在宅ワーク・内職の求人・アルバイト情報なら主婦のためのママワークス

IT人材不足と言われているけど、実態は?転職市場の状況も詳しく紹介します!

IT業界は常に人手不足で、人材確保ができず困っている、という話はよく聞きますよね。自社内でリソースを確保できないため、他社やフリーランスエンジニアなどに仕事を発注することもよくあります。実際のところ、日本ではどれくらいのIT人材が不足しているのでしょうか。また、今後IT業界の転職市場はどうなるのでしょうか。現在IT業界に身を置いている方にも、これから目指そうと考えている方にも参考になれば幸いです。

IT人材不足の実態

2019年3月に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材としての新卒人材の増加に伴い、人材数は【2030年までは増加傾向】となる見通しが示されています。IT人材数は2015年の国勢調査では約99万でしたが、2020年には106万人程度、2030年には113万人程度まで増えると予測されています。

 

2018年時点でのIT人材不足数は22万人とされています。その先は、今後のIT需要の伸びなど考慮して様々な推計がされていますが、中位シナリオで見てみると、2020年には約30万人、2025年には約36万人、2030年には約45万人と年を追うごとにその不足数は増加していくと予測されているのです。また最悪のパターンでは、2030年時点で最大79万人の人材が不足すると予測されています。

 

同調査によると、IT人材の年齢分布では、2015年には35~39歳が最も割合として多いですが、2020年にはその年代の人たちがそのままスライドし、40~44歳の割合が最も高くなると予測されています。またそれに伴い、2015年には2.1%だった60~64歳の割合が2020年には6.1%に、55~59歳の割合は4.9%だったのが9.5%と、大幅に増えているのがわかります。一方で、20~24歳の割合は5.5%から8.0%、25~29歳の割合は12.6%から16.0%と、新卒人材がIT業界へ流入する流れも増えると予想されています。

 

IT人材不足が加速する理由

IT業界で人材が不足している、また今後人材不足が加速する原因には、主に次の3点があげられます。

 

① 少子高齢化
先に見た通り、比較的若年層が多いIT業界でも、この先IT人材の高齢化に伴いリタイアする社員が増え、少子化のため入ってくる人材はそれよりも少ないという状況になります。ただし、これは他の業界でもおおむね同じ問題を抱えており、少子高齢化による労働力の減少は日本全体としての問題と言えます。

 

② IT業界の急激な発展
今や1人1台スマホを持っているのが当たり前になり、IoTやAIなど新しい技術もどんどん進化していて、ITは私たちの生活になくてはならないものとなっています。コロナ禍でテレワークや在宅ワークも推進されましたが、それを実現することができたのも、テレビ会議のシステムが整っていたり、Web上で資料のやり取りや共有をすることができたり、IT技術が日々進化しているおかげでしょう。ほんの数年前には、考えられなかったことです。

 

またビッグデータやAIなどを活用した企業活動も活発化していて、今後ますます新しい技術やサービスは増えていくでしょう。また技術が進化するに伴い、複雑で高度なプログラミングが必要になり、より多くの人が開発に必要になるため、リソース不足となることも考えられます。そうした社会の流れにより、より多くの企業が優秀なIT人材を必要としているので、必然的に人材不足となっているのが実情です。

 

③ IT業界の変化の早さ
例えば、プログラミング言語一つとっても、新しい言語が生まれたり、トレンドの言語や廃れていく言語があったり、日々状況が目まぐるしく変化しています。また技術の進歩のスピードも早いので、時代の流れに取り残されないよう、日々トレンドをつかみスキルアップする必要があります。

 

2018年に株式会社ビズリーチが運営する求人検索エンジン「スタンバイ」が発表した「プログラミング言語別年収ランキング2018」によると、現在年収1位のプログラミング言語は【Go】、2位が【Scala】となっています。これらは、近年急激に人気が高まっている言語ですが、まだ扱える人材が少ないため、人材供給のミスマッチが起こり、高年収となっているようです。

 

参考サイト:https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2018/0807.html

 

IT市場の成長により、より多くの人材が必要になるにも関わらず、それに伴う人材供給が「数的」にも「質的」にも追いついていないのが現状と言えそうです。

 

④ 年収の低さ
2016年に経済産業省から発表された「IT人材に関する各国比較調査報告書」によると、アメリカでは、ITエンジニアの年収相場が非常に高く、平均年収は1,000万円を超え、年収1,000~2,000万円の人が多くいます。また、インドでは、ITエンジニアの平均年収は500万円程度ですが、国内の全産業の平均年収と比べると約9倍の年収となっています。インドネシアではITエンジニアの平均年収は200万円ですが、全産業と比べると10倍近い年収になっています。

