ずあるはずです。
まずは、もらえる給与についてです。
田舎や地方などの移住先で新たな仕事を見つける場合、これまでの給与と同じだけもらうというのは厳しいかもしれません。なぜなら、大都市に比べて賃金が全体的に低い傾向にあるからです。
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成
上の表は、厚生労働省が毎年調査している都道府県ごとの「職業別きまって支給する現金給与額」から作成したグラフです。プログラマーや、スーパーマーケットのレジ担当、ヘルパーや、事務員など、5つの職業をピックアップしました。都道府県は8箇所で、いわゆる大都市圏となる東京都や大阪府のほか、北海道、秋田県、栃木県、長野県、沖縄県との数字を比較しています。ご覧の通り、職業により山は小さい場合もありますが、全ての職業で
東京都、次いで大阪府で盛り上がりができているのをお分かりいただけるかと思います。
逆に言うと、地方は大都市に比べて賃金が低いということが言えます。
しかしこれは、あくまで平均をとった数字です。企業によっては人を集めるために他のよりも高水準の給与を出しているケースもあります。実はこの表からは省いたのですが、医師の場合もっとも高額な給与水準だったのは沖縄でした。もしかしたら、離島勤務などに対する手当など特別な事情があるのかもしれません。いずれにせよ、職業によって差が少なかったり、逆転する場合もあるので、最終的には自分の職種について調べてみることをおすすめします。
なお、そもそも求人の数も少ないという問題もあります。大都市に比べ、地方では、そもそも企業の数が少ないためです。しかし、働く人も少ないので、これにかんしては問題ないでしょう。一方で、過疎化の傾向がある地方の場合は、逆に働き手が減っている場合も多く、かえって仕事を見つけやすいかもしれません。実際の給与額の傾向と同様、自分の行きたい移住先がどういった状況にあるかは調べておくとより安心できるのではないでしょうか。
Uターン、Iターンなど、移住に伴うデメリット~交通の便~
都市部から離れて移住した方が真っ先に感じるのは、地方では大都市のような便利さがないということのようです。移動手段に関しては、電車やバスの本数が極端に少ないといこうことです。さらに運賃も一律の金額ではなく距離に応じて加算される場合がほとんどなので、運賃も馬鹿になりません。
となれば、地方では車での移動が基本となります。運転免許が必要であるとともに、車も購入しなければなりません。一戸建てであれば駐車スペースはあるでしょうし、賃貸でも駐車場代は格安か、無料の場合も多いですが、毎年税金はかかります。そもそも走るのにガソリン代もかかるので、月々のコストとして生活費に加算されてしまいます。
とはいえ、暑さ・寒さにかかわらず車で移動できるのは非常に楽です。たくさん買い物しても詰められますし、家族旅行にも便利です。つまり完全なデメリットとは言えないかもしれませんね。
Uターン、Iターンなど、移住に伴うデメリット~買い物や遊び場~
東京や大阪といった大都市には、たくさんのお店や遊び場があります。
パン屋ひとつとっても数は膨大。しかも、「フランスパンを買いたいなら、○○か、××、それか、△△がおすすめ」など、種類ごとにおすすめ店があるなど、選択肢はかなり多いです。競合店が多いことからクオリティも高く、食べ比べて楽しめるのもポイント。
いっぽう地方ではパン屋さんはそう数はないでしょう。
また、遊園地や大型のゲームセンター、映画館、劇場、美術館などの娯楽施設は都市部に集中しています。また、子育て世代に人気の、無料で学べる科学博物館などの施設も都市部に集められています。
つまり、移住先ではこれまでと同じように、気軽にこれらの施設に出かけるといった行動はできなくなるのです。
しかし、地方には、地方ならではの楽しみ方、遊び場はあります。ちょっと運転して郊外に行けば、大きな公園もあるでしょうし、池や川など自然と触れ合う場所もあるでしょう。有名な温泉地にだってもっと気軽に行けるかも知れません。都市型の楽しみ方はできにくくても、新たな楽しみ方ができるようになったと考えると、デメリットとはならないかもしれませんね。
Uターン、Iターンなど、移住に伴うデメリット~教育園~
子育て世代の重要な関心事のひとつに、教育問題が挙げられます。
「田舎だと勉強が遅れないかしら?」「国立や私立など、魅力的な小学校や中学校がない!」など、教育熱心な親御さんにとっては不安だらけです。
しかし、「SAPIX YOZEMI GROUPの東大研究室」が調査した結果から、前期日程合格者の出身地は、東京出身者ばかりではないことも分かっています。
※東大研究室 前期日程合格者の出身地割合の推移より
また、2017年の全国学力調査では、秋田県の東成瀬村という、人口がたったの2,600人という小さな村の小学校、中学校が国語の強化で全国1位となったことが世間を驚かせました。全国学力調査とは小学6年生と中学3年生の2学年に行っているテストです。秋田県の東成瀬村の小学6年生と通学3年生、この両方が全国1位となったのです。「本を読ませるなどして国語だけ力を入れているのだろう」と思う方もいらっしゃるでしょうが、実は、6年は算数でも全国2位、中学3年生は数学で全国3位と、いずれも好成績を残しているのです。これは決してまぐれではなく、数年間続いている事実なのです。
また、上位常連には、石川県や福井県も入っています。
つまり、地方が一方的にだめという構図では決してないということです。
もし、子どもの教育、進学に熱心なのであれば、そういった地域を選ぶと良いでしょう。
移住を成功させる方法とは?デメリットを克服しよう!
