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業務委託契約を一方的解除された場合は?法律の観点から継続や補償について解説

公開日: 2021.01.29
最終更新日: 2022.02.07

業務委託契約を一方的解除された場合は?法律の観点から継続や補償について解説

最近、在宅ワークができるフリーランスに切り替える人が増えています。
また、副業として在宅ワークを始める方も多いようです。
フリーランスの場合、雇用関係はなく、業務委託契約を結んで仕事を受注することになります。
しかし、フリーランスの方のほとんどが、この業務委託契約についてよく理解しないまま、仕事をしているのではないでしょうか。
そこで今回は、業務委託契約について解説するとともに、その解除方法や注意点について説明していきます。

業務委託契約とは

業務委託契約とひとことで言っても、実は3タイプあります。

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・請負契約
・委任契約
・準委任契約
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まず一つ目の請負契約とは、当事者の合意だけで成立する契約で、たとえば、大工さんやWebサイト制作などがあります。
この場合、民法632号で定義されているとおり、「仕事の完成に対して対価を支払う契約」となりますので、原則完成するまでは報酬は支払われません。

 

次に、委任契約は、法律行為にかんするものであり、かつ、業務の遂行自体に対価が発生する契約です。
仕事の成果は問われず、仕事をするだけで報酬が発生します。
税理士業務や弁護士業務などがこれに当たります。
弁護士は、たとえ希望する結果に終わらなくても、相談費用など最低限の費用は発生します。
なお、この委任契約は民法643条に定められています。

 

最後に準委任契約ですが、民法656条に記載されているもので、委任契約と同様、委任された行為に対して実行すれば報酬が発生するものです。委任契約との違いは、法律行為でないという点です。
たとえば、セミナーの講師などが挙げられます。
資格をとるための知識やノウハウを教えた後、受けた方が不合格だったとしてもセミナーへの報酬は発生するはずです。
ほかにも、Webデザインやプログラミングなどの業務でも、この準委任契約がとられる事があります。

 

業務委託契約を契約解除する方法

業務委託を結び仕事をスタートしたとしても、より良い条件のところが見つかったり、家庭の都合で続けられなくなったりして途中で解約をしたくなる場合もあります。
逆に企業側も、その事業自体が見直しになり業務の必要がなくなった場合や、パフォーマンスの問題などで別の人と契約を結ぶことになったときに業務委託を途中解約する必要が出てくることでしょう。
そのような場合、一方的に契約終了を告げることは避け、以下の手順に従いましょう。

 

1:契約の内容をチェック  

契約書などを見て、契約の内容をあらかじめチェックします。
契約の終了の仕方によっては、報酬が支払われない恐れがあるからです。
契約不履行となり訴訟問題になることもあります。
有効期限が記載されている場合は途中解約ではなく、可能な限り有効期限満了まで待つことを検討することをおすすめします。
基本的に仕事は信用第一です。
契約不履行とまでならないまでも相手が不満を残したままだとトラブルに発展する恐れや、今後の契約・受注に不利益が生じる恐れもあります。

 

2:話し合いをする
契約内容をチェックし問題がないと分かったらすぐに解除といきたいところですが、必ず説明や話し合いの場を設けることが重要です。
一方的に文書で知らせるといった方法は、避けたいところです。
有効期限があるのに待てない場合は、きちんとその理由を説明することが誠実な対応と言えるでしょう。
どちらも人間ですから、致し方ない事情があれば納得して終了できる可能性が高まるからです。
お互いができるだけ納得する形で、途中解約を行いましょう。

 

(準)委任契約を契約解除する際の注意点

契約を途中解約するには、注意しなければならないこともあります。
まずは(準)委任契約を途中解約する際の注意点について説明していきます。

 

委任契約には、民法の規定より、以下のような特徴があります。

 

(1)委任者(注文した側)、受任した側、どちらからでも途中解約を申し出ることができる
(2)途中解約してもすでに行った業務にかんしては報酬が発生する
(3)途中解約により相手方にとって不利益が生じる場合には、損害賠償請求を起こされる恐れがある

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(2)の報酬の請求にかんして
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これまでは、途中解約をしたとしても受任者に責任がない場合は、業務をした分の報酬は請求ができるとされていました。
逆に言うと、受任者の都合で途中解約となった場合は、請求ができるかどうか、曖昧な部分であったことになります。
しかし、2020年4月1日の民法改正では、受任者に責任で途中解約になったとしても、すでに行った業務遂行分にかんしては報酬を請求できるとはっきりと記されました。
委任契約は請負契約と異なり、もともとそういった性質の契約ではありますが、はっきりと明記されていないことから曖昧な解釈がなされることがありました。
しかし、今回の改正ではっきりと明文化されることにより、受任者は堂々と報酬の請求ができるようになったというわけです。
逆に委任者も受任者側の事情であることを理由に、支払いを拒否することができなくなったと言えます。