 

一方日本では、厚生労働省の「平成30年度 賃金構造基本統計調査」によると、システム・エンジニアの平均年収は568万円となっています。また、プログラマーの平均年収は425万円というのが現状です。これは、国内の全産業の平均値(440万円)と比べると、SEであれば若干高いもののそれほど大きな差ではありません。ITエンジニアとして成功すれば、相対的に高収入を得られる可能性が高い諸外国に比べ、日本で1000万円プレイヤーはごくごく一部です。IT業界が拡大を続ける中、将来性のある仕事ではありますが、給与面ではそれほど魅力がある仕事だとは思われていないことが、IT業界で働きたいという人が増えない理由の一つでしょう。

 

IT人材不足を解消するには?

少子高齢化で今後労働人口減が確実になっている日本。今後も拡大し続けるIT業界をより発展させるために、人材不足を解消するにはどのような手段があるのでしょうか。①【供給数を増やす】②【IT 人材の生産性を向上させる】③【IT 人材の離職を減らす】の3点が重要だと考えられます。

 

① IT人材供給力の強化
<子どものうちからITに親しむ>
先にもご紹介しましたが、近年、新卒人材がIT業界へ流入する数も増えつつあります。2020年度からはプログラミング教育が小学校で必修となりました。ICT環境(パソコン、タブレットなど)の整備も進み、学校でパソコンやタブレットを使っておこなう授業もあります。小さいころからスマホやタブレット、ゲームに親しみ、デジタルネイティブと言われる今の子どもたちにとっては、ITはとても身近なものです。2019年のソニー生命保険の調査では、高校生の将来なりたい職業ランキングで「ITエンジニア・プログラマー」が1位、「ゲームクリエイター」が4位となっていて、憧れの職業にもなっています。この流れをうまく生かし、IT人材候補として、小さいうちからITに親しむことが重要かもしれません。

 

<外国人の活用>
他にIT人材を増やす手段として、「外国人エンジニアの活用」があげられます。IT大国のインドには、世界最大のエンジニア数がいると言われていますが、多すぎるが故に、インド国内では技術はあっても良い職に就くことが難しいという現象が起きています。また、ベトナムやインドネシアでも、IT業界での仕事は非常に人気があり、若いITエンジニアが増えています。

 

先にもご紹介した「IT人材に関する各国比較調査報告書」によると、こういったアジア諸国では海外での勤務意向も強く、インドでは実に86.8%、インドネシアやタイでは8割近く、中国やベトナムでも7割近い人が海外でIT関連業務に従事することに関心があるかという問いで「強くそう思う」「ある程度そう思う」と回答しています。一方日本では関心があると答えた人は、わずか22.4%でした。海外で働きたい理由としては、「高い給与がもらえそうだから」が、日本を除く全ての国で1位でした。

 

海外勤務先として関心がある国については、インドネシアでは日本という回答が最も多く52.5%、ベトナムとタイではアメリカに次いで日本が2位で、それぞれ47.8%、58.4%となっています。

 

ビザの手続きの煩雑さや、文化や言語の違いといった問題も多くありますが、こういった海外志向があり、高いスキルを持ったIT人材に日本で活躍してもらうことが、労働人口減の日本では有益と言えるでしょう。

 

② IT人材の生産性をあげる
1人のエンジニアの働く時間には限りがありますが、その中で100の作業ができるのと200の作業ができるのでは2倍の差があります。IT人材の数は増えずとも、生産性が上がれば、おのずと作業スピードや質もあがります。生産性を上げるにはどんな方法があるでしょうか。

 

<自身のスキルアップ>
技術の進化・発展が早いIT業界では、常に最新の技術やトレンドを知り、自分の知識をアップデートしておくことが重要です。効率のよく作業できる言語やツールをいち早く取り入れ、使いこなせるようにすると作業スピードがアップし、生産性が上がります。実務に役に立つIT系の資格試験の勉強をすることでも、情報量が増え、効率よく業務ができるようになるかもしれません。引き出しを多く持っておくと、確実に作業スピードはアップし、生産性の向上に役立つでしょう。

 