ここまでで、UターンやIターンなどの移住におけるメリットとデメリットがお分かりいただけたと思います。と同時に、デメリットにあげられたものの中には、考え方次第でデメリットとまではいかない、または、人によってはたいしたデメリットと感じないものもあったのではないでしょうか。もし、デメリットをデメリットと感じないのであれば、あなたは地方や田舎への移住にむくということです。もし、上で挙げたようなことがらが、確かにデメリットと感じたのであれば、デメリットよりもメリットが上回るかを考えてみてください。もしあなたが、「メリットが上回る!」と即答できたのであれば、やはり移住にむくと言えるでしょう。
一方で、悩んでしまった人にとっての最大のネックは「仕事」ではないでしょうか?仕事が見つからなければ、地方に移住しても生活ができなくなってしまうからです。
たしかに、先ほども述べたように、地方での就業では給与水準はさがる可能性は高いです。しかし、物価も低い傾向にあるので、仕事にさえつければ生活は可能でしょう。
それでも不安だという方、また給与水準を落としたくないという方は、現在勤務している会社で、「テレワーク」や「在宅ワーク」が可能かを上司、または人事部に相談してみると良いでしょう。テレワークとは、「tele(離れた)」と「work(働く)」という2つの意味を合わせた言葉ということで、本来の勤務場所と離れた場所で勤務することを意味しています。つまり、在宅での勤務もこのテレワークに含まれるのです。テレワークを導入する企業は年々増えており、さらに今後その動きは加速化されると言われています。なぜなら、テレワークは、働く人のワークライフバランスの実現に役立つとともに、企業にとっても、コストダウンなどのメリットがあるからです。皆さんが知っているような大手企業が、単身赴任を削減したり、在宅ワークに切り替えるなどニュースでも話題になりましたよね。テレワークを支えるようなネット会議システムや遠隔操作が可能なソフトウエアの開発などがこれまでにない速度で進んでおりこういった動きは中小企業にも広まると言われています。
あなたの勤務している企業もテレワーク、とくに在宅ワークを推進し、東京以外の地方などから在宅ワークできるよう制度が変わるかも知れません。普段は在宅ワークで、週に1回、ないし月に1,2回など決められたときにだけ出勤するなどというスタイルであれば、静岡に住むなんてことも決して夢ではありません。
もし、あなたの会社がテレワークや在宅ワークを推進していないのであれば、推進している企業に転職したうえで、移住をすれば「仕事が見つからない」「地方の企業で高水準の給与をもらえない」といったデメリットは克服できるのではないでしょうか。
テレワークや在宅ワークを認めている企業は?
では、次に、テレワークや在宅ワークを認めている企業にはどんなところがあるのかを見ていきます。移住先の企業だけでなく、そういった企業にまで転職先の候補を広げれば、理想の転職はもちろん、移住の夢もだいぶ近づくからです。
求人を見てみると以下のようなものが正社員として募集しています。
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○営業系
・ITベンチャーの営業(業務フローの改善の提案、ソリューション営業)※週1出社
○エンジニア系
・PCスクールのオンライン教材の制作や、WEBコンテンツの作成※テレワーク中心
・Web系システムやアプリの開発※完全在宅
・
○事務系
・建設会社にて設計アシスタント(書類・経理資料作成から図面作成まで全般)※出社にてトレーニングを受けた後完全在宅)
・IT企業でのバックオフィス業務(契約に伴うデータ作成・受注・問い合わせ対応)
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営業系、エンジニア系、事務系と分類しましたが、真ん中のエンジニア系はとくに求人数が多く、次いで事務系でテレワークを導入している企業が多いです。営業は、とくに新規開拓を中心として相手先に出向くスタイルが多いため、テレワークにはむいていないのかもしれませんね。
一方で、業務委託やパートなどに幅を広げると、もっと多くの求人が見つかります。本社とはZOOMなどを使った定期ミーティングをするだけで完全在宅といった職業も多く、最近では面談も来社不要という求人が増えています。業務委託の場合は、正社員並の福利厚生は期待できませんが、自由度が増すうえ、働き方によってはこれまで以上の収入を得られる場合もあります。
UターンやIターンなど、移住を考えているのであれば、一度求人情報をチェックしてみると良いでしょう。
まとめ
今回は、都心部から地方に移住したいという方むけに、メリット、デメリットをまとめてまいりました。ものごとには、メリットだけというものはほとんどなく、「メリットがデメリットを上回るか」、または「デメリットをどれだけ低減できるか」といった考え方が必要です。今回は、UターンやIターンでもっとも大きな障害となりうる転職について、「テレワーク」というひとつの可能性に焦点をあてて解説してきました。
これまでの職種ではテレワークは難しいという場合は、エンジニア系への転向なども含めていろいろな可能性を探ってみると、失敗や後悔のないUターンなどの移住が実現できるのではないでしょうか。もちろん思い切って農業などで生計をたてるといった方法もあります。全く違った職種への転職を伴う場合、道のりは長くなるかもしれませんが、1歩1歩確実な道が歩めるよう応援しています。