未経験でもなれる?就職・転職で役立つプログラマー資格とは?
専門的な知識やスキルがあって、かっこいいイメージのあるプログラマーは、これから初めて就職しようとしている新卒の方だけでなく、在宅ワークでも可能なことから、社会人の転職や再就職の職業としても人気が高まりつつあります。
そこで今回は、就職や転職、また再就職で、未経験でもプログラマーになりたいという方にむけて、確実にプログラマーになるための方法と役立つ資格についてご紹介していきます。
未経験でもプログラマーになれるのか?
そもそも、未経験でもプログラマーになれるのかと疑問を抱いている方もいるでしょう。
たしかに、新卒でもない限り、たいていは「実務経験がある方」と限定した求人がほとんどです。
しかし、プログラマーに対する需要は安定的で、ここ数年上がり調子にあります。月によって落ち込むときはあるものの、いまだ売り手市場にあります。
年収が期待できる有名な大手企業は人気があり、引く手あまたの状態ですが、それ以外、特に中小企業の場合は人集めに苦労していますから、知識さえあれば実務経験のない未経験者でも採用可能としているところがあるのです。
プログラマーは実践をこなしてなんぼという職業でもありますから、今こそ、プログラマーを目指す方にとって大きなチャンスとも言える時期なのです。
プログラマーに資格は必須ではないが、資格はいる!
プログラマーになるには資格はいりません。
ご存じの方も多いと思いますが、プログラミングは免許制ではないので、知識さえあれば仕事をすることは可能です。
さきほど説明したように、有名な大手企業でなければ既卒の未経験者でも可能としているケースがあるので、ハードルは意外と低いと思った方もいるかもしれません。
しかし、いくら人手不足が否めない中小企業だとしても、「確実にプログラマーとして独り立ちしてくれる人」、しかも「できるだけ早く戦力になる人」を採りたいということは容易に想像できますよね。
なぜなら、戦力にならないうちはあくまで投資期間であり、むしろマイナスだからです。できるだけ早く仕事を覚えてもらい価値を生み出す人になって欲しいというわけです。
また、プログラマーという職業についてよく知らない方を採用してしまった結果、ものになる前に辞められてしまったら、その投資も無駄になってしまいます。
だからこそ、その人が確実に、そしてできるだけ短い期間で戦力になってくれるのか見極めることが必要なのです。
さて、もし、あなたが採用担当者だとして、たくさんの未経験者が応募してきた場合、どの人が確実に将来戦力になってくれる人なのか、どのように見極めるでしょうか。
みなコミュニケーション力もあって、同じような学歴であれば、資格の有無を確認するのではないでしょうか。
資格があるということは、その分野に対して確実に知識があるということです。本人がいくら知識があると説明しても、それはあくまで自己申告になってしまいます。
一方で資格は客観的な証明になりうるのです。採用担当者とすれば、安心材料になるに違いありません。
また、知識の証明だけではありません。その分野や職業をどれだけ本気で目指してきたのか、どれだけ具体的な行動をしてきたのかも推し量ることができます。
これは新卒でも同じことが言えますよね。
こう考えると、プログラマーになるには資格は必須ではないですが、必要だと思いませんか?