<効率的に時間を使う>
時間管理アプリなどを使って、時間の使い方を見直し、無駄な作業に時間を費やしていないか検証すると良いでしょう。日本的な考え方で、定時に帰るより残業して長時間仕事をするのが会社に貢献しているとみられる風潮もあり、作業効率を上げようという意識が低いことも問題です。生産性を高めるためには、だらだらと仕事をするのではなく、決められた時間内で作業を終わらせるにはどうすればいいか、改善する意識を持ち、創意工夫をすることが重要でしょう。また、慣習化しているだけのあまり意味のない仕事などは、削減・時間短縮できるよう工夫したり、非効率な作業はシステムを使って自動化するなど、改善の意識を持つことが必要です。

 

<システムの品質向上>
システムに不具合が発生すれば、それを改修するための時間が必要です。不具合が起きてしまったら、その原因を検証し、再発防止策を講じることで、同じようなミスを減らすことができ、その後の無駄な作業を減らすことができます。また最初にマニュアルや手順書をしっかり作ることで、無駄に試行錯誤する必要がなくなったり、問い合わせ対応が減ることで、時間の短縮になるでしょう。

 

③ IT 人材の離職を減らす
ひと昔前では、IT業界は新3Kの職場などと言われ「きつい・帰れない・給料が安い」仕事だと言われていましたが、近年は働き方改革で働く環境が改善されつつあります。IT業界によく見られる長時間労働の是正や、給与水準の上昇、働き方の多様性を認めるなど、働きやすく魅力ある業界であることが、離職率の低下につながるでしょう。また出産や育児で一度現場を離れてしまった女性が復職しやすくしたり、フリーランスや派遣社員として比較的自由度の高い働き方を推進・拡大することも重要です。

 

IT企業の転職市場

これまでお伝えしている通り、IT企業は人材不足です。IT技術の進歩やウェブサービスの拡大などに伴って、ますます需要が高まっているのに、供給が全く追いついていない状態ですし、それが今後10年以上は続く予想です。IT業界はまさに売り手市場と言え、有利な条件で転職しやすい業種でしょう。また、今後もIT市場が縮小する可能性は低く、発展を続けると見込まれるので、将来性のある仕事と言えます。

 

dodaエージェントサービスのデータを用いて発表されている2020年9月の「転職求人倍率」では、全体の求人倍率が1.61倍だったのに対し、IT・通信は驚きの4.90倍でした。コロナ禍で求人数が減っているため、昨年同月比では2.95ポイント低下してこの数字になっており、2018年~2020年前半には、常に6倍~9倍程度の求人倍率があったようです。IT・通信の技術系の職種では10倍を超えることも多く、しっかりとしたスキルがあれば、引く手あまた、選び放題と言える状態です。
参考サイト:https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/

 

また、エンジニアの場合は、扱える言語やツールによっても、好条件での転職ができるかどうかが変わってきます。2018年に株式会社ビズリーチが運営する求人検索エンジン「スタンバイ」が発表した「プログラミング言語別年収ランキング2018」によると、1位は【Go】で年収中央値は600万円、2位は【Scala】で同じく600万円、3位は【Python】で575.1万円となりました。また【Ruby】はランキングでは7位で550万円ですが、圧倒的に求人数が多い言語でした。1~3位の言語は、近年急激に需要が高まっているにもかかわらず、扱える人材が少ないことから高年収での転職が可能だと言えます。使える言語が多ければ多いほど、マルチに活躍できるITエンジニアとしての需要は高くなります。しかし、変化の激しいIT業界では、新しい言語が生まれたり、時代の流れとともにあまり使われなくなったりする言語もあるので、常に勉強する姿勢が大切でしょう。
参考サイト:https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2018/0807.html+

IT業界の人材不足=転職市場の好況は続く可能性が高い

これまでIT業界の人材不足の現状と、今後の展望についてみてきました。拡大が続くIT業界では、仕事を失って再就職もできないというリスクは低く、好条件での転職が見込めるでしょう。日本では圧倒的に男性が多いIT業界ですが、アメリカや中国では、男女比がほぼ半々程度で、女性が少ない職場ではないようです。基本的にはデスクワークで、事務職に比べれば、年収も待遇も良くなることがほとんどですので、女性がセカンドキャリアを考える時にITエンジニアはおすすめです。知識を身につけるのは大変ですが、ライフスタイルが変わっても続けられる仕事でもあります。「職業訓練」や「教育訓練給付制度」を利用すれば、あまり費用をかけずにしっかり学ぶこともできますし、今はWeb上で学べるスクールも登場しています。

 

ネットワークが進化している今では、スキルがあれば地方でも在宅フリーランスとして好きな時間に働くことができます。IT人材不足を補うため、今後は好きな場所で、自由な働き方をするフリーランスも一層増えるかもしれませんね。

 

目次