契約前に確認しよう★業務委託契約書とは?派遣契約との違いなどを解説!
仕事を探している人と依頼する人、それぞれの間で交わす契約を業務委託契約と呼びます。これはごく一般的な呼び名ではありますが、実際にどのような契約なのか分かっていない方もいるのではないでしょうか。
人によっては仕事が見つかった満足感などから、契約内容の隅々まで把握しない方もいるかもしれません。実は一口に業務委託契約といっても、委任契約、準委任契約、請負契約があります。そこで今回は、委任契約と準委任契約を中心に契約について見ていきましょう。
業務委託契約とは
近年はひとつの企業に属して働くスタイルから副業をしたり、独立して事業を始めたりと新たな働き方を選ぶ場合も増えてきました。個人事業主やフリーランスとして働いている場合には、「業務委託契約」を交わす場合も多いのではないでしょうか。
すでにご存じの方もいるかもしれませんが、業務委託契約とは俗称であり法律上の名称ではありません。ここでは、業務委託契約とは具体的に何かを解説します。
■委任・準委任・請負を指す
業務委託契約とは、「委任契約」「準委任契約」「請負契約」の俗称です。これらの契約を交わす場合は、仕事内容によって異なります。またどの契約を交わすのかによって、仕事の目的や報酬が支払われるタイミングも異なるため注意が必要です。
例えば新しい仕事が決まったとしましょう。先方から契約の希望はあるか聞かれた場合、契約を交わすあなたにとって最適なものを選ぶことが大切です。ちなみに多くの場合、業務委託契約=準委任契約となります。
請負・委任・準委任それぞれの違いは?
業務委託契約が俗称であると分かったところで、続いて請負・委任・準委任の違いを見ていきましょう。法律行為を含むものなのかによって、交わす契約も異なります。取引先と契約する場合は、受ける仕事に合った契約なのかを確認した上で契約するのがベストです。
■責任を負う範囲が違う
結論から言うと責任を負う範囲が違います。仕事を受ける上で責任に関する内容は、初めに確認すべき項目だといえるでしょう。業務をやり遂げたらその後の責任は追及されないのか、そうでないのかでは責任を負う範囲が大きく違ってきます。
■報酬が支払われるタイミングが違う
報酬に対しても注意が必要です。任された業務さえやり遂げれば報酬が支払われる契約なのか、業務を完結して初めて報酬が支払われる契約なのかを契約を交わす前に確かめておきましょう。
これを初めに確認しておかなければ、契約後に取引先と揉める可能性は高くなります。「てっきり業務をやり遂げたから報酬を支払ってもらえると思っていた」ということにならないためにも、しっかり確認しておくことが大切です。
業務委託契約の特徴を把握しよう!
業務委託契約の違いはざっくりとでも理解できましたでしょうか。3つの契約についてどんな特徴があるのか、ここからは見ていきましょう。細部まで把握しておくことで、契約時にどの契約を選択すれば良いか迷わなくて済みます。
すでに把握している契約でも再確認することで新たな知識を得られることもありますので、時間に余裕がある場合は確認するとよいでしょう。
■委任契約
委任契約は、法律行為を伴う場合に交わすものです。また報酬は、業務をやり遂げることで支払われます。この契約を交わす仕事は、弁護士や税理士に仕事を依頼する場合が大半です。業務を終えれば、その後の成果について責任は追及されません。
例えば依頼した弁護士が担当した裁判の結果が、依頼人が求めるものではなかったとします。この場合、求めた結果と違うという理由で報酬を支払わないことは契約上できません。また委任契約の場合は、結果に対する責任を受託者は追う必要がないため、依頼人は責任を問うことができないわけです。
■準委任契約
準委任契約は、法律行為以外の事務を依頼する契約をいいます。報酬は委任契約と同様に、業務をやり遂げた場合に支払われます。この契約を交わす仕事には、コンサルティング、セミナー講師など他にも複数存在すると考えてよいでしょう。
