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確定申告のよくある失敗や間違いとは?修正方法や必要書類について

毎年1回の確定申告。損をする申告はしたくないし、控除や還元される税金は増やしたいですよね。
ですが、損をしない為に過剰に経費を計上すれば脱税になりますし、扶養控除を正しく申告しなければ後々課税されてしまうので注意が必要です。
申告出来る経費や控除、税金の計算は専門家でなければ全部理解するのは難しいですが、基本的には嘘や過剰な計上はせず、ありのままに申告しましょう。

確定申告の失敗

確定申告は難しく、慣れていないうちは失敗してしまうこともしばしば……。 そこで確定申告をするにあたって失敗しやすい点と失敗例を紹介します。

◆必要書類が足りない

よくある初歩的な失敗は必要な書類が足りないということです。 確定申告をする際はとても人が混在しており、場所によっては何時間も待たされる場合があります。 書類が足りずにその日は確定申告ができず、また後日確定申告をするために何時間も待たなければなりません。 また必要な書類がそろっていない場合は、申告の漏れにもつながります。 ですから確定申告を行う前に必要な書類がそろっているかどうか、また必ず申告しなければいけない事項に漏れがないかしっかり確認しておきましょう。

◆還付と思っていたら納税だった

多くの人が「確定申告を行えば支払った税金が返ってくる」と勘違いしているようです。 確定申告を行えば必ずお金が返ってくるわけじゃなく、場合によっては納税しなければならないことをもあります。 「お金が返ってくる」と思って確定申告しに行って反対に納税しなければならなくなった、なんてよくある話です。 確定申告とは個人事業主や副業を行っている人が「一年でこれだけの所得があり、それに応じた所得税を支払う」ために行います。 その他にふるさと納税をした年や、高額医療を受けた年などは確定申告を行うことで還付を受けることができる場合もあります。 ですから確定申告を行い納税漏れがあれば、納税しなければならなくなりますし、反対に税金を払いすぎていると分かった場合は還付を受けることができるのです。

◆管轄外の税務署に行ってしまった

確定申告はその年の一月一日に住民票がある住所を管轄している税務署で行います。 ですから必ずしも最寄りの税務署で確定申告ができるとは限りません。 確定申告を行う人の住民票を確認し、管轄している税務署を調べてから確定申告を行いに行きましょう。 また遠くへ引っ越してしまった、代理で確定申告を行うなどさまざまなケースがあると思いますので、分からない場合は税務署に相談してみることをオススメします。 また市役所でも確定申告会場を設けていることもあり、そこで確定申告を行うことができます。 しかし申告の内容によっては市役所では対応が難しい場合がありますので注意しましょう。

確定申告での間違い

確定申告に慣れないうちは書類の書き方も分からないですよね。 書き間違いや記入漏れがあることも多いです。 もし書き間違いや記入漏れがあった場合、間違った申告をすることになりますので罰則の対象になることがありますので注意しましょう。 そこで書類を記入する際に間違いがないよう、書類上で間違いやすいポイントを紹介します。

◆副収入の申告の漏れや誤り

フリマアプリやネットオークション、株や仮想通貨などの売却で副収入を得ている人も多いと思います。 これらで得た収入も申告する必要があります。 申告しなければいけない条件は「副収入が諸経費を差し引いて通算20万円以上になる場合」です。 ここで申告の漏れや金額に誤りがあると、罰則の対象となることがあるので注意しましょう。

◆一時所得の申告の漏れや誤り

土地や建物を売った時や、生命保険の満期金や一時金を受け取った場合など一時的に大きなお金を得ることがあると思います。 そういった場合も申告の対象とある場合がありますので、しっかり確認して申告を行い漏れや誤りがないように注意しましょう。 また競馬や競輪、競艇など公営競技で高額な払戻金を得た場合も申告が必要です。 自分が得た一時金が申告の対象となるかどうか調べる必要があります。

◆海外所得の申告の漏れや誤り

日本国内に居住地を置いている人は税金を支払う義務があります。 ですから海外で得た所得であっても申告する必要があります。 例えば日本国外で所有している不動産を売却し収入を得た場合などは申告する必要があります。 該当する可能性がある人はしっかり調べて申告しましょう。