次項からは具体的にプログラマーにおすすめの資格を説明していきますね。
基本情報技術者試験
プログラマーを目指したい人が取得しておきたい資格に、まず「基本情報技術者試験」というものが挙げられます。あくまで基本的な知識を問うものですが、実際の求人に条件として書かれている場合があるので既に取得に動いている方もいるのではないでしょうか。
基本情報技術者試験とは、経済産業省が認可する国家資格です。
クライアントの持つ課題に対して、情報技術を活用した提案ができること、信頼性や生産性の高いシステムの設計や開発を行えることを問うものです。
なお、具体的な技術水準は以下の通りです。
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1 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
①対象とする業種・業務に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
②上位者の指導の下に、情報戦略に関する予測・分析・評価ができる。
③上位者の指導の下に、提案活動に参加できる。
2 システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
①情報技術全般に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
②上位者の指導の下に、システムの設計・開発・運用ができる。
③上位者の指導の下に、ソフトウェアを設計できる。
④上位者の方針を理解し、自らソフトウェアを開発できる。
※出典:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html
ずばり、プログラマーとしてしっかりと学んでおきたいことばかりですね。
将来的にSEになりたいという方にも役立つ資格です。
正直、実務についていない方が取得するには、相当高い難易度となります。
とくに文系やIT系の知識がない方の場合は、半年は対策に必要だと見込んだ方が良いでしょう。
一方で実務についている場合、1日3,4時間のペースで勉強すれば2週間程度で習得できるといいます。つまり未経験者と経験者ではそれだけの差があるということですね。
逆に言うと、この試験をパスすれば、実務者に近い知識を得ることができたことの証明になるというわけです。
では次に、試験時間や出題形式について説明します。
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・試験実施日:年に2度(4月と10月)、午前と午後
・試験時間 :午前、午後それぞれ90分間ずつ
・出題形式 :午前は多肢選択式(四肢択一)午後は多肢選択式
・出題数:午前は50問、午後3問
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では最後に、過去4回分の合格率をご紹介します。
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平成30年春期・・・【合格率28.9%】受験者数51,377人 合格者数14,829人
平成30年秋期・・・【合格率22.9%】受験者数60,004人 合格者数13,723人
平成31年春期・・・【合格率22.2%】受験者数54,686人 合格者数12,155人
令和元年春期・・・【合格率28.5%】受験者数66,870人 合格者数19,069人
※出典:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html
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なお、令和元年の受験者数のうち社会人は28,231名、学生は20,761名なので、4割近くが学生、つまり確実に未経験者となっています。社会人も全てが経験者というわけではなく、現在は別の職種についている未経験者もいると推測されます。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語を学ぶ人におすすめの資格で、サーティファイが運営・管理しています。
C言語とは、数あるプログラミング言語のなかでも古い歴史を持つもので、現在も使われ続けていることから、その汎用性や言語に対する需要がお分かりいただけると思います。
実行速度が早いということも指示される理由の1つです。
さて、そのC言語の理解度を確認するこの試験は3つのレベルに分かれています。
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3級・・・基礎知識、プログラマーを目指す方向け
2級・・・より理解度を深めたい方(初心者)向け
1級 ・・・応用スキルを高めたい方(実務者)向け、
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まず未経験者である皆さんは、3級を目指すと良いでしょう。
3級はC言語の概要を理解していることや簡単なプログラムが書けることが求められます。
3級の試験に関しての情報は以下の通りです。
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試験実施日:2020年度は3回(1、6、9月) 2021年は1月のみ
試験時間:60分
出題形式:筆記試験(多肢選択解答形式・マークシート形式)
問題数:テーマ別大問6問
受験料:5,200円
合格基準:得点率60%以上
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なお、出題範囲に関してはわりと細かく公表されています。サンプル問題も公表されているので、必ずチェックしておきましょう。
・出題範囲:https://www.sikaku.gr.jp/js/cp/ind/about/range/03/
・サンプル問題:https://www.sikaku.gr.jp/js/cp/exam/sample/
専用の問題集も出版されていますので、真面目に勉強すれば合格はそう難しくはないでしょう。
合格率は1~3級の全体で73%とわりと高めです。(2019年実績)
なお、就職でより優位に立ちたいのであれば、2級も目指したいところです。
2級は年に2回、試験時間は90分と少し条件が変わります。
Javaプログラミング能力認定試験
Javaを習得したい方、経験者のJavaの習得レベルを客観的に評価できる試験です。
さきほどと同様サーティファイが運営・管理しています。