ちなみに、準委任契約は業務委託契約の中でも多くを占める契約です。これから個人事業主やフリーランスとして働く予定がある方は、この契約を結ぶことが一番多くなるでしょう。また業務をやり遂げさえすれば、その後に何か不足分があっても責任を問われることはありません。
例えばセミナー講師として、ある会社と契約を交わしたとしましょう。セミナー開催後、講師の評価が低い結果が出たとしても「受講者からの評価が低かったから責任を取ってください」と言われる心配もないわけです。メリットデメリットは以下で確認してください。
■請負契約
請負契約は、しばしば業務請負といわれることもあります。報酬の支払いは委託契約や準委託契約とは異なり、受託会社から依頼された業務を完成した時点で初めて発生するため注意が必要です。この契約を交わす仕事には、建設系の仕事、WEB制作、システムの開発などがあります。
請負契約を交わすと受託会社は、相手に対して指示を出すことはできません。「こんな方法で作業して欲しい」「こんな流れで仕事を進めてくれないと困る」というような指示は、請負契約を交わした時点で基本的にはできなくなることを受託会社側は理解しておく必要があります。
また、請負契約は完成した成果物に対する支払いです。委託契約や準委託契約と違ってトラブルが起きた場合は責任を問われることになる点に注意しましょう。メリットデメリットを以下にまとめました。
上記のメリットデメリットを理解した上で、請負契約を交わしたほうがよいでしょう。ただ受託側から細かな指示を受けずに済むからという理由でこの契約を交わしてしまっては、契約後に後悔する可能性もあります。負担になる可能性があれば、準委託契約で契約を交わすことも考えてみましょう。
派遣契約についても知っておこう!
業務委託契約と同じくらいメジャーな契約に派遣契約があります。派遣契約にはどのような特徴があるのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。今回は業務委託契約について解説しておりますので、こちらも併せて理解しておけば今後シフトチェンジする場合も役に立つかもしれません。
■派遣契約の特徴
派遣契約の場合、派遣元会社と働く人の間に雇用関係が生じます。登録型派遣の場合は、雇用期間内のみとなる点に注意しましょう。就業先は派遣先となります。また仕事は任された業務の範囲内です。
報酬の支払いは、委託契約や準委託契約と同様に仕事をやり遂げた時点で支払われます。この契約を交わす仕事は、事務系業務、製造系業務、医療系業務などさまざまです。委託契約や準委託契約と同じように見えますが、大きな違いがあります。派遣契約の場合は、派遣先が働く人に対して仕事の手順や工程について指示をすることが可能である点です。
「仕事は指示を受けながらの方が取り組みやすい」「細かな指示を受けても負担にならない」という方は、派遣契約での働き方を考えてもよいかもしれません。派遣契約のメリットデメリットを以下にまとめました。
以上の派遣契約に関するメリットデメリットを確認した上で、派遣契約を交わすのか考えるとよいでしょう。労働者と派遣会社それぞれにとってベストな働き方を実現するためにも、これまで紹介した業務委託契約と比較しながら慎重に決めることをおすすめします。
業務委託契約を正しく理解して納得できる形で契約しよう
いかがでしたでしょうか。今回は業務委託契約とは何かを解説しました。業務委託契約とは俗称であり、実際には「委託契約」「準委託契約」「請負契約」があることは理解できましたでしょうか。またどの契約を交わすのかで、報酬が支払われるタイミングや責任を負う範囲が違ってくる点もしっかりと把握することが大切です。
新しく仕事が決まった時点で満足してしまい、契約内容の確認はあやふやという場合は実際に仕事を始めるとトラブルが起きる可能性も高くなってしまいます。納得できる形で仕事を始めるためにも、契約を交わす前に「どんな契約を交わそうとしているのか」を自分自身がしっかりと確認するとよいでしょう。