◆医療費控除に関する記入漏れや誤り

医療費を申告すると控除や還付が受けられる場合があります。 しかし申告すれば必ず受けることができるわけではなく、また受けることができても医療費全額が控除の対象になるわけではありません。 医療費控除とは年間で支払った医療費が一定額を上回る場合、確定申告を受けることで控除や還付を受けることができます。 医療費を申告する場合、医療費の計算ミスや記入漏れなどがあると申告が通らない場合もありますので注意しましょう。 また薬局などで購入した薬やサプリメントは対象外です。 さらに保険会社から医療保険の還付金を受け取っている場合は、医療費控除の対象から外れますので注意が必要です。

◆ふるさと納税の寄附金控除の適用漏れ

知名度もアップし、多くの人に定着しつつあるふるさと納税ですが、「ふるさと納税ワンストップ特例」を提出するだけの方が多くいます。
確定申告を行う際には、寄付金控除のなかに、ふるさと納税の金額も忘れずに記載しましょう。

◆地震保険料控除の適用誤り

地震保険とは、地震だけでなく、津波や噴火などによる住宅や家財道具への損害に対して、保険金がもらえる制度ですが、基本的に単体で入ることができず、火災保険などの特約として加入することとなっています。
このことから、確定申告の地震保険料控除の欄に火災保険などの別の保険料も加算してしまう方が多いのです。
しかし、地震保険料控除の欄には、あくまで地震保険料以外のものは記載できませんので、間違わないようにしましょう。

◆寡婦控除、寡夫控除の適用漏れ

寡婦(夫)控除制度は「ひとり親控除」の創設に伴い令和2年分から廃止となりますが、令和元年以前のものを遡って申告する場合には適用漏れがないようにしましょう。
ちなみに、離婚や配偶者に先立たれた方で一定の条件に該当している場合は、寡婦(夫)控除として27万円の所得控除を受けることができます。さらに特定の寡婦(夫)に該当する場合にかぎっては、35万円の所得控除を受けることができます。

◆配偶者控除及び配偶者特別控除の適用誤り

配偶者控除、または配偶者特別控除でよくあるのが、納税者の合計所得が1,000万円を超えているのに適用してしまう間違いです。
配偶者控除、または配偶者特別控除は、納税者の合計所得金額によりその控除額が異なりますが、合計所得が1,000万円を超えると完全に対象外となるのです。
また、配偶者控除と配偶者特別控除を両方受けることはできません。

◆基礎控除の記載漏れ

基礎控除とは、総所得金額から最大で48万円差し引くことができる控除のことです。
納税者の所得に応じ段階的にその金額が変わりますが、2,500万円を超えると0円になります。
年間の合計所得が2,500万円以下の方は、忘れずに記載しましょう。
なお、令和元年以前の基礎控除は、総所得に関係なく一律38万円となっています。

◆住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用誤り

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用しマイホームを新築したり、取得、または増改築等を行った場合に一定の条件下で適用される控除で、年間多くの人が利用している制度です。
ただし、家の買い換えで、もとの家を売却することにより他の税制優遇措置を受けていた場合は適用外となるので、注意しましょう。

◆復興特別所得税額の記載漏れ

復興特別所得税というのは、東日本大震災からの復興のための財源として特別徴収されている所得税です。2037年までは、その年の所得税額に対する2.1%を支払う必要があるため、復興特別所得税欄にも記載し申告する必要があるのです。

◆予定納税額の記載漏れ

予定納税額とは、前年分の所得金額および所得税額をもとに計算した金額で、予定納税額が15万円以上である場合、所得税や復興特別所得税の一部をあらかじめ納めておくとが求められます。
もし、税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」の送付を受けている場合は、確定申告の際にその額を記載する必要があります。
ちなみに、令和3年分にかんしては6月中旬ころに発送されています。

 

確定申告で誤った場合の対処方法

十分に気を付けていても間違って申告をしてしまう場合があります。 申告した後に間違いに気づいた場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

◆確定申告「期限内」の対処方法

確定申告書の提出期限内に間違いに気づいた場合は、新しく正しい申告書を作成して再提出すれば大丈夫です。 確定申告をした日付が再提出した日付となり、確定申告が完了です。