Javaとは、C言語と同様汎用的なプログラミング言語で、世界中で使われており、求人数も多い人気のある言語です。
試験は3つのレベルに分かれています。
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3級・・・これからJavaを目指す人むけ
2級・・・簡単なプログラミングができる人向け
1級・・・実務者(プログラマー、SE)向け
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最難関である1級は無理だとしても、2級まで取得を目指したいところです。
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試験実施日:3級・・・年に3回、2級、年に2回
試験時間:3級・・・60分 2級90分
出題形式:筆記試験(多肢選択解答形式・マークシート形式)
問題数:3級はテーマ別大問6問、2級はテーマ別大問7問
受験料:3級は5,200円、2級は6,400円
合格基準:得点率60%以上
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こちらも出題範囲が公表されています。サンプル問題は申し込み形式です。
出題範囲:https://www.sikaku.gr.jp/js/jv/ind/about/range/
サンプル問題申し込み:
https://offer.sikaku.gr.jp/jv_sample?_ga=2.232589272.632540139.1599989115-1187003429.1598499931
PHP技術者認定初級試験
PHP技術者認定機構が運営・管理している認定試験です
名前の通り、PHP言語のスキルを問うもので4タイプに分かれています。
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・PHP7技術者認定初級試験
・PHP5技術者認定初級試験
・PHP5技術者認定上級・準上級試験
・PHP5技術者認定ウィザード
レベルは、3つに分かれています。
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PHP技術者認定上級試験 レベル3
PHP技術者認定準上級試験 レベル2
PHP技術者認定試験 初級試験 レベル1
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目指すのは初級レベルです。初級は、PHPを学んだ人であれば10時間程度で合格できると言われています。
合格率は公表されていませんが、PHP技術者認定機構では、独学者の合格率を75%、認定スクール受講生の合格率を85%に目標設定しているとのこと。
確実に受かりたい場合は PHP技術者認定機構の認定校に通ったほうが良いですが、独学でも十分合格を狙えるでしょう。
なお、受験料は15,000円とやや高額な設定です。
※出典:PHP技術者認定機構
Ruby技術者認定試験
Rubyアソシエーションが運営・管理している認定試験です。
日本人が開発した、シンプルな構造なのにWebサービスやWebアプリケーションが作成できるRubyを使って、システム開発を行ううえで必要な基礎的な知識と応用力をもつことを認定する試験です。
資格のレベルは2段階です。
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・Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver version 2.1
Rubyの文法知識、Rubyのクラスとオブジェクト、標準ライブラリの知識について、基本的な技術レベルを持つことを認定します。
・Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold version 2.1:
Silverで求められる範囲(文法、オブジェクト指向、組み込みライブラリ、実行環境など)を更に掘り 下げた知識に標準添付ライブラリ知識やアプリケーション設計に必要となるクラスやオブジェクトに関する知識を追加し、Rubyによるプログラム設計技術を持つことを認定します。
※出典:https://www.ruby.or.jp/ja/certification/examination/
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上級認定であるGoldを受けるためには、Silverに合格することが必要です。
まずは確実にSiliver合格を目指しましょう。
Silverの試験概要は以下の通りです。
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試験時間:Silver・・・90分 Gold・・・90分
出題形式:コンピュータ試験
問題数:50問(選択式)
受験料:Silver・・・16,500円 Gold・・・16,200円(ガク割でいずれも8,250円)
合格基準:得点率75%以上
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合格率は非公開です。
しかし、「IT検証技術者認定試験」や「クラウドコンピューティング検定試験」なども含めた数々の認定試験などをまとめた「特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会」によると、Ruby技術者認定試験のsilverの難易度はレベル1の真ん中より上にあり、Goldもレベル2でまだエントリーレベルにあることから、それほど難易度は高くはないでしょう。
しかもこのRuby技術者認定試験に対しては、公式サイトにて受験対策用資料を明確にしているので、この問題集をものにすれば、合格への道はそう遠くないでしょう。
★書籍★
・Ruby公式資格教科書 Ruby技術者認定試験 Silver/Gold対応
・メタプログラミングRuby第2版
・Rubyのしくみ
※出典:amazon
なお、この試験のユニークなところは、こちらの団体で人材募集が見られることです。
Ruby言語を使ってWebサービスやシステムを開発しているところばかりなので、自分が目指す仕事を容易に見つけることができます。
※出典:Ruby Association
Python3エンジニア認定基礎試験
一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営・管理している認定試験です。
