最新機能も紹介!快適な在宅ワークに欠かせない、チェア選びのポイントや注意点を解説
目次
ちょうど今、オフィス勤務からテレワークに切替える人が多いと思います。特に在宅ワーク派は、自宅用チェアの準備から始めるのがおすすめです。本記事では、チェア選びで押さえておきたいポイントを紹介していきます。
快適な在宅ワークライフを歩むため、ぜひチェックしてくださいね。
在宅ワークに関するあれこれ
テレワークやリモートワーク…最近、そんな言葉をやたら耳にすることが多くなってきました。事業所やオフィスなどから離れた場所で仕事をすることを指す言葉ですが、企業にとって光熱費や交通費などのコストが削減できることや、従業員の満足度向上というメリットもあり、積極的に取り入れるところが増えているためです。
さらに、コワーキングオフィスやサテライトオフィスなどの環境で仕事をするといった方より、自宅で仕事をするといった方が圧倒的に多いという調査結果があります。
※出典:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査-調査結果-」
こちらの表は、テレワークを実施している方のテレワーク実施場所についての設問結果を年ごとにまとめた表です。表から言えることは、平成28年から令和元年にかけては、サテライト型、モバイル型と在宅ワークはほぼ同率でしたが、令和2年を境に、一気に在宅ワーク派が増えたということです。
これは、新型コロナウィルスの流行が影響していることは一目瞭然ですが、そもそも、テレワーカー母数自体も増えていることもポイントです。
在宅ワークの場合の最大のメリットは通勤時間が省けることにあります。
通勤時間にかける時間が片道30分であれば、1日あたり1時間も時間が節約できるわけです。また、着ていく服に関しても、気温を気にして服選びをするといった必要もなくなったり、通勤用に服を用意することさえも不要になるため、出費も減るといった声もあります。
しかし、メリットが多そうな在宅ワークも、実際にやってみるといろいろ悩みがあるようです。
それは、健康面に関することです。
※出典:KOKUYO
「コクヨ、在宅勤務に関する悩みごと意識調査を実施」
こちらは、文房具やオフィス用品を販売しているKOKUYOが実施した調査をまとめたグラフです。
在宅勤務、つまり、在宅ワークで悩んでいることについて経験者に選択式で聞いたところ、「身体・健康に関する内容」と答えた方がもっとも多く、なんと3割以上の方が選択されていたのです。
しかも、その具体的な内容としては、「姿勢や座りっぱなしからくる身体の痛み」が全体の7割を占めていることもわかりました。
これは、在宅ワークで使用しているデスクや椅子が原因のひとつとして考えられます。
※出典:KOKUYO
「コクヨ、在宅勤務に関する悩みごと意識調査を実施」
先に紹介した国土交通省の「令和3年度 テレワーク人口実態調査-調査結果-」でも仕事する部屋や机、椅子などの環境について指摘した同じような回答が多いです。
しかも、「テレワーク実施前に想定していた悪い点」よりも、「実施後に感じた悪い点」でのアンケートのほうが、その割合が上がっていることがポイントです。
※出典:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査-調査結果-」
ほかの項目が10ポイント未満の増加であるのに対し、環境に対する不満や自己負担に対する不満は13ポイント多いことは、「在宅ワークを実際にやってみたら、想像以上に環境に問題があった」と感じた人が多かったと言えるのではないでしょうか。
実際にこんな調査結果もあります。
在宅ワークで働いている会社員へのアンケートで、「自宅の仕事環境を整えた?家具は新調した?」という設問に対して「はい」と答えた方が6割近くにのぼったというものです。
※出典:ケアスタディ株式会社「SASAERUと関連調査内容をプレスリリース配信」
そのうち、もっとも多かったのは「椅子を新調した」と答えた方でした。
「机、椅子ともに新調した」と合わせると、椅子を新調した方は5割近くにのぼったということです。
新調していないという方の多くはダイニングテーブルでデスクワークもこなしてしまっているという方が多いのでしょう。
しかし、在宅ワーカーにとっては、自宅の椅子に座っている時間が、起きている時間のなかでもっとも長くなります。
ということは、その長時間過ごすことになる場所や使用する家具にこだわらないと、快適に仕事をすることは難しいと言えるでしょう。
特に家具類に関しては、こだわりを持って選ぶことが重要です。
次の項では実際にどのように選んでいけばよいのか、解説していきます。
特に快適な在宅ワークができるかという問題に直結する椅子選びについて具体的にガイドしていきます。
在宅ワークにおすすめの椅子とは
在宅ワーカーにとっておすすめの椅子とはどんなものでしょうか。
それは、「長時間座っていても疲れにくい椅子」だと言えるでしょう。
どのようなものであれば長時間座っていても疲れないのか、1つ1つポイントを押さえていきましょう。
背もたれをチェック!