◆確定申告「期限後」の対処方法

提出期限を過ぎて間違いに気づいた場合は、訂正後の税額が多くなるのか少なくなるのかで対処方法が変わってきます。
・税額が少なくなった場合
こちらは税額を多く申告していて訂正後に税額が少なくなった場合です。 この場合は更正の請求という手続きをします。 手続き方法は更正の請求書を作成し税務署に提出します。 そして内容が認められてら払いすぎた税金が還付されます。 更正の請求ができる期限は五年以内なので注意しましょう。
・税額が多くなった場合
こちらは税額を少なく申告していて、訂正後に税額が多くなった場合です。 この場合は修正申告という手続きをします。 税務署に指摘を受ける前に修正申告書を提出すれば、過少申告課税がかかることはありません。 しかし納税していない分を支払わなければなりませんし、訂正して増えた税金に延滞税がかかってしまうので注意しましょう。

確定申告に関する罰則規定

確定申告は「自主申告課税制度」と言って申告者が判断して申告納付することになっています。 しかし申告しなければならないのに申告していなかった「無申告」や申告ミスがあった場合は罰則が課せされます。

◆過少申告課税

本来は払わなければならない税金よりも少なく申告していて、税務署の調査を受けた後に修正申告を行った場合や税務署から申告税額の更正を受けた場合に発生します。 この過少申告課税は新しく収めることになった税金の10%または15%の税率で課せられます。

◆無申告加算税

正当な理由もなく申告期限内に申告しなかった場合に課せられます。 金額は納付すべき税額に対して15%または20%の税率で課せられます。 もし税務署に指摘を受ける前に自主的に修正申告をした場合は5%に軽減されます。

◆重加算税

過少申告加算税もしくは無申告加算税が課される場合で、申告者が税金にかかる課税基準や税額などの計算の基礎となる部分を隠ぺい、偽装した場合に課せられます。 簡単に言えば税務署が悪質だと判断すれば課せられる税金です。 税率も払うべき税金に対して、基過少申告加算税の場合は35%で無申告加算税の場合は40%と高くなります。

◆延滞税

確定申告の期限後に完納していない場合は延滞税が課せられます。 また上記で紹介してように申告後、税額に誤りがあり追加で納税しなければならなくなった場合も課せされます。 延滞税は法的納付期限日のその次の日から完納するまでの日数にともなって決められます。

確定申告に必要な持ちもの

税務署に確定申告に行く時に、必要な持ちものがあります。

◆確定申告書類

最初に紹介した通り「確定申告書類」が最も大切です。 これがなければ確定申告ができません。 この書類は確定申告の時期が近づいてくると郵送されてきます。 もし郵送されなくても最寄りの税務署でも入手できますし、国税庁のホームページからダウンロードできます。

◆添付書類

次に必要なものが確定申告をする際に添付する必要がある書類です。 こちらは申告する内容によって必要な書類が違います。 例えば給与所得がある人は源泉徴収の原本を添付する必要がありますし、医療費控除を受けたい場合は医療明細書などの添付が必要です。 こちらも添付し忘れると確定申告ができなくなるなどのトラブルの原因ですので注意しましょう。

◆ 印鑑

確定申告書には何カ所か印鑑を押すところがあります。 自宅で申告書類を作成して印鑑まで押していたとしても、不備があるかもしれません。 念のための印鑑を持参することをオススメします。 また個人事業主で確定申告をする際は事業用の印鑑を使用しましょう。

◆マイナンバーカード

印鑑と同じように確定申告書には何カ所かマイナンバーを記入するところがあります。 また2017年から確定申告の際に、マイナンバーカードの添付等が必要になりました。 ですからマイナンバーカード、カードを持ってない場合はマイナンバー通知カード、それもない場合は住民票の写しなどが必要になります。 これらも確定申告に行くまでに準備し持って行くようにしましょう。

◆還付金受け取りのための銀行口座

過払いの税金がある場合は還付金を受け取ることができます。 その際はその場で還付金を受け取るわけではなく、銀行口座に振り込まれます。 ですから念のため銀行口座が分かるものを持参することをオススメします。

◆持ち物チェックリスト

確定申告書や添付書類は申告する内容によって異なります。 その他にもマイナンバーカードや印鑑などさまざまなものが確定申告を行う際に必要です。 ですから書類を準備する際や、確定申告に行く前に忘れ物がないか確認するために「持ち物チェックリスト」を作成することをオススメします。 インターネットで検索するとダウンロードできますし、毎年確定申告をしなければならない人は確定申告用のソフトを購入できますよ。

