校閲者になるには?仕事内容や未経験から成功するための方法について分かりやすく解説
結論、校閲の仕事とは文章が正確に書かれているかをチェックする仕事で、ライターのように文章を書き連ねる仕事ではありません。
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校正とは違う、校閲の仕事って?
校閲の仕事とは、書かれている文面が正しいかどうかをチェックする仕事です。
大抵の方は「そんなこと分かっている!」と思うかも知れませんが、実際には校正の仕事と十分に区別できていないことが多いのです。実例をあげて説明をしていきましょう。
『2020年7月5日に行われた東京都知事選挙の結果、原色の小池百合子氏が他の立候補者に大差をつけ続投することが決まりました』
といった文があったとします。
校正の場合は、「原色」が「現職」だと赤字を入れていきます。
つまり、漢字のミスなど、見た目部分をチェックする作業です。
ほかにも原稿またはゲラを見て、一字一句表記にずれがないか、おかしな点がないかを見ていきます。
原稿では『雨が降りしきるなか、○○投手は最後の一球まで投げきりました。』となっているのに、打ち間違えで『雨がが降りしきるなか』になっているとしたら、この『が』の部分に赤字を入れます。
このように、誤字脱字を見るのが校正であり、ぱっと読んだだけだと見過ごしてしまいがちなミスにまで目を光らせる必要があります。
一方で校閲の仕事は、その文章の内容が正しいかどうかをチェックする仕事です。
最初の例で言うと、東京都の都知事選挙が行われたのは本当に2020年7月5日だったのかというところからチェックします。
また、2つ目の例では、雨が実際に降りしきっていたのか、当日の天候も含めチェックします。
さらに、雨が降っていたとしても『降りしきる』という表現が適しているかなども判断していきます。ぱらついていた程度なのか、土砂降りだったのか、記事を読んだ人が状況をできるだけ正確に判断できるよう、適切な表現に直していくのです。
記事を書いた人はもちろん調べたうえで記事にしているはずですし、表現に対しても基本的に知識があるはずですが、万が一誤ったまま記事にしてしまうと、信用性が失われたり大きな問題になったりするため、ひとつひとつ丁寧にチェックしていきます。
以上の例から、校正と校閲ではチェックする対象に違いがあることがお分かりいただけたと思います。
まとめると以下のようになります。
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校正:文章の形式的な部分をチェックする
校閲:文章の中身、内容をチェックする
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ただし、実際にはこの2つの言葉を使い分けしていない企業もあります。
校閲者が誤字脱字などもチェックするといった業務体系にしているところも多いですし、そもそも校閲者を校正担当と呼んでいるところもあります。
また、専属の校閲者を置かずに編集者がすべて対応しているといったところもあります。
未経験から校閲者になれる?