椅子にはいろんな種類があります。
もっとも大きな特徴のひとつに、背もたれが挙げられるでしょう。
椅子には、背もたれがあるものと、背もたれがないものとがあります。
カフェやバーなどに置かれている椅子には、背もたれがないものが多いですよね。これらは、椅子といっても、「スツール」や「腰掛」といった呼ばれ方としています。
自宅のキッチンカウンターに椅子を置かれている方もいらっしゃると思いますが、簡易的な食事場所としてそういった背もたれのない椅子を置かれている方もいるのではないでしょうか。
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背もたれの意義とは
そもそも背もたれは、椅子の後部に設置されるもので、座っている人の上半身を支えるためのものです。
背もたれがないということは、背中をもたれかけるものがないため、自分自身でずっと姿勢を保ち続けなければならないことになります。
いっぽうで背もたれがあれば、体の筋肉を緩めてリラックス状態でいることができるため、長時間座り続けなければならない人には重要なパーツと言えるのです。
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背もたれの高さについて
背もたれがあるといっても、その高さは椅子によってまちまちです。
大きく分けて、一般的なタイプ、いわゆるミドルバックタイプのほか、ハイバックタイプ、ローバックタイプと3つのタイプがあります。
普通の椅子の場合、ちょうど背中を支える高さに設定されています。
ハイバックとは、「ハイ=High」という文字どおり、背もたれが高めのものを指します。
肩甲骨の上あたり、背中全体を支えてくれるので、長時間座っていても疲れにくいというメリットがあります。
いっぽうでローバックチェアの場合は、低めに設定されているため、しっかりと寄りかかることができないので姿勢を自ら保つ必要があります。
ミドルバックチェアはほかの2つに比べて中くらいの背もたれの高さで、オフィスチェアとしてオフィスでよく見かけるタイプです。
そのほか、エクストラハイバックチェアと呼ばれるタイプもあります。
ハイバックチェアよりさらに背もたれが高いタイプで、頭まで支えることができます。
すっぽりと体全体を支えてくれるため、首の負担も減らしてくれます。
また、その頭に部分にクッションのようなものがついているタイプもあります。
頭や首をサポートしてくれるものですが、大きさや傾きによっては、首が前に傾むきすぎてしまうなどして、かえって疲れてしまう場合があります。
特に、女性で髪を結んでいる方の場合、クッションが邪魔になり頭が前のめりになってしまうので逆に使いにくく、注意が必要です。
では、ハイバックチェアがもっとも楽かというと、そうとは言い切れないのが実情です。
支える部分が多いほうが力も不要で楽ではありますが、背中を寄りかからせることで骨盤が傾いたまま仕事をすることになってしまい、かえって疲れやすかったり、腰を痛めてしまうこともあるのです。
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背もたれの形状
背もたれにも実はいろいろ形があります。
人間工学に基づいて設計されたS字タイプのもの、まっすぐだけクッション性があるもの、それから、スポーツカーの椅子のように体を包み込むようなものもあります。
人は、仕事をするときにまったく同じ姿勢でいることはありません。
単純な業務をしているとき、人は、比較的後ろに傾きながら仕事をする傾向があります。
いっぽうで、慣れない業務や複合的な業務で真剣にパソコン作業するときには、前傾姿勢と呼ばれる姿勢になります。
そして、タイピングなどの作業は行わず、おもにインターネットページや書類など画面を見たりスマホをいじったりしているときには、背もたれにぐっと寄りかかるリラックス姿勢をしていることがほとんどです。
自分にはどの姿勢が多いか、どのタイプの椅子がむくか選ぶのは難しいと思いますが、ライターやプログラマーなど、ずっとパソコン画面に向き合ってひたすら作業をする方は比較的、後傾姿勢用の椅子が向いていると言えます。
いっぽうで、机の上の資料や請求書、素材集などを見たりしながら仕事をするような方、経理やデザイナー、設計士などは、前のめりになりがちなので、前傾姿勢用の椅子が向くと言えます。
サポート機能のある椅子を選ばずに前傾姿勢になると、椅子との間に余計な隙間が出て腰痛につながったり、猫背になり肩がこったり、胃が圧迫されかねません。
「前傾姿勢」「前傾チルト」などといったキーワードが入っている椅子を探すと良いでしょう。
とはいえ、どちらの姿勢にもなりうるといった方も多いと思います。
その場合は、後傾姿勢、前傾姿勢のいずれも対応可能な椅子を探すと良いです。
具体的には、背もたれのしなり方をみて、座面を自動調整する機能がついているものです。
「シンクロロッキング」というキーワードで探してみましょう。
こういったものは、比較的ミドルレンジからハイクラスのものが多く、価格も高めなものが多いですが、長時間作業をする方にとって大きな味方となってくれるはずです。
座面をチェック!