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(3)損害賠償について
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注意したいのは最後の損害賠償請求の部分です。
契約書に損害賠償請求についての条項がないかチェックすることが重要です。
たとえば、販売ができるWebサイトの制作という業務の場合、委任者は「期限内に制作してもらうこと」、「望むレベルに至っていること」を期待して契約を結んでいます。
しかし実際には、「期限になってもできあがってこない」、「望むレベルのものに仕上がっておらず大幅な修正が必要で完成とは言いがたい」などの理由で契約解除せざるを得ない場合、損害賠償問題となりうるのです。
Webサイトが完成に合せて販売計画をたて商品の仕入れなどを行っていたら、委任側に大きな損害が発生するからです。
取り扱う業務にもよりますが、このように損害が大きく出るような業務では、あらかじめこういったトラブルを想定し契約書に損害賠償請求について記載されている可能性があります。
そのため、途中解約を行う前に条項を改めて確認することが重要なのです。

 

なお、債務不履行により損害賠償を恐れて、第三者に再委託することを考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、再委託する場合には、どうしてもやむを得ない事情や、委任者に許諾を得ることが必要です。
これまでは、はっきりと明文化されておらず一般的な解釈として判例となっていましたが、2020年4月施行の民法では、受任者が委任された業務については自己執行するよう、義務が明文化されました。
契約書にも再委託を禁止するという文言がはっきりと含まれている可能性もあるので、併せてチェックが必要です。

 

請負い契約を契約解除する際の注意点

請負契約が委任契約と大きく違うのは報酬発生のルールです。

(1)報酬が支払われない可能性がある
(2)損害賠償が発生する恐れがある

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(1)報酬の請求にかんして
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最初に説明したとおり、請負契約は業務完成をもって報酬が発生するといったものなので、契約解除する場合報酬が支払われないことは念頭に置いておくべきです。

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(2)損害賠償について
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請負契約の場合、業務を完成すること、そして完成をもって報酬が発生するといった契約なので、業務を完成しないまま契約解除することは契約不履行と判断されることが多いです。
契約不履行と判断された場合、損害賠償が発生する可能性が高まります。
その請負業務が未完成になることによる影響が大きければ大きいほど、損害賠償の金額も跳ね上がります。

▽契約不履行の判断とよくあるトラブルについて
そもそも請負契約の場合、完成をもって報酬が発生するといった契約であるため、「なにをもって完成とするか」という部分が重要であります。
と同時に、その認識が、委任側と受注側で異なることが多く、それが問題となり裁判になることがあります。
たとえば、システム開発の契約でシステム自体が完成しても、エラーが頻発し、その結果委任側に損害が発生したとします。そのエラーが発注側の企業側の機器や設定の問題であった場合、どちらに瑕疵があるかはっきりとしていません。受任側が発注側の機器や設定の確認を担当者に依頼、または問題点を指摘していた場合は、より事態が複雑になるでしょう。
委任側は、問題なくシステムが動くことを望んでおり、当然、現在の委任側のシステムや設定などの確認やサポートも含めるべきだったと考えるでしょうし、受任側は依頼や指摘はしており、サポートまでは業務に含まれていないと考えるでしょう。
したがって請負契約の場合、いかなる業務を委託するかを、具体的に特定して記載することが重要であると言えます。
もし、現在の契約事項が曖昧である場合、契約解除をする前に業務内容を再確認することも重要だと言えるでしょう。

 

まとめ

今回は業務委託契約についてその種類や、契約解除の手順、注意事項について説明してきました。
注意事項の問題をクリアすれば契約解除は可能ですが、当事者同士の信頼によって成り立っている部分が大きいので、可能なかぎり契約解除は避けたいものです。
もちろん、事業計画の変更や家庭の事情などにより契約解除や中途解約がやむを得ない場合もあります。
したがって双方にしこりが残りにくいよう委任側は「有効期限をもうけ更新式にする」「業務内容について齟齬が生まれないようはっきりと記載する」など、契約書の条項に盛り込んでおいたり、契約書とは別に注意事項を分かりやすく記載した資料を用意するなどの工夫が必要ですし、受注側も、企業任せはなく、業務委託契約の知識を得ておいたり、分からないことは契約前に確認しておくなどの心構えが必要なのではないでしょうか。

 

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