校閲に興味があるという方は、未経験でもいきなり校閲者として仕事ができるのかが気になりますよね。
実は、数は少ないものの、未経験でも雇用してくれる企業もあります。
しかし、時給や給与はその分低く設定されている傾向が高いです。
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【実例1】
募集職種:新聞記事(ローカル)の校閲業務
業務内容:記者たちが書いた記事を掲載する前に原稿を読み、誤字や脱字、誤用などをチェックする(新聞記事のルールをまとめた「ハンドブック」と参照)
条件:文章を読むのが好きな方(未経験でも可能)
雇用形態:契約社員
給与:時給 1,080円〜1,350円
【実例2】
募集職種:大手マスコミ企業での校閲者
業務内容:メディア媒体の見出しや記事の校閲作業・WEBの更新、修正
条件:経験不問(PC操作ができれば問題なし)・学歴不問
雇用形態:派遣社員
給与:時給1,050円~1,313円
【実例3】
募集職種:老舗印刷会社の校正・校閲
業務内容:チラシの校正・校閲(チェックする原稿を、エクセルを使用
して1文字1文字確認・お客様の指示が正しく反映されているか、誤った表現はないかを確認)
条件:Excel・Wordの基本操作ができる方・未経験でも可能
雇用形態:派遣社員 ※正社員を目指すこともできます。
給与:時給1050円~
(2021年3月20日現在)
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以上の3つの例のように、求人情報サイトを見ると、未経験の方でも仕事を始めることができそうだということが分かりました。
しかし、正社員の募集枠は少なく、契約社員や派遣社員としての募集が多いようです。
とはいえ、正社員への道を示唆している案件もあります。未経験者としてまずは経験を積み、その後正社員校閲者として働くというキャリアの描き方もよいでしょう。
ただし正社員になった場合には、ほかの校閲者の管理など、校閲以外の業務も任される可能性が出てきます。校閲だけやりたいのか、どんどんキャリアアップしていきたいのかを考えたうえで道を進んでいくといいでしょう。
以上、まとめると、
・未経験者でも校閲の仕事に就くことができる
・時給は低め、契約社員や派遣社員としてまずはスタート
となります。
正社員校閲者の年収
校閲者として経験を積み、正社員となった場合、どれくらいの年収が期待できるのでしょうか。
未経験で始めたとしても、経験を積んだときに年収がどれくらいになるのか知っておきたいですよね。
こちらも実例を挙げて説明していきます。
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【実例1】
募集職種:医療系の校正業務
業務内容:国内外の製薬会社等の医薬品の販促活動や情報提供資料などを校正・校閲
※医家向け医薬品のパンフレット・リーフレット・情報誌・編集記事・スライド・国内外の学会記録集、文献翻訳サマリー、ポスター・冊子・患者様やそのご家族に向けた情報誌など突合せ校正だけでなく、素読みやファクトチェック
条件:校正実務経験3年以上
給与:年収350〜430万円 ※430万円以上の採用も検討可
【実例2】
募集職種:警察職員向け月刊情報誌の制作・企画・編集・校正
業務内容:校正、校閲 (誤植修正、体裁確認など)
※将来的には企画・執筆なども
条件;出版物 (書籍・雑誌) の編集・校正・執筆等で5年程度の経験がある方
Excel(VLOOKUP等)、Word (文書作成) の操作
給与:月給245,000円~300,000円
【実例3】
募集職種:出版社での校正・校閲
業務内容:大学の入試要項・履修要項、パンフレットなどの作成に関わる校正・校閲・進捗管理
条件:必要な経験・知識・技能・編集・デザイン、校正に関わる経験5年以上・短大卒以上
給与:月給300,000円〜360,000円
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以上の例のように年収という形でなく月給でしか紹介されていない案件もありますが、おおまかにいって年収350万円から500万円あたりという募集が多いことが分かります。
校閲者のキャリアパスと年収アップの方法3つ
校閲者のキャリアパスについても見ていきましょう。
校閲の仕事に就いたとして、どのようなステップがあるか知っておくことは重要です。
状況が変わらないとなると年収も上がらずそのままの可能性も高いです。
より高い年収を得るためには、どのようなキャリアパスを進んでいくのかをしっかりと念頭に置いておく必要があります。
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ステップ1:未経験でもOKな企業で契約社員もしくは派遣社員として経験を積む