つづいてチェックしたいのが、座面の大きさです。
お尻を置く場所が狭いと、窮屈な思いをしてしまうため、適度な大きさが必要です。
大きいものを選ぶ必要はありませんが、お尻がしっかりとのせられる大きさのものを選びます。
一般的には横幅50cm程度は確保すると良いです。
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座面の素材もチェックしよう
座面は大きさだけでなく、素材や厚みも重要です。
素材については背もたれと同じものと、背もたれと座面で違う素材を使っているものがありますが、素材の特性をしっかりと理解して合ったものを選びましょう。
まず、どんな素材があるのか見ていきます。
もっとも多く見かけるウレタン素材です。
クッション性があるので、座り心地もよいです。
さまざまな商品が売られているので、選べる幅も広いと言えます。
また、価格も、安価なものが多くあるので、手に入れやすいと言えるでしょう。
通気性はそれほど良くはありませんが、比較的熱はこもりにくいと言えます。
なお、ウレタンといても、密度がより濃く、型崩れしにくいモールドウレタンのものがおすすめです。
オフィスチェアの座面交換は面倒なため、できるだけ耐久性が高いものを選ぶことも大事だからです。
オフィスチェアとしてはメッシュ素材のものも見かけます。
網目になっているので、さらっとした触り心地で通気性がよく、夏など暑い季節でも蒸れにくいですし、毛羽立ちもしにくいのもポイントです。
冬など寒い季節に温かみは感じにくいですが、冷たい感触はないので、オールシーズンで使いやすい素材と言えます。
ただし、網目の隙間に埃が溜まりやすいという性質があります。
埃が入ってしまい汗や皮脂などで固まると汚れがとれにくくなるので、定期的に掃除機で埃を吸い取ると良いです。
メッシュ素材自体は人の体型に合わせてフィットしやすく、疲れにくいものが多いです。
その分、高価格帯のものが多く、手は出しにくいというのも事実です。
それでも、長い時間、しかも在宅ワークが一時的ではなく、長い期間にわたって続くのであれば、メッシュ素材の椅子を候補に入れることをおすすめします。
革張りタイプは高級感を求める方に大変人気の素材です。
質感が良いので、気分があがり仕事がはかどるという方もいます。
ただし、どうしても肌に密着し蒸れやすいというデメリットがあります。
夏は空調をきかせていても座面や背もたれとは密着するため、汗ばんでしまうという意見が多いです。
また、定期的なお手入れも必要です。お手入れをしないと劣化することは避けられません。
革専用の保護クリームを塗ることはもちろん、日ごろから柔らかな天然素材の布でからぶきしたり、馬毛など、柔らかな天然ブラシを使用して表面の汚れを取り除いたりといったケアが必要です。その際には専用のクリーナーを使用することです。
乾いたままの布でこすると、かえってダメージを与えかねないためです。
仕上げには再び保護クリームを塗ることも忘れずに行うことがおすすめです。
お手入れが不十分だと、ひび割れなど劣化は早くなります。
また、日に当たる場所だと、色さめが早まります。
座っていないときはカバーをかけるなどの対応も必要です。
価格は高価格帯のものが多いです。
なお、フェイクレザー(エコレザー)もあります。
本革と比較してお手入れが楽になるため、人気が高いです。
また、価格も本革と比較して安価になるので、手に入れやすいということも人気の理由としてあげられます。
見た目や肌触りは、本物のレザーに近いものが売られているため、インテリアに高級感が打生まれるのもポイントです。
また、本革と異なり水にも強いことも特徴です。
汚れた場合には水で濡らした布で拭きとることも可能なので、安心感があります。
ファブリック素材の椅子もあります。
北欧系やナチュラル系など、いろいろなインテリアにマッチさせることも可能なので、人気が高い素材です。
また、座ったときにひんやりするといったこともないので、季節を通して使い勝手は良いと言えます。とはいえ、夏など暑い季節にはメッシュ素材と比較すると蒸れやすさはあるでしょう。
なお、フェイクレザーとは異なり、耐水性はありません。
汗が染みこみやすいというデメリットもあります。
ジュースなどの飲料をこぼしてしまうとシミになってしまいますので、防水スプレーなどを活用すると良いでしょう。
また、きれいに使用しているつもりでも、繊維の隙間に埃が溜まりがちです。
ダニの温床にもなりやすいので不衛生になりがちです。
価格は安価なものから高価なものまで幅広いので、お好みに応じて選びやすいと言えます。
ほかにも、ラタンや木製などの天然素材、またはプラスティックのようなものなど、さまざまな素材の椅子があります。
ただし、気を付けたいのは、座りやすさです。
木製やラタンのものは天然ならではの触り心地はありますが、座面自体は固めでクッション性に乏しいと言えます。プラスチック系の椅子も同様です。