AIや統計処理などに使えるということで人気急上昇中であり、試験も開始2年で5,000人が受験したことが話題となりました。
試験概要は以下の通りです。
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試験日:通年
試験時間:Silver・・・90分 Gold・・・90分
問題数:40問(選択式)
試験時間:60分間
受験料:1万円(学割で5,000円) ※いずれも税別
合格基準:正答率70%以上
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文法基礎を問う試験であり、オライリー・ジャパンの「Pythonチュートリアル 第3版」の掲載内容が出題範囲となっているほか、一般的な知識からも出題されます。基本的にはPythonチュートリアルを熟読すれば十分合格できます。
※Pythonエンジニア育成推進協会
Python3エンジニア認定データ分析試験
こちらも一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営・管理している認定試験で、データベース活用の重要性を踏まえて2020年春に新設された認定試験です。
Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問うものとなります。
試験概要は以下の通りです。
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試験日:通年
試験時間:Silver・・・90分 Gold・・・90分
問題数:40問(選択式)
試験時間:60分間
受験料:1万円(学割で5,000円) ※いずれも税別
合格基準:正答率70%以上
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主教材は、「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(翔泳社)」で、問題もそこから出題されます。
とくに出題範囲が大きいのはライブラリによる分析実践で、67.5%の割合となっています。
模擬試験も公開されているので効果的な学習が可能です。
模擬試験:https://study.prime-strategy.co.jp/
ORACLE MASTER Bronze Oracle Database 12c
リレーショナルデータベース・システムを構築するうえで欠かせない知識やスキルを認定する試験です。
国内の売上高シェアは45%という数字も出ているように、トップに君臨し続けていますので、その重要性を感じていただけることと思います。
最近ではクラウドへの移行が進んでいることもあり、Pythonに関する認定試験への応募者数が増えている一方で、Oracleを扱える人材が不足している状況です。
しかしOracleデータベースを使ったシステムはいまだ使われ続けているので、あえてこちらの資格を狙うこともおすすめです。
レベルは4段階です。
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・ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c
・ORACLE MASTER Gold Oracle Database 12c
・ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c
・ORACLE MASTER Bronze Oracle Database 12c
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最もエントリーレベルにあるのがブロンズです。
可能であればGoldまで取得を進めておきたいところです。
なお、上位レベルを受験するにはその前のレベルをパスしておく必要があるので、まずはブロンズから受験しましょう。
実践プログラミング技術者試験
2020年4月に新設された注目の試験です。
サーティファイが運営・管理しており、プログラムを書く力と読む力の2つのスキルを証明する認定試験となります。
現在、対応言語はJavaのみ。今後はC 言語、Python などにも対応予定です。
この試験が他と違うのは、合格、不合格といった判断ではなく、とった点数でレベルを示す方式であることです。英語のスキルを表すTOEICのような仕組みですが、目安として以下のような5段階位に分かれています。
・Entry(Level1)・・・0~199
・Bronze(Level2)・・・200~399
・Silver(Level3)・・・400~599
・Gold(Level4)・・・600~799
・Platinum(Level5)・・・800以上
※出典:https://www.sikaku.gr.jp/js/jp/
出題形式は以下の4つの種類に分かれています。実際プログラマーとして働き始めたときに実際に職務として行うことを想定されています。
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全作成 :仕様に基づき、一からプログラムを作成
部分作成:機能不足箇所のプログラムを作成
仕様変更 :変更仕様を基にプログラムを変更
デバッグ:仕様に適合しないエラー箇所の特定・修正
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この試験はプログラミング言語の基礎というよりは、業務レベルのスキルを認定するものです。
だからこそ、今後企業も注目をする可能性が高いです。
ただし、難易度も高めなのでしっかりと準備期間をおきましょう。
※出典:サーティファイ
まとめ
今回は、プログラマーに就職、転職する方に必要なプログラマー資格を中心にご案内していきました。各認定試験や資格試験に関する合格率や合格基準となる目安も公表されている範囲で掲載させていただきましたが、合格基準をクリアし、認定をもらうことより重要なことがあります。
それは、正答率が70%で合格だとあっても、なるべく100%近い正答率を目指すことが重要だということです。
なぜなら、実際に仕事について業務にあたる際に、ぎりぎり合格になった方と、100%近い数字で合格した方とでは、明らかに差が出てくる場合があるからです。
できるだけ早く実務に慣れ独り立ちするのには、やはり試験に出題される内容への理解度がベースになります。
そういった意味では、履歴書に書ける、エントリーシートに書ける、アピールできるということだけにとらわれず、しっかりと身につけることを前提にチャレンジしてくださいね。