ステップ2:社員に登用してもらう、または転職して正社員を目指す
ステップ3:キャリアップを目指す、または専門性を高める
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本記事では、校閲者のキャリアパスを3つのステップに分けてみました。
働く企業により年収は変わりますが、ステップ1から3に向かって徐々に年収があがっていくイメージです。
それぞれのステップでのポイントは以下のとおりです。
○ステップ1・2
未経験で受け入れてくれる企業もあると説明してきましたが、より良い条件や希望の会社に雇用されるためには、ある程度の知識やスキルを身につけておくことをおすすめします。
実務経験が求められる募集に関しては、必須項目となります。
具体的にどのような知識やスキルが必要なのかについては、次項『校閲者に必要な知識・スキル』で後述します。
○ステップ3
同じ正社員として働くとしても、年収には差が出てきます。
年収の高いものには特徴があります。
実例を見ていきましょう。
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【実例1】
業務内容:IT・産業機器等製品のマニュアル作成・校正業務
全体のプロセスの把握・品質チェックおよびドキュメントの校閲などの
ディレクション。客先との打ち合せ
条件:マニュアル制作会社あるいは部門での経験5年以上、
マニュアル作成のディレクションの経験、校閲やDTPなどの現場業務の経験
給与:年収600万円~750万円
【実例2】
業務内容:社員向け理念・戦略解説や社内報のライティング
対社外向けコンテンツ(オウンドメディア、リリースなど)のライティング
対社内外向け理念や事業・サービス情報コンテンツのライティング
広報物の編集業務・インタビュー・広報および事業PR業務
条件:記事や原稿、コピーなどのライティング・編集の実務経験、記事や原稿などの校閲・校正経験、インタビューによる記事・原稿執筆経験
給与:500万円~730万円
【実例3】
業務内容;医療製品や疾患に関連する資材の作成業務(原稿作成・編集・校正)
条件:ヘルスケアエージェンシー(広告会社)、または医療業界で3年以上の実務経験
または製薬・医薬品業界もしくは理系大学院、研究職の実務経験
プロモーションに精通していること
給与:年収500~800万円
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以上の3つの例では、年収が500万円以上、場合によっては800万円とかなり高額な案件といえます。
日本のサラリーマンの平均年収は国税庁も民間給与実態統計調査によると、令和元年で436 万円となっています。しかも女性に限定すると平均年収は296万円とぐっと低くなるので、これらの職種に就くことができれば、平均をはるかに超えることになります。
この3つの募集案件に見られる特徴としては、以下のようなことが挙げられます。
・校正・校閲だけでなくライティング・企画など別の工程にも携わっていること
・進行の管理、校閲結果のチェック、指導などマネジメントにたずさわっていること
・医療、IR、教育関連など専門知識が必要な分野の校閲に携わっていること
まとめると、以下の3つのうちいずれか、または複数クリアできれば年収アップが期待できるといえるでしょう。
(1) 校閲以外のスキルも身につける
(2) マネジメント力を身につける
(3) 専門知識を身につける
校閲者に必要な知識・スキル
校閲者のキャリアパスについてご理解いただいたところで、未経験である皆さんは、まず校正・校閲に最低限必要な知識を身につけることが必要です。
ではどのような知識やスキルが必要なのか説明していきます。
1:正しい漢字や日本語の知識
校閲では、一字一句突き合わせて誤字脱字をチェックする校正を行うこともありますが、漢字のミスがないか、また、正しい日本語になっているか、その表現についても確認を行います。
たとえば、「意外に~である」が「以外に」と書かれていたり、「回答内容」が「解答」や「解凍」と書かれていたりするのはよくあることです。
同音異義語が多い日本語は手慣れたライターでも変換ミスをすることが多いうえ、自分でチェックをするとつい見逃してしまうことがあります。
また、一見正しそうに見えても誤った使われ方をしている日本語はたくさんあります。
たとえば、「けがを負う」という言葉。
実際には「けがをする」、または「傷を負う」といった表現が正しいため、こう書かれていた場合には読み過ごすことなく正しく書き換える必要があります。
「頭痛が痛い」という言い方が二重表現でおかしいということくらいは、どなたでもすぐに判別できると思いますが、そのほかは、意外に気づかないことが多々あります。