クッション性がないと、長時間座っているとお尻が痛くなる恐れがありますので、使い勝手を考えることが大事です。
なお、座面の硬さについては好みがあると思いますが、柔らかすぎるものは腰が沈みすぎることから腰痛を引き起こす原因にもなりかねません。
どのような素材のものを選ぶのでも、適度な硬さを持つものを選びたいものです。
椅子の素材について解説をしてきましたが、椅子自体の素材や座面の厚みは気にせず、クッションを置くという方法もあります。
骨盤がたつよう姿勢を補正してくれるようなクッションがおすすめです。
値段も手ごろなものから販売されているので、椅子にはお金がかけられないという方にもおすすめです。
あると便利!アームレスト
在宅ワークをする方にぜひおすすめしたいものが、アームレストです。
つまり肘置きです。
長い時間パソコン操作をしていて肩が凝ると感じたことはありませんか?
それは腕の重さが原因の可能性もあります。
実は、片腕の重さは、なんと身体の6%程度にもなります。
50kgの方だと3kgもあることになります。
手首から先をデスクやキーボードにのせるとしても、それ以外の重さが右の肩と左の肩それぞれにかかることになります。
これが長時間となると、結構な負担になることが想像できるでしょう。
いっぽうアームレストがあれば、パソコンでの作業中その腕を支えてくれるわけですから、肩への負担をぐっと減らすことができるのです。
また、体圧も分散されることになります。
パソコン操作をしていないときでも、アームレストは役にたつときがあります。
それは、キーボードから腕を離して考えるとき、電話しているとき、スマホを見ているとき、休息をしているとき、そして立ち上がり椅子から離れるときです。
「そんなときにアームレストを使うの?」と思う方がいるかもしれませんが、
実際にアームレストがついた椅子だと、気が付いたらアームレストに腕を置いて、支えにしていることに気が付くと思います。
また、アームレストには、姿勢崩れを防ぐといった効果もあります。
デスクワークをするときに気を付けたいのは、猫背にならないようにすることです。
背筋が正しく伸びた状態で仕事をすることが望ましいのですが、長時間この姿勢を保つのは椅子のサポートがなければ、容易なことではありません、
いっぽうで肘置きがあれば、猫背にはなりにくいのです。
ただしその高さに注意が必要です。
低いとあまり意味をなさないためです。
基本的には机の高さと同じであることが望ましいです。
腕が水平になれば猫背になりにくくなるのです。
もうひとつ、ひじ掛けの位置に気を付けていただきたいことがあります。
それは、自分の身の幅にあった位置にあるかということです。
椅子の幅が広すぎて、腕が開いている状態になるようであれば、これも疲れの原因となりえるためです。
腕が閉まる、つまり体の両脇から適度な距離を保てるよう、椅子自体の横幅の広さもチェックしましょう。
なお、ひじ掛け自体も高さや角度など位置を調整できるタイプの椅子もあります。
前後にスライドできるものもあります。
アームレストの素材については、座面と同じで、メッシュやファブリックなどが使われています。
座面や背もたれと別の素材が使われている場合もあります。
よくあるのは、座面はクッション性を重視したモールドウレタン、背もたれは通気性を考慮してメッシュ素材、肘置き部分はナイロンや樹脂素材といったパターンです。
お好みのものを選ぶと良いです。
アームレストの形についても実はポイントがあります。
一般的なアームレストは、T字型になっていたり、L型(L字をさかさまにした形)になっていることがほとんどです。
この場合、移動する際に服や袖をよく引っかけてしまうといった方もいます。
いらつきやストレスの原因となり得ますので、そういった方はサークル肘と呼ばれるタイプを選ぶと良いです。
でっぱりがないので、引っかける心配がないのと、スタイリッシュな見た目であることが多いです。
なお、アームレストにはデメリットもあります。
それは、アームレストの高さによっては収納性が悪くなるという点です。
ちょうどひじ掛けが机とまったく同じ高さで固定タイプであった場合、椅子を机の中に果然に入れることができず、スペースをとってしまうことになります。
ひじ掛けの高さが机のワークトップより少し低めだったり、調整できるものであれば机の下にすっきりとしまうことは可能です。
椅子が外に出たままになっていると、部屋内での移動に支障が出るといった方は、アームレストの高さに注意が必要なのです。
事前にメジャーを使って、どこまで椅子が出てしまうか、邪魔にならないか確認したうえで、肘付き椅子を選ぶようにしたいものです。
なお、デスクに後付けできるアームレストも販売されています。
こちらは数千円程度で購入できます。
アームレストは欲しいけど、良いのが見つからないという方にはそちらの商品がおすすめです。
高さは身体にマッチしたものを!
