卸値ってなに?基本的な流通経路や仕入れ値との違いについても知っておこう
生産や販売などを行う流通業界で働くと、よく「卸値」という言葉を耳にするようになります。
卸値だけでなく、ほかにも、「仕入れ値」「売値」という「値」がつく言葉が出てきますので、ややこしいと思っている方もいるのではないでしょうか。
でも、流通経路の基本が分かれば、案外すんなりと入ってくるようになるはずです。
そこで今回は卸値をはじめとしたこれらの言葉と流通経路について簡単に説明していきます。
ものはどうやって消費者の元へ届くのか
ものが作られて、一般消費者に届くまで、どのような過程で届くのか考えたことはありますか?
たとえば、テレビを購入するのに、メーカーや実際にテレビを制作している工場に出向く方はいないですよね?
ほとんどの方は、家電量販店や総合スーパーなど、いわゆる量販店に足を運んで購入しているはずです。
ほかにも、野菜やお肉などの食材を手に入れるのに、野菜農家や畜産農家を訪ねる方はいないでしょう。
最近では野菜の直売所が増え直接生産者から購入する機会も増えましたが、そこで全て済ませているわけではなく、スーパーで買い出しをしていると思います。
ということは、生産者(メーカー)と一般消費者の間には量販店などの小売店という存在がいることになります。
間を取り持つ卸売業者という存在
さらに、この生産者(メーカー)と小売店の間にも、通常、卸売業者というものが存在します。
小売店の担当が、ありとあらゆる商品をそれぞれの生産者のところにいって揃え来るとしたら大変な労力になることが想像できますよね。
とくにたくさんのものを販売している総合スーパーの場合、気が遠くなるような作業です。
北海道のものを仕入れるのに北海道へ、海外のものを仕入れるのにその国へいちいち行って商品を確認したり契約をしたりしていたら、販売労力やコストが大変なことになります。
そこで、小売店の代わりに商品を集めてくるのが、卸売業者の役割です。
たとえばラーメン一つとっても、北海道から九州まで、さまざまなメーカーの商品が集められているので、小売店はその中から自分の店に並べる商品を選ぶことができます。
このように、商品が、生産者から一般消費者に届くまで、さまざまな過程を経ているのです。
図にしてみましたので、そちらを見ていただければよりイメージしやすいと思います。
なお、商品によっては、卸売業者も2つ介している場合もあります。
とくに、海外からの輸入品などの場合、海外の卸売業者を通して、さらに国内の輸入業者を通したりと複雑な経路になっていたりするケースがありますし、農産物は、生産者から一度出荷団体である農協を介するケースがほとんどです。
卸値には2つの顔がある!
では、卸値とはいったい何でしょうか。
その文字を見ると、「卸したときの値」になるので、卸売業者から小売店にわたるときの価格だということが分かりますね。
いっぽうで、生産者から卸売業者にわたるときの価格を「仕切り価格」と呼びますが、とくに区別せず、ここも卸値と呼ばれることがあります。
つまり卸値には2つの顔があるということです。
仕入れ値との違いは?
ではここで、「仕入れ値」との違いについて考えてみましょう。
仕入れ値とは仕入れるときの価格ということですから、先ほどの表でいうとどこの部分を指すのか分かりますか?
答えは2つの卸値と同じ部分です。
生産者から卸売業者にわたるときの価格であり、卸売業者から小売店にわたるときの価格のことなのです。
これが、流通業界にいない方、または日が浅い方が混乱する理由なのかもしれませんね。
呼び方がいろいろあるので、ややこしく感じてしまうでしょう。
では、なんで呼び方が2つあるのかというと、答えは簡単です。
呼ぶ人の立場にたって考えてみてください。
もしあなたが卸売業者で小売店に商品を渡す側であったら、「商品を卸す」ことが仕事ですよね。
そのため、そのときの価格は当然「卸値」と呼びます。
逆にあなたが小売店で、卸売業者からものを受け取るとしたら、「商品を仕入れる」ことが仕事ですよね。
そのときの価格は、当然「仕入れ値」となりませんか?
つまり、「卸値」=「仕入れ値」、立場によって呼び方が違うだけなのです。
売値やそれぞれの関係についても知っておこう!
ここまでくれば、「売値」についても簡単に説明できるのではないでしょうか?
売値とは、最終的に小売店が一般消費者に販売する価格のことを言います。
ここでポイントとなるのは、仕切り値、卸値、売値との関係です。
生産者から最終地点である一般消費者にわたるときに、価格はどうなっているのでしょうか?
それぞれ儲けを出す必要がありますから、自分が仕入れた値段に対して利益をのっけて卸しますから、その値段は徐々に上がっていくことになります。
つまり、仕切り価格より卸値のほうが高く、卸値より売値のほうが高いという結果になります。
それを、一般消費者はそれぞれの利益分を負担している=損をしていると見方もできますが、本来、遠方であったり、少数では決して販売してもらえないものであったり、そもそもその存在を知らなかったりするものが手に入るので、やはり卸売業者という存在は大きいと言えるでしょう。
まとめ
今回は、一般消費者にはあまり身近ではない「卸値」という言葉や、違いがわかりにくいとされる「仕入れ値」などの言葉を、流通経路の説明を交えながら解説してきました。
流れさえ分かれば、言葉の意味も簡単で、すんなりと理解いただけたのではないでしょうか。
流通に関する言葉はほかにもたくさんありますが、独特な慣習もあり一般の人には難しい言葉が多いです。
もし、流通業界に入りたい、自分で起業したいなどの理由で興味がある方は、それらの言葉もしっかりと押さえておくと良いでしょう。