2:PCの操作やエクセル、ワードなどのソフトウェアが使えること
校正・校閲の仕事を行うには、紙で赤入れを行っていくこともありますが、企業によってはWordやExcel、校正支援ツールを使う場合があります。
また、校閲以外、なにか資料をつくるといったこともあるので、最低でもWordやExcelなどは使えるようにしておくようにしましょう。
また、Illustrator®やPhotoshop®などを使えると、活躍の場が広がります。
特に広告代理店系や印刷会社の場合は優遇される可能性が高いです。
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校閲者を目指したい人の学習方法
校閲者に必要な知識、スキルについては説明しましたが、具体的にどのような勉強方法があるかについて説明していきます。
1:書籍を活用する
校正や校閲に関する書籍を読むなどして独学で学ぶ方法です。
お金があまりかけられないという方におすすめの方法です。
校正や校閲に関する書籍はたくさんではありませんが簡単に見つかります。
1冊あたりの価格も一般の書籍並みですので、数冊揃えても1万円いくかいかないか程度で済みます。
代表的な書籍をいくつか紹介します。
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・エディターズ・ハンドブック 編集者・ライターのための必修基礎知識 (Editor’s Handbook) (雷鳥社) 1,980円(税込)
・たのしい編集 本づくりの基礎技術 ─ 編集、DTP、校正、装幀 (ガイア・オペレーションズ) 2,420円(税込)
・標準 校正必携 (日本エディタースクール出版部) 2,640円(税込)
・文章添削の教科書 (芸術新聞社) 1,980円(税込)
・校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術 (毎日新聞出版) 1,540円(税込)
—————————————————————————————————-※出典:Amazon.co.jp
2:スクールで学ぶ
独学では自己管理が難しいという方は学校に通うのがおすすめです。
マスコミや出版に関する学科のある『東京ビジュアルアーツ』といったような専門学校や『日本エディタースクール』などで学ぶ方法があります。
日本エディタースクールは全日制のほか夜間講座や土曜講座が用意されているので、現在仕事をしている方も学ぶことが可能です。ほかにも『宣伝会議』が有名です。
編集や校正として既に仕事に就いている方がスキルアップのために働きながら通っているケースも多いです。
3:短期セミナーを受ける
独学では厳しい、かつ学校に通う余裕がないという方におすすめなのが、短期セミナーを受けることです。書籍を買って自宅で勉強をしながら、セミナーで補強するといったW活用もおすすめです。
日本エディタースクールでも、たった1日だけの期間限定講座を用意しています。いくつも講座があり、それぞれ1万円以下と割安なのもポイント。
自分が苦手なところ、不安なところだけセミナーを活用するといった方法も可能です。
著作権や肖像権についてなど、校正・校閲のテクニックに限ることなく、編集全般の知識を得ることができるでしょう。
校閲が活躍できる会社って?
最後に、校閲として働くとするとどのような企業での活躍が想定されるのかについて説明していきます。
・新聞社
・出版社
・印刷会社
・広告代理店
・テレビ局
・求人情報掲載会社
・校正会社
・Webサイト制作会社
・一般企業(IR部・営業部・メディア事業部・広報部など)
いわゆる、出版やメディア業界ではない企業でも校閲の仕事があります。
求人情報を掲載する企業ではその紹介文などを書くライターが必要ですし、校正・校閲が必要です。また、一般企業でも販売資料や広報資料などに、校正や校閲作業を取り入れるところもあります。その場合、その企業が専任の担当者を置くか、校正・校閲者を派遣する校正会社などに委託をしますので、その校正会社に所属するという方法もあります。
また、最近ではオウンドメディアを運営する企業が増えており、結果、記事の制作や校正・校閲の仕事が発生します。
自社内でそれらを請け負う場合もありますし、Webサイト制作会社などに委託をする場合もあります。したがって、Webサイト、特に記事制作を請け負う企業に所属する方法もあるのです。
このように校閲の仕事といっても幅が広いので、自分の進みたい分野を選ぶことから始めると良いでしょう。
まとめ|校閲など編集の仕事を探したいなら転職エージェントに相談しよう
日本語に関心があり、校閲やライターの仕事を希望するなら、1日も早く行動を起こしましょう。
良い条件の求人から順に取られてしまいます。
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