失敗事例⓵■購入した車を経費として計上

平成25年に自家用車を200万円で購入しました。
この車はプライベートでも仕事でも使うので、平成25年度の確定申告で経費として計上してネットから確定申告をしました。
申告後、税務署から経費に不明な点があると連絡があり、車の購入費について説明すると「それは経費として計上出来ません。不正になります。」と言われ、車の購入費を差し引いた分が経費となり、納税する税金が増えてしまいました。
 
ここで問題。
【問題】プライベートでも使う車は、購入費を経費として計上はできるのでしょうか。
【回答】経費として計上できません。減価償却費となります。
 
仕事で使うのに、経費に出来ないなんておかしい!と思いますよね?
実は、車は経費ではなく減価償却費として計上します。
減価償却費とは、長期間に渡って使用する車や建物・PCなどを購入した際に、その購入価格を一旦資産として計上し、当該金額をその資産の耐用年数に渡って規則的な費用して配分する金額になります。
つまり、資産をどれくらいの年数使うのかによって毎年一定の金額を控除として計上できるという事です。
 
今回の場合は、プライベートと仕事の両方で使用する事がわかっていますので、どのくらいの割合が仕事に使われるかによって減価償却費が決まります。
では、購入した車を仕事で使うのは6割程度として使用年数6年で計算してみましょう。
200万円÷6年×6/10=20万円
つまり、6年間20万円を減価償却費として申告出来るという事になります。
車の他にも、自宅をリフォームした時に仕事専用の部屋を作ったり事務所として使用する場合も減価償却費として計上する事が出来ます。
また購入額が10万円以上のPCなども、減価償却費として計上出来ます。
 
【注意】
減価償却費として計上できる年数には上限があります。
購入した年度の申告時に税務署や税理士の無料相談などに行き申告前に確認をしましょう。

失敗事例⓶■子どもの障害者控除

納税者自身や、同一生計の配偶者又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができますが、実は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用されます。
しかし、両親が共働きの場合に手続きを間違ってしまうと重複して控除を受ける事になってしまい、税務署内で納税額を決められず連絡がきたり、後から追加で課税されたりしてしまいます。
 
ここでは、その一例を紹介します。
 平成25年12月に、次子が精神障害者2級と認定され精神障害者手帳が発行されました。
夫は11月提出した年末調整で次子を扶養親族としていましたが、妻は平成25年度の確定申告時に次子を障害者控除の対象として申告しました。
申告時は、税務署職員に記載に間違いがないか等を確認して、問題がなかった為そのまま提出をしました。
しかし、春になり税務署から夫・妻どちらにも次子が扶養親族となっており違法であると連絡がありました。
妻が慌てて税務署に確認すると、夫の方には障害者控除としての申告はされていないが扶養親族となっている。扶養親族は、どちらか一方にしか入れられない為このままだと脱税になってしまうので、どちらか一方から次子を抜いて欲しいと言われました。
今回の場合は、夫の扶養親族から抜いて妻の扶養親族とすることにしました。
 
ここで問題。
【問題】なぜ、夫ではなく妻の扶養親族としたのでしょうか。
【回答】妻の扶養親族にしないと、追加課税が発生するから。
なぜ、妻の扶養親族にしないと追加課税が発生するのでしょうか。
 
ここで、確定申告時の扶養親族の控除について簡単に説明します。
じつは、所得税は平成23年分から、住民税は平成24年分から16歳未満の扶養控除が廃止されています。そのため、夫が年末調整で出した申告書に次子が記載されていても納税額に影響はありません。
しかし、障害者控除は16歳未満であっても扶養親族として申告でき75万円が控除されます。
今回のケースの場合は、妻が一旦次子を障害者控除の扶養親族として申告して控除を受けており、なおかつ夫は控除を全く受けていない為に妻の扶養親族としなければ追加課税が発生してしまうのです。
妻が確定申告時に確認したのは記載の仕方であって、制度では無かったので正しく申告が出来なかったという事になります。
 
いかがでしたか?
確定申告をする上で、分からない事や不安な事は申告会場や税務署の無料相談で事前に確認をしましょう。
また、その時には自分が何をどのように経費や控除として申告したいのか、台帳や資料を持って確認すると正しい情報を教えてもらえますよ。
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