椅子のサイズ、とりわけ座面の高さについては、購入する椅子をチョイスするうえで重要な項目となります。
皆さんのなかには、150cmと小柄な方から、180cm以上の高身長の方もいらっしゃることでしょう。そういった方々がみな一様に同じ椅子にフィットするかというと、決してそうではありません。
ちなみに、椅子の奥深くまでしっかりと腰かけた場合に、つま先ではなく、かかとまで床につける状態が望ましいです。
では、どれくらいの高さが自分に合っているのでしょうか。
日本オフィス家具協会では、座面の高さの目安として、身長×1/4と案内しています。
たとえば、身長は160cmだとします。1/4ということですと、40cmの高さということになります。
身長150cmの場合は、37.5cm、185cmの方だと、46.25cmになりますから、身長が異なると適切な座面の高さが大きく変わってくることがお判りいただけると思います。
ちなみに座面の高さとは、床から、座るところの上面部分までの高さのことをいいます。
出典:日本オフィス家具協会「安心・安全なイスの選び方」
なお、夫婦で在宅ワークをしていて椅子を共有する、もしくはお子さまの勉強机としても使用するといった方もいるかもしれません。
特に部屋の広さに余裕がない場合は、複数の方で共有しているケースが多いと思います。
その場合、「椅子は2脚用意しないといけないの?」という問題が出てきてしまいます。
もちろん理想はそれぞれのデスクや椅子を用意することですが、高さが変えられる椅子を用意するといった手段があります。
いわゆる昇降式チェアと呼ばれているもので、座面の下に調整用のレバーやダイヤルがついているものです。
レバーの場合、上方向にあげると座面が上にあがるようになっています。
その際に座って体重をかけたまま行うと動きにくいので、腰を浮かすようにしてレバーを動かします。
何度か座ってみて、自分がしっくりとくる高さに調整をすると良いです。
ダイヤルの場合は比較的小刻みに調整できるので、少しずつ動かして自分に最適な高さを調整しましょう。
なお、ガス圧式の椅子の場合、経年劣化などでガスが抜け、ガス圧が弱くなることがあります。ガスシリンダーを交換するなど、自分でメンテナンスが可能なものと、そうではないものがありますので、家具にかける費用を抑えたいという方はチェックすると良いです。
★気に入った椅子が調整できないものの場合★
調整式の椅子が便利なのは言うまでもありませんが、予算もありますし、どうしても気に入った椅子が調整のできないタイプだった場合、足元に台やクッションなど足置きを設置する方法もあります。あまりおすすめはしませんが、高さが合わないと中途半端な前傾姿勢になり身体に負担がかかるので、あくまで最後の手段として知っておくと良いでしょう。
参考記事:日本オフィス家具協会「安心・安全なイスの選び方」
キャスターは使う場所に応じて選ぼう
椅子にキャスターがあると、椅子から乗り降りするときや、ものを取るために移動するときなどに便利になるということは、反対意見を述べる方はいないでしょう。
しかし、キャスターのある、なし、どちらを好むかは人によって異なるようです。
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キャスターのデメリットと対策
キャスターは移動しやすくなるというメリットがある反面、床に傷がつくと心配する方が多いです。特に無垢材の床板を使用している方はそうです。
無垢材にもいろいろありますが、成長が早く比較的安価に手に入るパイン材を使用している場合、柔らかな肌触りで素足でも気持ちが良い反面、柔らかさから傷がつきやすいという特徴があります。ほかにも、ひのきやバーチ、ウォールナット、チークなどがありますが、無垢材の場合全般的に傷を心配される方が多いと思います。
いっぽうでフローリングの場合、シートフローリングであれば傷がつきにくいですが、より木質感のある突き板フローリングを使用されているお住まいも多くあると思います。
そうなると、やはりキャスターによるダメージは避けられないと言えるでしょう。
もうひとつのデメリットは、すぐに動いてしまうため、小さな子どもがいる場合、けがなどのトラブルが起きるリスクがあることです。
大人はやらなくても、お子さんが面白がって椅子によじ上ってしまうといったケースは多いです。
落ちて頭を打ったりして深刻な事故になりかねません。
したがって、キャスター付きの椅子を選ぶ場合、特に小さな子どもがいるご家庭では、ストッパー付きにすること、ストッパーをかけ忘れないようにするといった対策が必要です。
また、キャスターを使うと音が響いてしまうといったデメリットもあります。
マンションやアパートなどの集合住宅に住んでいる場合は注意する必要があります。
一戸建ての場合なら近隣トラブルに発展することはないと思いますが、2階に書斎を置いた場合、階下に響くといったことは考えられます。
さらにキャスター付きの場合、キャスター部分の劣化という問題も出てきます。
椅子や体重と、重さがもっともかかる場所であるため、耐久性があるしっかりとしたものを選ぶようにしましょう。
一部の商品ですが、簡単に交換が可能なタイプも販売されています。
最後に、小さなデメリットですが、埃などつきやすい、掃除が必要ということも挙げられます。大きなごみは巻き込みにくいですが、髪の毛や埃、汚れが付着してしまうことはよくあることです。
その汚れがついたままキャスターを動かすと、逆に床に汚れをつけてしまうこともあります。気が付いたら、回転が悪くなったなんて場合は、ごみがまとわりついている可能性が高いです。
ときどきチェックしふき取ったり、床の掃除をしましょう。
なお、傷や音の問題は、床にものを敷くといった対策も可能です。
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床に合うキャスターを選ぼう
できる限り快適にキャスター付きの椅子を使用するには、床に合わせて選ぶことも重要です。
「キャスターに違いがあるの?」と意外に思われる方は多いと思いますが、実はキャスターにはおもに3種類あるのです。
まず、カーペットを使用している方は、ナイロンキャスターを選ぶと良いです。
もっともスタンダードなタイプで多くの椅子がこのナイロンタイプを使用しているので探すのも簡単です。
摩擦が少ないことからもっとも滑りが良く、なめらかに移動することが可能になります。
ちなみに、フローリングの方でも滑りやすいですが、傷がつきやすいというデメリットがあります。
一方でタイルの場合、もともと滑りが良いこともあり、むしろスリップの原因となりますので避けたほうが無難です。
続いてフローリングのお部屋でお使いになる方は、ウレタン製のキャスター付き椅子を選ぶと良いです。
ナイロンとは異なり、柔らかな素材で適度なグリップ性をもっているため、傷つきにくいというメリットがあります。
いっぽうでタイルでの使用にはむきません。タイルに施されたコーティング剤をはがしてしまう恐れもありますので注意が必要です。
工場などでよく使用されるゴムタイプのキャスターであればタイル床の方でもおすすめです。
ほかの素材では滑りすぎるというタイル以外でも小さな凸凹があるような床でももっとも使いやすいと言えます。
ただし、カーペットの場合は、繊維がくっついてきてしまうため、使用は避けてください。
なお、繰り返しになりますが、床にチェアマットを敷くことで、キャスターの素材自体の選択肢が広がりますので、チェアやインテリア全体を考えながら購入をすることがもっとも重要です。
デザインいろいろ、インテリアにマッチするものを選ぼう
これまでは、椅子自体の機能やパーツについて解説してきましたが、やはりデザインも重要と言えます。
いくら機能性が良くてもインテリアにマッチしないものを部屋に置いてしまうと、全体のバランスが崩れてしまうためです。
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必要なスペースをチェックしよう
部屋に置けないサイズの椅子を購入することはないと思いますが、念のため、まずはどこの部屋のどこのスペースに置くのか、場所決めが必要です。
もしすでに決まっている場合は、椅子を置く場所の広さを確認しましょう。
その際に、椅子とまったく同じ広さを確保していたのでは実際に置いたときに「こんなはずじゃなかった!」なんてことになりかねません。
椅子をひいて座ったり立ったりできるのか確認が必要です。
基本的に椅子の立ち回りに必要なスペースは最低でも60~75cm必要と言われています。
ただし、背もたれが高かったり奥行きのある大きな椅子の場合は、60cmでは厳しいと言えるでしょう。
それほど大きい椅子でなくても60cmの奥行きではスムーズな動きは難しいです。
また、キャスターがついていれば、椅子を机にしまうときに後ろにまわらずとも動かしやすいですが、キャスターがない場合は動かしにくいので椅子の背もたれ側に回って椅子を移動させることが多く、後ろに自分が回り込むスペースが必要となります。
このように椅子によっても変わってきますが、ストレスにならないようにするには90cmが望ましいと言えます。
また、後ろに人が通るのか通らないのかでも変わってきます。
人の通行がある場合はさらにスペースが必要です。
人が椅子に座っているとき使用するスペースはおよそ50cmです。
通行に必要な幅は60-90cmなので、合計で110cm~140cm必要となるのです。
もし後ろに収納があり、人が通行するだけでなくしゃがんで引き出しや扉を開けることがる場合は、その分のスペースも加味して考えることが必要です。
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サイズ感は背もたれの高さがもっとも影響する
部屋の広さによっては、椅子は圧迫感を与えかねません。
したがって、部屋がそれほど広くない場合、椅子選びを機能だけで考えるのではなく、サイズ感も併せて考えることをおすすめします。
サイズ感は背もたれの高さで大きく左右されます。
スツールやローバックチェアの場合はコンパクトな印象になりますが、頭の部分までを支えるエクストラハイバックチェアだと、背の高さが130cm近くになりますので、部屋が狭い場合は相当な圧迫感を与えることになります。
次に素材感も影響します。
素材がメッシュであれば背もたれの厚さも薄いうえ、透け感もあるため、ハイバックタイプでも圧迫感はだいぶ軽減されます。
レザーチェアやフェイクレザーの場合、背もたれが薄めのものと中にクッションが入った分厚いタイプがあります。
特に、レザー素材の場合は透け感がなくマットな色合いから重厚感が生まれるので、厚手のものは部屋にかなりの圧迫感を与えると言えるでしょう。
その場合は、薄めのものを選んだり、色味をブラックやブラウンなどの濃い目のカラーではなく、アイボリーなどの明るいカラーをチョイスすることで圧迫感を減らすことは可能です。
また、アームレストがあると椅子自体が幅広になるため、当然サイズも圧迫感もアップします。
こちらもクッション性があるものだと余計に大きくなるので、ハイバックでアームチェア付きのものを選ぶ場合は素材選びを工夫すると良いです。
もっと知りたい、最新超高機能チェアとは?
「長く在宅ワークをするのであれば、高機能の椅子が欲しい!」という方も多いと思います。
そこで、注目したい最新機能について説明していきます。
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ランバーサポート
ランバーサポートとは、正しく着座体制をキープするための機能です。
座っているときの姿勢としては、立っているときと同じように背中がS字カーブを描くことが望ましいのですが、長時間デスクワークをしているとどうしても猫背になってしまったりして、腰を痛める方が多いです。
そこで背もたれの腰にあたる部分に、そのS字カーブがキープされるようなクッションがついていたり、背もたれ事態の形状がカーブしていたりするものがあるのです。
このようにランバーサポートのある椅子を使うことで、背中がきれいなS字カーブを描き骨盤が立っている状態になり、結果、長時間のデスクワークでも集中してこなせるようになるということです。
したがって椅子を探す際には、ランバーサポート機能があるものを選ぶことがおすすめです。
ちなみに、ランバーサポートにもいくつか種類があります。
先に説明したクッション型のものは、文字どおり腰にあたる部分にクッションが備え付けられていますが、背もたれと一体型になっておらず、取り外し可能なものもあります。
手洗いが可能なものもあり、衛生的に保つことが可能です。
クッション性の場合、椅子により硬さが異なります。
あまりに柔らかいと身体が沈みすぎてかえって疲れてしまいがちなので、ある程度反発力のあるものがおすすめです。
また、スライド式のものもあります。
スライド式の場合は上下で調整することが可能なので、自分に合った位置にセッティングできるのが大きなポイントです。
中には、3D対応のものもあり、上下だけでなく左右の調整ができるものもあります。
さらに、位置だけでなく、強度の調整が可能なものもあります。
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3次元シンクロ機構(トリメンション)
シンクロロッキングというのは、身体を背もたれに預けたり、前のめりの姿勢になったときにS字カーブをキープするため、座面の高さが変わる機能です。
背もたれに寄りかかっているときは、座面の後方が下にさがることで、椅子の高さは一定に保たれることになります。
これにより、細かい作業をして前傾姿勢になっても、単純作業などで少し後傾姿勢になりながら作業するときも、違和感を得ることなく正しい姿勢のまま仕事に集中することができます。
しかし、飲み物をとったり、電話をしたりなど、左右の動きや、それに伴う傾きが発生した時にも調整をしてくれるのが3次元シンクロ機構なのです。
現在のところ、限られた椅子にのみついている機能ですが、「最高級チェアが欲しい!」という方にはおすすめの機能と言えます。
機能性が高い椅子は値段も高い
椅子のお値段はいくらくらいなのかも気になりますよね。
実は、椅子のお値段は、まさにピンからキリで、高いものと安いものでは10倍以上の差があるのです。
たとえば、もっとも安いオフィスチェアの場合、5,000円程度で購入することができます。
最近ではオフィス家具メーカーだけでなく、インテリアショップやホームセンターなどでオリジナルの椅子を販売しているところも増えているので、1万円以下という条件でもかなりの品数から選ぶことができるのです。
一方で、4,5万円程度のミドルレンジの椅子も人気があります。
生産性を考え、長時間のデスクワークに耐えるために機能性の高い椅子を選ぶ方が増えているためです。
さらに、20万円を超える椅子も存在します。
「椅子に20万円!?」と驚く方も多いと思いますが、疲れない椅子を実現するため、最新の人間工学を駆使しデザインされ、さまざまなパーツを使って組みたてられていたり、軽量化が図られていたり、耐久性もクリアするなど、こだわりのつまった椅子となっているためです。
その場合、10年を超える保証がついていたり、修理など手厚いアフターサービスも用意されているといったメリットがあります。
とはいえ、これだけの幅があるので、椅子にどれだけお金をかけるかは、最終的にはご自身のお財布との相談になると言えるでしょう。
これも椅子?注目のバランスチェア
最近注目されているなかに、バランスチェアといったものがあります。
バランスチェアとは、お尻だけでなく膝を支えることで、正しい姿勢をキープできる設計となっています。
座るとわかるのですが、膝を抑えることで猫背になりにくくなるのです。
特徴としては座面が少し前に傾斜しており、座ると自然と背中がS字カーブをえがくようになります。
しかし、膝でも支えているためか、自然とバランスが取れる結果となり、安定感をもって座ることができるのです。
背もたれがあるものとないものがありますが、全体的にコンパクトなサイズ感のものが多いです。したがって、部屋が狭いという方には特におすすめです。
フレームの素材は木製かスチール製がほとんどです。木製のほうがインテリアに馴染みがよく、高級感もあります。
座面がファブリックのものが多いです。なかには肌触りの良いビロードが使われていたりクッション性の高いウレタンが入っているものもあり、長時間のデスクワークでも疲れにくいつくりとなっています。
キャスターがついている椅子はそう多くありませんが、全体的に軽くて持ち運びもしやすいという特徴があります。
したがって、使用していないときには別の場所にしまっておくか、折りたたみ式のものにすれば場所をとらないので、専用のスペースが確保できない方に重宝する椅子と言えます。
お値段は安いもので5,000円以下で見つかりますが、木製だったり、クッション性が良かったり、ガスシリンダーで昇降ができる高機能タイプのものなどで5万円以上するものもあります。
背もたれのあるなし、デザインなどにも幅がありますので、各メーカーのものを見比べて選ぶと良いでしょう。
なお、プロポーションチェアと呼ばれていることもあります。
椅子も経年劣化する。メンテナンスや交換時期について知っておこう
椅子選びで知っておきたい、椅子のタイプや機能について説明してきましたが、もうひとつ覚えていただきたいのは「椅子も経年劣化をする」ということです。
もっとも多いのは座面のクッション性がなくなることです。
ウレタン製のクッションが入っているものは座り心地がよいですが、体重がもっともかかる部分なので、弾力性がなくなり硬く感じたりすることでしょう。
また、汗やほこりなどによる汚れも防ぐことができませんし、ガスがぬけて昇降ができなくなったり、スライドするものが動かなくなったりといったことが出てくるはずです。
できるだけ長く持たせるためには、説明書にしたがい定期的にメンテナンスをすることです。
座面は張り地の素材によってメンテナンスが特に変わる部分ですが、汗がしみこんだり汚れが付着しやすいところなので特に気を付けたいものです。
埃や汚れは掃除機やふきそうじでとったり、飲み物などによる染みを防ぐために防水スプレーをかけることがおすすめです。
ちなみにネジが使われている場合は、ゆるみがないかも定期的にチェックするようにしましょう。
メンテナスをしていても、交換時期はやってきます。
高価格帯の椅子に関しては耐久性に優れているものも多く、10年保証などがついているものも多いです。
実際の交換時期は椅子や使用頻度により異なりますが、目安として10年と考えると良いです。
特に「最近やたら疲れる」「お尻が痛い」などといったことがあったら、交換の検討をおすすめします。